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第九章 カルバン帝国(カルバ王子編①)
ヴェゼル館の夜会
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ポックが城に潜入し、ルークが情報収集を始めて数日。
結果的には特に大きな情報はなかった。
入ってくるのは、ゲルバ王子が隣国のアラハを制圧する準備をしているということ。
珍しくカルバ王子がそのことに対して好意的なこと。などだけだった。
大きな進展がないまま、数日が経過した。
「うーん。まずはそのカルバ王子に何とかして接触できないもんかね?」
ハイデンが顎をかきながら思案する。
「まぁ一国の、それも天下のカルバン帝国の王子にそう簡単には会えないでしょ…」
アンナは呆れたように返す。
「いや、そりゃそうだけどさぁ、でも本人に会わないことには何もはじまらん」
ごもっともなハイデンの返答。
「あっ、そうだー!」
のんびりとした口調でルークが呟いた。
「?!」
みんなの視線が一気に集中する。
「いや…あの…その…」
とたんにしどろもどろになるルーク。
「…ごめんごめん。なにか思い付いたみたいだったから、つい…」
レオンは申し訳なさそうにするルークにいっそう申し訳なく思いながら続きを促す。
「今度、ジャトゥーリの町の最も権力を持ってる貴族、ヴェゼル家の屋敷で夜会があるらしいんだよね。カルバ王子とゲルバ王子のお誕生日会と合わせてゲルバ王子の出陣パーティーみたいな」
新しい情報ににじりよる面々に少し引きながらルークは続ける。
「そ…その夜会に何とか潜入できれば、何が情報を得られるんじゃない?」
なるほど…。
「で、どうすれば潜入できる?」
レオンは素直に疑問を口にした。
「それなんだよねー。どこかに招待状を持ってるつてとかがあれば自然に潜り込めるんだけれど…大規模なパーティーだからちょっとくらい増えても減っても分からないだろうから…」
ルークは困ったように眉をへの字にした。
それだよねー。
はぁーっとため息をつく一同。
「あっそれなら何とかなるかもよ」
今度口を開いたのはクルエラだった。
「?!」
一同の沈んだ視線がクルエラに集まる。
「この宿を始めるに当たって出資してくれた貴族たちがいるの。いわゆるスポンサーね。その人たち、もちろんその夜会に呼ばれてるでしょうから、頼んでみたら入り込めるかもよ?」
これは好機が舞い込んだかもしれない。
「ただし!」
ちょっとわいた面々に釘を指すように言う。
「全員は難しいわ。数が多いのもあるけれどそれ以外にも色々問題があるわ。例えばルークはカルバ王子も顔を知っているからもちろんダメ。ハイデンの剃髪も貴族のパーティーでは悪目立ちするからダメ。サラは年齢的にアウト。そうなると行けるのはレオンとダンとアンナとマリアね」
アンナは元々アラベスクの貴族の令嬢だから問題ないだろう。
マリアも落ち着いた物腰だから遜色なくこなせそうだ。
ただ男性陣はちょっとだけ不安がよぎる。
レオンもダンも「社交界」というものにとんと無縁だ。
「僕たち、大丈夫ですか?」
レオンは不安になる。
しかしクルエラは事もなさげに言う。
「あら、レオンは頭の回転の早い子だって母から聞いてるわ。むしろダンの方が心配かな」
そういって笑う。
ダンはそういわれて少し悔しそうだが事実なので返す言葉がない。
「カルバンの男性の平均身長は大きいから体格はそんなに目立たないと思うの。ただ母からは超武闘派って聞いてるから…って見たまんまよね。貴族の夜会に紛れるのにはちょっと無理があるかもね」
クルエラは涼しい顔でズバズバ言う。
「レオンとアンナとマリアが行くのが無難かな。もちろん私も行くわ」
自然な流れでそういうクルエラ。
一同ギョッとする。
「あら?言っとくけどあなたたちよりもよっぽど社交界に精通してるのよ。こう見えて」
どうだ!といわんばかりに胸を張るクルエラに一同ぐうの音も出ない。
そんなクルエラが、この後散々な目に遭うとはこの時には誰も微塵にも思わなかった。
結果的には特に大きな情報はなかった。
入ってくるのは、ゲルバ王子が隣国のアラハを制圧する準備をしているということ。
珍しくカルバ王子がそのことに対して好意的なこと。などだけだった。
大きな進展がないまま、数日が経過した。
「うーん。まずはそのカルバ王子に何とかして接触できないもんかね?」
ハイデンが顎をかきながら思案する。
「まぁ一国の、それも天下のカルバン帝国の王子にそう簡単には会えないでしょ…」
アンナは呆れたように返す。
「いや、そりゃそうだけどさぁ、でも本人に会わないことには何もはじまらん」
ごもっともなハイデンの返答。
「あっ、そうだー!」
のんびりとした口調でルークが呟いた。
「?!」
みんなの視線が一気に集中する。
「いや…あの…その…」
とたんにしどろもどろになるルーク。
「…ごめんごめん。なにか思い付いたみたいだったから、つい…」
レオンは申し訳なさそうにするルークにいっそう申し訳なく思いながら続きを促す。
「今度、ジャトゥーリの町の最も権力を持ってる貴族、ヴェゼル家の屋敷で夜会があるらしいんだよね。カルバ王子とゲルバ王子のお誕生日会と合わせてゲルバ王子の出陣パーティーみたいな」
新しい情報ににじりよる面々に少し引きながらルークは続ける。
「そ…その夜会に何とか潜入できれば、何が情報を得られるんじゃない?」
なるほど…。
「で、どうすれば潜入できる?」
レオンは素直に疑問を口にした。
「それなんだよねー。どこかに招待状を持ってるつてとかがあれば自然に潜り込めるんだけれど…大規模なパーティーだからちょっとくらい増えても減っても分からないだろうから…」
ルークは困ったように眉をへの字にした。
それだよねー。
はぁーっとため息をつく一同。
「あっそれなら何とかなるかもよ」
今度口を開いたのはクルエラだった。
「?!」
一同の沈んだ視線がクルエラに集まる。
「この宿を始めるに当たって出資してくれた貴族たちがいるの。いわゆるスポンサーね。その人たち、もちろんその夜会に呼ばれてるでしょうから、頼んでみたら入り込めるかもよ?」
これは好機が舞い込んだかもしれない。
「ただし!」
ちょっとわいた面々に釘を指すように言う。
「全員は難しいわ。数が多いのもあるけれどそれ以外にも色々問題があるわ。例えばルークはカルバ王子も顔を知っているからもちろんダメ。ハイデンの剃髪も貴族のパーティーでは悪目立ちするからダメ。サラは年齢的にアウト。そうなると行けるのはレオンとダンとアンナとマリアね」
アンナは元々アラベスクの貴族の令嬢だから問題ないだろう。
マリアも落ち着いた物腰だから遜色なくこなせそうだ。
ただ男性陣はちょっとだけ不安がよぎる。
レオンもダンも「社交界」というものにとんと無縁だ。
「僕たち、大丈夫ですか?」
レオンは不安になる。
しかしクルエラは事もなさげに言う。
「あら、レオンは頭の回転の早い子だって母から聞いてるわ。むしろダンの方が心配かな」
そういって笑う。
ダンはそういわれて少し悔しそうだが事実なので返す言葉がない。
「カルバンの男性の平均身長は大きいから体格はそんなに目立たないと思うの。ただ母からは超武闘派って聞いてるから…って見たまんまよね。貴族の夜会に紛れるのにはちょっと無理があるかもね」
クルエラは涼しい顔でズバズバ言う。
「レオンとアンナとマリアが行くのが無難かな。もちろん私も行くわ」
自然な流れでそういうクルエラ。
一同ギョッとする。
「あら?言っとくけどあなたたちよりもよっぽど社交界に精通してるのよ。こう見えて」
どうだ!といわんばかりに胸を張るクルエラに一同ぐうの音も出ない。
そんなクルエラが、この後散々な目に遭うとはこの時には誰も微塵にも思わなかった。
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