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111 森へ(2)
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一つ目の町は、それほど時間もかからないで到着した。
部屋を取るのにも、苦労はなかったようだ。
日当たりのいいところに獣が寝転ぶ。
イリスは、椅子に座って窓の外を眺める。
いつも、イリスが座る椅子はよく壊れないな、なんて思う。
イリスはいつだって、窓の外を見ている。なんだかそれが、癖になってしまったみたいに。
そして、私。ハニー・トラップ。
服は窮屈なので、スッキリと脱いでしまう。
裸でいたほうが、自然。
森で暮らして居た時は、みんな服なんて着ていなかったし、私も着る必要がなかった。
服なんて着ていると、ご飯だって食べづらい。
……人間の形は、めんどくさい事も多いのだ。
コンコン。
扉のノックの音が響く。
「はーい」
まあ、ユキナリだろうと予想をつけて、返事をする。
ガチャリ、という音を立てて入ってきたのはやっぱりユキナリだった。
ぽよん。
「おおおおおおおおおおおい!」
「え?」
「服を着ろよ!」
ユキナリが慌てる。
ユキナリはいっつもそうなんだ。
私の服を着ていない姿を見ると慌てる。真っ赤になって焦る。
そんなに気にする必要ないのに。
まあ、人間達は外では服を着るものみたいだし、何か理由があるんだろう。
また服を着直すと、ユキナリがほっとする。
改めて、ユキナリと同じ部屋にいるのは、少々複雑だ。
ユキナリは、私に何か話そうとしてる。
それは、何か言いにくい事で。
何度か言いたそうにしているけど、言うのをやめる事もある。
何度も考える。
ユキナリが何を言おうとしてるのか。
それで、結局思ったのは、私が旅について行きたいって言った事と関係してるんじゃないかってこと。
だって、ユキナリは、チュチェスの村に連れて行ってくれると約束してくれたから。
これから、チュチェスの村に向かうから。
そしてきっとこれから、ユキナリの口から『ごめん』を聞く事になるんだ。
『ごめん、やっぱり連れてはいけないから』
私にとっては、聞きたくない言葉だ。
「ハニトラ」
声を掛けられて、少々ムッとしてしまう。
だって、また話をしたそうにしてる。
「話があるんだけどさ」
私は話なんて、聞きたくはないのに。
黙っていると、ユキナリに手を引かれた。
「……!」
ただユキナリは、
「こっち」
と一言言っただけで、宿の外へ、私を連れ出したんだ。
手には、何か甘い匂いのする布の袋を持って。
私は、その手の温かさに、心惹かれるのを感じてしまう。
私は……。
私はね、ユキナリ。もう絶対ついて行くって、決めてるんだよ?
向かった先は、公園だった。
一口に公園といっても、だだっ広い草原、といったところ。
あちこちにテーブルや出店が見える。
噴水や花壇なども見かける。
街中だというのに、混雑はしていなくて、会話はしやすそうだと思った。
そんな公園のベンチに二人で腰をかける。
布を広げると、クッキーやらマカロンやらキャンディやらが顔を出す。話をする為に、どこかで買ってきたらしかった。
確かに甘いものも、嫌いではないけど。
チョコレート味のクッキーを口に放り込みながら、ハニトラは不満そうな声をあげた。
「これで、懐柔しようってわけ?」
◇◇◇◇◇
そんなわけでハニトラ視点!
部屋を取るのにも、苦労はなかったようだ。
日当たりのいいところに獣が寝転ぶ。
イリスは、椅子に座って窓の外を眺める。
いつも、イリスが座る椅子はよく壊れないな、なんて思う。
イリスはいつだって、窓の外を見ている。なんだかそれが、癖になってしまったみたいに。
そして、私。ハニー・トラップ。
服は窮屈なので、スッキリと脱いでしまう。
裸でいたほうが、自然。
森で暮らして居た時は、みんな服なんて着ていなかったし、私も着る必要がなかった。
服なんて着ていると、ご飯だって食べづらい。
……人間の形は、めんどくさい事も多いのだ。
コンコン。
扉のノックの音が響く。
「はーい」
まあ、ユキナリだろうと予想をつけて、返事をする。
ガチャリ、という音を立てて入ってきたのはやっぱりユキナリだった。
ぽよん。
「おおおおおおおおおおおい!」
「え?」
「服を着ろよ!」
ユキナリが慌てる。
ユキナリはいっつもそうなんだ。
私の服を着ていない姿を見ると慌てる。真っ赤になって焦る。
そんなに気にする必要ないのに。
まあ、人間達は外では服を着るものみたいだし、何か理由があるんだろう。
また服を着直すと、ユキナリがほっとする。
改めて、ユキナリと同じ部屋にいるのは、少々複雑だ。
ユキナリは、私に何か話そうとしてる。
それは、何か言いにくい事で。
何度か言いたそうにしているけど、言うのをやめる事もある。
何度も考える。
ユキナリが何を言おうとしてるのか。
それで、結局思ったのは、私が旅について行きたいって言った事と関係してるんじゃないかってこと。
だって、ユキナリは、チュチェスの村に連れて行ってくれると約束してくれたから。
これから、チュチェスの村に向かうから。
そしてきっとこれから、ユキナリの口から『ごめん』を聞く事になるんだ。
『ごめん、やっぱり連れてはいけないから』
私にとっては、聞きたくない言葉だ。
「ハニトラ」
声を掛けられて、少々ムッとしてしまう。
だって、また話をしたそうにしてる。
「話があるんだけどさ」
私は話なんて、聞きたくはないのに。
黙っていると、ユキナリに手を引かれた。
「……!」
ただユキナリは、
「こっち」
と一言言っただけで、宿の外へ、私を連れ出したんだ。
手には、何か甘い匂いのする布の袋を持って。
私は、その手の温かさに、心惹かれるのを感じてしまう。
私は……。
私はね、ユキナリ。もう絶対ついて行くって、決めてるんだよ?
向かった先は、公園だった。
一口に公園といっても、だだっ広い草原、といったところ。
あちこちにテーブルや出店が見える。
噴水や花壇なども見かける。
街中だというのに、混雑はしていなくて、会話はしやすそうだと思った。
そんな公園のベンチに二人で腰をかける。
布を広げると、クッキーやらマカロンやらキャンディやらが顔を出す。話をする為に、どこかで買ってきたらしかった。
確かに甘いものも、嫌いではないけど。
チョコレート味のクッキーを口に放り込みながら、ハニトラは不満そうな声をあげた。
「これで、懐柔しようってわけ?」
◇◇◇◇◇
そんなわけでハニトラ視点!
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