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191 祭り(4)
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みんなで、ゾロゾロと土の教会へ向かった。
「ここ……首都の中だよな……?」
土の教会へ向かうにつれ、なんだか都会とは思えない風景が広がっている。
土地の広い屋敷ばかりが建つ。
それも、建造物が大きいわけではない。大きいのは屋外に広がる畑だ。
……土の精霊だけあって、周りは土に関する仕事をしている者が多いのだろうか。それとも……趣味で、土いじりを?
教会は、一際大きい以外は、懐かしい空気を持っていた。
ユキナリが最初に世話になった教会と、同じ空気だ。
同じ精霊の管轄ならば、同じような空気になるのだろうか。
まだ、解放されている教会の門をくぐる。
こんな空気だから、教会内部もさぞ親近感の湧く場所なのだろう。
……なんて思ったのが間違いだった。
教会に入った途端、冷たい空気が流れる。
へ……?
ピチョン…………ピチョン…………。
嘘だろ……。
そこは、今まで見たどの洞窟よりも洞窟だった。
何処かの鍾乳洞にでも飛ばされてしまったんじゃないかと思うくらいだ。例えば、青いネコの腹から出てくるピンクのドアみたいに。
ぐるん、と後ろを振り返る。
開けた扉の向こうに、長閑な田園風景が見える。
なんだこれ…………。
頭をクラクラさせながら、前を向く。
確かに、道はある。一本道だ。
人工的とは思えないほどの自由さだけれども。
ところどころ水が滴り落ち、湿っぽく、どう考えても建築物とは思えないのだけれど。
カツン……、カツン……。
妙に音が響く洞窟の中を、自然と寄り集まって、一行は一歩一歩、歩を進めた。
「ぅぅぅぅぅぅ……」
ハニトラが、キョロキョロと辺りを見渡す。
「珍しいな。怖いのか?」
「怖いっていうか……」
こちらを見上げてくる青い目は、やはり珍しく怖がっているように見えた。
「モスの気配がして。居るような、居ないような、そんな気配」
ユキナリの服の裾を、ハニトラがきゅっと掴んだ。
「へぇ……。土の精霊の気配、なんていうのがあるのかな」
水の教会と比べて、確かに土の教会は土の割合が高い。
もしかして、そういう気配みたいなものが強いのだろうか……?
戦々恐々と塊のようになって歩いていくと、次第に開けた聖堂に出た。
「う……わ…………」
本当にこれは、建築物の中なのだろうか。
むしろこれは、建築物の中であっても、こういっただだっ広い洞窟の外側に、教会という壁をつけたのではないだろうかと思うほど、洞窟だった。
カツン、と足音ひとつでも起こせば、カーン、といい音が響いていきそうな。
それがだだっ広い場所で、空間は上へ広がっている。
大きな丸い輪のように伸びる自然の岩のような壁は、上へ続く間にも、隆起し水溜まりを作り、また何処かへと続く小さな洞穴を所々に作っていた。
そして目の前には、懐かしのモスの像が、こちらを見下ろしている。
「………………居ないな?」
モスも、ウンダの様に、大聖堂の中で待っていてくれているのかと思ったのだが……。
キョロキョロしていると、カツカツと何処かの洞穴から足音が聞こえた。
誰か来る。
もしかして、と少しドキドキしながら、そちらの方を窺うと。
「あら」
そこへ顔を出したのは、上品な茶色のローブに身を包んだ教会の人間だった。
「あ、えと、俺達、モスに会いにきたんだけど」
仕事中らしきその女性は、それが日常だとでも言わんばかりの顔をこちらに向けた。
「モス様なら、ただいま出かけていらっしゃいますよ」
◇◇◇◇◇
モスさん、191話にしてまだ未登場。
「ここ……首都の中だよな……?」
土の教会へ向かうにつれ、なんだか都会とは思えない風景が広がっている。
土地の広い屋敷ばかりが建つ。
それも、建造物が大きいわけではない。大きいのは屋外に広がる畑だ。
……土の精霊だけあって、周りは土に関する仕事をしている者が多いのだろうか。それとも……趣味で、土いじりを?
教会は、一際大きい以外は、懐かしい空気を持っていた。
ユキナリが最初に世話になった教会と、同じ空気だ。
同じ精霊の管轄ならば、同じような空気になるのだろうか。
まだ、解放されている教会の門をくぐる。
こんな空気だから、教会内部もさぞ親近感の湧く場所なのだろう。
……なんて思ったのが間違いだった。
教会に入った途端、冷たい空気が流れる。
へ……?
ピチョン…………ピチョン…………。
嘘だろ……。
そこは、今まで見たどの洞窟よりも洞窟だった。
何処かの鍾乳洞にでも飛ばされてしまったんじゃないかと思うくらいだ。例えば、青いネコの腹から出てくるピンクのドアみたいに。
ぐるん、と後ろを振り返る。
開けた扉の向こうに、長閑な田園風景が見える。
なんだこれ…………。
頭をクラクラさせながら、前を向く。
確かに、道はある。一本道だ。
人工的とは思えないほどの自由さだけれども。
ところどころ水が滴り落ち、湿っぽく、どう考えても建築物とは思えないのだけれど。
カツン……、カツン……。
妙に音が響く洞窟の中を、自然と寄り集まって、一行は一歩一歩、歩を進めた。
「ぅぅぅぅぅぅ……」
ハニトラが、キョロキョロと辺りを見渡す。
「珍しいな。怖いのか?」
「怖いっていうか……」
こちらを見上げてくる青い目は、やはり珍しく怖がっているように見えた。
「モスの気配がして。居るような、居ないような、そんな気配」
ユキナリの服の裾を、ハニトラがきゅっと掴んだ。
「へぇ……。土の精霊の気配、なんていうのがあるのかな」
水の教会と比べて、確かに土の教会は土の割合が高い。
もしかして、そういう気配みたいなものが強いのだろうか……?
戦々恐々と塊のようになって歩いていくと、次第に開けた聖堂に出た。
「う……わ…………」
本当にこれは、建築物の中なのだろうか。
むしろこれは、建築物の中であっても、こういっただだっ広い洞窟の外側に、教会という壁をつけたのではないだろうかと思うほど、洞窟だった。
カツン、と足音ひとつでも起こせば、カーン、といい音が響いていきそうな。
それがだだっ広い場所で、空間は上へ広がっている。
大きな丸い輪のように伸びる自然の岩のような壁は、上へ続く間にも、隆起し水溜まりを作り、また何処かへと続く小さな洞穴を所々に作っていた。
そして目の前には、懐かしのモスの像が、こちらを見下ろしている。
「………………居ないな?」
モスも、ウンダの様に、大聖堂の中で待っていてくれているのかと思ったのだが……。
キョロキョロしていると、カツカツと何処かの洞穴から足音が聞こえた。
誰か来る。
もしかして、と少しドキドキしながら、そちらの方を窺うと。
「あら」
そこへ顔を出したのは、上品な茶色のローブに身を包んだ教会の人間だった。
「あ、えと、俺達、モスに会いにきたんだけど」
仕事中らしきその女性は、それが日常だとでも言わんばかりの顔をこちらに向けた。
「モス様なら、ただいま出かけていらっしゃいますよ」
◇◇◇◇◇
モスさん、191話にしてまだ未登場。
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