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魔境地帯編
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「へ~、よくわかったね。そこの男の子」
ディアボロスは嬉しそうに笑う。
「この子が…ディアボロス…なの?」
「間違いない…と思う」
一級指定怪奇を仲間と主張するかの言動、異質な強さ。何より、気配が人間のものとは違かった。見た目は完全に子供なのにだ。
「…っ、一先ず逃げよう!今すぐ皆に加勢してもらいに」
「行かせないよ」
ジュナは俺の手を引いて逃走を試みたが、ディアボロスのオーラがそれを拒んだ。ディアボロスはオーラの一部をコチラに飛ばし、俺達の進行方向に薄く張ったオーラを壁にして道を塞いだ。
「そんな…これじゃ」
応援を呼ぶ道が塞がれた。これはつまり俺とジュナのたった二人だけで情報がろくに無い一級指定怪奇を相手しなければいけないという事だ。
「ごめん…キョウくん。私がこんな夜中に君を連れ出しばっかりに…」
「…大丈夫だよ」
一人絶望するジュナに俺は優しく声をかけた。五つの魔法属性(精霊魔法はなぜか使えないが)と二つの加護を持つ俺からすれば、ディアボロスだろうと敵じゃない。触れられないならそれなりの戦い方はある。
炎や氷じゃ駄目だ。全て弾かれてしまう。それなら早速使ってみようか。
「メデューサの加護…発動」
「なっ…これは、メデューサの…!」
ディアボロスと睨み合った末にメデューサの加護を発動。ディアボロスの体は瞬く間に石化された。
「…」
「凄いな、この能力…一瞬か」
「すっ…凄い!キョウくん!そんな魔法まで使えるなんて!」
「ん、あ、あぁ。まぁね(さっき手に入れたばっかりなんだけどね)」
ピシッ…
ディアボロスの体は石となった。今のうちに強い衝撃を与えて砕いてしまえばディアボロスは死ぬ。ようやく一級指定三体目の討伐完了だ。
「キョウくん…」
呼びかけられて振り向くと、ジュナが周囲を不安げな表情で見つめている。
ピシッ…パキパキッ…
「このモヤ…なかなか晴れないね」
…バキンッ
「…ガハッ」
何かが崩れる音がした。そう感じた時には俺は激痛に襲われていた。今まで感じたことの無いほどの強い痛み。自分の腹を見て「そりゃそうだ」と思う。
貫かれていた。俺よりも一回り小さな腕が、俺の背から腹にかけて貫通していた。
「…ッ!!キョウくん!!」
ジュナの声が聞こえた。俺の名を呼ぶ声だ。ボヤける視界の中、必死な形相で俺の元に駆け寄るジュナの姿が見えた。
駄目だ。こっちに来るな。そう言いたいが、声がもう出ない。
「悪いね、僕ら一級指定に加護は効かないよ。耐性があるんだ。それなりのね。残念だったね」
薄れゆく意識の中、最後に聞いたのはディアボロスの声だった。
石化は見事に解かれていた。
ディアボロスは嬉しそうに笑う。
「この子が…ディアボロス…なの?」
「間違いない…と思う」
一級指定怪奇を仲間と主張するかの言動、異質な強さ。何より、気配が人間のものとは違かった。見た目は完全に子供なのにだ。
「…っ、一先ず逃げよう!今すぐ皆に加勢してもらいに」
「行かせないよ」
ジュナは俺の手を引いて逃走を試みたが、ディアボロスのオーラがそれを拒んだ。ディアボロスはオーラの一部をコチラに飛ばし、俺達の進行方向に薄く張ったオーラを壁にして道を塞いだ。
「そんな…これじゃ」
応援を呼ぶ道が塞がれた。これはつまり俺とジュナのたった二人だけで情報がろくに無い一級指定怪奇を相手しなければいけないという事だ。
「ごめん…キョウくん。私がこんな夜中に君を連れ出しばっかりに…」
「…大丈夫だよ」
一人絶望するジュナに俺は優しく声をかけた。五つの魔法属性(精霊魔法はなぜか使えないが)と二つの加護を持つ俺からすれば、ディアボロスだろうと敵じゃない。触れられないならそれなりの戦い方はある。
炎や氷じゃ駄目だ。全て弾かれてしまう。それなら早速使ってみようか。
「メデューサの加護…発動」
「なっ…これは、メデューサの…!」
ディアボロスと睨み合った末にメデューサの加護を発動。ディアボロスの体は瞬く間に石化された。
「…」
「凄いな、この能力…一瞬か」
「すっ…凄い!キョウくん!そんな魔法まで使えるなんて!」
「ん、あ、あぁ。まぁね(さっき手に入れたばっかりなんだけどね)」
ピシッ…
ディアボロスの体は石となった。今のうちに強い衝撃を与えて砕いてしまえばディアボロスは死ぬ。ようやく一級指定三体目の討伐完了だ。
「キョウくん…」
呼びかけられて振り向くと、ジュナが周囲を不安げな表情で見つめている。
ピシッ…パキパキッ…
「このモヤ…なかなか晴れないね」
…バキンッ
「…ガハッ」
何かが崩れる音がした。そう感じた時には俺は激痛に襲われていた。今まで感じたことの無いほどの強い痛み。自分の腹を見て「そりゃそうだ」と思う。
貫かれていた。俺よりも一回り小さな腕が、俺の背から腹にかけて貫通していた。
「…ッ!!キョウくん!!」
ジュナの声が聞こえた。俺の名を呼ぶ声だ。ボヤける視界の中、必死な形相で俺の元に駆け寄るジュナの姿が見えた。
駄目だ。こっちに来るな。そう言いたいが、声がもう出ない。
「悪いね、僕ら一級指定に加護は効かないよ。耐性があるんだ。それなりのね。残念だったね」
薄れゆく意識の中、最後に聞いたのはディアボロスの声だった。
石化は見事に解かれていた。
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