【完結】どうやら私は婚約破棄されるそうです。その前に舞台から消えたいと思います

31

　さてどうするべきか……向こうもなりふり構わず仕掛けてくるので対応に困る。

　とっととお帰り願いたいので、魔導士たちに調べさせているのだが、なかなか良いものがないのだ。

　とりあえず今は王族に無礼を働いたことへの謹慎にしているが、出てきてからが大変だ。

　それをどうするか話し合っても拉致が開かないのだ。

　私が、思い出した記憶の中のこいつと今のこいつは同じぐらいだから、元の世界から逃げてきたのは分かっているのだ。
　
　どうにか帰して、きちんと罪を償ってもらいたい。

　そのためにはどうするべきか考えているのだが、なかなかいい案が思い浮かばないのだ。

　数日後やはり謹慎していたあいつが学園に現れると、私に突っかかってきたのだ。

　私は思わず、前世と同じ口調であいつに話しかけるとびっくりして、化け物を見るような目で私を見てきたことでぴんときた。

　殺したはずの私がまさか転生しているとは思っていないはずだ。

　ならそれを利用し、あいつを追い詰めればうまくいくのではないかと思い、あいつがルーカスさまに近づこうとするとあいつにしか聞こえない声で呟いたのだ。

　『痛い、助けてミユ』

　すごい勢いで体をびくつかせるとルーカスさまから離れどこかへ行ってしまったのだ。

　「まさか予想以上の驚きよう」

　「これを繰り返してみればもしかしたら、ご帰還してくれるかもしれませんね」

　「あんな聖女ならいないほうがましだからな」

　私たちは、あいつの姿を見るとあたしの声で録音した声を流した。

　こちらの言葉ではなく日本語で話したのだ。

　日増しに顔色も悪くなり、やせ細ってきているのだ。

　少しの罪悪感はあるが、ミユのしたことから比べたら屁でもないだろう……多分……

　帰還できるならとっととこの世界からいなくなってほしい。