知らないだけで。

どんころ

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稜くんとお茶してから3日、先生の診察の日になった。

「うん、問題ないね。これからは特に制限なく好きな時に会っていいよ。」
「ありがとうございます。先生、次の発情期なんですけど、稜くんと過ごしてもいいですか?」
この前会ってからずっと考えていた。稜くんが良いって言ってくれたら一緒にすごしたいなって。
やっぱり僕は涼くんのことが大好きだし、稜くんもきっとお願いすれば一緒にいてくれると思う。

「番に愛されるのが1番の薬だからねぇ。美鶴くんが嫌じゃないのならお願いするのが1番いいよ。」
「相談してみます。」
「美鶴くんにとっては一歩前進だけど、ご両親は寂しがられるかもしれないね。」
「ふふ、そうですね。僕もせっかく家族と仲良くできるようになったのにって言う気持ちもあって…。でもこの前会ったらやっぱり発情期は彼じゃないとって思ってしまったんです。」
「いいと思うよ。とりあえず次回発情期の期間中お試しで番のいるお家に戻ってみようか?」
「はいっ!」

今日の診察の内容と、次回の発情期の事については先生から家族に言ってくれるそうだ。
稜くんには直接僕から伝えたいのでと報告はお断りした。
家族に言うのも少し気まずいというか恥ずかしいというか…先生が言ってくれて助かった。

夜電話の時に稜くんにもういつでも会っていいと言われたことを伝えると、喜んでくれ、沢山お出かけしようねと言ってくれた。
「それでね、次の発情期なんだけど、僕は稜くんと過ごしたいなって思っているんだけど…だめかな?」
「い、いいの?え、本当に?俺でいいの?」
珍しく慌てたような声色にふふっと笑い声が漏れる。

「もっと先だと思ってたから…。俺ひどいことしたし、美鶴にすごく辛い思いもさせたし。一緒に居てくださいっていつかお願いに行こうと思ってた。…まさかそんな風に美鶴の方から言ってもらえるなんて思ってなくて……。ありがとう。」
最後の方は涙声だった。
稜くんは僕が番だから仕方なく戻るよう努力してるのかなと思っていたらしい。
「僕はずっとずっと昔から稜くんのこと好きだったよ?」
「…俺も。釣書見た時からずっと惹かれてて、実際会ったらしっかりしてて、凛とした美しさがあって、もっと美鶴のこと知りたいって思ったんだ。きっと写真見た時に一目惚れしたんだと思う。辛い思いをさせてしまったけど、もう2度とあんな思いさせないと誓うよ。美鶴、愛してるよ。」
「ありがとう、稜くん。」

稜くんから珍しくストレートな言葉で愛情表現をしてもらい、るんるん気分で家族に会うと、3人とも少し困ったような顔をして、珍しく父が難しいんじゃないかと苦言を呈した。
「?先生から説明あったんだよね?大丈夫って言ってたよ?」
「あぁ。でも未だ美鶴は体力が戻ってないだろう?」
「あと2ヶ月ちょっとあるから、ウォーキングでもして体力作るよ!」
「まだここに帰ってきたばかりじゃないか。」
「あなた、美鶴は今すぐ家を出ていく訳じゃないんだから、落ち着いて。それに先生にも最初に言われたでしょ?番の居るΩは番に愛された方が幸せだから、美鶴がそれを望むなら一緒にいさせてあげるようにって。」
「……。」
「気にしなくていいのよ、お父さんも然もあなたの事が大好きだから離れたくないだけよ。」
兄は先ほどから手で顔を覆って一言も発していない。
「…そうなの?」
「頭じゃ分かっているんだけどな。」
父に頭を撫でられた。
「僕も、少し寂しいよ。また帰ってきてもいいかな?」
「勿論だ。いつでも帰ってきなさい。」

稜くんに取られるみたいで寂しいと言うから、土日の休みは家族の日と稜くんの日で半分ずつにすることになった。
稜くんとは、水族館とか動物園とかテーマパークとか。
お泊まりは許してもらえなかった。
何でだとボヤくと稜くんはみんな美鶴のことが大好きなんだよと僕のことを宥めた。
家族では色んなところに温泉旅行に行ったり、お買い物したりした。
平日は広い実家の敷地を散歩したり、兄と父が使っているランニングマシーンとかが置いてある部屋で運動したりした。
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