転生少女は過去の英雄に恋をする

大天使ミコエル

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201 何が起こったのかわからないまま

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「…………え?」

 エマは、状況がわからなかった。
 どうして、こんな時間にヴァルが突然来たんだろう。

 そのまま部屋の中に、後ろ向きに倒れ込むように押し入れられる。

 そして、何が起こったのかわからないまま、エマはヴァルに抱き締められていた。

「…………?」

 頭の中をハテナがぐるぐると回る。

 な、な、な、な、な??????

 かあああああああっと身体が熱くなる。

 顔が見えない体勢でよかった。

 ……よかった?

 これだとヴァルの顔も見えない。

 ヴァルは一体どうしたんだろう。
 何か、あった……?

 そう考え始めたところで、更に抱き竦められ、何も考えられなくなってしまう。

 くすぐったい。

 あったかい。

 くすぐったい。

 感触……が……。

 くすぐったい。

 どうしよう。

 頬や耳元に押し付けられるなんだかわからない柔らかな感触と。
 抱えられた背中の力強い感触と。
 包み込んでくるような目の前の存在と。

 こんなよくわからない状況なのに、このくすぐったさが、愛しいと思えてしまう。

 こんな…………。

 こんな………………。

 えっと…………。

 えいっ!

 エマは、ヴァルの背中に手をまわした。
 きゅぅ、っと抱き締める。

 うわぁ……。

 ……ヴァルのにおい。
『メモアーレン』ではにおいなんてわからなかったからなぁ。
 ……いっぱい嗅いどこ……。

 顔を押し付けた。

 抱き枕とは全然違う。

 雰囲気的には、悪いことがあったわけじゃないみたい。
 だったら……今は、この状況を堪能していても……いいかな。

 それから、程なくして、ヴァルが飛び跳ねるようにエマから離れた。

「……!」

 エマの肩を掴んだまま、ヴァルが、こちらを見る。

「…………っ」

 思わず息を呑むほどの鋭い視線。
 なぜか色気を放つ前髪。

 声も出なくなる。

 これはダメだ。

 こんな目で見られたら。

 ダメだ。

 時間が止まってしまったような静寂の中で。

 引き込まれてしまいそうな瞳に見つめられて。

 泣きそうになったところで、ヴァルが小さく何か呟いて、くるりと踵を返すと、部屋を出て行ってしまった。

「へ…………?」

 エマが、その場にへたり込む。

「え…………?」

 身体が熱くて仕方ない。

「あんな顔……するなんて、ずるい…………」

 どうにかなってしまいそうな視線だった。
 私が前世からあの目が大好きな事、わかってやってるんじゃないだろうか。

 今の、なんだった……?
 なんで……、何も言わずに行っちゃうの……。

 思い出す。
 この間のキスの事、今の事。

 勘違いじゃ、なければ……。

「そんな……ことって……ある……?」

 もしかして、ヴァルは……。

「…………」

 これで勘違いだったら恥ずかし過ぎる。

 でも。

 けど。

「と、とりあえず……お風呂入った後で……、よかった」



◇◇◇◇◇



ここまでくればもうほぼハッピーエンドでしょう?
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