王子×悪戯戯曲

そら汰★

文字の大きさ
255 / 716
第7幕 ドキドキ☆クリスマス

04

しおりを挟む

***


 クリスマスイブまであと一日、冬休みに入ってからすぐに、村上と一緒に買い物に出かける約束をした。買い物が終わったら俺の家で、例のコスプレ写真集を見せるという約束付きで。

 村上が見ても「へー、よく撮れてるねー」で終わりそうだけど……。
 見れないものって人を見たいという欲望に駆り出すよな……。

 因みに悠斗にはまだ渡していない。
 なぜって?
 そりゃ……。

 ①、興奮し過ぎて襲われるから。
 ②、調子に乗ってナギコス要求されるから。


「買い物は白桜駅で間に合うよね? まぁ俺も詳しくないから、あんまり役に立たないけど」
「いや、俺だけだともっとダメだわ。てか……ひとりで買うのは勇気がいる。三浦さんでも連れて来れたら良かったかな」
「まぁ……そうだよね」
「うん。だろ?」

 村上と二人お店に入り挙動不審な俺達に、店員さんが無表情に声を掛けてくる。大丈夫ですと断り狼狽えながらの買い物は中々進まなかったが、なんとか目当てのものを購入することができた。しばらく白桜周辺での買い物は、恥ずかしくてできないかもしれない。

「てか今日だけど、うち泊まる? そのほうが当日王子にも遭遇しないし」
「えっ? でも家族も居るだろ?」

 まさかお呼ばれするとは思ってもいなかった。いきなりお邪魔して家族に迷惑が掛からないだろうか。

「大丈夫だよ。逆に喜ぶかも! 柳ちゃんの話結構してるし、俺あんまり友達呼ばないから、来てくれると親も安心する。あんたにも友達居たのねって」
「そっか、ならお言葉に甘えて。……でも悠斗になんて言おう」
「ははは……魔王になるかな?」
「いや、説得する! たまにはヤキモキしてもらう!」
「なにそれ~~。王子ってば常にヤキモキしてると思うけど。なら明日、駅まで俺が見送るってので手を打とう。心配性の王子ならきっと折れるはず‼」
「なるほど……結構渋っていたから。それなら、仕方ないって言うかもな!」
「でしょ⁉ 俺頭いいかも!」

 今日は冴えていると村上は得意気だ。

「……ていうか、お前二十四日予定ないのか?」
「聞かないでよね……寂しくなるでしょうが……」
「……ああ、ごめん。お土産買って来るからな……」

 シクシクする村上にそう告げると、現金な村上はウキウキと気分を切り替えていた。そんな俺も村上に負けず浮かれている。
 早速支度を済ませると、まずは悠斗にお伺いを立てるべくコールを鳴らした。

「悠斗? 今帰って来たんだけど、このあと村上の家に泊まることにした」

 一瞬間が開く。

『……それじゃ、俺も支度しないと』
「はぁ? なんでだよ! お前は留守番だ! 明日、水族館の駅まで送ってくれるって。それならお前も安心して来れるだろ?」
『それはそうだけど……浮気……ダメだからね!』
「馬鹿か! お前は俺の友達をそういう目で見過ぎだぞ。たまには俺も友達の家に、泊まったりしたいじゃんか。そんなこと言うと、三浦さんから貰った写真集あげないからな!」

 一気に矢継ぎ早にそう言うと、耳元に詰めた声が聞こえて来た。どうやら俺の攻撃がヒットしたようだ。

『……もう、分かったよ。狡いんだから……瀬菜を信じる。村上君そこに居るの? 代わって』

 ムスッとしながら村上にスマホを差し出す。

「代わってだって……」

 村上はゴクリと喉を鳴らしひと呼吸おいてから、苦笑い気味にスマホを耳に当てた。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)

優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。 本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。

陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。

陽七 葵
BL
 主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。  しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。  蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。  だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。  そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。  そこから物語は始まるのだが——。  実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。  素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪

【完】君に届かない声

未希かずは(Miki)
BL
 内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。  ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。 すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。 執着囲い込み☓健気。ハピエンです。

ヤンデレだらけの短編集

BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。 【花言葉】 □ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡 □ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生 □アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫 □ラベンダー:希死念慮不良とおバカ □デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。 かなり昔に書いたもので芸風(?)が違うのですが、楽しんでいただければ嬉しいです! 【異世界短編】単発ネタ殴り書き随時掲載。 ◻︎お付きくんは反社ボスから逃げ出したい!:お馬鹿主人公くんと傲慢ボス

【完結】トラウマ眼鏡系男子は幼馴染み王子に恋をする

獏乃みゆ
BL
黒髪メガネの地味な男子高校生・青山優李(あおやま ゆうり)。 小学生の頃、外見を理由にいじめられた彼は、顔を隠すように黒縁メガネをかけるようになった。 そんな優李を救ってくれたのは、幼馴染の遠野悠斗(とおの はると)。 優李は彼に恋をした。けれど、悠斗は同性で、その上誰もが振り返るほどの美貌の持ち主――手の届かない存在だった。 それでも傍にいたいと願う優李は自分の想いを絶対に隠し通そうと心に誓う。 一方、悠斗も密やかな想いをを秘めたまま優李を見つめ続ける。 一見穏やかな日常の裏で、二人の想いは静かにすれ違い始める。 やがて優李の前に、過去の“痛み”が再び姿を現す。 友情と恋の境界で揺れる二人が、すれ違いの果てに見つける答えとは。 ――トラウマを抱えた少年と、彼を救った“王子”の救済と成長の物語。 ───────── 両片想い幼馴染男子高校生の物語です。 個人的に、癖のあるキャラクターが好きなので、二人とも読み始めと印象が変化します。ご注意ください。 ※主人公はメガネキャラですが、純粋に視力が悪くてメガネ着用というわけではないので、メガネ属性好きで読み始められる方はご注意ください。 ※悠斗くん、穏やかで優しげな王子様キャラですが、途中で印象が変わる場合がありますので、キラキラ王子様がお好きな方はご注意ください。 ───── ※ムーンライトノベルズにて連載していたものを加筆修正したものになります。 部分的に表現などが異なりますが、大筋のストーリーに変更はありません。 おそらく、より読みやすくなっているかと思います。

【完結】幼馴染に告白されたけれど、実は俺の方がずっと前から好きだったんです 〜初恋のあわい~

上杉
BL
ずっとお前のことが好きだったんだ。 ある日、突然告白された西脇新汰(にしわきあらた)は驚いた。何故ならその相手は幼馴染の清宮理久(きよみやりく)だったから。思わずパニックになり新汰が返答できずにいると、理久はこう続ける。 「驚いていると思う。だけど少しずつ意識してほしい」 そう言って普段から次々とアプローチを繰り返してくるようになったが、実は新汰の方が昔から理久のことが好きで、それは今も続いている初恋だった。 完全に返答のタイミングを失ってしまった新汰が、気持ちを伝え完全な両想いになる日はやって来るのか? 初めから好き同士の高校生が送る青春小説です!お楽しみ下さい。

陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 まったり書いていきます。 2024.05.14 閲覧ありがとうございます。 午後4時に更新します。 よろしくお願いします。 栞、お気に入り嬉しいです。 いつもありがとうございます。 2024.05.29 閲覧ありがとうございます。 m(_ _)m 明日のおまけで完結します。 反応ありがとうございます。 とても嬉しいです。 明後日より新作が始まります。 良かったら覗いてみてください。 (^O^)

ある日、友達とキスをした

Kokonuca.
BL
ゲームで親友とキスをした…のはいいけれど、次の日から親友からの連絡は途切れ、会えた時にはいつも僕がいた場所には違う子がいた

処理中です...