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160 絵師(3)
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それぞれ、時間をかけて一人ずつ呼ばれていく。
待っている間は、応接間で、お茶やお菓子をいただくことになった。
やっと泣き止んだはずのエマは、作業場でキョロキョロしながら、ずっとその場から動けずにいた。ふとしたことで時々涙腺が緩んだ。
メンテが戻ると、次はリナリが呼ばれ、チュチュが呼ばれた。
やっと応接間に戻ってきたエマは、泣きはらした目をまだ拭うようにしながら、すっかり冷めたお茶を飲んだ。
「絵を描いてもらってる間は、何かお話するの?」
エマはまだ、顔にタオルを押し当てたままだ。
「ああ、ああいうゲームの絵を描いている人だからかな。『今、好きな人はいるのか』とか、学園の人間関係とか」
「あたしの時も、そんな感じだったな」
「あいつ、昔、城で肖像画描いてたやつだろ」
口を挟んだのはヴァルだった。
シエロがそれに反応して顔を上げる。
「そうだね。僕も城で何度か会ったことあるよ。……描いてもらったことはなかったはずだけど」
「俺もないよ。けど……。師匠は描いてもらってた」
「そうだね」
「あの時見られてたのか……」
ヴァルがうんざりした顔をする。
チュチュが戻ってくると、今度はシエロが呼ばれた。
チュチュがヴァルに向かってウィンクする。
「ヴァルのこと、いーっぱい話しておいてあげたからね!!」
「やめろ」
結局、最後にヴァルが呼ばれ、ヴァルが戻ってくるのと同時に、エリオットも応接間へ戻ってきた。
「エマさんは、……その顔じゃ描きづらいから、また明日来てくれる?」
眉毛を寄せたまま、エリオットはにっこりと笑った。
「はい……」
エマが申し訳なさそうな顔をする。
「あなたとはゆっくりお話ししてみたいと思っていたの。これから何度か来てくれると嬉しいわ。それで……、これはね、プレゼント」
泣いている時、エマの目の前に置かれた木箱を、エリオットは改めてエマの前に置いた。
「あ、ありがとうございます」
妙に大きな木箱。見た目よりは軽いみたいだけれど。
おずおずと、周りを見渡し、エマが、木箱を開けてみる。
中を覗くと、『メモアーレン』の攻略対象5人のイラストが見えた。
「これ……!」
中に入っていたのは、『メモアーレン』の公式グッズだった。
ポスターにクッション、アクリルスタンド、マグカップ、抱き枕……などなど。
ほとんどが知らないものだったけれど。
知らないグッズは、きっとこの15年以上の間のものだ。
知っているグッズもある。
前世で持っていたものも。
部屋に貼ってあったジークのポスター。
いつも鞄に付けていたジークのキーホルダー。
身体が、震えた。
「こんなことって…………」
エリオットが、満足そうににっこりと笑った。
「ありがとうございます…………!!」
「こちらこそ、いつも応援ありがとう」
◇◇◇◇◇
田舎から出てきて、宮廷画家という夢を掴んだエリオットさん。大魔術師からの仕事を受けたのは興味本位でしたが、今ではかなりお気に入りの仕事のようです。
待っている間は、応接間で、お茶やお菓子をいただくことになった。
やっと泣き止んだはずのエマは、作業場でキョロキョロしながら、ずっとその場から動けずにいた。ふとしたことで時々涙腺が緩んだ。
メンテが戻ると、次はリナリが呼ばれ、チュチュが呼ばれた。
やっと応接間に戻ってきたエマは、泣きはらした目をまだ拭うようにしながら、すっかり冷めたお茶を飲んだ。
「絵を描いてもらってる間は、何かお話するの?」
エマはまだ、顔にタオルを押し当てたままだ。
「ああ、ああいうゲームの絵を描いている人だからかな。『今、好きな人はいるのか』とか、学園の人間関係とか」
「あたしの時も、そんな感じだったな」
「あいつ、昔、城で肖像画描いてたやつだろ」
口を挟んだのはヴァルだった。
シエロがそれに反応して顔を上げる。
「そうだね。僕も城で何度か会ったことあるよ。……描いてもらったことはなかったはずだけど」
「俺もないよ。けど……。師匠は描いてもらってた」
「そうだね」
「あの時見られてたのか……」
ヴァルがうんざりした顔をする。
チュチュが戻ってくると、今度はシエロが呼ばれた。
チュチュがヴァルに向かってウィンクする。
「ヴァルのこと、いーっぱい話しておいてあげたからね!!」
「やめろ」
結局、最後にヴァルが呼ばれ、ヴァルが戻ってくるのと同時に、エリオットも応接間へ戻ってきた。
「エマさんは、……その顔じゃ描きづらいから、また明日来てくれる?」
眉毛を寄せたまま、エリオットはにっこりと笑った。
「はい……」
エマが申し訳なさそうな顔をする。
「あなたとはゆっくりお話ししてみたいと思っていたの。これから何度か来てくれると嬉しいわ。それで……、これはね、プレゼント」
泣いている時、エマの目の前に置かれた木箱を、エリオットは改めてエマの前に置いた。
「あ、ありがとうございます」
妙に大きな木箱。見た目よりは軽いみたいだけれど。
おずおずと、周りを見渡し、エマが、木箱を開けてみる。
中を覗くと、『メモアーレン』の攻略対象5人のイラストが見えた。
「これ……!」
中に入っていたのは、『メモアーレン』の公式グッズだった。
ポスターにクッション、アクリルスタンド、マグカップ、抱き枕……などなど。
ほとんどが知らないものだったけれど。
知らないグッズは、きっとこの15年以上の間のものだ。
知っているグッズもある。
前世で持っていたものも。
部屋に貼ってあったジークのポスター。
いつも鞄に付けていたジークのキーホルダー。
身体が、震えた。
「こんなことって…………」
エリオットが、満足そうににっこりと笑った。
「ありがとうございます…………!!」
「こちらこそ、いつも応援ありがとう」
◇◇◇◇◇
田舎から出てきて、宮廷画家という夢を掴んだエリオットさん。大魔術師からの仕事を受けたのは興味本位でしたが、今ではかなりお気に入りの仕事のようです。
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