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第29話
しおりを挟む「ほえ?」
驚いている俺から離れようとしない百田
「先生、好きなんです。本気なんです」
俺は、彼女の両肩をもって少し距離を置いた。すると、彼女は何を勘違いしたんだろうか、両目をつぶって、顔を少し上げた・・・俺は、その唇に、そっと人差し指を置いたら、目を丸くして驚いた。
「百田さん。残念なことだが、先生は、すでに結婚をしている。だから、君の好きという行為はありがたいのだが、遠慮させてもらうから。好きになることは悪いことではない。けど、相手の気持ちもわかってあげないといけないよ」
すると彼女は悔しいのか俯いてぐっと歯をかみしめていた。すると
「今、私の彼女にしないと、私その辺の男でバージンをあげてきます!!」
彼女はそれで俺が慌てるとでも思ったのだろうか、目は真剣に俺を見据えていた。だから、俺は、あえて彼女の頭に手を置いて撫でてあげた。
「そこまで真剣に考えてくれて本当にありがとう。でもね、君がもし本当に俺のことが好きなら、その辺の男に大事なバージンを上げられるはずはないよね。だって、最初の人は大好きな人にもらってもらいたいものだから・・」
するとぐっとこらえていたものがこみあげてきたのだろう。彼女は泣き崩れ。すっと俺に
「ご・・ごめんなさい・・」
と呟いていたのだった。こうして、何とか気持ちが収まった彼女だったのだが・・・別れ際に
「先生のことがもっと好きになってしまいました。奥さんの了解を得て2号さんでもいいので、先生の愛人にしてください」
「でも、だったら、もっと勉強をして魅力的な女性にならないとね」
「はい!!」
そう元気よく彼女は走り出したのだった。けど、愛人って・・・本当に、中学生の考えることだから、そんなに心配なくても・・・と思っていると視線が痛い。ひとりは、渚だ・・・さっきから俺の方をじっと睨んでいた。しかし、彼女との関係は学校に知られるわけにもいかない。渚自身もそのことは十分知っているはず。だから、しばらくして、彼女は下校を再開したのだが。もう一人の主は、本田先生だった。と思ったら
「たろちゃん!!私も!!」
そう言って、俺の腕をつかんでご自慢の胸を押し当ててきた。
「私も・・なんだ・・」
「愛人でいいから・・・ところで・・・」
そこまで行ったところで後ろから篠田先生の咳払いが聞こえてきた。
「何してらっしゃるの?生徒たちの前で、仮にも教師でしょ」
「「はーい」」
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