【完結】①魔力・魔法が無いと家族に虐げられてきた俺は殺して殺して強くなります

ルナ

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ベルバーグ家編

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「ノルザ!?なんでここに!?」
「え、あのっ…分かりません。私はただ紅茶を入れたのでそれを部屋に運んだだけなのですが」
「あ~…やっちまった」

 慌てふためく俺。
 困惑するノルザ。
 やっちまったジン。
 どうやらジンの精霊魔法発動の際に、運悪くノルザが部屋に入って来たため巻き込まれてしまったのだろう。

「ジン!早く無限精霊空間スピリット・エールを一旦解除しろ!」
「あー…それがな、スマン。一度発動したら最低でも十分は出られない仕様なんだよなぁ…これが」
「そんな…」

 そんな時、俺達の会話なんてお構い無しに、ゲインがノルザに襲いかかった。ゲインの両手の平からは巨大な氷柱が生えている。

「ノルザ!危ないっ!」

 このままではノルザが串刺しにされてしまう。そう思ったのだが。

「はああああっ!」

 ノルザはゲインの氷柱が届くより先に、自ら前に出てゲインの顔に回し蹴りを入れた。ゲインはそのまま吹き飛び見えない壁に衝突して倒れ伏した。

「…え」
「やるねぇクライス家のメイド長。ヒューヒュー!」
「私はクライス家に仕える身です。何かあった時のためにもそれなりに鍛えてはいますよ。それより…」

 ノルザは吹き飛ばされたゲインの方へ視線を移す。彼は何も言わずにゆっくり立ち上がり、再び戦闘態勢に入った。

「…静かだな」
「まぁ、所詮幻影だからね。喋らないよ」

 ゲインは空に手をかざし、魔力を高めている。俺は知っている。これから来る攻撃を。

「…」

 そして遂に放たれた数本の巨大な氷柱。ゲインの得意とする技、氷柱吹雪ブリザードだ。

「ノルザ!」

 今度こそ危ない。そう思ったのだが。

「炎魔法…ほむら・狂い咲き!」

 ノルザが手を前にかざした途端、彼女の背後に無数の魔法陣が現れた、超高火力の炎が一斉に放たれた。ゲインの氷柱は愚か、ゲイン本人さえも焼き尽くす勢いだった。

「キョウ様、私なら大丈夫です!強いですから!」

 ゲインを焼き払った後、ノルザはコチラに振り向き笑顔でそう言った。いつもなら可愛らしくて癒される笑顔のはずが、今はなんだかとても恐く感じてしまう。
 俺とジンがノルザの戦いぶりを賛称している中、俺は背後に再び現れたゲインの幻影に気が付かなかった。

「…なっ!?」

 ようやく気配を感じ取った俺は後ろに振り返ったが、時すでに遅し。ゲインの顔が目の前まで迫ってきていた。
 殺られる。そう思い、急いで体制を立て直した。そしてゲインの氷柱が俺に当たる直前。



「…俺の部下たちを頼んだぞ」
「っ!?」



 それを最後に世界が一変した。暗闇の空間は終わり、窓からさす日の光が目に差し込んでくる。気づけば三人ともジンの部屋に、現実の世界に戻っていた。

「ふぅ…十分たったみたいだな。大丈夫だったかいキョウくん、ノルザくん」
「はい、私は無事です」
「…」
「ん?キョウくん?」
「…なぁ、ジン。幻影は喋らないんだよな?」
「あぁ、喋らない。というか音が無い。攻撃の時も、足音も、呼吸音すら無い」
「…そっか」

 俺が最後に聞いたゲインの声は幻聴だったのだろうか。そんな事は知る由もなく、気を取り直して再び俺は幻影と戦い続けるのであった。
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