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破滅の通告 side エリック
大公様から訓練を受けた後、私は獣騎士の宿舎に泊まり込みをさせられていた。自宅とは違い自分の着替えや、部屋の掃除に洗濯等、今まで一度もしたことの無い事をさせられている。
「公爵家の子息に何やらせるんだよ」
思わず愚痴が漏れる。こんな事をして何の意味があるのか分からないまま、サボれば懲罰があると言われて仕方無しに続ける。宿舎の裏で洗濯をしていた時、私の前に大公様が現れた。
「そんなやり方では汚れは落ちぬな」
鼻で笑われてカッとなった自分は、まだ甘ちゃんだった。こんな事、生易しい物だとは知らなかった。
「文句がありそうだが、貴様がしている事はロゼッタは勿論、獣騎士は皆がしている」
驚きで手が止まった。討伐遠征のある獣騎士は兎も角、貴族の令嬢がするはず無いと思って顔を上げると、視線だけで人を殺しそうな眼で私を見る大公様が居た。
「チャールストン家は魔獣の世話で忙しい。皆が自分の事は自分でやる。その上で勉学や訓練をする。貴様にその生活が出来るのか?」
手に掴んでいた洗濯物が落ちるのも構わず、私は大公様の言葉を考えてみた。
今の宿舎での生活をしながら仕事?ここで生活するだけで疲れる私に、更にやれと?どうして父上は、そんな家との婚約を進めた?
「明日の召喚状だ。婚約破棄が済めばそのまま帰宅すれば良い」
茫然とする私に渡されたのは一枚の封筒。疑問だらけの頭の中に、帰宅の言葉だけはしっかり届いた。さっさと手続きを済ませて帰りたい、この時はそれしか頭に無かった。
「閣下も召喚される。そこで全てを終わらせよう」
「全てとは……他にも何か?」
婚約破棄の手続き以外にも何かありそうな言い方が引っ掛かり、尋ねると大公様がニヤリと意味ありげに笑う。
「明日を楽しみにするが良い」
それだけ言うと大公様は、振り向くこと無く何処かへ歩いて行った。あの表情は、きっと何かを隠している。何だ?……まさか父上の知らない何かを知っているのか?
「何れだ?ど……れが……バレた?」
妊娠した女性達に金を渡した事か?借金か?借金取りは結婚してから返すと言ってあるから連絡ある筈がな……い?
「あの女達?……いや、平民が大公様と話が出来る筈……」
言葉に出して考えた時、フッと会話を思い出した。
『これだけじゃ暮らしていけないわ!』
『煩い!もう金は無い!……あぁ、婚約者の家は金持ちだったな』
『えっ?婚約……者がいた?私を騙したのね!』
『知るか。チャールストン家に行けば何とかしてくれるかもな』
あれは何時だ?私は確かに言った。チャールストン家に行けと、そこなら何とかしてくれると……遊びのつもりだった女に、避妊を忘れて妊娠させた事が何度かあった。その都度、手切れ金を渡して同じ様な事を言って追い返した。
「誰か一人でも本当にチャールストン家に行っていたら……?」
私は……間違いなく廃嫡されて家から放り出される。その可能性にやっと気付いた私は、身体の震えがジワリとやってくる。
「私は……どうなる?」
私の呟きは誰の耳にも届かずに消えた。
「公爵家の子息に何やらせるんだよ」
思わず愚痴が漏れる。こんな事をして何の意味があるのか分からないまま、サボれば懲罰があると言われて仕方無しに続ける。宿舎の裏で洗濯をしていた時、私の前に大公様が現れた。
「そんなやり方では汚れは落ちぬな」
鼻で笑われてカッとなった自分は、まだ甘ちゃんだった。こんな事、生易しい物だとは知らなかった。
「文句がありそうだが、貴様がしている事はロゼッタは勿論、獣騎士は皆がしている」
驚きで手が止まった。討伐遠征のある獣騎士は兎も角、貴族の令嬢がするはず無いと思って顔を上げると、視線だけで人を殺しそうな眼で私を見る大公様が居た。
「チャールストン家は魔獣の世話で忙しい。皆が自分の事は自分でやる。その上で勉学や訓練をする。貴様にその生活が出来るのか?」
手に掴んでいた洗濯物が落ちるのも構わず、私は大公様の言葉を考えてみた。
今の宿舎での生活をしながら仕事?ここで生活するだけで疲れる私に、更にやれと?どうして父上は、そんな家との婚約を進めた?
「明日の召喚状だ。婚約破棄が済めばそのまま帰宅すれば良い」
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「閣下も召喚される。そこで全てを終わらせよう」
「全てとは……他にも何か?」
婚約破棄の手続き以外にも何かありそうな言い方が引っ掛かり、尋ねると大公様がニヤリと意味ありげに笑う。
「明日を楽しみにするが良い」
それだけ言うと大公様は、振り向くこと無く何処かへ歩いて行った。あの表情は、きっと何かを隠している。何だ?……まさか父上の知らない何かを知っているのか?
「何れだ?ど……れが……バレた?」
妊娠した女性達に金を渡した事か?借金か?借金取りは結婚してから返すと言ってあるから連絡ある筈がな……い?
「あの女達?……いや、平民が大公様と話が出来る筈……」
言葉に出して考えた時、フッと会話を思い出した。
『これだけじゃ暮らしていけないわ!』
『煩い!もう金は無い!……あぁ、婚約者の家は金持ちだったな』
『えっ?婚約……者がいた?私を騙したのね!』
『知るか。チャールストン家に行けば何とかしてくれるかもな』
あれは何時だ?私は確かに言った。チャールストン家に行けと、そこなら何とかしてくれると……遊びのつもりだった女に、避妊を忘れて妊娠させた事が何度かあった。その都度、手切れ金を渡して同じ様な事を言って追い返した。
「誰か一人でも本当にチャールストン家に行っていたら……?」
私は……間違いなく廃嫡されて家から放り出される。その可能性にやっと気付いた私は、身体の震えがジワリとやってくる。
「私は……どうなる?」
私の呟きは誰の耳にも届かずに消えた。
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