積もるのは嘘と気持ちと

どんころ

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ふわっと意識が浮上すると、蓮くんが椅子に座って本を読んでいるのが見えた。

ぼーっとそのまま見つめていると、視線を感じたのか蓮くんがこっちを見てくれて目が合う。
「起きた?」
「うん。」
「もうすぐお昼ご飯だよ。食べられそう?」
「うん。お腹空いてきた。」
「良かった。あ、今週末、壮一さんと、俺の父さんと母さんと杏が澪の顔見に来るって。きっと元気そうな澪の顔見て喜ぶよ。」
「そうかな…?」
「うん。だからたくさん食べてゆっくり休んで早くもっと元気になろうね。」
「うん!」
「あと…さっき澪が寝てる間に届いたんだけど…」
そう言いながら蓮くんは黒い箱を取り出した。

「開けてみてくれる?」
と蓮くんに言われてその箱を開けると、中には何だか高そうな首輪が入っていた。
ラインは細めに作られているものの、頑丈そうな素材でできていて、詳しくないけどきっとちゃんとしたブランド物だと思う。
「これは…?」

「澪のその首輪ちょっと悪くなってきてるし、よくそこかぶれてたでしょ?これはそういう皮膚炎とか起こしにくい素材でできてて、軽いけどちゃんと守れるような作りになってるんだ。まだ働いてないし、オーダーメイドとかはできなかったけど、ちゃんとしたところの首輪だから、着けてくれると嬉しい。」
僕のことをすごく考えて選んでくれたのが伝わって、うまく言葉がでない。
ただじっと首輪を見つめてしまう。
こんな良いものを、貰ってしまっていいのだろうか…
αがΩに首輪を送るのはΩへの愛情表現と言われている。
蓮くんの気持ちがダイレクトに僕の胸をあたためて、言葉が出ない。
「澪?」
反応のない僕を心配してか蓮くんに名前を呼ばれる。
「……ありがとう。こんなに素敵な首輪。」
お礼を言うと蓮くんの目尻が下がる。
「これ、外していい?」
今している首輪を触ってそう聞かれたので、頷いた。
「動かないでね。」
言われた通りじっとしていると、首筋に冷たいものが触れたと思ったら、パチンと音がして首輪が外れた。
「付けるね?」
新しい首輪を僕の手から受け取ると蓮くんがつけてくれた。
「…ありがとう蓮くん。……すごく嬉しい。」
蓮くんがずっとすごく近くにいるような感じがして、安心する。
「喜んでもらえて良かったよ。」
そう言って微笑んだ蓮くんがすごく輝いて見えた。




週末には予定通り兄と、蓮くんのご両親と杏ちゃんが来て、改めて自己紹介した。
蓮くんの家族は蓮くんと一緒ですごくあたたかくて優しかった。
素敵なご両親に育てられて蓮くんになったんだなぁと妙な納得をした。
杏ちゃんはすごく懐いてくれて、幼稚園であったこととかを一生懸命話してくれた。
兄は憑き物が取れたかのようにすごく穏やかに僕たちのことを見ていて、困ったことがあったらいつでも言ってと連絡先と、僕の新しい携帯を契約して持ってきてくれた。

何だか夢見心地のように甲斐甲斐しく世話を焼いてくれる蓮くんと毎日を過ごしていた。
でもこんな毎日が続くわけがないことを僕も分かっていた。
だって蓮くんには蓮くんの生活があるから。
大学に通うだろうし、ずっと一緒にいられるのもあと少し…
僕はどうすればいいんだろう…

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