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第21幕 卒業旅行は終わりで始まり
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昔話を酒の肴に懐かしむ。お酒は地場の度数の高いものや軽いものなど用意されており、みんな結構いける口なのか話が弾む度にグラスを空にしていた。ほんのり顔を赤く染め最後の夜を楽しんでいた。
「ゆぅ~ちゃん! ほらぁ、飲みんしゃい~!」
「ねぇ、瀬菜にこんなに飲ませたの誰?」
悠斗のドス黒い静かな微笑みに、みんながブンブンと首を横に振っている。むだに残像が見える気がする。それが余計に楽しくて、ひとりゲラゲラと笑う俺。
「瀬菜? そんなに飲んだら身長伸びなくなっちゃうよ?」
「いや、もう瀬菜は伸びねぇだろ」
「ひっくっ……俺まら伸びぃるぅーー! てかっ、じぇんじぇん飲んでらぃぞ‼」
呂律は怪しいが、これでもしっかりしているつもりだ。頭がぽやんぽやんして気持ちがいい。
スッと立ち上がると、なぜか足元が覚束ない。見上げる満天の星が倍以上に膨らみ、キラキラ、チカチカとしていた。
「ひぐっ、まぶしぃ……朝がくうなぁ~。……寝るぅ!」
睡眠は成長に必要だと、飲みは終わりとばかりに自ら切り上げる。いきなりの俺の行動に、周りは静かに見守っていた。
フラフラとするが部屋の位置は把握している。時折なにかが打つかってくるが、前をしっかり見てほしい。慌てた様子でゆうちゃんの声が遠くから追いかけてくる。
「ははっ、ありゃこれからも苦労するな」
「柳ちゃんお酒弱いのかなー」
「この空き瓶だれが空けたの⁉ もしかして瀬菜があんなになった原因これ?」
「……あぁ、確かチェーサーの代わりに……って、そりゃああなるだろ‼」
「わぉ~‼ 姫乃ちゃんとサシで飲んだらこっちが潰されそう~♪」
空になったそれは小さな瓶でも二十五度と表記されていた。沖縄名物泡盛をロックで飲み干した俺に、皆驚きを隠せないのであった。
そんな俺を介抱する悠斗は大変な思いをしたはずだ。
「瀬菜、ほらお水。なんでそんなに飲んだの……」
部屋に着くなりベッドにダイブする俺に、天使のゆうちゃんはお水をたっぷり飲ませてくれる。
「ぷはぁ~~! ゆうちゃん! 楽しいねぇ~。へへっ♪」
「はいはい、楽しいよ」
「えーーなんか楽しそうじゃない‼」
「こらっ、瀬菜! ちょっと……やめっ! 瀬菜って酔っ払うとなんでゆうちゃんになるかな? 可愛いのは変わりないけど……」
悠斗の上にトイヤァー! と声を上げ伸し掛かる。俺としては戯れているつもりだ。
「ゆうちゃん、重い~?」
「軽いし、可愛いお尻丸見えだよ?」
「あっ! なんらこえ……あーゆうちゃん! 山らよ‼」
「瀬菜、痛いから大切なところペチペチ叩かないで……」
ゆうちゃんの股間で徐々にムクムクと大きくなるお山の様子に、楽しくてツンツンしたり叩いたりしていた。
「あら? たんこぶぅらね? んー……可哀想ら……」
「瀬菜がそうしたんでしょ? ほら、そろそろ退いて?」
俺がそうしたのであれば責任をとらなければと、今度は優しく撫でていく。たんこぶはさらに大きくなっていく。
小さくならないソレが不思議で、ゆうちゃんのハーフパンツをズルリと下ろすと、ピコンッ! とクイズ番組の解答者の札が上がるように目の前に飛び出してくる。
「たんこぶ……キノコになっら……」
「ならないよ。これは瀬菜の好きなバナナ」
「えー俺イチゴのが好きぃー」
「そうだね? なら仕舞ってくれる?」
イチゴのほうが好きだが、バナナだって結構好きだ。目の前にあるものを食べさせてもらえないというのは、待てをされているようで食べたくなるものだ。
ゴクリと喉を鳴らし、パクリと頬張った。バナナのザラリとした感触はなく、とてもつるんとしていて、まだ熟していないのかちょっぴり青臭かった。
「ゆぅ~ちゃん! ほらぁ、飲みんしゃい~!」
「ねぇ、瀬菜にこんなに飲ませたの誰?」
悠斗のドス黒い静かな微笑みに、みんながブンブンと首を横に振っている。むだに残像が見える気がする。それが余計に楽しくて、ひとりゲラゲラと笑う俺。
「瀬菜? そんなに飲んだら身長伸びなくなっちゃうよ?」
「いや、もう瀬菜は伸びねぇだろ」
「ひっくっ……俺まら伸びぃるぅーー! てかっ、じぇんじぇん飲んでらぃぞ‼」
呂律は怪しいが、これでもしっかりしているつもりだ。頭がぽやんぽやんして気持ちがいい。
スッと立ち上がると、なぜか足元が覚束ない。見上げる満天の星が倍以上に膨らみ、キラキラ、チカチカとしていた。
「ひぐっ、まぶしぃ……朝がくうなぁ~。……寝るぅ!」
睡眠は成長に必要だと、飲みは終わりとばかりに自ら切り上げる。いきなりの俺の行動に、周りは静かに見守っていた。
フラフラとするが部屋の位置は把握している。時折なにかが打つかってくるが、前をしっかり見てほしい。慌てた様子でゆうちゃんの声が遠くから追いかけてくる。
「ははっ、ありゃこれからも苦労するな」
「柳ちゃんお酒弱いのかなー」
「この空き瓶だれが空けたの⁉ もしかして瀬菜があんなになった原因これ?」
「……あぁ、確かチェーサーの代わりに……って、そりゃああなるだろ‼」
「わぉ~‼ 姫乃ちゃんとサシで飲んだらこっちが潰されそう~♪」
空になったそれは小さな瓶でも二十五度と表記されていた。沖縄名物泡盛をロックで飲み干した俺に、皆驚きを隠せないのであった。
そんな俺を介抱する悠斗は大変な思いをしたはずだ。
「瀬菜、ほらお水。なんでそんなに飲んだの……」
部屋に着くなりベッドにダイブする俺に、天使のゆうちゃんはお水をたっぷり飲ませてくれる。
「ぷはぁ~~! ゆうちゃん! 楽しいねぇ~。へへっ♪」
「はいはい、楽しいよ」
「えーーなんか楽しそうじゃない‼」
「こらっ、瀬菜! ちょっと……やめっ! 瀬菜って酔っ払うとなんでゆうちゃんになるかな? 可愛いのは変わりないけど……」
悠斗の上にトイヤァー! と声を上げ伸し掛かる。俺としては戯れているつもりだ。
「ゆうちゃん、重い~?」
「軽いし、可愛いお尻丸見えだよ?」
「あっ! なんらこえ……あーゆうちゃん! 山らよ‼」
「瀬菜、痛いから大切なところペチペチ叩かないで……」
ゆうちゃんの股間で徐々にムクムクと大きくなるお山の様子に、楽しくてツンツンしたり叩いたりしていた。
「あら? たんこぶぅらね? んー……可哀想ら……」
「瀬菜がそうしたんでしょ? ほら、そろそろ退いて?」
俺がそうしたのであれば責任をとらなければと、今度は優しく撫でていく。たんこぶはさらに大きくなっていく。
小さくならないソレが不思議で、ゆうちゃんのハーフパンツをズルリと下ろすと、ピコンッ! とクイズ番組の解答者の札が上がるように目の前に飛び出してくる。
「たんこぶ……キノコになっら……」
「ならないよ。これは瀬菜の好きなバナナ」
「えー俺イチゴのが好きぃー」
「そうだね? なら仕舞ってくれる?」
イチゴのほうが好きだが、バナナだって結構好きだ。目の前にあるものを食べさせてもらえないというのは、待てをされているようで食べたくなるものだ。
ゴクリと喉を鳴らし、パクリと頬張った。バナナのザラリとした感触はなく、とてもつるんとしていて、まだ熟していないのかちょっぴり青臭かった。
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