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5.
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「止めろ」
壁に押し付けられたまま、未来の自身は言った。
「黙ってろ……!」
そう怒鳴り、もう一方の手で扉を開ける。
「ノッド……?」
リタルド人が目を丸くした。それに満足げに笑うと、ノッドは彼を部屋へと入れた。
「どのような理由があって貴方がここにいるのか、説明して頂きたい」
未来のノッドが壁に押し付けられているにも関わらず、姿勢正しくファイはノッドを見据えてきた。
「お前も悪い……!」
ファイの質問に答えず、ノッドは彼に向かって手を翳した。
こいつが未来の話なんかをしなければ、力が使えると分かっても自由をあんなにも求めなかっただろう。
「何をするんです。何故貴方は私を悪いと……?」
尚も理由を求めるファイを、ノッドは少しだけ手を握る仕種で締め上げた。すると、クールなリタルド人は僅かに顔をしかめた。
「止せ。ファイをどうにかしたところで、お前の過去は変わらない」
自身がそう言った。
そんな事は分かっている。だがこの怒りは、どうしたらいい?
人を憎むな、とフィックスは言っていた。
そんなのは無理だ。
「お前も、俺と同等の苦しみを味わえばいい……!」
更に手に力を込めると、ファイは小さく呻いた。
「いい加減にしろよ。大人しくしてりゃ図に乗りやがって」
少しずつ、自身を押さえるノッドの手が押し返されてくる。未来の自分が抵抗している。
「ノッド……理由も言わないまま責められるのは、弁解を許さない、と言う事ですか?」
「聞いたって一緒だ。変わらない」
ファイに気を取られた瞬間、ノッドの手は強い力に弾かれた。すると自身がゆっくりと壁から放れ、ノッドを振り返った。
「ファイは関係ない。責任は俺にあるだろ」
また手を翳され、ノッドは体の自由を奪われた。ファイが深く息を吸っている。
「悪いが、俺にはお前を助けてやれない。責任逃れする為にこんな事を言うんじゃないが、冷静になって前向きに考えろ」
あくまでも冷静さを欠かない自身は、リタルド人といる事で感情を無くしかけているのでは、と思われる程だった。
「前向きだと……?」
「そうだ。俺が歩いてきた過去では、フィックスとは10年しか一緒にいられなかった。お前もファイから聞いたように、民家で暴動が起きてな」
そこで言葉を切った自身は、少しだけ淋しげに目を細めた。
「フィックスはそれに巻き込まれて死んだんだ」
ノッドの頭に、自身が見た光景が映し出される。
響く銃声。悲鳴。怒号。
逃げ回る研究者達。彼等を守ろうとするフィックス。
やがて、銃弾に倒れる研究者達が明かした、ノッドの力の抑制の嘘。
それを知った時には、フィックスは目を閉じる寸前だった。
そして殉職したフィックスの告別式。涙に濡れるパレード。それを遠目に見ている自分。
怒涛のように押し寄せる怒りと悲しみと喪失感。
いつしかノッドは、未来の自分に共鳴していた。
「それで自由になった俺は、ファイに出会うまで独りきりだった。だがお前は違う」
我に返る。ファイも悲しげな顔をしていた。
「フィックスには悪いが、サイボーグになった事でずっと一緒にいられるんだ。もう、フィックスが死ぬ事はない」
涙が零れた。
壁に押し付けられたまま、未来の自身は言った。
「黙ってろ……!」
そう怒鳴り、もう一方の手で扉を開ける。
「ノッド……?」
リタルド人が目を丸くした。それに満足げに笑うと、ノッドは彼を部屋へと入れた。
「どのような理由があって貴方がここにいるのか、説明して頂きたい」
未来のノッドが壁に押し付けられているにも関わらず、姿勢正しくファイはノッドを見据えてきた。
「お前も悪い……!」
ファイの質問に答えず、ノッドは彼に向かって手を翳した。
こいつが未来の話なんかをしなければ、力が使えると分かっても自由をあんなにも求めなかっただろう。
「何をするんです。何故貴方は私を悪いと……?」
尚も理由を求めるファイを、ノッドは少しだけ手を握る仕種で締め上げた。すると、クールなリタルド人は僅かに顔をしかめた。
「止せ。ファイをどうにかしたところで、お前の過去は変わらない」
自身がそう言った。
そんな事は分かっている。だがこの怒りは、どうしたらいい?
人を憎むな、とフィックスは言っていた。
そんなのは無理だ。
「お前も、俺と同等の苦しみを味わえばいい……!」
更に手に力を込めると、ファイは小さく呻いた。
「いい加減にしろよ。大人しくしてりゃ図に乗りやがって」
少しずつ、自身を押さえるノッドの手が押し返されてくる。未来の自分が抵抗している。
「ノッド……理由も言わないまま責められるのは、弁解を許さない、と言う事ですか?」
「聞いたって一緒だ。変わらない」
ファイに気を取られた瞬間、ノッドの手は強い力に弾かれた。すると自身がゆっくりと壁から放れ、ノッドを振り返った。
「ファイは関係ない。責任は俺にあるだろ」
また手を翳され、ノッドは体の自由を奪われた。ファイが深く息を吸っている。
「悪いが、俺にはお前を助けてやれない。責任逃れする為にこんな事を言うんじゃないが、冷静になって前向きに考えろ」
あくまでも冷静さを欠かない自身は、リタルド人といる事で感情を無くしかけているのでは、と思われる程だった。
「前向きだと……?」
「そうだ。俺が歩いてきた過去では、フィックスとは10年しか一緒にいられなかった。お前もファイから聞いたように、民家で暴動が起きてな」
そこで言葉を切った自身は、少しだけ淋しげに目を細めた。
「フィックスはそれに巻き込まれて死んだんだ」
ノッドの頭に、自身が見た光景が映し出される。
響く銃声。悲鳴。怒号。
逃げ回る研究者達。彼等を守ろうとするフィックス。
やがて、銃弾に倒れる研究者達が明かした、ノッドの力の抑制の嘘。
それを知った時には、フィックスは目を閉じる寸前だった。
そして殉職したフィックスの告別式。涙に濡れるパレード。それを遠目に見ている自分。
怒涛のように押し寄せる怒りと悲しみと喪失感。
いつしかノッドは、未来の自分に共鳴していた。
「それで自由になった俺は、ファイに出会うまで独りきりだった。だがお前は違う」
我に返る。ファイも悲しげな顔をしていた。
「フィックスには悪いが、サイボーグになった事でずっと一緒にいられるんだ。もう、フィックスが死ぬ事はない」
涙が零れた。
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