arkⅣ

たける

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5.

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2つの体が絡み合い、シーツの上を転がっている。やがてノッドが下になると、ファイが腹に跨がって見下ろしてきた。

「本当にいいのですか?疲れているのでしょう?」

無感情な声だが、ノッドは確かに、気遣いを感じていた。

「これが俺の力の源なの。だから、目一杯しちゃっていいの」

見上げると、薄明かりの中の白い肌が、とても綺麗に見えた。

「目一杯と言いますが、そろそろ艦長も戻られる頃です。貴方は部屋にいてもいいですが、私は持ち場に戻らなければなりません」

そっと髪を撫でる指。愛しげに細められる瞳。全てが今、ノッドだけのものだ。

「だぁめっ!まだキスしかしてないじゃん。もっとするの!」

駄々っ子のようにむくれると、ファイは首を傾げながらもまた唇を重ねてきた。
意外とこの恋人はキス魔だ。まぁ、2人きりの時に限るが。

「ノッド、貴方が性行為に執着する理由が、少し分かった気がします。ですが、性行為が力の源である筈がありません。人類にとっても、サイボーグにとっても、源は別です。しかし、その比喩は面白い……」

小さく口角を歪める。ファイの父親は地球人だったから、多分これは笑っているのだ。他の者にはそうは見えないだろうが、ノッドにはファイが面白がっているのを感じる。

「可愛い……」

ギュッと抱き締め、今度はノッドから唇を重ねた。深く深く、もっと繋がりたいと思って。




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