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「奴らは……フィックスと一緒に消えたんだ……」
最後にそう呟いたハンクは、再び涙を零した。
ノッドは静かにハンクの話を聞いていた。
何も感じない訳ではない。だが、ハンクのように怒りをあらわにする事はしなかった。
ただ冷静に、あぁ、そうなのか、と思う。
必死に感情を押し殺さなければ、力が暴走しかねない。
「よく事情は分かった。だがハンク、何でストレイン達はフィックスを?」
今の自分の体は新しい物だろう。この体があれば、わざわざフィックスの体を使わなくても済んだ筈だ。
「最悪のシナリオを選んだんだ、また会う機会があると思うが、その時は覚悟しておく事だと言われた」
「最悪のシナリオ……?」
ノッドが尋ね返すと、ハンクは頷いた。
「ストレインに呼ばれたフィックスは、俺の事なんて知らない、と言った感じだったよ……」
そう漏らすハンクの心中は、悲しみで満ちている。
「どう言う意味か分からないが、奴らはどこへ?」
分からない、と言って首を振るハンクに、ノッドはちょっと研究所を見てくる、と言い残し、目を閉じた。
奴らの行き先は分からない。だが、慌てて出て行ったのなら、何か役に立つ情報が残されているはずだ。
目を開くと、研究所にいた。荒れた部屋は、ハンクと一緒に出た時のままだ。
とにかく何か見つけ出さないと。そう思ったノッドは、彼等が使っていたパソコンの前に座った。
何か残しているのなら、多分ここにある。そう考えキーボードを叩く。と、いくつかのフォルダが隠されていた。
暗証番号は?と尋ねるコンピュータに、ノッドは手近にあった配線を繋ぎ、その先を自分の頭に繋いだ。
そうする事で、ノッドには暗証番号なしでもフォルダを開く事が出来た。こう言う点では、生身の人間でなくて良かったと思う。
デスクトップに現れたフォルダは3つ。それぞれ名前がつけられている。
・研究
・ノッド
・フィックス
どれも気になる。だが、ここに長居するのも危険だと感じる。
もしかしたら、研究所に爆弾が仕掛けられていて、それを逃亡した彼等が作動させないとも限らない。
その可能性は、無くはない筈だ。そう考えたノッドは、フォルダを自身のメモリーチップへインストールする事にした。
ストレイン達は、何故フィックスをサイボーグにしたのだろう。
最悪のシナリオとは、どう言う意味なのだろう。
そう考えているうちにインストールが完了し、ノッドは配線を引き抜いた。
立ち上がり、ハンクが言っていた部屋を探すと、それはすぐに見つかった。
自分が入っていた箱が、侵入を妨げるように立っている。それをテレキネシスを使って跳ね退けると、ノッドはその部屋に入った。
誰もいない寝台に近付くと、赤い髪が1本残っていた。それを摘み、にぎりしめる。
──フィックス……
恋しい気持ちが沸き上がり、ノッドは目を閉じた。
最後にそう呟いたハンクは、再び涙を零した。
ノッドは静かにハンクの話を聞いていた。
何も感じない訳ではない。だが、ハンクのように怒りをあらわにする事はしなかった。
ただ冷静に、あぁ、そうなのか、と思う。
必死に感情を押し殺さなければ、力が暴走しかねない。
「よく事情は分かった。だがハンク、何でストレイン達はフィックスを?」
今の自分の体は新しい物だろう。この体があれば、わざわざフィックスの体を使わなくても済んだ筈だ。
「最悪のシナリオを選んだんだ、また会う機会があると思うが、その時は覚悟しておく事だと言われた」
「最悪のシナリオ……?」
ノッドが尋ね返すと、ハンクは頷いた。
「ストレインに呼ばれたフィックスは、俺の事なんて知らない、と言った感じだったよ……」
そう漏らすハンクの心中は、悲しみで満ちている。
「どう言う意味か分からないが、奴らはどこへ?」
分からない、と言って首を振るハンクに、ノッドはちょっと研究所を見てくる、と言い残し、目を閉じた。
奴らの行き先は分からない。だが、慌てて出て行ったのなら、何か役に立つ情報が残されているはずだ。
目を開くと、研究所にいた。荒れた部屋は、ハンクと一緒に出た時のままだ。
とにかく何か見つけ出さないと。そう思ったノッドは、彼等が使っていたパソコンの前に座った。
何か残しているのなら、多分ここにある。そう考えキーボードを叩く。と、いくつかのフォルダが隠されていた。
暗証番号は?と尋ねるコンピュータに、ノッドは手近にあった配線を繋ぎ、その先を自分の頭に繋いだ。
そうする事で、ノッドには暗証番号なしでもフォルダを開く事が出来た。こう言う点では、生身の人間でなくて良かったと思う。
デスクトップに現れたフォルダは3つ。それぞれ名前がつけられている。
・研究
・ノッド
・フィックス
どれも気になる。だが、ここに長居するのも危険だと感じる。
もしかしたら、研究所に爆弾が仕掛けられていて、それを逃亡した彼等が作動させないとも限らない。
その可能性は、無くはない筈だ。そう考えたノッドは、フォルダを自身のメモリーチップへインストールする事にした。
ストレイン達は、何故フィックスをサイボーグにしたのだろう。
最悪のシナリオとは、どう言う意味なのだろう。
そう考えているうちにインストールが完了し、ノッドは配線を引き抜いた。
立ち上がり、ハンクが言っていた部屋を探すと、それはすぐに見つかった。
自分が入っていた箱が、侵入を妨げるように立っている。それをテレキネシスを使って跳ね退けると、ノッドはその部屋に入った。
誰もいない寝台に近付くと、赤い髪が1本残っていた。それを摘み、にぎりしめる。
──フィックス……
恋しい気持ちが沸き上がり、ノッドは目を閉じた。
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