【完結】①魔力・魔法が無いと家族に虐げられてきた俺は殺して殺して強くなります

ルナ

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序章

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「うぅ…トイレトイレ」

 その日の夜中。俺は猛烈な尿意に襲われて目を覚ました。この城は一つ一つの部屋にトイレがある訳ではなく、廊下の端に共同スペースとしていくつかの便器が設置されている。全く面倒な設計だ。

「ふぅ…やっと着いた」
「あー、漏れる漏れる」
『あ…』

 運の悪い事に鉢合わせしてしまった。
 炎魔法を扱う長男、アルゴと。

『…』

 二人とも無言でトイレに入り、自然に距離を置く。間に三つほど小便器を挟んでそれぞれ用を足す。

「おい、キョウ」
「…なに」
「ちょっとツラ貸せや」





☆●◇■△▼*▽▲□◆○★





 アルゴに連れられ、着いたのは城の大広間。ここで一体何をするつもりだろうか。夜中なのでもちろん電灯はついていない。窓から微かに月明かりが差し込むだけの明るさしか無い。

「…前々から思ってたんだ、キョウ。よく聞け」

 突如としてアルゴは手のひらから巨大な炎を放出させる。炎によって大広間の闇が一瞬にしてかき消された。

「お前みたいな魔法もろくに使えない出来損ない…クライス家俺たちに必要無い。いらないんだよ」

 アルゴの手から炎が放たれて俺に襲いかかる。

「うわあああ!?」
「チッ…逃げてんじゃねぇキョウ!大人しく、消えやがれ!」

 幾度となくアルゴは炎の塊を手から放つ。魔法の使えない俺は反撃は愚か、防御の術すらない。俺はただ必死に大広間を駆け回るしかできなかった。

(…マズイマズイマズイ!このままだと本当に焼き殺される!何か…何かないか…)

 逃げ回るうちに大広間の壁に飾ってあった鉄製の斧に目が止まった。あれを使えば少しはまともに戦えるかもしれない。そう思い、斧に向かって手を伸ばすが、それが間違いだった。

「バレバレなんだ…よっ」
「ああああああああああああああぁぁぁ」

 斧に過敏に反応しすぎた。行動に出すぎてしまった。
 アルゴに行動を先読みされ、あっという間に俺は炎に身体を焼かれてしまった。

「助…けて…アル…にいさ…」

 全身に大火傷を負ってうずくまる俺。アルゴはゆっくりコチラに近づき、顔を覗き込みながら言う。

「あばよ~キョウ。クライス家の五人兄弟は、たった今から四人兄弟になりま~す」
「やめっ…アルゴ…兄様…がっ…あああああぁぁぁ!!」

 アルゴの手から放たれた爆炎によって、俺は全身をくまなく炎で炙られ、その場で焼き殺された。
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