起きてください魔王様!〜過保護な宰相の日々〜

トト

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宰相様は間違える

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「おい、牛男」

 いつもなら呼べばすぐ入ってくるのに、なかなか姿を現わさないギルガメシュに宰相が廊下に出る。
 そしてどこかに立ち去ろうとしている牛男の後ろ姿を見つけ、声をかけた。

「牛男」

 牛男が振り返るそして自分を指さす。

「そうだ、早く来い」

 牛男がかけてくる。しかし

「宰相様」

 宰相は後ろから声をかけられ飛び上がるほど驚いた。

「あれ、牛男?」
「へぇ」

 宰相の後ろに立っていたのは牛男ことギルガメシュだった。

「宰相様なんだべさ」

 そして今宰相に呼ばれて走ってきたのは別の牛魔族の雄だった。

「いつもの牛男は」

 宰相が二人を見比べたが違いがわからない。

「いやぁ~、イケ牛のギルガメシュさんと間違われるなんて光栄です~」

 ギルガメシュでないほうの牛男が照れたように頬を染める。

「…………」

 まったく区別がつかん。とりあえず、いつもの牛男に宰相は部屋に入るように言った。


「宰相様、ずっと一緒に働いているのにあんまりですよ、それもあんな入ったばかりの若造と間違えるなんて」

 ブツブツ文句を垂れる牛男ことギルガメシュ。

「まぁ、宰相様からみたらあっしたちなんか、区別がつかないのはしょうがないのかもしれませんが。あっしも毛皮のない魔族はいまいちわからないんで」

 あきらめたように首を振る。

「でも、あっしは魔王様と宰相様だけは間違えませんよ」

 そういいながらギルガメシュは懐から何かを取り出した。
 
「まぁ、でもちょうどよかったです」
「?」

 そういうと、編み込みの美しい真っ赤なブレスレットと、同じ素材の赤い房飾りのピアスを片耳につけた。

「これで区別がつきますよね」
「それは、魔王様の御髪か」
「へぇ、魔王様の御髪があまりに綺麗でしたので、アクセサリーにしてみました」

 にこやかにギルガメシュが言った。

「そうだな。それならよくわかる……、ギル」
「ギル?」
「牛男だとさっきみたいに牛魔族全員振り返るから……、だからお前は今からギルと呼ぶことにした。わかったな」
「へぃ」

 うれしそうにギルガメシュは返事を返した。
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