78 / 230
78 水の精霊(1)
とうとう、一行は港を出た。
来た時と同じ丘を登る。
あの教会までは同じ道だ。
そこから首都へ向かう。
魔女を探すため、それに、ハニトラの故郷を探すために。
思ったより時間かかったな。
とはいえ。
隣で騒いでいる二人を見ていると、まあ急ぐ旅でもないか、と思い直す。
楽しんだもの勝ちだ、こんなもの。
異性に嫌われる呪いさえなければ。
もしかしたらここに永住だって有り得たかもしれないよな。
隣を歩く二人を見る。
こいつらは、どうして何ともないんだ?
町の女性達の前に出ると、嫌でもわかる嫌悪感。
もしかすると犬には……効かないって事はあるかもしれないな。
マルには、違う種族の何かとしか思われてないような気がするし。
だとしたら、ハニトラは?
やっぱりハニー・トラップなんじゃないか、なんて、つまんない事を考えて。
地面の石ころを見ながら、坂を登る。
そのまま視線を上げていき、空を眺める。
もうすぐ、あの教会だった。
「なあ、教会、また寄っていかないか?」
お世話になったから、なんていう雰囲気を醸し出しつつ、俺はきっと違う事を考えていた。
教会というくらいだから、懺悔室のようなものが、あるんじゃないかって。吐き出す場所になってくれるんじゃないかって。
俺はハニトラに、後ろめたさを感じているのかもしれなかった。
目の前の銀髪が風に揺らいで、ハニトラがくるりと後ろを向いた。
無邪気な笑顔を向けてくれるハニトラを、どうしても疑ってしまうという後ろめたさと、そして、身体から刃を出すという事実を前にしての恐怖を、どうしても感じてしまっているのだ。
「私もあの人、また会いたいと思ってた」
ハニトラが、はにかんで言う。
「あの人…………すごくいい人の匂いがする」
「ああ」
同意する。
あの人は、なんだかどんな話でも聞いてくれるんじゃないかって、そんな気がしたから。
教会では、もちろんあの初老の女性が居るものだと、思い込んでいた。
けれど、遠巻きに見た教会の光景は、予想とは少し違うものだった。
教会の裏手の陽の光がよく当たる場所に、丸テーブルがひとつ出してあった。
そこには女性……と言うには少し幼い雰囲気の少女が一人、椅子に座りお茶を飲んでいたのだ。
ハニトラと同じくらい……いやもっと若い。
中学生……場合によっては小学生でも通じそうなその少女は、ツンとした表情で、一人、優雅にお茶を嗜んでいた。
紅茶を片手に、スコーンやタルトなどのお茶菓子を物色している。
真っ赤なおさげの三つ編みを肩からたらす。ワンピースにドレスエプロン姿は、どこかの名作の某カントリーガールを想起させた。
……気まずい、か?
よりによって異性だし。
けれど、向こうから視認できる場所まで来て踵を返すわけにもいかなかった。
仕方なく、近寄る。
「……こんにちは」
「こんにちは」
少女が、俺に向かって笑いかけた。
◇◇◇◇◇
新キャラ登場です!
来た時と同じ丘を登る。
あの教会までは同じ道だ。
そこから首都へ向かう。
魔女を探すため、それに、ハニトラの故郷を探すために。
思ったより時間かかったな。
とはいえ。
隣で騒いでいる二人を見ていると、まあ急ぐ旅でもないか、と思い直す。
楽しんだもの勝ちだ、こんなもの。
異性に嫌われる呪いさえなければ。
もしかしたらここに永住だって有り得たかもしれないよな。
隣を歩く二人を見る。
こいつらは、どうして何ともないんだ?
町の女性達の前に出ると、嫌でもわかる嫌悪感。
もしかすると犬には……効かないって事はあるかもしれないな。
マルには、違う種族の何かとしか思われてないような気がするし。
だとしたら、ハニトラは?
やっぱりハニー・トラップなんじゃないか、なんて、つまんない事を考えて。
地面の石ころを見ながら、坂を登る。
そのまま視線を上げていき、空を眺める。
もうすぐ、あの教会だった。
「なあ、教会、また寄っていかないか?」
お世話になったから、なんていう雰囲気を醸し出しつつ、俺はきっと違う事を考えていた。
教会というくらいだから、懺悔室のようなものが、あるんじゃないかって。吐き出す場所になってくれるんじゃないかって。
俺はハニトラに、後ろめたさを感じているのかもしれなかった。
目の前の銀髪が風に揺らいで、ハニトラがくるりと後ろを向いた。
無邪気な笑顔を向けてくれるハニトラを、どうしても疑ってしまうという後ろめたさと、そして、身体から刃を出すという事実を前にしての恐怖を、どうしても感じてしまっているのだ。
「私もあの人、また会いたいと思ってた」
ハニトラが、はにかんで言う。
「あの人…………すごくいい人の匂いがする」
「ああ」
同意する。
あの人は、なんだかどんな話でも聞いてくれるんじゃないかって、そんな気がしたから。
教会では、もちろんあの初老の女性が居るものだと、思い込んでいた。
けれど、遠巻きに見た教会の光景は、予想とは少し違うものだった。
教会の裏手の陽の光がよく当たる場所に、丸テーブルがひとつ出してあった。
そこには女性……と言うには少し幼い雰囲気の少女が一人、椅子に座りお茶を飲んでいたのだ。
ハニトラと同じくらい……いやもっと若い。
中学生……場合によっては小学生でも通じそうなその少女は、ツンとした表情で、一人、優雅にお茶を嗜んでいた。
紅茶を片手に、スコーンやタルトなどのお茶菓子を物色している。
真っ赤なおさげの三つ編みを肩からたらす。ワンピースにドレスエプロン姿は、どこかの名作の某カントリーガールを想起させた。
……気まずい、か?
よりによって異性だし。
けれど、向こうから視認できる場所まで来て踵を返すわけにもいかなかった。
仕方なく、近寄る。
「……こんにちは」
「こんにちは」
少女が、俺に向かって笑いかけた。
◇◇◇◇◇
新キャラ登場です!
あなたにおすすめの小説
痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~
ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。
食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。
最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。
それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。
※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。
カクヨムで先行投稿中!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
異世界で俺の初級魔法が最強でした。無自覚に絶望から救った美女やエルフたちに溺愛されています
仙道
ファンタジー
やり込んでいたゲームの世界に転移した主人公、渉。この世界では、渉にとっての「初級魔法」が最高峰の威力だった。しかし、他の冒険者たちが雑魚モンスター1匹に苦労しているのを見て、「みんなわざと弱い魔法を使って戦闘を楽しんでいるんだな」と思い込む。
渉は手加減を続けながら、美女たちを無自覚に救い出していく。渉は毎回「余計な手出しをしてしまった」と後悔するが、ヒロインたちはそんな渉の強さと優しさにますます惹かれ、激しく溺愛してくる。なぜこんなに好かれるのか全く理解できないまま、渉は柔らかくていい匂いのする女の子たちに囲まれ、この異世界で生きていく。
転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜
まさき
ファンタジー
異世界転生した最強の金持ち嫡男、
専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活
現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。
しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。
彼は大陸一の富を誇る名門貴族――
ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。
カイルに与えられたのは
・世界一とも言える圧倒的な財力
・財力に比例して増大する規格外の魔力
そして何より彼を驚かせたのは――
彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。
献身的なエルフのメイド長リリア。
護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。
さらに個性豊かな巨乳メイドたち。
カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。
すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――
「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」
領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、
時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、
最強の御曹司カイルは
世界一幸せなハーレムを築いていく。
最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
レベルアップは異世界がおすすめ!
まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。
そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。