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神の怒りに触れた紙

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どうも、昨日まで高校生やってました。
旧高校生、現トイレットペーパー。
坂口透(さかぐち とおる)と申します。

……………。

はい。何を言っているんだコイツは、と思った方は多いと思います。無理もありません。
僕自身も何を言っているのか分かりません。

目が覚めたらトイレットペーパーになってました。

自宅のトイレです。目の前に便器があります。

白くて綺麗ですね。

違う、そうじゃない。

一体どういう事でしょうか。

誰か説明してください。

『……えるか……年よ……』

ん?

『…聞こえるか、少年よ』

どなたでしょうか?

『私は「紙の神」だ』

文字にしないと分かりづらいな。

『聞け、少年よ』

はい、聞きますよ神様さん。神とか非現実的なことは信じない派の人だけど、今僕の身に起こっている事が非現実的ですからね。もう、神でも何でも信じますよ。

『何が起こったのか分からず混乱しているだろうが、単刀直入に言おう』

あ、言葉使いにも気をつけないとな、何たって相手は神様なのだかー

『少年をトイレットペーパーにしたのは私だ』

今すぐ戻せクソジジイ。ケツの穴にシャーペンぶっ刺すぞ。

『まぁ、落ち着け少年よ。これは罰なのだ』

罰…?

『昨晩。少年はトイレットペーパーを無駄使いしたな』

ん…あぁ、確かに昨日はバイト先の店長に色々言われてムシャクシャしてトイレットペーパー多めに使っちまったっけ。

『その後もだ』

えーと…あ、思い出した。上の棚に手をぶつけてトイレットペーパー二つくらい便器に落としたっけな。

『何たる大罪。貴様はあの晩、二つの尊い命を奪ったのだ。よって貴様に罰を下す』

ほぉ…んで、その罰とは?

『そのトイレットペーパーが使い終わった瞬間』

うん。

『貴様は死ぬ』
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