47 / 716
第2幕 逃亡劇の果てに
26
しおりを挟む
「瀬菜……瀬菜が好き。凄く好き。……ずっと、愛してる」
「──えっ……」
悠斗がなにを言ったのか処理が追いつかない。
目を丸め放心する俺に、ふわりと微笑む悠斗はそっと瞳を閉じる。細く息を吐き出すとパッと目を見開き、なにかを決意した様子で俺の脚を胸まで深く押し付けた。
「瀬菜の初めては、俺のものだ……」
悠斗はそう言い熱い塊をグググッ……と、俺の中へ突き刺してきた。
「はぐぅ──ッ、ひぃ、ああぁっ、ああぅ────ッ‼︎」
一瞬の出来事だった。鋭い衝撃に心が山霧する。
苦しくて、痛くて、身体の中から焼かれたような感覚がする。
「んっ──ッ! キツ……っ」
寝室にハァハァと荒い呼吸が響いている。
ポロポロと涙が零れるのは、痛みと苦しさからか。そんな俺の涙を、悠斗は啄むようなキスをしながら吸い上げていく。震える唇をパクパクさせ辛うじて声を出した。
「ふぇぐぅ……っ、なんでっ……そんな、いうんだよ……」
「なんでって……それが俺の本心だから。瀬菜の全部が好き。鈍感で意地っ張りで可愛くて。六歳のあの夏の日、出会った瞬間から恋していた。俺はずっと、瀬菜のことが好きだよ」
「……だって……お前、そんなこと……」
悠斗の告白に、先ほどまで悩んでいた俺の気持ちは無駄になってしまった。男のしかも親友に恋心を抱くなど、不毛で絶対にいけないことだと。気持ちを隠そうと、必死に振る舞っていた自分が馬鹿らしくなってしまう。それなのに悠斗は己の気持ちをストレートに伝えてくる。
「……やっぱり……お前のことなんて、大っ嫌いだ──ッ」
腕で顔を隠すとタオル地の紐で零れる涙を拭う。
悠斗は自身を引き抜くと、スルリと手首の拘束を解き、俺の手を左右にそっと広げ涙で滲む瞳を覗き込んだ。
「瀬菜……瀬菜が嫌いでも、俺は好き。ずっと、これからも……大好き」
なにも飾ることのない真っ直ぐな告白に、切なくて、嬉しくてツーっと涙が頰を伝う。
「──ゆうとぉッ、……お、れっ……」
悠斗のバスローブの合わせを掴み引き寄せ上体を起こすと、唇を重ねてキスをする。
唇をゆっくり離すと、悠斗の目を真っ直ぐ見つめながらポツポツと呟いた。
「ずっと、モヤモヤしていた。けど、それがなんなのか分からなくて。自分の気持に気付いたら、俺……怖くなって、お前と今まで通り親友でいたら、見たくないものこれからいっぱい。……その、今日の合コンみたいに女の子と悠斗が……」
視線を逸しグッと唇を噛み締める。
今日見た光景が頭の中をよぎっていく。
「女の子と仲良くしていたこと? あれは上部だけだよ。前にも言ったでしょ? 彼女とかあり得ないって」
「でも俺、お前が俺のこと……その、そういう意味で好き……って、分からなかった」
「うん、本当に、どうして気持ちが伝わらないんだろうって、何度も思ったよ。実はね、今日、瀬菜に揺さぶりをかけてみたんだ。俺だって焦っていた。瀬菜が彼女欲しいとか言うから……」
バツが悪そうに悠斗は苦笑いする。
「俺はね? 瀬菜が居れば幸せ。それだけで、毎日が満たされていた。けど、やっぱり他人には取られたくはないよ」
へにゃりと頬を綻ばせけれど眉を下げ悲しそうにする悠斗。
胸がギュッと押し潰されそうだ。
「俺……俺も……ほかの子に悠斗を取られたくない‼」
必死にそう伝えると、悠斗は大きく目を見開き固まっている。先ほどまで多弁だっただけに、無反応な様子が俺に不安を与える。
「──えっ……」
悠斗がなにを言ったのか処理が追いつかない。
目を丸め放心する俺に、ふわりと微笑む悠斗はそっと瞳を閉じる。細く息を吐き出すとパッと目を見開き、なにかを決意した様子で俺の脚を胸まで深く押し付けた。
「瀬菜の初めては、俺のものだ……」
悠斗はそう言い熱い塊をグググッ……と、俺の中へ突き刺してきた。
「はぐぅ──ッ、ひぃ、ああぁっ、ああぅ────ッ‼︎」
一瞬の出来事だった。鋭い衝撃に心が山霧する。
苦しくて、痛くて、身体の中から焼かれたような感覚がする。
「んっ──ッ! キツ……っ」
寝室にハァハァと荒い呼吸が響いている。
ポロポロと涙が零れるのは、痛みと苦しさからか。そんな俺の涙を、悠斗は啄むようなキスをしながら吸い上げていく。震える唇をパクパクさせ辛うじて声を出した。
「ふぇぐぅ……っ、なんでっ……そんな、いうんだよ……」
「なんでって……それが俺の本心だから。瀬菜の全部が好き。鈍感で意地っ張りで可愛くて。六歳のあの夏の日、出会った瞬間から恋していた。俺はずっと、瀬菜のことが好きだよ」
「……だって……お前、そんなこと……」
悠斗の告白に、先ほどまで悩んでいた俺の気持ちは無駄になってしまった。男のしかも親友に恋心を抱くなど、不毛で絶対にいけないことだと。気持ちを隠そうと、必死に振る舞っていた自分が馬鹿らしくなってしまう。それなのに悠斗は己の気持ちをストレートに伝えてくる。
「……やっぱり……お前のことなんて、大っ嫌いだ──ッ」
腕で顔を隠すとタオル地の紐で零れる涙を拭う。
悠斗は自身を引き抜くと、スルリと手首の拘束を解き、俺の手を左右にそっと広げ涙で滲む瞳を覗き込んだ。
「瀬菜……瀬菜が嫌いでも、俺は好き。ずっと、これからも……大好き」
なにも飾ることのない真っ直ぐな告白に、切なくて、嬉しくてツーっと涙が頰を伝う。
「──ゆうとぉッ、……お、れっ……」
悠斗のバスローブの合わせを掴み引き寄せ上体を起こすと、唇を重ねてキスをする。
唇をゆっくり離すと、悠斗の目を真っ直ぐ見つめながらポツポツと呟いた。
「ずっと、モヤモヤしていた。けど、それがなんなのか分からなくて。自分の気持に気付いたら、俺……怖くなって、お前と今まで通り親友でいたら、見たくないものこれからいっぱい。……その、今日の合コンみたいに女の子と悠斗が……」
視線を逸しグッと唇を噛み締める。
今日見た光景が頭の中をよぎっていく。
「女の子と仲良くしていたこと? あれは上部だけだよ。前にも言ったでしょ? 彼女とかあり得ないって」
「でも俺、お前が俺のこと……その、そういう意味で好き……って、分からなかった」
「うん、本当に、どうして気持ちが伝わらないんだろうって、何度も思ったよ。実はね、今日、瀬菜に揺さぶりをかけてみたんだ。俺だって焦っていた。瀬菜が彼女欲しいとか言うから……」
バツが悪そうに悠斗は苦笑いする。
「俺はね? 瀬菜が居れば幸せ。それだけで、毎日が満たされていた。けど、やっぱり他人には取られたくはないよ」
へにゃりと頬を綻ばせけれど眉を下げ悲しそうにする悠斗。
胸がギュッと押し潰されそうだ。
「俺……俺も……ほかの子に悠斗を取られたくない‼」
必死にそう伝えると、悠斗は大きく目を見開き固まっている。先ほどまで多弁だっただけに、無反応な様子が俺に不安を与える。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
231
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる