170 / 230
170 初デートってやつ(1)
しおりを挟む
ユキナリは、自室で床に突っ伏した。
「デート……?デートなのか?」
言いながら、ぐるぐるする目で鞄の中を漁り始める。
とはいえ、自分の服なんて買ってないぞ……。
あるものといえば、この世界に来るときに穿いていたパンツ。もしくは作業着。
ハニトラがちゃんとしていた事を思えば、こんなんじゃダメだろ。
上げた顔が鏡に映る。
いつも通りの自分の顔。
……こんなんじゃダメだろ。
かといって、この短時間でできる事もそれほどなかった。
もともと、ファッションの事なんてあまり考えた事がないのだ。
元の世界でだって、服なんてそんなに無くて困らなかったし。
ただ、ハニトラと一緒に外に出ようと思って……。
それだけだ。
本当に、それだけのつもりだったのに……。
結局、いつもの格好のまま、ハニトラと屋敷の外へ出る。
カタカタと走る馬車や、往来する人々。
明るい街並みが目に入る。
それに、隣を歩くハニトラの楽しそうな顔が見えて……。
なんか緊張してきた……。
そもそも、デートって何すればいいんだ?
まあ、この世界に来てから、異性には嫌われてばかりで、それどころじゃなかったからな。でもまあこの場合?元の世界の経験だって活かせるはずだ。うんうん。デート経験……。デートか…………。……ちょっと待て。男と釣りに行ったのはここで活かせる経験になるか?あれだって一応二人ではあったわけだし。異性じゃなかったが、人間である事には変わりないんだし。だとしたら、ここで活かせる可能性だってあるわけで……?
「ユキナリ」
とハニトラの声がかかったので、ユキナリがハッとした。
「お店は3つ向こうの通りにあるんだ。そこから馬車に乗るのが早いんだよ」
と、ハニトラが乗合馬車の乗り場を示す。
「あ、ああ」
列に並ぶと、なんだかこそばゆい感覚に陥る。
ハニトラと、こんな近代的な事するの初めてだもんな。
すぐ鼻の先に、ハニトラの頭がある。
思えば今まで、冒険ばかりだったから。戦闘やら泥だらけになるような事やら。
けど、こいつ、こんな風にも振る舞えるんだな。
まるで普通の女の子のようなハニトラを見て、ふと、自分の世界にハニトラが居ればどんなだっただろう、なんて考える。
こんな髪の色だし、相当目立つだろうな。この世界でだってこんなキラキラした髪色は珍しい。
顔も綺麗だし。
みんなの憧れみたいな感じで、俺なんか近付けなくて。
そんな風に女子高生してるハニトラを想像すると、なんだかおかしくなってくる。
馬車に揺られながら、なんだか心がフワフワしてしまう。
タンッと石畳を叩き、店のそばで降りる。
目の前でハニトラがスキップをして、くるりと一回転すると一つの店の前で立ち止まる。
それは深緑色を主体とした、どちらかといえば上品なお菓子屋だった。
「じゃ、行こう!」
ハニトラがまたくるりと回る。
その笑顔が、つい、なんだかかわいいと思ったんだ。
◇◇◇◇◇
次回も引き続きデート回!
「デート……?デートなのか?」
言いながら、ぐるぐるする目で鞄の中を漁り始める。
とはいえ、自分の服なんて買ってないぞ……。
あるものといえば、この世界に来るときに穿いていたパンツ。もしくは作業着。
ハニトラがちゃんとしていた事を思えば、こんなんじゃダメだろ。
上げた顔が鏡に映る。
いつも通りの自分の顔。
……こんなんじゃダメだろ。
かといって、この短時間でできる事もそれほどなかった。
もともと、ファッションの事なんてあまり考えた事がないのだ。
元の世界でだって、服なんてそんなに無くて困らなかったし。
ただ、ハニトラと一緒に外に出ようと思って……。
それだけだ。
本当に、それだけのつもりだったのに……。
結局、いつもの格好のまま、ハニトラと屋敷の外へ出る。
カタカタと走る馬車や、往来する人々。
明るい街並みが目に入る。
それに、隣を歩くハニトラの楽しそうな顔が見えて……。
なんか緊張してきた……。
そもそも、デートって何すればいいんだ?
まあ、この世界に来てから、異性には嫌われてばかりで、それどころじゃなかったからな。でもまあこの場合?元の世界の経験だって活かせるはずだ。うんうん。デート経験……。デートか…………。……ちょっと待て。男と釣りに行ったのはここで活かせる経験になるか?あれだって一応二人ではあったわけだし。異性じゃなかったが、人間である事には変わりないんだし。だとしたら、ここで活かせる可能性だってあるわけで……?
「ユキナリ」
とハニトラの声がかかったので、ユキナリがハッとした。
「お店は3つ向こうの通りにあるんだ。そこから馬車に乗るのが早いんだよ」
と、ハニトラが乗合馬車の乗り場を示す。
「あ、ああ」
列に並ぶと、なんだかこそばゆい感覚に陥る。
ハニトラと、こんな近代的な事するの初めてだもんな。
すぐ鼻の先に、ハニトラの頭がある。
思えば今まで、冒険ばかりだったから。戦闘やら泥だらけになるような事やら。
けど、こいつ、こんな風にも振る舞えるんだな。
まるで普通の女の子のようなハニトラを見て、ふと、自分の世界にハニトラが居ればどんなだっただろう、なんて考える。
こんな髪の色だし、相当目立つだろうな。この世界でだってこんなキラキラした髪色は珍しい。
顔も綺麗だし。
みんなの憧れみたいな感じで、俺なんか近付けなくて。
そんな風に女子高生してるハニトラを想像すると、なんだかおかしくなってくる。
馬車に揺られながら、なんだか心がフワフワしてしまう。
タンッと石畳を叩き、店のそばで降りる。
目の前でハニトラがスキップをして、くるりと一回転すると一つの店の前で立ち止まる。
それは深緑色を主体とした、どちらかといえば上品なお菓子屋だった。
「じゃ、行こう!」
ハニトラがまたくるりと回る。
その笑顔が、つい、なんだかかわいいと思ったんだ。
◇◇◇◇◇
次回も引き続きデート回!
0
あなたにおすすめの小説
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
通販で買った妖刀がガチだった ~試し斬りしたら空間が裂けて異世界に飛ばされた挙句、伝説の勇者だと勘違いされて困っています~
日之影ソラ
ファンタジー
ゲームや漫画が好きな大学生、宮本総司は、なんとなくネットサーフィンをしていると、アムゾンの購入サイトで妖刀が1000円で売っているのを見つけた。デザインは格好よく、どことなく惹かれるものを感じたから購入し、家に届いて試し切りをしたら……空間が斬れた!
斬れた空間に吸い込まれ、気がつけばそこは見たことがない異世界。勇者召喚の儀式最中だった王城に現れたことで、伝説の勇者が現れたと勘違いされてしまう。好待遇や周りの人の期待に流され、人違いだとは言えずにいたら、王女様に偽者だとバレてしまった。
偽物だったと世に知られたら死刑と脅され、死刑を免れるためには本当に魔王を倒して、勇者としての責任を果たすしかないと宣言される。
「偽者として死ぬか。本物の英雄になるか――どちらか選びなさい」
選択肢は一つしかない。死にたくない総司は嘘を本当にするため、伝説の勇者の名を騙る。
痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~
ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。
食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。
最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。
それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。
※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。
カクヨムで先行投稿中!
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~
よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】
多くの応援、本当にありがとうございます!
職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。
持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。
偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。
「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。
草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。
頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男――
年齢なんて関係ない。
五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる