[完結]貴方なんか、要りません

シマ

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迷惑です

 王国の12歳以上の貴族が全員入学する学園、ギルドレイ学園。初代王の名前のつくこの学園では、6年かけて領地経営、魔物に対する魔法や語学にマナー等、様々分野を学ぶ。この国には女性にも継承権があるため、男女の差など無く切磋琢磨している。

 そんな学園内で非常に浮いた存在が、私の婚約者を含むグループ。魔法の授業の為に友人達と移動していると、中庭から不快なほと大きな笑い声が聞こえた。

「やだ。あの人達また、騒いでいるわ」

「この時間に中庭に居たら、次の授業に間に合わないんじゃないかしら?」

 騒ぎの中心に居るのは婚約者。婚約してから2年が過ぎたが、彼は態度を改める処か悪化している様に見えた。
 先日は彼の子供を妊娠したが、捨てられたと言う女性が我が家を訪ねて来た。彼女は恥を忍んで子供の将来の為に仕事を紹介して欲しいと言った。どうやら彼に我が家に行けば、どうにかしてくれると言われたらしい。

『自分が悪いのは分かってます!でも、子供だけは……子供だけは助けて下さい!!』

 そう訴えた女性に家業の手伝いを提案した。衣食住付きだが、生き物相手なので年中無休。交代で何とか休みを回している状態だ。それでも良いと、彼女は泣きながらお礼を言っていた。身重で仕事は出来ないし、産後も幼子を抱えては満足に働けない。しかも、訪ねて来た彼女以外にも同様の被害者がいる事が発覚し、牧場の一角にひとり親専用の託児所付き居住区を作って従業員を広く募集する事になっている。建物は間もなく完成するが、あの人は本当に人間のクズよね。視界にもいれたくない存在に、ため息をつくと視線を前に戻した。

「授業に出席する気がないのでしょう。行きましょう。彼らに関わるのは時間の無駄だわ」

 自分の婚約者に対して、言う台詞ではないと分かっていても止められなかった。友人達が驚いた表情を見せたが、もう一度彼らに視線を向けると黙って頷いてくれた。

「おい、エリック。あれお前の婚約者じゃないのか?」

 どうやらグループの一人が私に気付いた様だ。友人達が心配しているが、聞こえないふりしてそのまま歩き続ける。

「あ?あれは婚約者って言うより金蔓だよ。将来、遊んで暮らすための道具さ」

 彼の態度から分かっていた事だが、直接聞くと怒りと失望を覚える。私の怒りに反応して、相棒の漆黒の大型犬の様な魔獣が威嚇の唸り声を上げた。

「ネロ、行きましょう」

 私の声に反応して、直ぐに威嚇を止めて側に付く。彼の頭を撫でると、私の手を慰める様に嘗めてきた。

「ありがとう」

 相棒の優しさに笑みが溢れる。息を呑む様な音が聞こえた気がしたが、気のせいだろう。もう中庭を振り返ること無く、次の授業へ向かった。

本当に迷惑な婚約者だわ

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