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罪018 挿絵

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こんちは!降り積もる雪のように数々の卑猥な足跡を残していく真白です。

陽毬ちゃんをパルメが背負い、姫様を俺が背負いながら、俺達は突如現れたペガサスの獣人?らしき少女と話をしている。

「私の名前はスノウ・ホワイトよ。」

「あぁ、宜しく。俺は真白だ。お前、口にの周りに葉っぱの食べカスがいっぱい付いてんぞ?」
「私はクルルです…。」
「私はパルメだ!洞窟で何度かお前の姿は見た事がある。」


「あらそう?ゴシゴシ…私も有名人だからね。フッフッフ。それより、ねぇ、あなた達?なぜそんなにコソコソと出て行くのよ?」

俺は分かり易く、言葉を選んで彼女に説明した。
陽毬ちゃんも気を失っているし、出来るだけ魔物達に見つからないようにこっそりと洞窟を出たいのだと…
すると彼女は理解し、首を縦に振り頷いていた。

「なるほどおおお!それでコッソリ出たいわけねー!」
「ちょっ!声が…でけええーよっ!」

でけーよ、でけーよ、と洞窟内に大声が木霊する。

ゴゴゴゴゴゴゴゴ

何だこの音と地響きは…

「旦那様、先程の大声で、このダンジョンの階層主が目を覚ましたかも知れないぞ!」

え?それって俺のせいなのか?
すると、更に喧しい声でスノウが口を開いた。

「薬草30束ーっ!グヘヘへ、薬草よ薬草、大好物なの。どう?それで私が倒してきてあげるわよ。」

スノウは屈伸運動をしながら、親指をピシリと立て、キラキラした瞳で笑っている。
薬草をそんなに持ち歩いる奴など中々、居ないだろう。
30束と言えば60人分はある。

「スノウ、それは無理だ!10束が限界だ!」

「足元を見てきたわね?仕方ないわね。じゃあ、私が20束出すわよ!これでどう?30束よね。」

「え?あ…、あぁ…、確かに30束だけれど…。」

結局、スノウが20束出す事になり、30束で契約は成立したのであった……。なんかもう無茶苦茶だが…。
それで良いなら良しとしようではないか…。

スノウは猛スピードで鍾乳洞を出て行った。
まぁ、チート少女だから心配はいらんだろう…。
不思議なことに、なぜだか余り不安にはならなかったのである。
そして俺達は洞窟を進み、入り口付近まで到着した。

「しかし、姫様って結構重いな」

スノウの聖剣は魔法で作り出した物らしく、10分もすれば消えてしまうと言っていた。
姫様の身体から剣は消えて無くなったが、一向に目覚める兆しが見えないのである。
本当に不死身なのだろうか?

「しかし旦那様、なぜ吸血鬼を助けるのだ?」

「ンー。何となく捨てていけないだろ。」

「さては主人様…次の妻にするのですね…。」

「いや、流石にそれは無いわ…。この女偉そうだし。」

ん?今、何かピクリと姫様が動いたような気がしたが…。顔を覗き込むと、彼女は人形の様な顔で眠っている。
取り敢えず、馬車に乗せて兵士達に連れて帰って貰うか。その内、生き返るだろ。

ゴゴゴゴゴゴゴゴ

「主人様…先程から凄い地響きですね…。」

「スノウが闘ってるのかな?」

「旦那様!上を見てくれ!この洞窟、崩れそうだ!」

「マズイ、中にはまだスノウがいる。」

戻ろうとする俺を引っ張るパルメ…。洞窟の外に出た瞬間に天井が崩れ落ち入り口は塞がってしまったのである。
お…い…。これ…スノウは出て来れないじゃないか。

立ち塞がる入り口、この緊急事態の真っ最中に森の向こうから聞き覚えのある声が聞こえてくる。

「姉様方ー!兄様ー!こんな所にいましたか!大変です至急、城までお戻り下さい!」

ゴルゴンがイケボで叫んでいる。
大変なのはこっちも同じなんだが…。

アーアーアーアー

烏の鳴き声が聞こえる。
次から次へと忙しいな…。
遠くの空から飛んでくるそれは桃尻のラインバードである。
俺は腕を前に伸ばし、ラインバードに向けて差し出した。
ラインバードはピトッと腕にとまり、凄い剣幕で話し始めたのである。これは桃尻の声だ!

「大変じゃ!ティン国が数百匹のハーピーレディに襲われておる。勇者達も兵士達も闘っているが、幾分数が多く、奴らは空から攻撃してくる。私の店も危ない!ケンタウロス国に居るなら、すまんが助けに来てくれんか?渡したい物もある!できれば早急に頼むぞい!」

まさか…ゴルゴンの言っていたのはこの事なのか?

「兄様方!我が国にもラインバードが複数着まして、皆、同じ事を申しておりました。」

「ハーピーレディって事は♀だよな?それなら勝機はある。取り敢えずそっちは俺達が何とかする代わりにゴルゴンに頼みがある。」

「兄様の頼みとあらば!このゴルゴンに何でも申し付けて下さい!キラーン☆」

うわっ、笑顔が…眩しい!
この男は光属性か何かだろうか。
写真のフラッシュを目に当てられた気分になる。
それを見ても動じない妻2人…眩しく無いのか?

俺が彼に頼んだのは、薬草を30束持ってピンク頭の少女が出てくるのを待ってて欲しい。と、いうことである。
「そんな事であれば容易い御用です。」と、光属性スマイルを更に輝やかせたゴルゴン…。

よし、一先ず、スノウは彼等に任せるとして、ティン国へ行く前に、先ずはアフターケアをしなければならない。 

「旦那様!取り敢えず眠り姫は馬車に詰め込んだぞ!」
「ありがと、パルメ。」
「兵士達も…回復させました…。」
「クルルもご苦労様。」

姫様と陽毬を馬車に寝かせて、森で気絶した兵士達を起こし、馬車と兵士と嫁2人を連れて、ティン国のへと向かったのだった。


◆◇◆


久々に訪れたティン国の入り口は殺風景な景色であった。
街全体が壁に覆われている為、中の景色は見えないが、空には無数の黒髪赤目の女妖魔が飛んでいる。
腕は羽になっており、脚も鳥の足になっている。
全て同じ顔、髪型である。

「あれがハーピーレディ?人間と同じ大きさじゃないのか?」

「あれが数百体居るのか!旦那様、空を飛んでいる奴らは私に任せてくれ。」

「わ、私は…どうしましょうか?」

「クルルはパルメの援護を頼む。彼女の背中に乗って近づくハーピーレディ共を火で燃やしてくれ。兵士の皆は、バラけずに輪になって、倒せるだけ無理せずに討伐していってくれ!」

「「「はっ!了解致しました!」」」


こうして、馬車の中に姫様と陽毬を残し、俺達は街へと足を踏み込んだ。


◇◇◆◇


嘘だろ?街の中は酷い有様である。
街人達は教会などの大きな建物へと避難をさせたらしいが、逃げ遅れた人達が「ローション!」まだ、沢山いる。
ハーピーレディ達は人間の肩を鉤爪でガシリと掴み「ローション!」空へ舞い上がると地面に叩き落とす。
そんな光景が「ローション!」目の前で繰り広げられている。
今、立っているだけでも、ハーピーレディは俺に何度か攻撃を「ローション!」仕掛けて来ている!
兵達は互いに背を向け輪になって槍でハーピー達を突き上げている。 「ローション!」
俺の周りにもローション塗れの五体のハーピーレディが地面でベトベトと粘液塗れで色っぽく踠いている。
「ローション!」今ので6体目である。

そろそろパルメが動き出す筈なんだが…。

空に光の矢が浮かぶ、バードウォッチングの人でも数え切れない程の無数の光矢…そして、それは様々な方向へ向きを変え、空を舞い、ハーピーレディ達に突き刺さってゆく。

墜落する飛行機のようにドンドン落ちていくハーピー達。
俺は走りながら、落ちたハーピー達にローションを浴びせて動きを封じて行く。
偶に胸を揉んだりしながら。 
ゴホン。そして、パルメの最上位魔法のお陰で空に舞うハーピー達は半分まで数を減らしていた。
パルメは上位魔法なら何発か打てるが、最上位の魔法は1発しか打てない。

そろそろMPも限界のはず。

妻達のいる方へと走っているが、どこに行った?
全く2人の姿が見当たらないんだが…。


◇◇◇


「火龍の咆哮!ファァァア!」

ボォーーーーッ。

「ケホッ、ケホッ。」


「クルル大丈夫か?先程からかなり火を吐き続けているが?少し休んだ方が良いのではないか?私もMPが少しヤバイんだ。一旦、どこか建物へ隠れよう。」

「そうですね。パルメの魔法で半分近くは減りましたし。」

「クルル!あそこを見ろ!」

「え?こんな所でですか?ちょっと待って下さい。直ぐに」

クルルは後ろを向きスカートをあげパンツの中を覗き込む。

「クルル?お前は一体、何をしているのだ?」

「だって…パルメがアソコを見ろって…」

「あそこはアソコでは無く!あそこだ!あの建物の事だ!あの中に避難するぞ!」

「はわわわっ私ったらてっきり…。」

私達が避難した場所は偶然にも、私を売り物にしていた奴隷商人と、商品である奴隷達が隠れて潜んでいた場所でした。
私を見て口を開いたのは奴隷商人。

「あなたはクルル夫人では無いですか?街に戻られたのですか?それにケンタウロスまで引き連れて。」

「相変わらずですね。」
「これは…奴隷商か…まだ、こんな事をしている国が残っていたのか…。」

私はどうして良いか分からずに下を向くだけでした。私を庇うように、前に立つパルメの苦々しい声に商人は話を紡ぐ。

「まぁ、そう避難な目で見なさんな。俺も仕事で家族を喰わしてんだよ。法にも触れてねー。何も悪い事はしてねーよ。」

ギィーーーーーャーー!


すると一体のハーピーが窓を割り侵入してきました。
奴隷達が逃げ惑う、ここで火を吐けば、この部屋を燃やしかねないし。どうしたら良いの…主人様。





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