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第27話
しおりを挟むある日のことだった。
俺は、金田一先生の代わりに数学の自習時間の教室で教壇に立っていた。しかも、あのラブレターの主である百田四葉がいる教室だった。一方、金田一先生はというと、きららちゃんの所へ行っていることは、俺の耳にも入っていた。もちろん、それは、きららちゃんからのLIMEでわかったんだけど、それにしても、授業を休んでまで行くとは?ときららちゃんのブログを見ると、今日のバージンとかいうキャンペーンでメールを送信しているとか・・そうか・・・金田一先生はこれがお目当てで行ったのか、きららのやつかわいそうに、一番目は、たまにローションが中途半端で、相手がゴム付きで容赦なく突き上げるとすれて痛くなるって言ってたのを思い出した。ゴム付きかどうかは別にして、きららちゃんのLIMEには最悪と書かれていたので、俺はただご愁傷様です。とお祈りをしてあげるくらいしかできなかった。
すると、百田が俺に声をかけてけてきた。
「先生、授業真面目にしてください」
「それは悪かった。で?何が問題だ?」
俺が質問したのが悪かったのだろうか?俺自身としては、今回の指導目的については確実に説明をし、各自が理解できるよう、例題の解き方と問題を各自で解かせることによって、理解度を確認しつつ、授業を進めていた。もちろんタブレットを使ってだが、しかし、俺は社会の先生ということで、本来は、やりすぎなんだけど・・・ん?何故か、百田が立ったまま俺を睨んでいる。
「百田さん、何か?」
すると百田さんは、不思議なことを言い出した。
「不公平です。私だけ当ててもらえないなんて、ひょっとして、あのラブレターのせいですか?」
この言葉によって、それまで授業モードだった教室が完全に、二人の対立という構図に変わっていった。このパターンはまずい、このままでは、授業が崩壊しかねない。とりあえず、原状回復で、百田を座らせよう。
「百田さん。とりあえず、座っていただけないかね?」
「え?」
予想外の返事に戸惑っている。しかし、クラスの連中は、運良ければ授業がつぶれるとばかりに
「えーーー!!」
と声を上げた。そんな状況で百田は未だに戸惑っている。とりあえず、俺は、百田の横まで言って、もう一度座るように言うとしぶしぶ百田も座った。そして、俺のタブレット画面を差し出し。今日の当てた順番と回数を見せた。
「え?」
その画面を見て、驚いている百田。それもそのはず、この時点まで俺は、クラス全員に2回ずつ当てているのだ。しかし、それを信じるはずもなくというか、信じる気なんて、さらさらないのだろう、百田が
「こんなの。うそよ!!」
と叫んだその瞬間、俺は、百田の額に人差し指を置いた。
「いいか。これが事実だ。それは、みんなのタブレットにもあたった回数が出ているはずだ」
どれどれ・・と少しざわめきが起きたが。本当だ…という声があふれていた。しかし、百田は
「うそよ!!」
そう叫んで立ち上がろうとした瞬間
「あれ?」
額を俺に抑えられた百田は、立ち上がることが出来なかったのだ。
「あれ?あれ?」
必死にもがく百田
「うそ・・・どうして?立てないの?」
未だに立ち上がろうとする百田に俺は、
「必殺、北斗デコ神拳だ。俺の指が離れるまでお前は立ち上がることはできない」
「うそ・・・ぐ・・・え・・い・・・いや・・」
混乱した百田は泣き出しそうになったので、俺はすっと手を離した。その瞬間、ごん!と机をなぎ倒して百田は立ち上がったのだった。
「う・・・うそ・・・」
「はーい!!授業を再開します」
「えーー!!」
こうして、俺は、なんか得体のしれない武術をやっている先生として、変な意味での尊敬を受けることになってしまったようだ。
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