71 / 107
本編
貴女は誰ですか?
しおりを挟む「貴女、マチルダの娘でしょう?会いたかったわ!」
マチルダは私の母の名前。その名前を知っているって事は、祖母で間違いないけど、事前に見せられていた絵姿より年齢が上に見える。この人が私の祖母かぁ。やっぱり実感湧かない。
「貴女……その瞳」
私の母は、髪はオレンジだけど瞳は黒だった。祖母は逆に髪は黒いけど、瞳はオレンジだ。私の瞳がオレンジだと気付いて、驚いた様な表情に変わった。
「どちら様でしょうか?」
わざと瞳の事は触れずに首を傾げて尋ねると、一歩前にいたランバートさんが横に並ぶ。今日の彼はライトグレーのタキシードで普段より格好いい。彼は見せつける様に私の手を取り、指先に唇を寄せた。ちょっと待って!打合せにない事すると恥ずかしくて間違えるから!それに後ろのお義父様から殺気が怖いですよ!!!!
「ご婦人。彼女は自分の婚約者ですが何方かと誤解されているのでは?」
「婚約者……私の孫が勇者様の婚約者?」
祖母が私を孫だと言った瞬間、会場の人々の視線が私達に集まる。本当に孫なら王族と勇者様の親戚になるから注目された。
「可笑しいな……リナは天涯孤独のはずだが?」
お義父様が私の前に出て祖母に尋ねる。威嚇する様に祖母を睨むお義父様の視線に気付いて、彼女は一歩後ろに下がった。微かに震える手を握り締めた彼女は、私に縋る様な視線を向けた。
「母親から何か聞いているでしょう?貴女は貴族の娘で私の孫よ」
「存じ上げません。私の両親から祖父母の事は一度も聞いておりません」
私が首を横に振って改めて否定すると、祖母の後ろから来た男性が彼女の腕を掴んだ。
「何をしているんだ!」
「あなた……だって私の孫が……」
「こんな場所で言う事では無いだろう」
祖母が話している途中で、男性は言葉を重ねる様に正論で遮った。まぁ、当然かな。もし間違ってたら大恥じかくもんね。
「でも、この色は珍しい色よ。間違いないわ」
そう言って私の髪を指す祖母の手を掴んで、手を無理矢理下げる。えっと、貴族のマナーとかの前に、人の事を指でさしちゃいけませんよ。
「それでも、今、言う事ではない。カイン様、並びにご息女のイリーナ様、妻が大変失礼致しました」
しつこく食い下がる祖母を視線で黙らせた男性は、私とお義父様に謝罪の言葉を述べて頭を下げた。
「謝罪は受け取った。しかし、奥方はお疲れの様だ。別室で少し休まれるといい」
お義父様が代表で謝罪を受け入れ別室に行くように促す。男性もこれ以上の騒ぎは不味いと思っているのか、素直に従って祖母を連れだそうしていたけど彼女は違った。
「待って!意地を張らないで。母親から私の事を聞いてるでしょう?」
私が黙って首を横に振ると、祖母は今度こそ黙って男性と一緒に会場を出ていった。
会場の扉が閉まり二人の姿が完全に見えなくなると人々の会話が再開する。私とランバートさんは、何事も無かったかの様に席に戻って、王族の方々と一緒に挨拶に来た人達と話を始めた。
別室にはオーウェンさんが待っているので後はお願いします。
23
あなたにおすすめの小説
殿下、毒殺はお断りいたします
石里 唯
恋愛
公爵令嬢エリザベスは、王太子エドワードから幼いころから熱烈に求婚され続けているが、頑なに断り続けている。
彼女には、前世、心から愛した相手と結ばれ、毒殺された記憶があり、今生の目標は、ただ穏やかな結婚と人生を全うすることなのだ。
容姿端麗、文武両道、加えて王太子という立場で国中の令嬢たちの憧れであるエドワードと結婚するなどとんでもない選択なのだ。
彼女の拒絶を全く意に介しない王太子、彼女を溺愛し生涯手元に置くと公言する兄を振り切って彼女は人生の目標を達成できるのだろうか。
「小説家になろう」サイトで完結済みです。大まかな流れに変更はありません。
「小説家になろう」サイトで番外編を投稿しています。
盲目王子の策略から逃げ切るのは、至難の業かもしれない
当麻月菜
恋愛
生まれた時から雪花の紋章を持つノアは、王族と結婚しなければいけない運命だった。
だがしかし、攫われるようにお城の一室で向き合った王太子は、ノアに向けてこう言った。
「はっ、誰がこんな醜女を妻にするか」
こっちだって、初対面でいきなり自分を醜女呼ばわりする男なんて願い下げだ!!
───ということで、この茶番は終わりにな……らなかった。
「ならば、私がこのお嬢さんと結婚したいです」
そう言ってノアを求めたのは、盲目の為に王位継承権を剥奪されたもう一人の王子様だった。
ただ、この王子の見た目の美しさと薄幸さと善人キャラに騙されてはいけない。
彼は相当な策士で、ノアに無自覚ながらぞっこん惚れていた。
一目惚れした少女を絶対に逃さないと決めた盲目王子と、キノコをこよなく愛する魔力ゼロ少女の恋の攻防戦。
※但し、他人から見たら無自覚にイチャイチャしているだけ。
元王太子妃候補、現王宮の番犬(仮)
モンドール
恋愛
伯爵令嬢ルイーザは、幼い頃から王太子妃を目指し血の滲む努力をしてきた。勉学に励み、作法を学び、社交での人脈も作った。しかし、肝心の王太子の心は射止められず。
そんな中、何者かの手によって大型犬に姿を変えられてしまったルイーザは、暫く王宮で飼われる番犬の振りをすることになり──!?
「わん!」(なんでよ!)
(『小説家になろう』にも同一名義で投稿しています。)
全てを捨てて、わたしらしく生きていきます。
彩華(あやはな)
恋愛
3年前にリゼッタお姉様が風邪で死んだ後、お姉様の婚約者であるバルト様と結婚したわたし、サリーナ。バルト様はお姉様の事を愛していたため、わたしに愛情を向けることはなかった。じっと耐えた3年間。でも、人との出会いはわたしを変えていく。自由になるために全てを捨てる覚悟を決め、わたしはわたしらしく生きる事を決意する。
強い祝福が原因だった
棗
恋愛
大魔法使いと呼ばれる父と前公爵夫人である母の不貞により生まれた令嬢エイレーネー。
父を憎む義父や義父に同調する使用人達から冷遇されながらも、エイレーネーにしか姿が見えないうさぎのイヴのお陰で孤独にはならずに済んでいた。
大魔法使いを王国に留めておきたい王家の思惑により、王弟を父に持つソレイユ公爵家の公子ラウルと婚約関係にある。しかし、彼が愛情に満ち、優しく笑い合うのは義父の娘ガブリエルで。
愛される未来がないのなら、全てを捨てて実父の許へ行くと決意した。
※「殿下が好きなのは私だった」と同じ世界観となりますが此方の話を読まなくても大丈夫です。
※なろうさんにも公開しています。
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
若い頃に婚約破棄されたけど、不惑の年になってようやく幸せになれそうです。
長岡更紗
恋愛
侯爵令嬢だったユリアーナは、第一王子のディートフリートと十歳で婚約した。
仲睦まじく過ごしていたある日、父親の死をきっかけにどん底まで落ちたユリアーナは婚約破棄されてしまう。
愛し合う二人は、離れ離れとなってしまったのだった。
ディートフリートを待ち続けるユリアーナ。
ユリアーナを迎えに行こうと奮闘するディートフリート。
二人に巻き込まれてしまった、男装の王弟。
時に笑い、時に泣き、諦めそうになり、奮闘し……
全ては、愛する人と幸せになるために。
他サイトと重複投稿しています。
全面改稿して投稿中です。
【完結】勘当されたい悪役は自由に生きる
雨野
恋愛
難病に罹り、15歳で人生を終えた私。
だが気がつくと、生前読んだ漫画の貴族で悪役に転生していた!?タイトルは忘れてしまったし、ラストまで読むことは出来なかったけど…確かこのキャラは、家を勘当され追放されたんじゃなかったっけ?
でも…手足は自由に動くし、ご飯は美味しく食べられる。すうっと深呼吸することだって出来る!!追放ったって殺される訳でもなし、貴族じゃなくなっても問題ないよね?むしろ私、庶民の生活のほうが大歓迎!!
ただ…私が転生したこのキャラ、セレスタン・ラサーニュ。悪役令息、男だったよね?どこからどう見ても女の身体なんですが。上に無いはずのモノがあり、下にあるはずのアレが無いんですが!?どうなってんのよ!!?
1話目はシリアスな感じですが、最終的にはほのぼの目指します。
ずっと病弱だったが故に、目に映る全てのものが輝いて見えるセレスタン。自分が変われば世界も変わる、私は…自由だ!!!
主人公は最初のうちは卑屈だったりしますが、次第に前向きに成長します。それまで見守っていただければと!
愛され主人公のつもりですが、逆ハーレムはありません。逆ハー風味はある。男装主人公なので、側から見るとBLカップルです。
予告なく痛々しい、残酷な描写あり。
サブタイトルに◼️が付いている話はシリアスになりがち。
小説家になろうさんでも掲載しております。そっちのほうが先行公開中。後書きなんかで、ちょいちょいネタ挟んでます。よろしければご覧ください。
こちらでは僅かに加筆&話が増えてたりします。
本編完結。番外編を順次公開していきます。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる