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アダムとイヴの純愛(3)
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男性の容姿は綺麗なものでした。すらっとした長身に、品のいいスーツを着ていて、さらさらの黒髪と優しそうな顔立ち。恥ずかしながら、私が男性のことを気にしてしまうのは趣味が合うのかも? という期待以外に、その理想的な容姿もありました。
男性の白くて長い指が「メリーゴーランドの恋」を選んだ瞬間、いよいよ私の胸は高鳴ります。どうするの? それにするの? とてもいい映画だから、オススメですよ。
男性は暫く悩むそぶりを見せてから、ついにメリーゴーランドの恋を持って棚から離れていきます。私は男性の背中が見えなくなるまで、目で追ってしまいました。
それから私も、悩んだ末に「ばら色の日々」というタイトルの映画を借りました。ああ、今日はいい休日になりそうです。
学生の頃のクラスメートといい、今帰り道すがら目に入った地べたに集団で座り込んでいる男の子たちといい、現実の男の子って何であんなに下品なのかしら? やはり皆悪しきペニスに支配されているせいだわ。
でも、さっきメリーゴーランドの恋を借りていった人は素敵でした。まるで好きな映画に出てくる王子様のように、美しい男性。
通りすがりの君に一目惚れ。ええ、我ながら愚かなことだとは思います。空想を遊ばせながらスキップでアパート内の階段を上り、部屋へ戻りました。だって、どうせ二度と会うこともない人ですもの。実際はどうかなんて知りません。知りたくありません。
紅茶の準備をして、ティーポットとカップをテーブルに置きました。ポシェットの中からDVDが入った袋を取り出し、さっそくばら色の日々をプレーヤーにセットします。予告を眺めながら、カップに熱々の紅茶を注ぎました。湯気と一緒にダージリンが香ります。
ぼろを着た貧しそうな少女が街頭で花を売っていました。しかし人々は『お花はいりませんか?』と聞いてくる、少女の弱々しい声を無視して通り過ぎていきます。少女に同情して、花を買ってあげようとする人は誰もいませんでした。そのうち日が暮れて、カゴの中にたくさん残っている花たちを見ると、少女は『どうしましょう。これではまた父に殴られてしまう……』と、肩を落としました。
その時、たいへん身なりのいい男性が少女に近寄ってきて『お花、全部ください』と、金貨を一枚差し出したではありませんか。少女は感激して、花をカゴごと男性に渡しました。男性は笑顔で一言『ありがとう』と告げて、去っていきます。
少女は『いいえ、お礼を言いたいのはあたしの方です……!』と、男性の背中に向かって深々とお辞儀してから帰路につきました。
ここで、場面は変わって先程の男性が映されます。男性は馬車に乗り込み、どこかへ向かいました。やがてついたのは小さな家の前。馬車から降りて戸を叩けば、美人なのだけれど胸元を大きく開いたドレスが娼婦のような女性が現れて、男性を抱擁で迎えました。
そのまま二人は家の中へ入ります。男性が花で一杯のカゴを女性に渡すと、女性は微笑みながら
『まあ、どうしたの? このお花』
と、花弁を指で撫でて聞きました。真っ赤な薔薇の花。
『街でいかにも貧しそうな女の子が売っていたからさ、君への手土産にもいいし買ってきたんだ』
『あなたって、相変わらず優しいのね』
女性がベッドサイドのテーブルにカゴを置きました。花たち、特に薔薇がズームアップされていきます。そして、フェードアウトしていきました。
また場面が変わって、再びヒロインの貧しい少女が映されます。廃墟かと見紛うような家の窓辺で、頬杖をついて物思いに耽っているようでした。その途中で無精髭がぞっとするほど不潔な男がやってきて、少女の背後でお酒を飲みはじめました。
どうやら、これが父親のようです。あの男性から貰った少女の金貨で、お酒を買ってきたようでした。少女はそんな父親に一目もくれず、ただただ窓から夜空にきらめく星を眺めています。きっと、男性へ思いを懸けているのでしょう。
それから少女が街でお花を売っているところに、男性はたまに訪れてくるようになりました。以来、少女はよく笑うようになりました。たとえ酔った父親に殴られても、少女は幸せそうでした。
しかし男性と少女が恋愛関係になることはなく、時が経つと男性はあの女性と結婚してしまいました。男性は徐々に少女のところへ来なくなり、そのまま少女の恋は終わる――。
黒くなった画面にスタッフロールが流れて、エンディングテーマらしきピアノの音が暗く響きました。冷めた紅茶を啜ります。
悪くはなかったけれど……正直、よくもなかったかな。これは不憫な少女に訪れた束の間のばら色の日々を描くことによって、恋の素晴らしさを表現しているのでしょうけれど何だかリアリズム過ぎる。ベッドサイドに花を置くシーンなんて、汚らわしいものを感じてしまいました。
そう、この話には夢がないのです。結末なんて、まるで王子様などいないと言っているかのようです。ネガティブな物語。
ふと、脳裏にレンタルDVD屋さんで見かけた、あの男性がよぎります。私はそれを追い出すように頭を左右に振りました。そしてティーポットの中で冷えて苦くなっている紅茶を捨てて、新しい紅茶を淹れてから気を取り直そうと、お気に入りの少女漫画を読みはじめました。温かい恋のお話です。
しかし、紙面で幸せそうに恋愛を楽しんでいる睫毛の長い、巻き毛の少年少女を見守っていても、熱い紅茶を啜っても、どうしても気が逸れてしまいます。何度も頭に浮かぶ、ばら色の日々と「男性」。
漫画を読むのを止めて、少女小説にしても同じでした。ああ、やめて私の頭。せめて空想の世界では陶酔していたいのに。
ああだこうだと悩んでいるうちに夜になってしまいました。冷蔵庫の残り物を適当に調理して食べ、お風呂を沸かして入浴してから、さっさとベッドへと潜り込みました。
明日から、また慌ただしい現実がはじまるのです。
気づいたら、私はお花畑にいました。急なことに戸惑っていると、どこからともなくレンタルDVD屋さんのあの男性が色とりどりの花を掻き分けながらやってきて、私に微笑みかけてくれるではありませんか。
その表情の美しさにうっとりしていると、いきなり男性の肌が赤黒く変色して、体は着ていたスーツを破りながらどんどんよくわからない肉塊へと変形していきました。呆気に取られていると先端が亀の頭のような形をした、長い肉塊が私に巻きついてこようとするのです。
これは……何でしょう? 柔らかい皮の感触が気持ち悪いし、何だか変な臭いがします。……ああ、そうだわ思い出した。昔、保健の教科書に描かれていたアレ――。
絶叫を上げて、私は飛び起きました。ネグリジェが寝汗で肌にべったり張りついて、非常に不快です。目覚まし時計を見てみれば、まだ午前五時半。最悪の目覚めです。あの轟音に起こされた方がずっとマシでした。あんなおぞましい夢を見てしまうなんて、きっと今日は嫌な一日になるのでしょう。
それでも仕事へはいかなければなりません。目覚まし時計が鳴らないようにしてから、シャワーで汗を流しました。
夢のことを思い出しては、込み上げる吐き気を堪えます。体は綺麗になっても、心はまったくスッキリしません。まだ時間は充分にありますから少し休もうと、居間に戻りベッドで横になりました。
……本当は具合が悪いことを連絡して休みたいくらいでしたが、それで迷惑になるのも嫌味を言われるのもごめんです。何回か寝返りを打って、ぼうっとして、気がつけば七時。
のろのろとベッドから下りて着替えます。それからプレーヤーに放置していたDVDを通勤用のバッグに移し、アパートを出ました。
そして特に変わったことも起こらず、時間は過ぎていきます。
仕事帰り、レンタルDVD屋さんへいきました。ばら色の日々を返却してからあの棚を見てみましたが、めぼしい映画は見つかりませんでした。あの男性もいません。
それから幸いにも、あのような悪夢を見ることはもうありませんでした。
そのまま、日常を繰り返して一ヶ月が経ちました。
今日は雨が降っています。カーテンレールにハンガーで引っかけた複数の洗濯物を触って、着られるかどうか確認してみました。
天気予報を聞いて早いうちに室内で干していましたから、何とか大丈夫そうです。着替えてバッグを手に持ち、玄関のシューズボックスに立てかけていたコウモリ傘も持って、アパートを出ると出勤しました。
ビルに到着すると傘立てに傘を置いて、オフィスに向かいます。タイムカードを押してデスクにつき、いつもと変わらない一日がはじまろうとしていました。
よれよれのスーツを着て、お腹の出っ張った上司が入ってきます。私はこの上司、嫌いでした。だって雰囲気からしてだらしないし、下品な冗談をよく言います。それでからから笑う女子社員たちも信じられません。
そんな上司の後ろに、見慣れない若い男性が一人続いています。張りのある、上品なスーツを着ていました。
上司と男性が私たち社員の前へ横一列に並んで、上司が朝礼をはじめます。男性の顔をまともに見た瞬間、衝撃が走りました。
……まさか、こんなドラマチックな偶然がありうるのでしょうか? ああ、でも見覚えがあります。そのすらりとした長身、女性的に整った優しそうな顔立ち、さらさらの黒髪。線の細い、穏和そうな、童貞の匂いがする男の人。
上司が男性を手で示します。
「今日から新しい人が入るから、みんなよろしくしてやってくれ」
男性が透き通った声で言いました。
「伊藤夕司です。よろしくお願いします」
伊藤夕司、くん。
メリーゴーランドの恋を借りていった人とは人違いなのかしら? それともご本人? だとしたら、神様は意地悪です。
どうせなら、よりドラマチックにしてほしかった。伊藤くんらしき人を見かけた、あの休日の翌日などに会いたかったものです。無駄に一ヶ月も待たされたおかげで、果たしてメリーゴーランドの恋のあの人は伊藤くん本人なのかどうかいまいち確信が持てません。……現実はたとえドラマチックな偶然が起ころうとも、実際のドラマのようにはいかないものです。
男性の白くて長い指が「メリーゴーランドの恋」を選んだ瞬間、いよいよ私の胸は高鳴ります。どうするの? それにするの? とてもいい映画だから、オススメですよ。
男性は暫く悩むそぶりを見せてから、ついにメリーゴーランドの恋を持って棚から離れていきます。私は男性の背中が見えなくなるまで、目で追ってしまいました。
それから私も、悩んだ末に「ばら色の日々」というタイトルの映画を借りました。ああ、今日はいい休日になりそうです。
学生の頃のクラスメートといい、今帰り道すがら目に入った地べたに集団で座り込んでいる男の子たちといい、現実の男の子って何であんなに下品なのかしら? やはり皆悪しきペニスに支配されているせいだわ。
でも、さっきメリーゴーランドの恋を借りていった人は素敵でした。まるで好きな映画に出てくる王子様のように、美しい男性。
通りすがりの君に一目惚れ。ええ、我ながら愚かなことだとは思います。空想を遊ばせながらスキップでアパート内の階段を上り、部屋へ戻りました。だって、どうせ二度と会うこともない人ですもの。実際はどうかなんて知りません。知りたくありません。
紅茶の準備をして、ティーポットとカップをテーブルに置きました。ポシェットの中からDVDが入った袋を取り出し、さっそくばら色の日々をプレーヤーにセットします。予告を眺めながら、カップに熱々の紅茶を注ぎました。湯気と一緒にダージリンが香ります。
ぼろを着た貧しそうな少女が街頭で花を売っていました。しかし人々は『お花はいりませんか?』と聞いてくる、少女の弱々しい声を無視して通り過ぎていきます。少女に同情して、花を買ってあげようとする人は誰もいませんでした。そのうち日が暮れて、カゴの中にたくさん残っている花たちを見ると、少女は『どうしましょう。これではまた父に殴られてしまう……』と、肩を落としました。
その時、たいへん身なりのいい男性が少女に近寄ってきて『お花、全部ください』と、金貨を一枚差し出したではありませんか。少女は感激して、花をカゴごと男性に渡しました。男性は笑顔で一言『ありがとう』と告げて、去っていきます。
少女は『いいえ、お礼を言いたいのはあたしの方です……!』と、男性の背中に向かって深々とお辞儀してから帰路につきました。
ここで、場面は変わって先程の男性が映されます。男性は馬車に乗り込み、どこかへ向かいました。やがてついたのは小さな家の前。馬車から降りて戸を叩けば、美人なのだけれど胸元を大きく開いたドレスが娼婦のような女性が現れて、男性を抱擁で迎えました。
そのまま二人は家の中へ入ります。男性が花で一杯のカゴを女性に渡すと、女性は微笑みながら
『まあ、どうしたの? このお花』
と、花弁を指で撫でて聞きました。真っ赤な薔薇の花。
『街でいかにも貧しそうな女の子が売っていたからさ、君への手土産にもいいし買ってきたんだ』
『あなたって、相変わらず優しいのね』
女性がベッドサイドのテーブルにカゴを置きました。花たち、特に薔薇がズームアップされていきます。そして、フェードアウトしていきました。
また場面が変わって、再びヒロインの貧しい少女が映されます。廃墟かと見紛うような家の窓辺で、頬杖をついて物思いに耽っているようでした。その途中で無精髭がぞっとするほど不潔な男がやってきて、少女の背後でお酒を飲みはじめました。
どうやら、これが父親のようです。あの男性から貰った少女の金貨で、お酒を買ってきたようでした。少女はそんな父親に一目もくれず、ただただ窓から夜空にきらめく星を眺めています。きっと、男性へ思いを懸けているのでしょう。
それから少女が街でお花を売っているところに、男性はたまに訪れてくるようになりました。以来、少女はよく笑うようになりました。たとえ酔った父親に殴られても、少女は幸せそうでした。
しかし男性と少女が恋愛関係になることはなく、時が経つと男性はあの女性と結婚してしまいました。男性は徐々に少女のところへ来なくなり、そのまま少女の恋は終わる――。
黒くなった画面にスタッフロールが流れて、エンディングテーマらしきピアノの音が暗く響きました。冷めた紅茶を啜ります。
悪くはなかったけれど……正直、よくもなかったかな。これは不憫な少女に訪れた束の間のばら色の日々を描くことによって、恋の素晴らしさを表現しているのでしょうけれど何だかリアリズム過ぎる。ベッドサイドに花を置くシーンなんて、汚らわしいものを感じてしまいました。
そう、この話には夢がないのです。結末なんて、まるで王子様などいないと言っているかのようです。ネガティブな物語。
ふと、脳裏にレンタルDVD屋さんで見かけた、あの男性がよぎります。私はそれを追い出すように頭を左右に振りました。そしてティーポットの中で冷えて苦くなっている紅茶を捨てて、新しい紅茶を淹れてから気を取り直そうと、お気に入りの少女漫画を読みはじめました。温かい恋のお話です。
しかし、紙面で幸せそうに恋愛を楽しんでいる睫毛の長い、巻き毛の少年少女を見守っていても、熱い紅茶を啜っても、どうしても気が逸れてしまいます。何度も頭に浮かぶ、ばら色の日々と「男性」。
漫画を読むのを止めて、少女小説にしても同じでした。ああ、やめて私の頭。せめて空想の世界では陶酔していたいのに。
ああだこうだと悩んでいるうちに夜になってしまいました。冷蔵庫の残り物を適当に調理して食べ、お風呂を沸かして入浴してから、さっさとベッドへと潜り込みました。
明日から、また慌ただしい現実がはじまるのです。
気づいたら、私はお花畑にいました。急なことに戸惑っていると、どこからともなくレンタルDVD屋さんのあの男性が色とりどりの花を掻き分けながらやってきて、私に微笑みかけてくれるではありませんか。
その表情の美しさにうっとりしていると、いきなり男性の肌が赤黒く変色して、体は着ていたスーツを破りながらどんどんよくわからない肉塊へと変形していきました。呆気に取られていると先端が亀の頭のような形をした、長い肉塊が私に巻きついてこようとするのです。
これは……何でしょう? 柔らかい皮の感触が気持ち悪いし、何だか変な臭いがします。……ああ、そうだわ思い出した。昔、保健の教科書に描かれていたアレ――。
絶叫を上げて、私は飛び起きました。ネグリジェが寝汗で肌にべったり張りついて、非常に不快です。目覚まし時計を見てみれば、まだ午前五時半。最悪の目覚めです。あの轟音に起こされた方がずっとマシでした。あんなおぞましい夢を見てしまうなんて、きっと今日は嫌な一日になるのでしょう。
それでも仕事へはいかなければなりません。目覚まし時計が鳴らないようにしてから、シャワーで汗を流しました。
夢のことを思い出しては、込み上げる吐き気を堪えます。体は綺麗になっても、心はまったくスッキリしません。まだ時間は充分にありますから少し休もうと、居間に戻りベッドで横になりました。
……本当は具合が悪いことを連絡して休みたいくらいでしたが、それで迷惑になるのも嫌味を言われるのもごめんです。何回か寝返りを打って、ぼうっとして、気がつけば七時。
のろのろとベッドから下りて着替えます。それからプレーヤーに放置していたDVDを通勤用のバッグに移し、アパートを出ました。
そして特に変わったことも起こらず、時間は過ぎていきます。
仕事帰り、レンタルDVD屋さんへいきました。ばら色の日々を返却してからあの棚を見てみましたが、めぼしい映画は見つかりませんでした。あの男性もいません。
それから幸いにも、あのような悪夢を見ることはもうありませんでした。
そのまま、日常を繰り返して一ヶ月が経ちました。
今日は雨が降っています。カーテンレールにハンガーで引っかけた複数の洗濯物を触って、着られるかどうか確認してみました。
天気予報を聞いて早いうちに室内で干していましたから、何とか大丈夫そうです。着替えてバッグを手に持ち、玄関のシューズボックスに立てかけていたコウモリ傘も持って、アパートを出ると出勤しました。
ビルに到着すると傘立てに傘を置いて、オフィスに向かいます。タイムカードを押してデスクにつき、いつもと変わらない一日がはじまろうとしていました。
よれよれのスーツを着て、お腹の出っ張った上司が入ってきます。私はこの上司、嫌いでした。だって雰囲気からしてだらしないし、下品な冗談をよく言います。それでからから笑う女子社員たちも信じられません。
そんな上司の後ろに、見慣れない若い男性が一人続いています。張りのある、上品なスーツを着ていました。
上司と男性が私たち社員の前へ横一列に並んで、上司が朝礼をはじめます。男性の顔をまともに見た瞬間、衝撃が走りました。
……まさか、こんなドラマチックな偶然がありうるのでしょうか? ああ、でも見覚えがあります。そのすらりとした長身、女性的に整った優しそうな顔立ち、さらさらの黒髪。線の細い、穏和そうな、童貞の匂いがする男の人。
上司が男性を手で示します。
「今日から新しい人が入るから、みんなよろしくしてやってくれ」
男性が透き通った声で言いました。
「伊藤夕司です。よろしくお願いします」
伊藤夕司、くん。
メリーゴーランドの恋を借りていった人とは人違いなのかしら? それともご本人? だとしたら、神様は意地悪です。
どうせなら、よりドラマチックにしてほしかった。伊藤くんらしき人を見かけた、あの休日の翌日などに会いたかったものです。無駄に一ヶ月も待たされたおかげで、果たしてメリーゴーランドの恋のあの人は伊藤くん本人なのかどうかいまいち確信が持てません。……現実はたとえドラマチックな偶然が起ころうとも、実際のドラマのようにはいかないものです。
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