Love Trap

たける

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3.

タクシーは目的地に到着し、ハンクは苛立ちながら下りた。
ちょっと研究所を見てくる、と言い残して消えたノッドはまだ戻らない。
走り去るタクシーを見遣ってから、視線を高く持ち上げると、赤茶色をしたレンガ壁のマンションがそびえ立っていた。
フィックスが住んでいた。何度も部屋に行き、沢山話をした。他愛もない会話だったが、とても幸福だった。
それを奴らは奪った。
再び怒りに火が灯る。

「お待たせ」

そう言って突然ノッドが姿を現した。驚きに彼を睨むと、ノッドは目を逸らすようにマンションを見上げた。

「ここは……?」
「フィックスのマンションだ」

そう答え、先に入口を潜る。後からノッドが続き、エレベーターを並んで待つ。

「何か分かったか?」

そう尋ねると、ノッドは自身の頭を指差した。

「ストレインが隠してたフォルダをインストールしてきた」

無人のエレベーターが到着し、乗り込む。

「フォルダ?中はまだ見てないのか?」
「あぁ。長居出来ないだろ、あんな場所」

吐き捨てるように言うノッドは、点滅する数字を見つめていた。

「ノッド、君の答えをまだ聞いていないが、俺に協力してくれるんだよな?」

不安だった。協力してくれるものと勝手にハンクが思い込んでいただけで、ノッドの口からはちゃんと聞いていない。

「当たり前だ。俺だって、あいつらは憎くて堪らない存在だ」

扉が開き、2人は静かな通路を歩いた。通り過ぎる部屋からは、子供の声が時折聞こえてくる。

「この部屋は、明日には管理人に引き渡す事になってるんだ」

そう言ってハンクは、管理人に返しそびれていた合い鍵を使った。

「もう何もないが、ここで考えをまとめようじゃないか」

ノッドはそれに同意するように頷く。

「パソコンはあるか?」
「ある訳ないだろう……!」

軽い怒りを覚えたが、ノッドはすぐに姿を消し、ハンクが瞬きをしている間に戻ってきた。その手にはノートパソコンがある。

「どこから盗んできたんだ?」
「研究所」

靴を脱いでリビングだった場所に上がり、フィックスの母親が綺麗に磨いたフローリングに座る。ノッドはジーパンの尻ポケットから配線を1本取り出すと、それぞれの先をパソコンと自身の頭へ繋いだ。

「最初からそれごと持ってくればよかったんだ」

そう文句を言うと、ノッドはあからさまに不愉快そうな顔をした。

「うるせーな。いいだろ」

マウスを弄りながら、隠されていたフォルダをデスクトップに表示させる。

「どれから見る?」

どのフォルダも気になるタイトルが付けられているが、すぐに開く必要はない。
今欲しいのは、フィックスの情報だ。

「フィックス」

ハンクの言葉とノッドのマウス操作はほぼ同時だった。まさか心を読まれている?いや、ずっと読まれているのかも知れない。
ふとそう思ったが、ノッドから返事はなかった。

「出た……!」

ノッドの声に画面へ顔を近付けると、それは日記のようだった。
1番古い日付は、今から1年前の6月1日だ。ノッドがそれをクリックして開くと、2人は黙読し始めた。




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