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4章
17歳 -火の極日1-
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この17年間、小さな怪我なら数え切れないぐらい負いましたし、大怪我と呼べそうな怪我だって負った事があります。ただそれらの時、三太郎さんは私の中だったり外だったり状況によりまちまちでしたが、直ぐ傍にいてくれた事は確かです。今回のように三太郎さんの全員が私から離れている時に怪我をしたのは初めてで、出血を感知する能力が三太郎さんにあるなんて、今の今まで当人である私や三太郎さんも知りませんでした。もしかしたらこの能力は、三太郎さんが一般的な精霊から神様未満へとランクアップした事が原因なのかもしれませんが、それを確かめる術はありません。
いえ、正確には母上に怪我をしてもらって二幸彦さんが感知できるかどうかで検証できるとは思いますが、母上には例え小さな怪我であってもしてほしくはありません。それに重要なのは三太郎さんが私の血を感知する事が出来るということです。
<でー えぬ えー……ですか??>
DNA、正式名所はデオキシリボ核酸。遠い昔、理科で習った……ような気がします、たぶん。当時から理系は苦手教科だったので、詳しい説明は記憶フレームで確認してからにしたいところですが、今はまだ寝るような時間じゃありません。当然ではありますがコチラの世界では存在しない単語なのでイメージが伝わらず、浦さんは微妙な発音で「でーえぬえー?」と首を傾げています。
……私の発音が微妙というオチじゃないよね?
<すっごく雑な説明をすると、前世では色々な個人鑑定の方法があったんだけど、
その中でも精度が高い鑑定方法にDNA鑑定ってのがあったの>
<そのでーえぬえーというのが血に含まれているのですか?>
<血だけじゃなくて、唾液とか髪の毛とか皮膚片からも採取できるよ。
ついでにいえば人間だけじゃなく、動物や植物にだってDNAはあるし>
浦さんの質問に答えていきますが、これ以上踏み込まれると答えられなくなりそうで、必死に理科の授業を思い返します。ちなみに血液で話を進めていますが、DNAが血液以外からも採取できる事は解っています。ただイメージの問題で霊石+毛髪等は浸透させにくそうで……。
<不思議なもんじゃなぁ。でーえぬえーの何で個人が特定できるのじゃろ??>
龍さん、ごめん。これ以上は無理です。
<専門的に習った訳じゃないから、詳しくは私も解らないよ、ごめんね。
ただDNAというのは遺伝情報で、生命の設計図とか言われてたかな。
足が速いDNAとか、怒りっぽい性格のDNAとかもあるらしいよ>
<ふむ。いでん?とやらの情報が何を指すのかは解らんが、面白いものじゃな。
ならば足が速くて力も強く、泳ぎも達者。しかも算術も歌も得意とかいう
でーえぬえーを作り出せば超人が完成するのじゃろうか?>
何に興味を惹かれたのかはわからないけれど、龍さんが目をキラキラとさせながらそんな事を言い出しました。
<ついでに美形っていう遺伝子も足したら完璧超人になるね。
ただ遺伝子を組み合わせたり操作するなんて、神様の領域だよ。
前世でも研究のために手を出した学者さんはいたけれど、
世間一般的には忌避されていた印象だったかな>
スーパーに行けば「大豆(遺伝子組み換えではない)」なんて成分表に書いてある商品が多々あったように思うし、やっぱり忌避感は強かったんだと思います。人工授粉による交配なんかは昔から行われていたので、やはりネックは人為的な交配ではなく遺伝子を扱うということだったんだろうなと。
生命の設計図を改造するなんて、確かに神の御業にして神の領域です。
……龍さんが「儂、神なんじゃが?」って言い出さなくて本当に良かった。
結局、昨日は血液を霊石にどうやって浸透させるかという段階で進捗が止まってしまいました。普通の鉱石なら金さんの意見を参考に出来るのですが、霊石となるとちょっと勝手が違います。また霊石であっても使用者を認識するだけなら、既存の技術を応用してもう実用化しています。私が水の大妖退治の時に使った「爆炎」の技能が籠められた火緋色金は、コマンドワードという発動条件が設定されていました。
その技術を用いて緋桐さんが持つ精霊剣には、個人識別機能を付けたのです。
緋桐さんの精霊剣は作る際に、三太郎さんから「緋桐さん以外は使えないようにする」という条件が出されていて、剣を鞘から抜く時と浄化の霊力を発動する際にはコマンドワードが必要になるように設定したのです。鞘の一部に極小サイズの震鎮鉄が使われていて、コマンドワードで変形してロックが外れる仕組みです。どんな言葉を登録しているのかは、私も知りません。知っているのは緋桐さん本人と三太郎さんのみです。ちなみに緋桐さんが悪行を重ねた場合の拒否機能に関しては、緋桐さんの守護精霊に取り上げてもらうという事で渋々ではありますが納得してもらえました。
ただこの技術はあくまでも使用者の認識であって、声を届ける相手の認識には使えません。なので試行錯誤して正解を導き出すしかないのですが、こんな重要で集中したい時に限って上陸作業に取り掛からなくてはなりません。私同様に部屋にこもって研究を続けていた茴香殿下も流石にこの時ばかりは部屋から出てきて、荷物を甲板へ運び出す作業の手伝いをしてくれています。
そんな殿下や母上たちには、マガツ大陸に住む人々の事はあらかじめ伝えてあります。具体的には肌の色が私達とは大きく違う事や、文化や風習なんかが違う事などです。例えば名前の付け方1つとってもかなり独特で、「白い貝」や「青い小魚」なんて名は私達からすれば名前と認識できないぐらい独特です。
以前のマガツ大陸は上陸が困難なほどに脆い大地でしたが、私達がアマツ大陸に戻る前に人が住む周辺地域だけは頑丈にしておきました。大陸全部を強固にするほどの霊力は使えませんでしたし、パナマ運河方式で船を内陸へと移動させる運河すら作れていません。それでも船の離発着ができるように、小さな港は作りました。その港に船が滑り込みます。どうやら私達の船が来た事に気付いた人がいたようで、港には青の部族も赤の部族も全員が揃っているんじゃないかと思うほどの人で溢れていました。私が船から下りた途端、その中から小さな影が飛び出してきて
「しゃーーーら!!!」
と大声で名前を呼びながら私へと飛び込んできました。突然の事に私の横にいた叔父上が一瞬身構えましたが、相手が小さな子供だと解るとその緊張を解きます。何より三太郎さんが全く警戒していない事も安心材料だったようです。
「青藍! 元気だった? ちゃんとご飯は食べられている??」
「たべてる! あと いっぱい べんきょーもした!」
「うん、青藍はえらいねぇ」
髪の毛の無いつるつるの頭を優しく撫でると、青藍は嬉しさ半分照れくささ半分といった表情で「えへへ」と笑います。そのまま港に集まった人たちへと視線を移せば、見える範囲ではありますが全員が以前に比べて明るい表情ですし、やせ細っていた人たちもそれなりの体格へとなっています。
どうやら別れ際の金さんの脅しが効いたようで、部族間抗争は起きていないようです。あの頃は何かにつけて空気がギスギスとしていて、私の精神にもダメージが来ていました。そんな刺々しい空気を感じないのは、本当に気が楽で助かります。
母上や叔父上や茴香殿下は流石で、明らかに自分たちとは違う肌を持つ人々を見ても顔色を変えるどころか眉1つ動かしません。事前に伝えてあったとはいえここまでポーカーフェイスができるなんて、王族&宮家として受けた教育の高さが伺えます。私なんて青藍と初めて会った時は目をそらしちゃったし……ってアレは青藍が全裸だったからだわ……。
その後、叔父上と茴香殿下は青の部族代表の「白い貝」さんと、赤の部族代表の「六連星の一」さんと一緒に町にある施設の視察へと向かいました。初めて取った食料を名前とする青の部族と違って、赤の部族は初めて猟に成功した日を成人とし、その成人した日の空で一番輝いていた星を名前にするんだそうです。六連星というのが星座を表していて、その中で一番輝いている星というのが部族長の名前の意味です。ちなみに同日に獲物を捕まえた人が別にいた場合、獲物の価値で順位が決められて「◯◯の二」という名前になるんだとか。
施設の霊石に霊力の補充をしてもらうという建前もありますが、白い貝さんにはちょっと思うところがあるので金さんと浦さんにも同行してもらいます。流石に「弱い子供は死ぬのが当たり前」なんて考えはもう改めてくれているとは思いますが、頑固そうな雰囲気があったので念の為……です。
そして私と母上、そして橡は青の部族の女性代表の「青い小魚」さんと赤の部族の女性代表の「投網星の二」さんと一緒に、畑や共同浴場・食堂の視察へと向かいました。桃さんや龍さん、それに二幸彦さんも一緒に見て回りましたが、ざっと確認した感じ問題は起こっていないようです。もともと女性たちは子育ての関係から集団で過ごすことが多くて協調的でしたが、それでも水と火の部族という別部族が一緒に暮らす事に若干の不安がありました。どうやらその不安は取り越し苦労だったようで、ホッと胸をなでおろします。
「これはまた……、随分と大規模なものを……」
一緒に見て回っていた山さんがそう零すぐらいには町は広く、畑はもっともっと広大です。最初に作った居住地は少し内陸に入ったところにあるのですが、そこから畑をどんどんと海側へと広げていき、最後に港を作ったのです。なのでこのあたりもかなり外れではありますが、結界の中に収まっています。
ただこれだけ広大でも、アマツ大陸中の人を助けるには足りません。そこを山さんと海さんの力でどうにかフォローして欲しいのです。
「先達の頼みなので努力はしますが、
あなたの望むだけの量を作るとなると、実現できるかどうか解りませんよ」
「うん、むしろ無理はしないで欲しい。
山さんと海さんが出来る範囲で、この地と海を豊かにしてほしいの」
二幸彦さんの一番大事な、そして本来の仕事は母上の守護です。
アマツ大陸の人々の為に支援物資を少しでもたくさん作り上げて欲しいとは思いますが、その所為で母上に何かがあった場合、自分を一番許せないと思うのと同時に、八つ当たりなのは百も承知でアマツ大陸の人々を恨んでしまうと思います。そうはなりたくありません。なので頼むのはあくまでも「できる範囲」です。
その後、私は火の極日が終わる前日まで船と町とを往復する日々を続けました。昼は町で青藍をはじめとした子供たちに文字や計算を教え、夜は船に戻って霊石に血液を融合させる研究をする日々はハードワークではありましたが、ここが正念場だということは解っていたので踏ん張りどころでもありました。
そんなある日。
「何故、我が国は駄目でここは良いのか……」
夕食後、船室へと戻って研究の続きをしようとした私と茴香殿下でしたが、ポツリと殿下がこぼした声に申し訳無さでいっぱいになります。でもココは人が生きていくには厳しすぎますし、かといって青や赤の部族の人々をアマツ大陸に連れていけば確実に軋轢を生みます。
なのでこの地の霊石を使った施設は人が生きていけるだけの環境を整えるまでの緊急措置で、その環境が整え終わったら少しずつ霊石に依存している施設や住環境は変えていく予定です。なにせ霊石の霊力補充問題はコチラの大陸でも適応されますし、大社や神社がない上に精霊が居ないマガツ大陸では解決方法すら思いつきません。
「いや、すまない。精霊様方にお考えがあっての事だって事は理解しているよ」
項垂れてしまった私に、バツが悪そうな声で茴香殿下が謝ります。それに小さく「うん」と返事をしますが、茴香殿下の気持ちはよく解ります。それに何かと恩もありますし、何かお返し出来る事があれば良いのに……。
忙しい日々は容赦なく私の時間を奪い去っていき、灼熱の火の極日も明日には終わりを告げます。そして私の足元にはヒクッヒクッと盛大にしゃくり上げながら涙を流す青藍がいます。その横には青の部族の子供2名と、赤の部族の子供6名もいてその子どもたちに囲まれてしまって全く動けません。
「しゃーらぁぁあーーーー」
「ほら、泣かないの。また来るから……ね?」
しゃがんで青藍を抱きしめてあげるのですが、一向に泣き止む気配がありません。今日はアマツ大陸へと戻る日なのですが、前回同様別れを嫌がる青藍が泣いて泣いて……。他の子供達までつられてしまったのか、大声で泣き出す始末。それだけ慕われているのだと思うと擽ったい気持ちになりますが、だからといって出港を取りやめにすることはできません。
「ちゃんと私は約束を守ったでしょ??
次も約束を守って、また来るから……ね?」
赤と青の両部族の中から、今日の子育て当番らしい女性たちが子どもたちをなだめて手を引き、私から少し離れさせました。
「やくしょく……だかーね!!」
「うん、約束ね」
涙を流す目をしっかりと開け、への字口で嗚咽を堪らえようとする青藍がいじらしくて仕方がありません。もし年の離れた弟が居たら、こういう感じなのかなぁ??
そんな子どもたちの後方では母上と叔父上が心配そうにこちらを見ていました。三太郎さんや龍さんと一緒だから安心だと理屈では解っていても、それでも心配になるのが親なのだと母上が昨晩言っていたことを思い出します。そんな母上たちには笑顔で「行ってきます!」と伝えます。少しでも安心してもらえるように。
本来の予定では私と殿下だけがアマツ大陸に戻る予定だったのですが、母上たちの強い進めで橡も戻ることになりました。私も殿下も研究のために部屋にこもったら平気で食事を抜いてしまうので、その対策だそうです。
注意自体は三太郎さんがしてくれますが、食事の準備を三太郎さんにさせる訳にはいきません。なのでその申し出は私にとってもありがたく、おかげで帰りの船路は私も殿下も研究三昧の日々を過ごしました。橡一人では大変なのは解っているので、極力手伝うようにはしていましたが、それでも気がつけば数時間過ぎているなんて事もザラで、最終的には補助に入ってくれている浦さんに1時間おきの時報をお願いする事になりました。
試行錯誤すること30と数日目。船旅も終わりに近づいた頃、ようやく霊石に血を融合させるということができるようになりました。正確には血に含まれるその人の霊力情報を浸透させるのですが、1つだけ問題がありました。
4種の精霊石に私の血を浸透させ、その霊石をあしらったイヤーカフを左耳に付けたところ、精霊が使う心話と同じように同時に三太郎さんと龍さんに対して心話を飛ばすことができるようになったのです。
ところが何度やっても橡には心話が届かず……。たどり着いた推論が、心話を届けたい相手の守護精霊の力を籠めた霊石が必要なのかもしれないということでした。その推論が正しいのかどうかは、アマツ大陸に戻ってから山吹か兄上の守護精霊を呼び出して貰って、霊石に霊力を籠めてもらって試す必要があります。
同じ頃、茴香殿下も金さんや桃さんの手を借りてモールス信号もどきの開発に成功しました。双子石の性質を増幅させるのではなく、発した信号を増幅させるという手段を見つけたのだそうです。
なんでも陶器の原料の粘土に特定の割合である金属を混ぜ、その中に双子石の片方を複数入れておくと石同士が信号を増幅しあい、それを陶器が波長を整えてもう一つの石へと届けるのだそうです。陶器といえばヤマト国の文化ですし、金さんと桃さんがいれば簡単に作ることもできます。
それが出来たときには、三太郎さんたちも含む全員で乾杯!と僅かずつですがお酒で祝杯を上げてしまいました。
ただ、そんな浮かれた気持ちはそこまででした……。
アマツ大陸に近づけば近づくほど海は荒れ、空には暗雲の割合が増えていきます。浦さんや龍さんがいるおかげで船の運行に問題はありませんが、海鳴りが常に鳴り響いていて否が応でもタイムリミットが近いのだと解ります。
土の神と対峙する。
私は退治ではなく対峙で良いと龍さんは言っていましたが、それでも不安になります。世界の僅かな変化すら許せない土の神はこの世界にとっては害悪……とまでは言いたくありませんが、そのままでは滅びの道を進むしかありません。それをなんとかする手段は神でないと無理で、そのために三太郎さんたちも大変な思いをしてきました。
そんな場所に私が行っても、足手まといになるの必至じゃ?と思うのですが、私という存在が変革の鍵となるらしく……。
(怖いな……)
そう思うのは仕方がないと思うのです。大昔に起きた神々の闘争は世界を滅ぼしかけたのです。そんなのに巻き込まれて無事でいられる気がしません。
思えばいつの間にか前世の享年と同じ年になっていて、来年の今頃には2回目の何歳なんて言えなくなります。
そう思い至った途端、
(……私は……、私は18歳を迎える事ができるのかな……)
と心の奥深くに隠していて不安がひょっこりと浮上してしまいました。
転生したのではなく転移したのだと判明したあと、私の中に18歳を迎えられないかもしれないという不安が芽生えました。ただその疑念を母上たちや三太郎さんに相談する事は躊躇われ、見ないふりして心の奥深くに隠してきました。それこそ私の心の中に入ってくる三太郎さんに気づかれないぐらい、心の奥底にしまい込んだのです。
叔父上が仮死状態になった時、人の命は巡るものだと、それが人の運命なのだと三太郎さんや龍さんは言いました。私はそれを認めたくなくて、色々と強引な手を使ったという自覚はあります。ただ強引とはいえソレが可能だったのは、叔父上がこの世界の人だからです。正確には三太郎さんや龍さんの力が及ぶ範囲内に叔父上がいたからです。
ですが、私は違います。
私の魂は地球産で、三太郎さんや龍さんの管轄外の魂です。じゃぁ何故この世界に来ることができたのか、しかも赤ん坊の姿になって異世界に転移してきたのか、そのあたりの事情を私はまだ聞けていません。叔父上が目覚めたあと、龍さんから聞く予定だったのですが、私が高熱を出して寝込んでしまったり、ヒノモト国へ急行する必要があったりと予定が立て込んでしまって……。
……という言い分は、自分を誤魔化しているだけだと流石に解っています。
ただ、後1年も生きられないと突きつけられたらと思うと怖くて……。
立ち込める暗雲は空だけでなく、私の心にも湧き上がってくるのでした。
いえ、正確には母上に怪我をしてもらって二幸彦さんが感知できるかどうかで検証できるとは思いますが、母上には例え小さな怪我であってもしてほしくはありません。それに重要なのは三太郎さんが私の血を感知する事が出来るということです。
<でー えぬ えー……ですか??>
DNA、正式名所はデオキシリボ核酸。遠い昔、理科で習った……ような気がします、たぶん。当時から理系は苦手教科だったので、詳しい説明は記憶フレームで確認してからにしたいところですが、今はまだ寝るような時間じゃありません。当然ではありますがコチラの世界では存在しない単語なのでイメージが伝わらず、浦さんは微妙な発音で「でーえぬえー?」と首を傾げています。
……私の発音が微妙というオチじゃないよね?
<すっごく雑な説明をすると、前世では色々な個人鑑定の方法があったんだけど、
その中でも精度が高い鑑定方法にDNA鑑定ってのがあったの>
<そのでーえぬえーというのが血に含まれているのですか?>
<血だけじゃなくて、唾液とか髪の毛とか皮膚片からも採取できるよ。
ついでにいえば人間だけじゃなく、動物や植物にだってDNAはあるし>
浦さんの質問に答えていきますが、これ以上踏み込まれると答えられなくなりそうで、必死に理科の授業を思い返します。ちなみに血液で話を進めていますが、DNAが血液以外からも採取できる事は解っています。ただイメージの問題で霊石+毛髪等は浸透させにくそうで……。
<不思議なもんじゃなぁ。でーえぬえーの何で個人が特定できるのじゃろ??>
龍さん、ごめん。これ以上は無理です。
<専門的に習った訳じゃないから、詳しくは私も解らないよ、ごめんね。
ただDNAというのは遺伝情報で、生命の設計図とか言われてたかな。
足が速いDNAとか、怒りっぽい性格のDNAとかもあるらしいよ>
<ふむ。いでん?とやらの情報が何を指すのかは解らんが、面白いものじゃな。
ならば足が速くて力も強く、泳ぎも達者。しかも算術も歌も得意とかいう
でーえぬえーを作り出せば超人が完成するのじゃろうか?>
何に興味を惹かれたのかはわからないけれど、龍さんが目をキラキラとさせながらそんな事を言い出しました。
<ついでに美形っていう遺伝子も足したら完璧超人になるね。
ただ遺伝子を組み合わせたり操作するなんて、神様の領域だよ。
前世でも研究のために手を出した学者さんはいたけれど、
世間一般的には忌避されていた印象だったかな>
スーパーに行けば「大豆(遺伝子組み換えではない)」なんて成分表に書いてある商品が多々あったように思うし、やっぱり忌避感は強かったんだと思います。人工授粉による交配なんかは昔から行われていたので、やはりネックは人為的な交配ではなく遺伝子を扱うということだったんだろうなと。
生命の設計図を改造するなんて、確かに神の御業にして神の領域です。
……龍さんが「儂、神なんじゃが?」って言い出さなくて本当に良かった。
結局、昨日は血液を霊石にどうやって浸透させるかという段階で進捗が止まってしまいました。普通の鉱石なら金さんの意見を参考に出来るのですが、霊石となるとちょっと勝手が違います。また霊石であっても使用者を認識するだけなら、既存の技術を応用してもう実用化しています。私が水の大妖退治の時に使った「爆炎」の技能が籠められた火緋色金は、コマンドワードという発動条件が設定されていました。
その技術を用いて緋桐さんが持つ精霊剣には、個人識別機能を付けたのです。
緋桐さんの精霊剣は作る際に、三太郎さんから「緋桐さん以外は使えないようにする」という条件が出されていて、剣を鞘から抜く時と浄化の霊力を発動する際にはコマンドワードが必要になるように設定したのです。鞘の一部に極小サイズの震鎮鉄が使われていて、コマンドワードで変形してロックが外れる仕組みです。どんな言葉を登録しているのかは、私も知りません。知っているのは緋桐さん本人と三太郎さんのみです。ちなみに緋桐さんが悪行を重ねた場合の拒否機能に関しては、緋桐さんの守護精霊に取り上げてもらうという事で渋々ではありますが納得してもらえました。
ただこの技術はあくまでも使用者の認識であって、声を届ける相手の認識には使えません。なので試行錯誤して正解を導き出すしかないのですが、こんな重要で集中したい時に限って上陸作業に取り掛からなくてはなりません。私同様に部屋にこもって研究を続けていた茴香殿下も流石にこの時ばかりは部屋から出てきて、荷物を甲板へ運び出す作業の手伝いをしてくれています。
そんな殿下や母上たちには、マガツ大陸に住む人々の事はあらかじめ伝えてあります。具体的には肌の色が私達とは大きく違う事や、文化や風習なんかが違う事などです。例えば名前の付け方1つとってもかなり独特で、「白い貝」や「青い小魚」なんて名は私達からすれば名前と認識できないぐらい独特です。
以前のマガツ大陸は上陸が困難なほどに脆い大地でしたが、私達がアマツ大陸に戻る前に人が住む周辺地域だけは頑丈にしておきました。大陸全部を強固にするほどの霊力は使えませんでしたし、パナマ運河方式で船を内陸へと移動させる運河すら作れていません。それでも船の離発着ができるように、小さな港は作りました。その港に船が滑り込みます。どうやら私達の船が来た事に気付いた人がいたようで、港には青の部族も赤の部族も全員が揃っているんじゃないかと思うほどの人で溢れていました。私が船から下りた途端、その中から小さな影が飛び出してきて
「しゃーーーら!!!」
と大声で名前を呼びながら私へと飛び込んできました。突然の事に私の横にいた叔父上が一瞬身構えましたが、相手が小さな子供だと解るとその緊張を解きます。何より三太郎さんが全く警戒していない事も安心材料だったようです。
「青藍! 元気だった? ちゃんとご飯は食べられている??」
「たべてる! あと いっぱい べんきょーもした!」
「うん、青藍はえらいねぇ」
髪の毛の無いつるつるの頭を優しく撫でると、青藍は嬉しさ半分照れくささ半分といった表情で「えへへ」と笑います。そのまま港に集まった人たちへと視線を移せば、見える範囲ではありますが全員が以前に比べて明るい表情ですし、やせ細っていた人たちもそれなりの体格へとなっています。
どうやら別れ際の金さんの脅しが効いたようで、部族間抗争は起きていないようです。あの頃は何かにつけて空気がギスギスとしていて、私の精神にもダメージが来ていました。そんな刺々しい空気を感じないのは、本当に気が楽で助かります。
母上や叔父上や茴香殿下は流石で、明らかに自分たちとは違う肌を持つ人々を見ても顔色を変えるどころか眉1つ動かしません。事前に伝えてあったとはいえここまでポーカーフェイスができるなんて、王族&宮家として受けた教育の高さが伺えます。私なんて青藍と初めて会った時は目をそらしちゃったし……ってアレは青藍が全裸だったからだわ……。
その後、叔父上と茴香殿下は青の部族代表の「白い貝」さんと、赤の部族代表の「六連星の一」さんと一緒に町にある施設の視察へと向かいました。初めて取った食料を名前とする青の部族と違って、赤の部族は初めて猟に成功した日を成人とし、その成人した日の空で一番輝いていた星を名前にするんだそうです。六連星というのが星座を表していて、その中で一番輝いている星というのが部族長の名前の意味です。ちなみに同日に獲物を捕まえた人が別にいた場合、獲物の価値で順位が決められて「◯◯の二」という名前になるんだとか。
施設の霊石に霊力の補充をしてもらうという建前もありますが、白い貝さんにはちょっと思うところがあるので金さんと浦さんにも同行してもらいます。流石に「弱い子供は死ぬのが当たり前」なんて考えはもう改めてくれているとは思いますが、頑固そうな雰囲気があったので念の為……です。
そして私と母上、そして橡は青の部族の女性代表の「青い小魚」さんと赤の部族の女性代表の「投網星の二」さんと一緒に、畑や共同浴場・食堂の視察へと向かいました。桃さんや龍さん、それに二幸彦さんも一緒に見て回りましたが、ざっと確認した感じ問題は起こっていないようです。もともと女性たちは子育ての関係から集団で過ごすことが多くて協調的でしたが、それでも水と火の部族という別部族が一緒に暮らす事に若干の不安がありました。どうやらその不安は取り越し苦労だったようで、ホッと胸をなでおろします。
「これはまた……、随分と大規模なものを……」
一緒に見て回っていた山さんがそう零すぐらいには町は広く、畑はもっともっと広大です。最初に作った居住地は少し内陸に入ったところにあるのですが、そこから畑をどんどんと海側へと広げていき、最後に港を作ったのです。なのでこのあたりもかなり外れではありますが、結界の中に収まっています。
ただこれだけ広大でも、アマツ大陸中の人を助けるには足りません。そこを山さんと海さんの力でどうにかフォローして欲しいのです。
「先達の頼みなので努力はしますが、
あなたの望むだけの量を作るとなると、実現できるかどうか解りませんよ」
「うん、むしろ無理はしないで欲しい。
山さんと海さんが出来る範囲で、この地と海を豊かにしてほしいの」
二幸彦さんの一番大事な、そして本来の仕事は母上の守護です。
アマツ大陸の人々の為に支援物資を少しでもたくさん作り上げて欲しいとは思いますが、その所為で母上に何かがあった場合、自分を一番許せないと思うのと同時に、八つ当たりなのは百も承知でアマツ大陸の人々を恨んでしまうと思います。そうはなりたくありません。なので頼むのはあくまでも「できる範囲」です。
その後、私は火の極日が終わる前日まで船と町とを往復する日々を続けました。昼は町で青藍をはじめとした子供たちに文字や計算を教え、夜は船に戻って霊石に血液を融合させる研究をする日々はハードワークではありましたが、ここが正念場だということは解っていたので踏ん張りどころでもありました。
そんなある日。
「何故、我が国は駄目でここは良いのか……」
夕食後、船室へと戻って研究の続きをしようとした私と茴香殿下でしたが、ポツリと殿下がこぼした声に申し訳無さでいっぱいになります。でもココは人が生きていくには厳しすぎますし、かといって青や赤の部族の人々をアマツ大陸に連れていけば確実に軋轢を生みます。
なのでこの地の霊石を使った施設は人が生きていけるだけの環境を整えるまでの緊急措置で、その環境が整え終わったら少しずつ霊石に依存している施設や住環境は変えていく予定です。なにせ霊石の霊力補充問題はコチラの大陸でも適応されますし、大社や神社がない上に精霊が居ないマガツ大陸では解決方法すら思いつきません。
「いや、すまない。精霊様方にお考えがあっての事だって事は理解しているよ」
項垂れてしまった私に、バツが悪そうな声で茴香殿下が謝ります。それに小さく「うん」と返事をしますが、茴香殿下の気持ちはよく解ります。それに何かと恩もありますし、何かお返し出来る事があれば良いのに……。
忙しい日々は容赦なく私の時間を奪い去っていき、灼熱の火の極日も明日には終わりを告げます。そして私の足元にはヒクッヒクッと盛大にしゃくり上げながら涙を流す青藍がいます。その横には青の部族の子供2名と、赤の部族の子供6名もいてその子どもたちに囲まれてしまって全く動けません。
「しゃーらぁぁあーーーー」
「ほら、泣かないの。また来るから……ね?」
しゃがんで青藍を抱きしめてあげるのですが、一向に泣き止む気配がありません。今日はアマツ大陸へと戻る日なのですが、前回同様別れを嫌がる青藍が泣いて泣いて……。他の子供達までつられてしまったのか、大声で泣き出す始末。それだけ慕われているのだと思うと擽ったい気持ちになりますが、だからといって出港を取りやめにすることはできません。
「ちゃんと私は約束を守ったでしょ??
次も約束を守って、また来るから……ね?」
赤と青の両部族の中から、今日の子育て当番らしい女性たちが子どもたちをなだめて手を引き、私から少し離れさせました。
「やくしょく……だかーね!!」
「うん、約束ね」
涙を流す目をしっかりと開け、への字口で嗚咽を堪らえようとする青藍がいじらしくて仕方がありません。もし年の離れた弟が居たら、こういう感じなのかなぁ??
そんな子どもたちの後方では母上と叔父上が心配そうにこちらを見ていました。三太郎さんや龍さんと一緒だから安心だと理屈では解っていても、それでも心配になるのが親なのだと母上が昨晩言っていたことを思い出します。そんな母上たちには笑顔で「行ってきます!」と伝えます。少しでも安心してもらえるように。
本来の予定では私と殿下だけがアマツ大陸に戻る予定だったのですが、母上たちの強い進めで橡も戻ることになりました。私も殿下も研究のために部屋にこもったら平気で食事を抜いてしまうので、その対策だそうです。
注意自体は三太郎さんがしてくれますが、食事の準備を三太郎さんにさせる訳にはいきません。なのでその申し出は私にとってもありがたく、おかげで帰りの船路は私も殿下も研究三昧の日々を過ごしました。橡一人では大変なのは解っているので、極力手伝うようにはしていましたが、それでも気がつけば数時間過ぎているなんて事もザラで、最終的には補助に入ってくれている浦さんに1時間おきの時報をお願いする事になりました。
試行錯誤すること30と数日目。船旅も終わりに近づいた頃、ようやく霊石に血を融合させるということができるようになりました。正確には血に含まれるその人の霊力情報を浸透させるのですが、1つだけ問題がありました。
4種の精霊石に私の血を浸透させ、その霊石をあしらったイヤーカフを左耳に付けたところ、精霊が使う心話と同じように同時に三太郎さんと龍さんに対して心話を飛ばすことができるようになったのです。
ところが何度やっても橡には心話が届かず……。たどり着いた推論が、心話を届けたい相手の守護精霊の力を籠めた霊石が必要なのかもしれないということでした。その推論が正しいのかどうかは、アマツ大陸に戻ってから山吹か兄上の守護精霊を呼び出して貰って、霊石に霊力を籠めてもらって試す必要があります。
同じ頃、茴香殿下も金さんや桃さんの手を借りてモールス信号もどきの開発に成功しました。双子石の性質を増幅させるのではなく、発した信号を増幅させるという手段を見つけたのだそうです。
なんでも陶器の原料の粘土に特定の割合である金属を混ぜ、その中に双子石の片方を複数入れておくと石同士が信号を増幅しあい、それを陶器が波長を整えてもう一つの石へと届けるのだそうです。陶器といえばヤマト国の文化ですし、金さんと桃さんがいれば簡単に作ることもできます。
それが出来たときには、三太郎さんたちも含む全員で乾杯!と僅かずつですがお酒で祝杯を上げてしまいました。
ただ、そんな浮かれた気持ちはそこまででした……。
アマツ大陸に近づけば近づくほど海は荒れ、空には暗雲の割合が増えていきます。浦さんや龍さんがいるおかげで船の運行に問題はありませんが、海鳴りが常に鳴り響いていて否が応でもタイムリミットが近いのだと解ります。
土の神と対峙する。
私は退治ではなく対峙で良いと龍さんは言っていましたが、それでも不安になります。世界の僅かな変化すら許せない土の神はこの世界にとっては害悪……とまでは言いたくありませんが、そのままでは滅びの道を進むしかありません。それをなんとかする手段は神でないと無理で、そのために三太郎さんたちも大変な思いをしてきました。
そんな場所に私が行っても、足手まといになるの必至じゃ?と思うのですが、私という存在が変革の鍵となるらしく……。
(怖いな……)
そう思うのは仕方がないと思うのです。大昔に起きた神々の闘争は世界を滅ぼしかけたのです。そんなのに巻き込まれて無事でいられる気がしません。
思えばいつの間にか前世の享年と同じ年になっていて、来年の今頃には2回目の何歳なんて言えなくなります。
そう思い至った途端、
(……私は……、私は18歳を迎える事ができるのかな……)
と心の奥深くに隠していて不安がひょっこりと浮上してしまいました。
転生したのではなく転移したのだと判明したあと、私の中に18歳を迎えられないかもしれないという不安が芽生えました。ただその疑念を母上たちや三太郎さんに相談する事は躊躇われ、見ないふりして心の奥深くに隠してきました。それこそ私の心の中に入ってくる三太郎さんに気づかれないぐらい、心の奥底にしまい込んだのです。
叔父上が仮死状態になった時、人の命は巡るものだと、それが人の運命なのだと三太郎さんや龍さんは言いました。私はそれを認めたくなくて、色々と強引な手を使ったという自覚はあります。ただ強引とはいえソレが可能だったのは、叔父上がこの世界の人だからです。正確には三太郎さんや龍さんの力が及ぶ範囲内に叔父上がいたからです。
ですが、私は違います。
私の魂は地球産で、三太郎さんや龍さんの管轄外の魂です。じゃぁ何故この世界に来ることができたのか、しかも赤ん坊の姿になって異世界に転移してきたのか、そのあたりの事情を私はまだ聞けていません。叔父上が目覚めたあと、龍さんから聞く予定だったのですが、私が高熱を出して寝込んでしまったり、ヒノモト国へ急行する必要があったりと予定が立て込んでしまって……。
……という言い分は、自分を誤魔化しているだけだと流石に解っています。
ただ、後1年も生きられないと突きつけられたらと思うと怖くて……。
立ち込める暗雲は空だけでなく、私の心にも湧き上がってくるのでした。
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