Love Trap

たける

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9.

アルテミス号へノッドと戻ったフィックスは、2人に礼を言った。

「いや、いいんだ。このぐらいしかしてやれないんだから」

そう科学士官になったノッドが言った。
容姿こそ隣にいるノッドと変わりはしないが、その内面はどうだろう。随分と落ち着いた雰囲気をフィックスは感じた。

「まぁ……俺達の歩く道は違ったけど、俺はフィックスとずっと一緒に生きて行くよ」

ノッドはそう言い、ファイを伴って部屋を出た。何故出て行くのか分からないフィックスは、彼等を呼び止めようとしたが、それを科学士官に阻まれた。

「あいつ、俺にっつーか、自分に……?気を使ったんだよ」

そう言うと、ノッドはフィックスを抱きしめた。

「本当……お前にまた会えるなんて考えもしなかった」

切ない声でそう言ったノッドは、抱きしめる腕に力を込めた。フィックスはどうしていいか分からず、彼の話を黙って聞く事にする。

「あいつが歩いた道も、決して楽なもんじゃないけど……お前には悪いが、サイボーグになって良かったと思ってる。もう……あんな悲しい思いや淋しい思いを、あいつはしなくていいんだ」

ノッドの言う悲しい事や淋しい事が、自分の死だと分かった。彼の過去では自分は普通の人間だ。死に別れの辛さを、今は嫌と言うぐらい感じている。

「ファイに会うまで、俺はずっと独りだった。自分で死ぬ事も出来なくて、誰かに胸のボタンを押して貰える事もないまま、ただ知識だけを増やしてた。思い出は、お前が死んだ時から止まってたけど、今はまた新しいのが増えてる」

ファイのおかげだ、と呟いたノッドは、フィックスの髪を撫でた。

「だけど、ファイは不死身じゃない。寿命がくれば死ぬし、仕事中に殉職する可能性だってある」
「また、独りになってしまうじゃないか」

漸く言葉を発っすると、ノッドは優しく笑った。

「いや、もう独りにはならないさ。あいつが死ぬ時が、俺も死ねる時だ」

そう言うと、ノッドはフィックスから放れた。そして丸い窓まで歩くと、景色を眺めながらまた口を開いた。

「俺は幸せだ。今も、過去も。だからフィックス、お前も幸せになって欲しい」

振り返ったノッドの笑顔は淋しげだったが、辛いものではなかった。

「あぁ……勿論。俺は幸せになるよ。ノッドと一緒に」

ハンクの分まで。そう思いながら、フィックスは手の平に握ったままの弾に想いを込めた。




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