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その名はビービリ・チキン
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最近、校舎の廊下を歩く度に声をかけられる。それは決して嬉しい声ではなく。
「よぉ、賢者さん。この前はオレのダチが世話になったみてぇでな。ちょっとお礼しに来たぜ」
ほれ来た。今度は、いや、今度もゴリラみたいな体型のヤツが来た。ちなみに俺は身長150前後のチビ。身長差と筋肉があれば勝てると思っているのか、脳みそが自立的に筋トレしているような輩ばかりでもう飽きた。
なのですぐに終わらせる。
「さて…それじゃたっぷり可愛がってや…あ?」
俺がゴリラを見た、正しくは左眼で睨んだ途端にゴリラのパンチが停止する。
「う…動けねぇ…」
そう、これが俺の能力であり。
「おらっ」
「ぐほぉぁ」
戦術だ。
動けなくなったゴリラのみぞおちに、右の拳をめりこませる。これだけでは終わらない。
「おらっ」
「ぐはっ!」
「おらっ」
「ぐふっ!」
「おらっおらっおらっ」
「グフッ!カスッ!タムッ!」
数発みぞおちを抉られたゴリラはその場に倒れ込む。ふぅ、清掃完了。
「全く…本当に、便利な能力だよな」
倒れたまま動かないゴリラの頭を踵でグリグリしながら一人呟く。
そうアレは…ちょうど一年ほど前の出来事。
☆●◇■△▼*▽▲□◆○★
「ふぅ…今日も良い天気じゃのぉ」
暖かな日差しの中、散歩する一人の老人。そう、この老人こそ誰もが尊敬する善人。賢者ビービリ・チキン。
そう、彼は善人。とても善人。とてつもなく、圧倒的に、完膚なきまでに善人。やましい考えなど微塵も無いのだ。
(はぁ…幼女とヤりたい)
やましい考えなど微塵も無いのだ。
彼は善人。世界の平和を誰よりも願い、望む者。残酷な思考など持ち合わせてはいないのだ。
(あーあ。今すぐ全人類の頭が○○して○○すればいいのに)
残酷な思考など持ち合わせてはいないのだ。
「ん?…なんじゃあれは」
ビービリ・チキンが見つけたモノ。それは少し大きめの池。そのすぐ横には木製の看板が立てられており、「女神様降臨セール実施中」と黒マジックで書いてある。
「…」
訳が分からない。どれくらい訳が分からないかと言うと。コンビニにムーンウォークしながら入店してくるブルドッグくらい訳が分からない。訳が分からなすぎて、逆に好奇心が湧いてきたビービリ・チキンは昼飯に持ってきた塩おにぎりを池に投げ込んだ。
そうするとゴボゴボと泡をたたせて池から現れたのは。
「イエーーーーーイ!!」
テンションの高い幼女。あれは女神などでは無い。幼女だ。日の光を反射して輝く金髪のボブヘアーに透き通る青い瞳。灰色のミニスカート、水色のTシャツには「MEGAMI・DAYO☆」と黄色い文字で書かれている。
「私は女神っ!ここの湖に住む神様だよ」
早速だが、俺は彼女の台詞に疑問を覚えた。女神…はまだ分かる。水の中に住んでいる…これもまぁ、受け入れよう。しかしな。
「いや、待ちなさい。湖と言うより完全に池だよねココ」
「違うもん!湖だもん!」
いや、池だよ。下手したら大きな水溜まりって言われても納得するくらい池だよ。
「いやな、だからのぉ」
「あーうるさいうるさいうるさいっ!湖と言ったら湖なのっ!」
「……」
うん。融通が効かなそうなのでそこに関しては諦める。
「さぁさぁおじいちゃん。あなたが落としたのはー」
出た。テンプレートな台詞。どうせ木こりのなんちゃらとかと同じで、落とした塩おにぎりがランクアップして出て来ー
「若返りの薬かな?それとも可愛いホムンクルスかな?」
「予想外すぎるわいっ!」
てっきり海苔が巻かれた塩おにぎりとか、一番良くて全部の具が入っているおにぎりかと思っていたのに。とんでもない選択肢を持ってきやがった。
「どっちも落としてないわい、はよ塩おにぎり返せ。ついでにヤらせろ」
「おじいちゃんは正直ね。ご褒美にどっちもあげちゃう!」
「いいえ。ワシが欲しいのは幼女の処女です」
「はい。お薬と卵ね」
そう言って幼女は粒状の物がたくさん入っている小瓶と、卵を一つ差し出した。小瓶の中の粒は薄い紫色で、卵は至って普通だ。今のところ見た目だけは。
「一粒飲めばあら不思議。五歳若返る魔法の薬「時戻りの秘薬」に、愛を込めて温めると思い通りのホムンクルスができる魔法の卵「究極生物生成卵」。すごいでしょ?」
あぁ凄い。そのアイテムに注ぎ込まれたぶっ飛んだ発想がな。
確かにこの世界には魔法。魔物。妖精。妖怪。神。何でもいる世界だが、こんな希少価値が高そうなアイテムをその辺の老人が貰って良いのだろうか。しかも対価が塩おにぎり一つ。
「おっと、もうこんな時間…。それじゃ私はもう行くね、おじいちゃん」
あぁ。湖(笑)の女神だし、用事が済んだら湖に帰ー
「早くレンタルしたDVD返さないと」
「………」
ツッコム気力がもう無いのでスルーしておいた。女神もDVD借りるんだな。
☆●◇■△▼*▽▲□◆○★
と、言うわけで。怪しげな薬と卵を持って帰宅。ワシは一体どうすれば良い。面倒なので二つともミキサーにかけてやろうか。
(この薬…胡散臭いが、試してみるかのぉ…)
少々躊躇いつつも、小瓶から一粒手に出して飲んでみる。すると。
「………うっぷ!オロr(自主規制)」
不味かった。信じられないほど不味かった。噛んで無いし、舌にちょっと乗せただけなのに光の速さで吐き気がお出迎えしてくれた。それでもしっかり飲み込んだ。食べ物を粗末にしてはいけないからね。
さっすが賢者。
ワシ偉い。
「…クッソ…酷い目に会…ん?」
そこで何か違和感を感じた。主にそれは顔から。実際に触ってみることで初めて違和感の正体がわかった。
「顔のシワが…一つ消えている!」
さっきまで顔にあったシワが三十六から三十五に減っている。
えーと。一粒で五歳若返ったから。
「今二百七十八歳か…」
…。
ジャラジャラジャラジャラジャラジャラ
とりあえず瓶の中にあった分は全て飲み干した。
「おrrrrrrr」
そして全て吐いた。
しかし嘔吐物の中には先程食べたおにぎりらしきドロドロの物質しか入っておらず、今飲んだはずの薬は一つも見当たらなかった。体に吸収されるの早すぎワロタ。
「ハァ…ハァ…オエッ、まだ気持ち悪い…ん?」
そこまで声を出した時点でふと気づく。自分の声がいつものしゃがれた老人の声ではなく、若々しい青年のような声に変わっている事に。
まさかと思い、自分の顔に触れてみると。
「シワが…無い!」
テレレテッテレー♪
賢者、二百八十三歳から十八歳に若返る。
「よぉ、賢者さん。この前はオレのダチが世話になったみてぇでな。ちょっとお礼しに来たぜ」
ほれ来た。今度は、いや、今度もゴリラみたいな体型のヤツが来た。ちなみに俺は身長150前後のチビ。身長差と筋肉があれば勝てると思っているのか、脳みそが自立的に筋トレしているような輩ばかりでもう飽きた。
なのですぐに終わらせる。
「さて…それじゃたっぷり可愛がってや…あ?」
俺がゴリラを見た、正しくは左眼で睨んだ途端にゴリラのパンチが停止する。
「う…動けねぇ…」
そう、これが俺の能力であり。
「おらっ」
「ぐほぉぁ」
戦術だ。
動けなくなったゴリラのみぞおちに、右の拳をめりこませる。これだけでは終わらない。
「おらっ」
「ぐはっ!」
「おらっ」
「ぐふっ!」
「おらっおらっおらっ」
「グフッ!カスッ!タムッ!」
数発みぞおちを抉られたゴリラはその場に倒れ込む。ふぅ、清掃完了。
「全く…本当に、便利な能力だよな」
倒れたまま動かないゴリラの頭を踵でグリグリしながら一人呟く。
そうアレは…ちょうど一年ほど前の出来事。
☆●◇■△▼*▽▲□◆○★
「ふぅ…今日も良い天気じゃのぉ」
暖かな日差しの中、散歩する一人の老人。そう、この老人こそ誰もが尊敬する善人。賢者ビービリ・チキン。
そう、彼は善人。とても善人。とてつもなく、圧倒的に、完膚なきまでに善人。やましい考えなど微塵も無いのだ。
(はぁ…幼女とヤりたい)
やましい考えなど微塵も無いのだ。
彼は善人。世界の平和を誰よりも願い、望む者。残酷な思考など持ち合わせてはいないのだ。
(あーあ。今すぐ全人類の頭が○○して○○すればいいのに)
残酷な思考など持ち合わせてはいないのだ。
「ん?…なんじゃあれは」
ビービリ・チキンが見つけたモノ。それは少し大きめの池。そのすぐ横には木製の看板が立てられており、「女神様降臨セール実施中」と黒マジックで書いてある。
「…」
訳が分からない。どれくらい訳が分からないかと言うと。コンビニにムーンウォークしながら入店してくるブルドッグくらい訳が分からない。訳が分からなすぎて、逆に好奇心が湧いてきたビービリ・チキンは昼飯に持ってきた塩おにぎりを池に投げ込んだ。
そうするとゴボゴボと泡をたたせて池から現れたのは。
「イエーーーーーイ!!」
テンションの高い幼女。あれは女神などでは無い。幼女だ。日の光を反射して輝く金髪のボブヘアーに透き通る青い瞳。灰色のミニスカート、水色のTシャツには「MEGAMI・DAYO☆」と黄色い文字で書かれている。
「私は女神っ!ここの湖に住む神様だよ」
早速だが、俺は彼女の台詞に疑問を覚えた。女神…はまだ分かる。水の中に住んでいる…これもまぁ、受け入れよう。しかしな。
「いや、待ちなさい。湖と言うより完全に池だよねココ」
「違うもん!湖だもん!」
いや、池だよ。下手したら大きな水溜まりって言われても納得するくらい池だよ。
「いやな、だからのぉ」
「あーうるさいうるさいうるさいっ!湖と言ったら湖なのっ!」
「……」
うん。融通が効かなそうなのでそこに関しては諦める。
「さぁさぁおじいちゃん。あなたが落としたのはー」
出た。テンプレートな台詞。どうせ木こりのなんちゃらとかと同じで、落とした塩おにぎりがランクアップして出て来ー
「若返りの薬かな?それとも可愛いホムンクルスかな?」
「予想外すぎるわいっ!」
てっきり海苔が巻かれた塩おにぎりとか、一番良くて全部の具が入っているおにぎりかと思っていたのに。とんでもない選択肢を持ってきやがった。
「どっちも落としてないわい、はよ塩おにぎり返せ。ついでにヤらせろ」
「おじいちゃんは正直ね。ご褒美にどっちもあげちゃう!」
「いいえ。ワシが欲しいのは幼女の処女です」
「はい。お薬と卵ね」
そう言って幼女は粒状の物がたくさん入っている小瓶と、卵を一つ差し出した。小瓶の中の粒は薄い紫色で、卵は至って普通だ。今のところ見た目だけは。
「一粒飲めばあら不思議。五歳若返る魔法の薬「時戻りの秘薬」に、愛を込めて温めると思い通りのホムンクルスができる魔法の卵「究極生物生成卵」。すごいでしょ?」
あぁ凄い。そのアイテムに注ぎ込まれたぶっ飛んだ発想がな。
確かにこの世界には魔法。魔物。妖精。妖怪。神。何でもいる世界だが、こんな希少価値が高そうなアイテムをその辺の老人が貰って良いのだろうか。しかも対価が塩おにぎり一つ。
「おっと、もうこんな時間…。それじゃ私はもう行くね、おじいちゃん」
あぁ。湖(笑)の女神だし、用事が済んだら湖に帰ー
「早くレンタルしたDVD返さないと」
「………」
ツッコム気力がもう無いのでスルーしておいた。女神もDVD借りるんだな。
☆●◇■△▼*▽▲□◆○★
と、言うわけで。怪しげな薬と卵を持って帰宅。ワシは一体どうすれば良い。面倒なので二つともミキサーにかけてやろうか。
(この薬…胡散臭いが、試してみるかのぉ…)
少々躊躇いつつも、小瓶から一粒手に出して飲んでみる。すると。
「………うっぷ!オロr(自主規制)」
不味かった。信じられないほど不味かった。噛んで無いし、舌にちょっと乗せただけなのに光の速さで吐き気がお出迎えしてくれた。それでもしっかり飲み込んだ。食べ物を粗末にしてはいけないからね。
さっすが賢者。
ワシ偉い。
「…クッソ…酷い目に会…ん?」
そこで何か違和感を感じた。主にそれは顔から。実際に触ってみることで初めて違和感の正体がわかった。
「顔のシワが…一つ消えている!」
さっきまで顔にあったシワが三十六から三十五に減っている。
えーと。一粒で五歳若返ったから。
「今二百七十八歳か…」
…。
ジャラジャラジャラジャラジャラジャラ
とりあえず瓶の中にあった分は全て飲み干した。
「おrrrrrrr」
そして全て吐いた。
しかし嘔吐物の中には先程食べたおにぎりらしきドロドロの物質しか入っておらず、今飲んだはずの薬は一つも見当たらなかった。体に吸収されるの早すぎワロタ。
「ハァ…ハァ…オエッ、まだ気持ち悪い…ん?」
そこまで声を出した時点でふと気づく。自分の声がいつものしゃがれた老人の声ではなく、若々しい青年のような声に変わっている事に。
まさかと思い、自分の顔に触れてみると。
「シワが…無い!」
テレレテッテレー♪
賢者、二百八十三歳から十八歳に若返る。
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