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211 正統派ヒロイン夜モード
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ちょっと食べ過ぎたかな。
シエロとヴァルは、ランドルフに引きずられ、どこかへ連れて行かれてしまった。
今度は、男同士の同窓会だということで、エマはまた暇になってしまう。
……意外と、ランドルフに任せれば、また仲良くなれるのかもしれない。
少し外を散歩して、さっぱりしてから部屋へ戻ろうかな。
そんなわけで、エマはまた一人、庭園を歩いていた。
今度は昼とは違い、花壇の間を縫って歩く。
星が綺麗だな、と思った矢先。
「うわあああああああああん」
と、頭上から声が聞こえた。
叫び声、というよりは……感極まった声。
これは……。
頭上を見ると、思った通り、バルコニーにアステールがうずくまっていた。
本当に……アステールが……。
声もかける間も無く、逃げる間も無く、矢継ぎ早に声が降ってくる。
「やあああああああああああああんなんてなんてかわいいのーーーーーー!!!!ランドルフ様かわいすぎるーーーーーーーー!!!なんで!?なんで!?親友にちょっと冷たくされただけで泣いちゃうのーーーーーーーー!!!?それで私のところに来るの!?可愛すぎかーーーーーーーーーー!!!あの涙!!あのイケメンの顔に涙!!!フニャッとした眉毛もかわいいよぅかわいいよぅ!!!もう無理!!!!全然無理!!!!泣かせたい!!!私が貴方を泣かせたい!!!!ああもう鼻血出そう」
これが……、本物のアステール夜モード……。
『メモアーレン』がインディーズゲームでありながら、話題になったことのひとつがこれだ。
主人公の二面性。
それは、大人しい、典型的な乙女ゲーヒロインに見える主人公の、裏の顔。
夜、一人になると、興奮気味の大きな独り言が止まらなくなる。
自然と、”夜モード“なんて呼ばれることになった。
さすがに主人公ってことで、脚色してあるんだと思った。
けど、まさか、ここまで同じとは。
王妃様が鼻血って……。
バルコニーでこの大声って……。
けど、私もこれが可愛いと思ってたんだよね。
少し感慨深い気持ちになりながら、アステールの言葉を聞いていた。
「あら」
改まった声が降ってきて、頭上を見上げると、アステールと目が合った。
……見つかってしまった……。
「エマさん、こちらへいらっしゃいな」
その微笑みに抗うことは出来そうにない。
数分後、エマはアステールの応接室で、アステールと向かい合っていた。
「こんな時間にお邪魔してしまって、すみません」
「いいえ、いいのよ。あなたとはお話したいと思っていたの」
主人公、美人設定だと思っていたけど、本物も確かに美人だなぁ。
テーブルの上にハーブティーまで用意してもらっている。
目の前でアステールが、
「さっきのは、みんなには内緒、ね」
と、人差し指を口元に当てた。
その仕草も可愛らしく、内容があれじゃなければ、王妃様にもお茶目な面があるんだな、なんていう感想だけで終わっただろう。
「でも、あなたには早くバレてしまって、かえってよかったわ。仲良くなりたいと思っていたし」
「仲良くだなんて、光栄です」
どこかの子爵令嬢にもこんな丁寧に対応できるなんて。
私も見習わないと。
「夫同士が親友なわけだし、ね」
「!!!???」
危うく、ハーブティーを吹くところだった。
アステールの微笑みに、慌てて言い返す。
「結婚してませんけど!?」
それでも、アステールの微笑みは崩れることがなかった。
「陛下から聞いたわ。ジークヴァルト様が溺愛してるらしいじゃないの」
「あの……っ。違……。結婚はしてなくて!じゃなくて!!あの……」
「陛下が泣いてたわ。ジークヴァルトが親友よりも恋人を選ぶ人間だったなんて、って。既婚の国王まで寄せつけないようにする徹底ぶりで、今までの絆はなんだったのかって」
その日は、否定しているようで否定しきれない言葉ばかりを口にすることになった。
あっという間に時間が過ぎた。
ヒロインと過ごすその時間は、正直、これ以上ない至福の時間だった。
◇◇◇◇◇
乙女ゲー主人公は成長後も愛らしく。
ヴァルは溺愛キャラなんでしょうかどうなんでしょうか。
シエロとヴァルは、ランドルフに引きずられ、どこかへ連れて行かれてしまった。
今度は、男同士の同窓会だということで、エマはまた暇になってしまう。
……意外と、ランドルフに任せれば、また仲良くなれるのかもしれない。
少し外を散歩して、さっぱりしてから部屋へ戻ろうかな。
そんなわけで、エマはまた一人、庭園を歩いていた。
今度は昼とは違い、花壇の間を縫って歩く。
星が綺麗だな、と思った矢先。
「うわあああああああああん」
と、頭上から声が聞こえた。
叫び声、というよりは……感極まった声。
これは……。
頭上を見ると、思った通り、バルコニーにアステールがうずくまっていた。
本当に……アステールが……。
声もかける間も無く、逃げる間も無く、矢継ぎ早に声が降ってくる。
「やあああああああああああああんなんてなんてかわいいのーーーーーー!!!!ランドルフ様かわいすぎるーーーーーーーー!!!なんで!?なんで!?親友にちょっと冷たくされただけで泣いちゃうのーーーーーーーー!!!?それで私のところに来るの!?可愛すぎかーーーーーーーーーー!!!あの涙!!あのイケメンの顔に涙!!!フニャッとした眉毛もかわいいよぅかわいいよぅ!!!もう無理!!!!全然無理!!!!泣かせたい!!!私が貴方を泣かせたい!!!!ああもう鼻血出そう」
これが……、本物のアステール夜モード……。
『メモアーレン』がインディーズゲームでありながら、話題になったことのひとつがこれだ。
主人公の二面性。
それは、大人しい、典型的な乙女ゲーヒロインに見える主人公の、裏の顔。
夜、一人になると、興奮気味の大きな独り言が止まらなくなる。
自然と、”夜モード“なんて呼ばれることになった。
さすがに主人公ってことで、脚色してあるんだと思った。
けど、まさか、ここまで同じとは。
王妃様が鼻血って……。
バルコニーでこの大声って……。
けど、私もこれが可愛いと思ってたんだよね。
少し感慨深い気持ちになりながら、アステールの言葉を聞いていた。
「あら」
改まった声が降ってきて、頭上を見上げると、アステールと目が合った。
……見つかってしまった……。
「エマさん、こちらへいらっしゃいな」
その微笑みに抗うことは出来そうにない。
数分後、エマはアステールの応接室で、アステールと向かい合っていた。
「こんな時間にお邪魔してしまって、すみません」
「いいえ、いいのよ。あなたとはお話したいと思っていたの」
主人公、美人設定だと思っていたけど、本物も確かに美人だなぁ。
テーブルの上にハーブティーまで用意してもらっている。
目の前でアステールが、
「さっきのは、みんなには内緒、ね」
と、人差し指を口元に当てた。
その仕草も可愛らしく、内容があれじゃなければ、王妃様にもお茶目な面があるんだな、なんていう感想だけで終わっただろう。
「でも、あなたには早くバレてしまって、かえってよかったわ。仲良くなりたいと思っていたし」
「仲良くだなんて、光栄です」
どこかの子爵令嬢にもこんな丁寧に対応できるなんて。
私も見習わないと。
「夫同士が親友なわけだし、ね」
「!!!???」
危うく、ハーブティーを吹くところだった。
アステールの微笑みに、慌てて言い返す。
「結婚してませんけど!?」
それでも、アステールの微笑みは崩れることがなかった。
「陛下から聞いたわ。ジークヴァルト様が溺愛してるらしいじゃないの」
「あの……っ。違……。結婚はしてなくて!じゃなくて!!あの……」
「陛下が泣いてたわ。ジークヴァルトが親友よりも恋人を選ぶ人間だったなんて、って。既婚の国王まで寄せつけないようにする徹底ぶりで、今までの絆はなんだったのかって」
その日は、否定しているようで否定しきれない言葉ばかりを口にすることになった。
あっという間に時間が過ぎた。
ヒロインと過ごすその時間は、正直、これ以上ない至福の時間だった。
◇◇◇◇◇
乙女ゲー主人公は成長後も愛らしく。
ヴァルは溺愛キャラなんでしょうかどうなんでしょうか。
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