君と初恋をもう一度

さとのいなほ

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「ミスコン? 俺が?」

 来月の文化祭の話し合いの時だ。クラスの出し物が喫茶店に決まり、恒例のミスコンに誰が出るのかという話題に移った際、手芸部の後藤が男子の代表は朝陽がいいと言い出した。去年のミスコンの時も彼女が行ったから衣装作り等を行ったから今年も任され、張り切っている様子だ。

「山崎君にお願いしたいの」
「俺でもいいだろ?」

 そう挙手したのは洋介だ。しかし後藤は難色を示した。

「ううん……洋介君はちょっと面白くなっちゃうからなあ……」
「なんだよそれ!」

 洋介が声を上げるとクラスがドッと湧く。

「ほら、そういうとこ」

 後藤が笑いながらいうと、洋介も戯けた表情でそっかあなどと返す。

「山崎君、いいかな?」
「いや……他にやりたい奴いるんじゃないか」

 誰かいないのか、と見渡すと誰もが朝陽から目を逸らす。朝陽も含めて誰もやりたくないということだ。洋介以外は。そして洋介は衣装を用意する後藤から直々にNOを突きつけられている。朝陽が拒否すると話し合いは泥沼化しそうだと思い、仕方なく了承する。

「……分かった、やるよ」
「ありがとう! じゃあミスターが山崎君、ミスは……茉莉、お願いしていい?」
 指名された茉莉は驚いて後藤を見る。
「わ、私!? いやいや無理だって」
「そんなこと言わずに、ね? お願い」
「えー……」

 茉莉は先程の朝陽と同じように教室を見回して代わってくれそうな女子を探したが、やはり誰一人として名乗り出なかった。

「……やります」
 しょんぼりとした声色で茉莉が了承する。後藤は対照的に生き生きとした表情で言った。
「最後の学祭、最後のミスコン! グランプリ取るわよ!」
「おー!」
 後藤の気合にクラス中が沸き立つ。朝陽と茉莉を除いて。二人は顔を見合わせて溜息をついた。
「じゃあ山崎君と茉莉は放課後に後藤の部室に来て! もう採寸とか始めちゃうから」
「はーい」

 ヒュー!と洋介が囃し立てる。他の男子も便乗し教室が一層賑やかになる。先程まで素知らぬふりをしていた癖に現金な奴らだ。後ろで見ていた担任があまり騒がないように軽く注意をしてその場を収めた。
 放課後、後藤の部室へ行くと既に茉莉と後藤員が採寸を始めていた。制服のままではなく半袖とハーフパンツのジャージを着た茉莉が遅い、と膨れ顔をする。

「山崎君、あっちにしきり用意してるから着替えてもらっていい?」
「分かった」

 後藤に言われた通り、しきりの奥でジャージに着替えて茉莉の採寸が終わるのを待つ。ふと机の上にある開かれたスケッチブックに気が付き、何気なくそれを見る。そこにはウェディングドレスとタキシードが描かれている。

「それ、二人に着てもらう衣装のラフ。 メモるから取ってちょうだい」
「すごいよね。 後藤さんが張り切るわけだ」

 でも、と茉莉が眉根を寄せる。

「ウェディングドレスはちょっとなあ……相手、朝陽だし」
「悪かったな」
「二人、仲良いしお似合いだよ?」
「あはは……そうかなあ……」

 後藤の一言に茉莉が曖昧な笑いで返す。

「まあ小学校から一緒だしな……俺より洋介のが茉莉と仲良さげじゃないか?」
「ううん……確かにそうなんだけど」

 後藤が続ける。

「教室でも言ったけど、洋介君って格好いいけど挙動が三枚目じゃない? だから申し訳ないけど今回はNG」

 朝陽もそれには同意せざるを得ない。クラスの笑いの中心には洋介の姿がある。ミスコンという場でもそれは変
わらないだろう。つまり。

「あいつだとギャグ枠になってグランプリを獲るのは難しい」
「そう! 最後のミスコンだもん、どうせなら勝ちたいじゃない!」

 ヒートアップしかけた後藤が、コホンと咳払いをひとつした。

「だから二人にお願いしたの。 じゃあ次山崎君ね」
「ああ」

 喋りながらもしっかり採寸を進めていたらしい。後藤は朝陽の採寸を始めた。時折衣装のラフにメモを取りながら手際良く進めていく。


「はい、おしまい。 二人共ありがとう。 じゃあ本番まで定期的に部室に来てもらうからよろしくね」

 ジャージから制服へ着替え終わった朝陽と茉莉に向かって、型紙を用意しながら後藤が言った。時計を見ると5時を回ったところだった。
 定期的に、となるとどれくらいの頻度になるのだろうか。瑞月の夕飯の買い物に付き合うことになったし伝えて
おかなければならないだろう。

「じゃあ二人共、気をつけて帰ってね」
「後藤さんはまだ帰らないの?」
「うん。 やることいっぱいあるし」
「そっか。 じゃあ、また明日」
「また明日」

 既に後藤は二人を見ておらず、型紙に向かい始めていた。手芸部の部室を後にして学校を出ようとした二人を校門で洋介が迎えた。

「よお! お疲れさん」
「洋介、待っててくれたの?」
「まあな」

 茉莉が嬉しそうに洋介へ駆け寄る。茉莉の気持ちを聞いていたからか、いつも通りの情景も違って見える。

「茉莉に朝言い忘れたこともあってさ」
「なに?」
「この前熱上げた時にメシ作ってくれただろ? ちゃんとお礼しなさいって母さんが言っててさ……だから週末どっか行かないか」
「それって……」

 夕焼けに染まっていても分かるほど、茉莉の顔が赤くなる。片想いをしている男から一緒に出かけようなどと誘われたら嬉しくてたまらないだろう。
「なあ、朝陽もついでに行こうぜ」
 だからこそ、茉莉の期待を打ち砕く洋介の一言に茉莉は表情を固めてしまい、朝陽もまたがっくりとしてしまった。

「茉莉へのお礼なんだろ? 俺行ったら意味ないだろ」
「あー……でもみんなで行った方楽しいだろ」

 茉莉を見ると朝陽に向かってなんとしてでも断ってほしいと目で訴えかけていた。茉莉から訴えかけられるまでもなく、朝陽は断るつもりだった。朝陽は朝陽で瑞月との用事がある。

「今週末は用事あるからパス。 二人で行ってこい」
「お前に用事? まあそれなら仕方ないか。 茉莉、どこ行きたいか考えとけよ」
「うん!」

 良かったな、という視線を茉莉に送るとありがとう、という意味だろう。ウインクが返ってきた。



 家に帰ると瑞月が出迎えてくれた。玄関までカレーのいい匂いが漂ってきている。

「お帰りなさい。 今日はちょっと遅かったね」
「学祭の準備始まったから」
「へえ学祭! いつ?」
「来月」
「行ってもいい?」
「いいけど……」

 来るなと言うつもりはない。だが、ミスコンに出ることは黙っておこうと思った。そこを伏せて今後も帰りが遅くなる時があることを伝える。

「夕飯の買い物とか行けない日が出てくると思う」
「分かった。 ねえ、明日は大丈夫?」

 今日採寸して明日すぐに試着というのはあり得ないだろう。だが後藤の張り切りようを考えるとすぐにでも仕上げそうな気がして曖昧に返事をする。

「多分大丈夫」
「多分ね。 確定したら連絡ちょうだい」
「分かった」



「衣装の試着? いや流石に昨日の今日は無理。 次部室に来てもらうのは来週だね」

 昼休み、後藤に次はいつになるか聞きに行ったらこう返された。瑞月に今日の買い物に行ける旨の連絡をしようと携帯を取り出してハッとする。彼の連絡先を聞いていないことに気がついたのだ。
 父親に瑞月の連絡先を教えて欲しいとメッセージを送ったが既読がつかない。仕事中だから当たり前だ。
 放課後になり、教室の掃除を終え携帯を確認する。父親に送ったメッセージに既読がついておらず朝陽は困り果ててしまった。朝陽の通う高校からA大までいけないことはないが入れ違いになってしまった場合を考えると難しい。
 あのファーストフード店ならスーパーへ行く途中にあるからそこで待ってみようか、などと考えながら学校を出る。すると校門を抜ける時の生徒の動きが妙なことに気がついた。特に女子生徒が何かをチラッと見ながら去っていくのだ。
 怪訝に思いながらも、朝陽が校門に近づき何かの正体を察した。

「朝陽、待ってたよ」

 朝陽の姿を認めた瑞月は唇をそっと横に広げて微笑み、胸の辺りで小さく手を振る。朝陽の後にいた女子生徒がキャッと黄色い声を上げた。

「なんでいるんだよ」
「買い物行く約束だろ? 連絡先分からなかったから来ちゃった」
「来ちゃったってお前なあ」

 言い返そうとしたところで周囲の生徒の注目が集まっていることに気がついた。

「とりあえず行くぞ」

 瑞月の腕を引っ張ってその場を離れる。行くぞ、という朝陽にうん、と瑞月が頷く。朝陽に無事会えて安心したのか、後方から聞こえたその声は心なしか嬉しそうだ。
朝陽も瑞月と無事合流できたのは幸いだと思っている。しかしチラチラと視線を女子生徒から視線を向けられていた瑞月を見てなんとなく気分が重くなった。

「お互いうっかりしてたよね。 まさか連絡先聞き忘れてたなんて」

 瑞月がくすくすと笑いを溢す。

「連絡取る必要も無かったからな」
「もう、そんなこと言って……家帰ったら交換しよ?」
「ああ」

 話している間に混み合ったスーパーに着く。前回は朝陽を置いて人波に入っていった瑞月が今回は動こうとしない。

「行かないのか?」

 尋ねると悪戯っぽく笑った。

「朝陽が離してくれないから動けないんだよねえ」

 そう言われて学校から瑞月の腕を掴んだままだったことに気がついた。瞬間、カッと顔が熱くなる。

「早く言え!」
「言うタイミング無かったもん。 さ、今夜は何作ろうかなあ」

 飄々と嘯いて買い物カゴを持った瑞月はすいすいと人がごった返しとなった店内に入っていく。その耳がほんのり赤くなっていたのは朝陽の気のせいだろうか。

「勝手に行くな」
「ごめんごめん」

 たまにカートやカゴにぶつかっては謝りながらようやく瑞月に追いつく。

「昨日のカレー残ってるし……とんかつとハンバーグどっちが好き?」
「え? ハンバーグ」
「じゃあハンバーグカレーにしよっか」

 聞かれたまま答えると瑞月は必要なものをカゴに入れてさっさと買い物を済ませてしまった。朝陽は荷物持ちだけ任されて二人は帰路についた。



 家に着いて携帯を確認すると父親からメッセージが入っていた。日は仕事の都合で帰りは明日の朝になるそうだ。
 二人は連絡先の交換と夕飯を済ませて、部屋でそれぞれの時間を過ごすことにした。
 朝陽は今日出された課題に手をつけた。数学と英語のテキストを用意して、まず数学の課題を終わらせ、続いて英語のテキストを開いた。最初は順調に解いていたが、最後の方で詰まってしまった。
 時計を見ると23時を回っている。迷惑だろうか、と思いながら瑞月に教えてもらおうと彼の部屋へ行くと、ドアが少し開いていて明かりが漏れていた。ドアの隙間から中を伺うと瑞月はベッドに横たわっている。電気を消し忘れて寝てしまったのだろう。寝ているのをわざわざ起こすのは申し訳ない。明日、教えてもらうことにして朝陽が部屋に戻ろうとした時。

「……はあ……っ」

 瑞月の苦しげな息が聞こえてきた。体調を崩してしまったのだろうか。様子を伺いに戻ると、寝返りを打ったのか向きが変わった瑞月が見え、朝陽はぎょっとした。
 瑞月はズボンを下にずらし下半身を露出させ自慰を行なっていた。
 瑞月だって健全な男性である以上するのは当たり前だろう。見てしまって申し訳ないと思いながら朝陽はその場から動くことができなかった。
 瑞月の腹も太腿も白いのに、中心だけが存在を示すように赤黒い。その不釣り合いな生々しさに朝陽は目が離せないでいた。

「んっ、く……は、ぁ……っ」

瑞月の細い指が竿から下がっていき後孔に辿り着く。そこを焦らすように淵をなぞり、空いている手でローションを取り出してそこに垂らした。冷たかったのかわずかに体を震わせた瑞月は、ローションを纏わせた指をゆっくりと自身の中へと入り込ませていった。

「は、ぁぁっ……」

甘い吐息を漏らしながら瑞月は指を動かす。最初は一本だったのが二本、三本と増やしていき指の動きも激しくなっていく。
 自然と息を潜めていた朝陽は知らず知らず唾を飲み込む。

「ぁ、あッ、~~~ッ……!」

やがて体をビクビクと大きく震わせて、脱力しベッドに体を預ける。瑞月は陰茎を触っていない。尻で達したのだ。
僅かなドアの隙間から瑞月の表情が見える。目をとろんと蕩けさせ、薄い唇は微笑んでいるようにもだらしなく開いているようにも見える。後を引く快感にうっとりとしているようだった。
 朝陽は部屋に戻った。誰に見られている訳でもないのに素知らぬ振りをして机に向かい、シャープペンシルを握る。だが、どっどっと心臓が痛いほど強く鼓動を打ち、冷静ではいられない。
 瑞月は綺麗な男だ。それがあのような淫らな自慰に耽っているとは。切なげな声に恍惚とした表情、小ぶりな臀部を指で自ら弄ぶ様子を思い返して、朝陽は自分の中心に血液が集中するのを感じた。
 静まれと強く思っても自分の体なのに思い通りにはならない。痛いくらい張り詰めた男根がスウェットを持ち上げている。クソ、と呟いて朝陽はスウェットを下着ごとおろし、じんじんと熱と痛みを発するそこに手をかけた。
 間もなくとろとろと鈴口から溢れ出した先走りを絡めて扱く。想起するのは瑞月の姿だ。相手は瑞月だ、こんな風になるなんておかしい。そんな思いとは裏腹に瑞月の淫靡な姿が朝陽の目に焼き付いて離れない。どんどん昂り、朝陽の体に力が入る。そして用意していたティッシュに精を吐き出した。

「……っくぅ」

 ドクドクといつにない量がティッシュを重くする。椅子にもたれてティッシュを雑にゴミ箱へ投げ捨てた。興奮が収まり、自分自身への困惑と瑞月へ罪悪感に襲われた。
 朝陽はびっしょりと汗をかいていることに気がついてシャワーを浴びることにした。



 さっさとシャワーを済ませて寝てしまおうと洗面室のドアを開けると、ちょうど浴室から出てきた瑞月と目があった。

「あ」
「なっ……わ、悪い!」

 反射的にドアを閉め謝る。風呂から上がった瑞月の体はほんのりと赤く染まっていた。少し落ち着いていた心臓がまた逸りだす。とにかく、今瑞月と顔を合わせるのは色々とまずい。

「何が?」

 一人慌てる朝陽に瑞月がドアを開いて呑気な声をかける。首にタオルがかかっているだけでまだ服は着ていない。

「朝陽もお風呂?」
「あ、ああ」

 動揺して声が裏返る。瑞月からボディソープのいい香りが香ってくる。

「すぐに出るし中で待ってたら?」
「は!?」
「廊下で待たせるのも悪いし洗面室も広いしさ」
「は、裸見られるの嫌じゃないか?」
「別に? うう、冷えてきちゃった……とにかく朝陽も中に入って」
「俺はいいって」

 結局、瑞月に引っ張り込まれる形で洗面室に入った。自慰のネタにしてしまった体がすぐそこにある。気まずさ
に苛まれながら朝陽も服を脱いでカゴに入れる。

「朝陽って結構筋肉ついてるねえ」

 突然瑞月の掌が朝陽の体を弄る。驚いて一歩引く。

「ごめん、触られるの嫌だった?」
「違う、そうじゃない……」

 朝陽はそのまま触られているとまた下半身に血が集まってしまいそうだったのだ。だがそれを伝えられるわけがなく、黙り込んだ朝陽に瑞月は小首を傾げていたが、まあいいや、と呟いた。

「体冷えちゃったし一緒に俺も入ろうかなあ」
「なっ」
「お風呂広いしいいでしょ?」

 広いといっても男二人で入るにしては狭い。どこかしら体がくっついてしまう。瑞月の肌に触れてしまう。

「だ、駄目だ」
「どうして……あっ」

 食い下がろうとしていた瑞月が一点を見つめて黙った。瑞月の視線の先で朝陽の陰茎が勃ち上がり存在を主張していた。
 やってしまった、羞恥のあまり朝陽は叫びそうになった。この状況で勃起なんて瑞月に興奮したと言っているようなものだ。
瑞月の顔がぼっと赤くなる。

「違う、違うんだこれは!」
「……」

 瑞月は気まずそうに目を逸らすが、チラチラと視線をそこに向けている。弁解をしようとして、違う違うと壊れたラジオようになっている朝陽に瑞月はとんでもない提案をした。

「俺が抜いてあげようか?」
「は? なに言って……」
「俺のせいでこうなっちゃったんでしょ? 責任、取ってあげる」

 瑞月は朝陽の足元にしゃがみ込むと朝陽の陰茎を両手で包み擦り始めた。

「やめろ、んなことしなくていい!」
「いいから、俺に任せて……?」
「っ、おい!」

 瑞月は唇を開いて朝陽の先を頬張るとそのままゆっくりと口の中へ収めていく。瑞月の口の中は温かく唾液でぬるぬるとしていた。初めての感触に朝陽は背中を震わせる。

「俺のオナニー見て興奮したんでしょ?」
「なんで知って……っく」
「なんでだろうね?」

 瑞月は口を窄めてみっちりと朝陽の屹立を包み込む。舌を裏筋に這わせて顔を動かされる。ゾクゾクと快感が朝陽の体を駆け回り、そこへ収束していく。
 瑞月が一際強く吸い上げた瞬間、朝陽の欲望が爆ぜた。

「んくっ……いっぱい出したね」

 ドクドクと朝陽から吐き出された精液を嬉しそうに瑞月は飲み込んだ。チラリと覗く赤い舌がテラテラと光り艶かしい。
 朝陽は目の前で起きた光景が信じられずに呆然としていた。くらくらと目眩がしてきて朝陽の目の前は真っ白になった。
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