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第7幕 ドキドキ☆クリスマス
01
しおりを挟む「わぁ~~ん。また分かんないよ~~」
「ここはさっきと同じ要領だよ? ここはどれに掛けるの?」
「えっと……あぁ! なんで分からなかったんだろ。あーあ……ちょっと休憩!」
「そうだね、お茶淹れてくるよ」
悠斗の誕生日も無事終わり、俺達はもうすぐ実施される期末テストのために必死で勉強中だ。期末テストが終わるとあっという間に冬休みに突入する。テストよりも冬休みに浮かれてしまいそうになる気持ちをグッと堪え、学生らしい日々を送っていた。
「はい、どうぞ。頭も使ったし糖分補給」
「うん。サンキューな! この紅茶凄くいい匂い!」
「フレーバーティーだよ。瀬菜の好きなイチゴ。貰いものだけどね」
「へぇ~~、おシャンティだなぁ~。しかもほんのり甘酸っぱくて美味しい♪」
匂いと味が抜群な紅茶を堪能しながら、疲れた頭が癒されていく。
最近の高校生活で変わったこともあった。
いつも黄色い声援が飛び交っていた日常。そんな女の子達はみんな遠巻きで、少々元気がない様子。中には涙を流している子もいた。
悠斗の誕生日に恋人がいるという衝撃の事実が広がり、諦めと諦められないという気持がせめぎ合い葛藤している様子だった。
積極的に悠斗に声をかけて来ていた子達も、チャンスは本当にないのかと探りを入れていたが、悠斗の口から恋人ができたと言われてしまえば、前のようにアピールして来る子は居なかった。
今は恋愛感情がない、ただ悠斗の人柄が好きという女の子だけが、たまに声を掛けているという感じだ。
憂鬱ではなかったと言えば嘘になる。
前の俺は女の子に優しく笑う悠斗を遠巻きに見て、明らかに嫉妬していた。
もし俺が女の子だったら……普通にオープンに恋人ですと言えるのだから。
「頭では分かっているんだけどな……」
「ん? なにが?」
「あ、いや……なんでもない!」
「そう? 変な瀬菜」
ヤバ……思わず声に出てた!
こんなにラブラブなのに、それを隠さなければいけないってのは残念っていうか……。
そりゃ見せ付けたい訳じゃないけど……きっとお互いに通じていればいいんだよな。
最近の俺、本当に欲張りになっている……。
「そういえばこの間の誕生日プレゼントに、水族館のチケット入ってたんだけど、テストが終わったら行かない?」
「水族館? あっ……あのさ……」
歯切れ悪く答える俺に、悠斗は首を傾げている。
「……どうしたの? 丁度クリスマスだし、デートにいいかなって思ったんだけど、ダメ……かな?」
「いや、ダメじゃなくて行きたい!」
俺はなにを言おうとした……。
冷静になれ……。
真っ赤な顔の俺を覗き込み反応を窺ってくる。
「さっきからどうしたの?」
「ううん……本当になんでもない! 楽しみだな!」
なんとかごまかしその場を回避すると、迫り来る期末テストのために勉強に集中した。
***
テスト期間に入ると中間テストのときのように、みっちりと勉強をしたおかげもあり、なんとか赤点は免れることができそうだ。ただし教科が多かっただけに、かなり必死で勉強もした。
パタリと机に伏せ頭から湯気を立たせていると、村上が嬉しい現実を呟いた。
「今日でテストも終わって、テスト休みであっという間に冬休み突入だよね~」
「だよな。登校が今年は二日間だけって信じられない。この一年怒涛だった」
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