目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・

Seabolt

文字の大きさ
130 / 267
第2章 開拓篇

タカミナの雄姿

しおりを挟む
総員退艦!!その言葉が駆け巡る艦内、やがて、乗組の最後の一人がタカミナに報告をした。

「私で最後となります。艦長も一緒に退艦いたしましょう」

「わかった!!私は、後で行く、これを終えないといけないのだ」

それはバルススイッチの設定であった。タカミナの周りには多くのワイバーンが来襲してきており、イズアローン要塞から神乃雷(ゴッッデスプリッツ)の砲撃は皆無となっていた。
その間にバルススイッチを設定しているのだがエラーが出てきたのだった。

「どうして?」

焦るタカミナ、そこへアッチャンから連絡が入ってきた。

「何やっているのよ!!タカミナ!!」

「バルススイッチの設定ができない」

するとアッチャンは、フムと考えたかと思うと

「そんなもの設定する必要ないわ」

「どういうこと?」

タカミナの言葉にニコリとほほ笑んで

「私たちが沈めるから」

「しかし…」

タカミナは自分の艦を沈められることにやや抵抗はあった。しかし、

「私たちは生きて帰ることが最優先事項よ!!そのこと、わかっているよね」

「わかっているよ。今から退艦します」

タカミナがあきらめて、救助艇へ向かっていると

「タカミナ!!危ない!」

「え?」

拡散 神乃雷(ゴッッデスプリッツ)が襲ってきたのだった。

「イテテ…」

神乃雷(ゴッッデスプリッツ)の衝撃によって転倒したタカミナはあたりの様子を見て愕然とした。魔導防壁のおかげで轟沈は免れたものの、護衛艦タカミナは左舷側を大きく大破していたのだった。しかも、救命艇も吹き飛ばされていた。タカミナ自身も吹き飛ばされ、負傷しており、意識がもうろうとしつつあった。しかし、彼女は戦闘艦橋へ戻ったのだった。
やがて落ち着いた彼女はアッチャンへ連絡した。

「ごめん!!アッチャン!!もう戻れないわ」

「何言っているのよ!!あきらめちゃだめよ」

「救助艇も吹き飛ばされたわ」

「なによ!!救助艇くらいこちらから出すわよ」

すると再び神乃雷(ゴッッデスプリッツ)がタカミナを襲ってきた。

ドゴーーン!!

この一撃で護衛艦タカミナは、推力が低下し、高度を保てなくなっていた。

「タカミナ!!!」

「大丈夫!!でも、これ以上犠牲はだせない。私がこの艦とともにあの要塞を沈めるしかない。このままじゃ、墜落して死を待つだけなの。わかって!!」

「タカミナ~!!生きて~!!お願いだから!!」

「ごめん。もうすぐこの船は墜落するわ。せめて犬死だけはしたくないの」

「タカミナ~!!」

その通信を聞いていた俺は、タカミナへ連絡を取った。

「村人様!!」

「タカミナ!!何とか脱出はできないのか」

「どうすることもできません」

「戦闘艦橋だったら墜落しても大丈夫なのでは?」

「戦闘艦橋自体もかなり損傷しています・村人様、お約束を守れなくて誠にすみません。けど、これしか方法がないのです」

「タカミナ!!死ぬな!!」

「村人様、すみません。そのお約束は守ることはできません」

すると画面上で俺に向かって敬礼をした。

「タカミナ!!これより敵イズアローン要塞へ特攻いたします」

「やめろーー!!」

「このままでは墜落して死ぬだけです。せめて・・・せめて・・・一矢を報いさせてください!!」

涙を流しながら俺に懇願してきた。

「タカミナ・・・すまぬ・・・」

「村人様!!行きます」

そして通信画面が消えた。敬礼したままその画面をじっと見つめていたタカミナはやがて艦長席についた。

「ここが一番落ち着くわ」

そして、これまでのことを走馬灯のように思い出していたのであった。村で身売り寸前だった自分たちを引き留めてくれた村人、こうして自分は戦艦に乗れるまでになった。そのことを思いつつ、最後のミッションを始めたのだった。

魔導防壁全開!!!

魔導エンジン出力全開!!

全速前進!!!

目標!!イズアローン要塞

タカミナ!!頼むわよ!!最後までもって!!

その様子を見ていた全員が涙した

「タカミナ!!イズアローン要塞に向かって全速前進していま」

「タカミナ・・・」

一方、イズアローン要塞はその行動に驚愕していた。

「敵旗艦が突撃してきます!!」

「何!!魔導防壁全開!!神乃雷(ゴッデスプリッツ)で沈めろ!!」

次々とタカミナに襲ってくる神乃雷(ゴッデスプリッツ)を受けながらもイズアローン要塞にまで達したタカミナは、そこで魔導防壁同士がぶつかり合って、一度その動きを止めた。
するとタカミナは

「行け―――!!」

そう叫んだ瞬間、イズアローン要塞の魔導防壁が崩壊し突撃していたのであった。

「ジコック提督!!直撃です!!」

「なに!!」

指令室にいたジコックの目の前にタカミナ艦首が現れた。次の瞬間、タカミナは叫んだ

「ハイパーメガ魔導砲発射!!」

その閃光がきっかけとなって要塞は誘爆を起こし始めた。

「うぁああああ!!」

ハイパーメガ魔導砲のゼロ点攻撃により要塞は大爆発を起こした。
こうして、タカミナの命と引き換えに、イズアローン要塞は完全崩壊したのだった。

その様子を見て泣き崩れるみんな…やがて、タカミナの雄姿は、イズアローン要塞に突き刺さった艦影を夕焼けが真っ赤に染めていったのであった。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

貧乏奨学生の子爵令嬢は、特許で稼ぐ夢を見る 〜レイシアは、今日も我が道つき進む!~

みちのあかり
ファンタジー
同じゼミに通う王子から、ありえないプロポーズを受ける貧乏奨学生のレイシア。 何でこんなことに? レイシアは今までの生き方を振り返り始めた。 第一部(領地でスローライフ) 5歳の誕生日。お父様とお母様にお祝いされ、教会で祝福を受ける。教会で孤児と一緒に勉強をはじめるレイシアは、その才能が開花し非常に優秀に育っていく。お母様が里帰り出産。生まれてくる弟のために、料理やメイド仕事を覚えようと必死に頑張るレイシア。 お母様も戻り、家族で幸せな生活を送るレイシア。 しかし、未曽有の災害が起こり、領地は借金を負うことに。 貧乏でも明るく生きるレイシアの、ハートフルコメディ。 第二部(学園無双) 貧乏なため、奨学生として貴族が通う学園に入学したレイシア。 貴族としての進学は奨学生では無理? 平民に落ちても生きていけるコースを選ぶ。 だが、様々な思惑により貴族のコースも受けなければいけないレイシア。お金持ちの貴族の女子には嫌われ相手にされない。 そんなことは気にもせず、お金儲け、特許取得を目指すレイシア。 ところが、いきなり王子からプロポーズを受け・・・ 学園無双の痛快コメディ カクヨムで240万PV頂いています。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

処理中です...