静かにしろよ、ハニー・トラップ!

大天使ミコエル

文字の大きさ
21 / 230

21 銀髪の女の子(2)

しおりを挟む
「あのっ!説明!説明するから、それ、隠してくれるかな!?」

 と、真っ赤になりながら真横を向く。
 流石にこの状態はパンチ力が激しい。

 女の子は、
「ん?」
 と言うだけで、動こうとはしなかった。
 あ、服!服がないと困るよな。
 紙袋から、買ってきた服を取り出し、横を向いたままベッドへにじり寄り、服を置く。

「これは……?」

「それ、君用に買ってきたものだから。ちゃんと綺麗だから。それ、着てもらえるかな」

「……私のために」

「そう!」

 正直、裸の女の子と話していると思うと冷や汗が出る。
 見ないよう、後ろを向いて床の上で正座した。

 背後で、ゴソゴソと衣擦れの音がする。
 これを着ても下着はつけていない、靴は履いてないなんて事は考えない様にしないといけない。
 考えない考えない考えない考えない。
 そうだ。
 白いワンピースだけだとどんな風に……。
 考えない考えない考えない考えない。

 音が静まった頃、声をかける。
「着れた?」
 すると、後ろから、
「うん」
 と可愛らしい声がした。

 くるりと振り向く。

 そこには、頭ひとつ分背の低い、思った以上に可愛らしい女の子がいた。
 銀髪の先は、妙にピコピコしている。少し変わった癖っ毛の持ち主だ。
 間近で見ると、青い瞳がよく映える。
 ふわりと軽いのに、どこか力強さのある笑顔。

「え、と……」
 そう、こういう時は。
「似合ってるよ」

 慣れない褒め言葉を口にした。

「ありがとう」

 見惚れても仕方ないと思えるくらいに美少女だった。

「あっ……、でも私、お金……」
 女の子が、困った様に身体中を見渡す。

 まあ、そりゃあ無いだろう。
 あの格好でお金持ってますなんて言われる方が、一体何処に!?と不審に思うというものだ。

「いいよ別に、これくらい」

 いいもの見せて貰ったしな。
 さっきのベッドの上での女の子の姿を思い出しながらそう思う。

「ありがとう。大事にするね」
 女の子は、目を潤ませながら、服を掴んだ。まるで、抱きしめるみたいに。
 ……こんなに喜んでもらえるなら、もっとお金出してもよかったかもな。

 そして、ハッとして、取り繕うように会話を続ける。
「君、さ。ダンジョンの石の箱の中に入って眠ってたんだ。大きな倉庫みたいな洞窟のダンジョンなんだけど、記憶にある?」

「えっと……」
 記憶が混濁しているのか、考えながら女の子が口を開いた。
「誰かに捕まったところまでは、覚えてる。それからずっと、狭くて、暗くて、苦しくて」
「苦しい?」
「息が、出来なくて」
 そうか、そんな狭いところだと、酸欠にもなるよな。
「そこからは、わかんない」

 途方に暮れた瞳が、ユキナリを覗いた。
 つまり、誘拐されてあの中に入れられたって事か。
 “ずっと”なんていう言葉を使うくらいだから、この町から遠く離れた所で誘拐されていても不思議はない。

「ここは、ローパの町。聞き覚えは?」
 尋ねると、女の子は黙って首を横に振る。

 家が遠いかもしれない、無一文の女の子、か。

 大変な事になりそう、か?
 それでも、ここで放り出すわけにもいかなかった。

「帰らないと……」
 と少し青ざめた様子で女の子が呟く。

 これはもう、しばらく一緒にいる覚悟をしないといけないかもしれないな。
 ……この子が嫌がらない場合に限るけど。

「とりあえず、今サンドイッチしかないんだけど、よかったら食べなよ。無理ならお粥でも貰ってくるけど」
 小さな丸テーブルの皿を示す。

「ありがとうっ」
 嬉しそうな顔でそう言うと、女の子は、ガバッと一気に着ていた服を脱いだ。

 !!!!!!??????

 また、ぽよん、と胸が飛び出す。
 素っ裸に逆戻りだった。

「は!?」



◇◇◇◇◇



ヒロインがやっと服を……………………着てないな!?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

通販で買った妖刀がガチだった ~試し斬りしたら空間が裂けて異世界に飛ばされた挙句、伝説の勇者だと勘違いされて困っています~

日之影ソラ
ファンタジー
ゲームや漫画が好きな大学生、宮本総司は、なんとなくネットサーフィンをしていると、アムゾンの購入サイトで妖刀が1000円で売っているのを見つけた。デザインは格好よく、どことなく惹かれるものを感じたから購入し、家に届いて試し切りをしたら……空間が斬れた!  斬れた空間に吸い込まれ、気がつけばそこは見たことがない異世界。勇者召喚の儀式最中だった王城に現れたことで、伝説の勇者が現れたと勘違いされてしまう。好待遇や周りの人の期待に流され、人違いだとは言えずにいたら、王女様に偽者だとバレてしまった。  偽物だったと世に知られたら死刑と脅され、死刑を免れるためには本当に魔王を倒して、勇者としての責任を果たすしかないと宣言される。 「偽者として死ぬか。本物の英雄になるか――どちらか選びなさい」  選択肢は一つしかない。死にたくない総司は嘘を本当にするため、伝説の勇者の名を騙る。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

異世界転移から始まるハーレム生活〜チートスキルを貰った俺は、妹と共に無双する〜

昼寝部
ファンタジー
 2XXX年、X月。  俺、水瀬アキトは戦争の絶えない地球で『戦場の悪魔』と呼ばれ、数多の戦で活躍していた。  そんな日々を過ごしていた俺は、ひょんなことから妹と一緒に異世界へ転移することになった。  その世界にはダンジョンが存在しており、ライトノベルなどで登場する世界観と類似していた。  俺たちはその世界で過ごすため女神様からチートスキルを貰い、冒険者となって異世界での生活を満喫することにした。  これは主人公の水瀬アキトと妹のカナデが異世界へ転移し、美少女たちに囲まれながら異世界で無双するお話し。

処理中です...