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第一世界 1章 奈落編
11,40層ボス〜
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扉を開けるとそこはあの火蜥蜴のいた部屋より広く海蛇のいた部屋より僅かに狭い空間が広がっていた。
その内装は火山をモチーフにしていた火蜥蜴や海をモチーフにしていた蛇の部屋と同じくこの部屋にもモチーフがあるみたいだ。それはここに来る道中にあったあの森だ。
しかし森とは言ったけど実際は背の高い木や草がないからどちらかと言うと草原の方が近いかな?
そしてその中央には鷲の頭に獅子の体、そして鷲の翼を持つ地球でもトップクラスの知名度を誇る幻獣、グリフォンが鎮座していた。
うへえ、サラマンダードレイクにシーサーペントって時点でなかなかにエッグいダンジョンだと思ってたけど今度はグリフォンかよ。殺意高すぎだろ。
とりあえずいつも通りまずは解析してみようか。
name:無し
種族:鷲獅子
種族Lv:75
体力 B
魔力 B
筋力 B
知力 D
スキル────────────────────
・ノーマルスキル
『暴風魔法 Lv6』『精霊魔法・風 Lv6』
『堅牢 Lv7』『咆哮 Lv3』『精霊使役 Lv20』
『風耐性 Lv6』『雷耐性 Lv5』「雷撃魔法 Lv4』
『再生力上昇 Lv6』『風雷纏 Lv6』『物理耐性 Lv4』
『精霊魔法・雷 Lv4』
・エクストラスキル
『精霊化』『落雷』『天翔雷蹄』
───────────────────────
称号─────────────────────
『精霊獣・風』『風精霊王の眷属獣』『風雷使い』
『第40層フロアボス』『幻獣』
はぁ。ここに来てとうとう2属性持ちのボスが登場か。これまでの3体とは違うみたいだしこちらも相応の準備をしないとね。
「魔装黒鬼、影纏、炎纏、水纏」
魔装に3属性を重ねがけする、さらに
「身体強化、肉体強化、闘気、魔闘気、熱竜気」
自強化とその上から気を纏う。僕の強化は次で最後。
「発動━━━『紫灰の焔』」
紫灰の焔が今回は左腕を起点に纏われる。そして黒の鎧を塗りつぶし作り替えるように紫に灰の紋様が描かれた外骨格を形成する。
「グァァァ!!」
おっとあちらさんもちょうど臨戦態勢みたいだ。それじゃあ器官生成で翼を出してと、今回は前回やったみたいに太灼天で焦土化すると周りが植物なせいで被害が大きくなりすぎるし魔石の回収が面倒になるから今回は太灼天は封印するしかないかなぁ。
ってことでこれまで訓練くらいでしか召喚してなかった魔剣を今回は出そうか。使わなければ錆びていくだけだしね。
「『召喚、魔剣フラムヌル』」
この剣は黒い縁に深紅の刀身を持つ片手剣だ。群青刀と違い刀身自体には何の飾り気も無いシンプルな剣、しかしそこから放たれるはあの火蜥蜴にも引けを取らない膨大な熱量。しかもそれでいて周囲を無秩序に焼くことも無く熱は剣の周囲に集まっているため攻撃の時にだけダメージを与えることが出来る。
脚力強化×跳躍
「フッ!」
ちっ、浅いか。
「グギャアァァァ!!」
はっ!?精霊化!?!いきなりかよ。風が肉体を形づくり更にその上から雷が鎧を形成している。
「━━━━━━━ァ!」
足に雷、背に風翼。僕自身相手のこと言えたもんじゃないけど精霊化からさらに強化入るのかよ。
「━━━━━━━━アッ!!」
風槍に雷槍か、雷槍は見た感じ軌道が直線だから飛んで避けれるけど風槍は途中で軌道を曲げてきたりするから厄介だな。一応幾重にも纏ってる鎧と紫灰焔で直接ダメージは防ぐことが出来てはいるけどこちらからもなかなか近接戦に持ち込めないからな。
太灼天使えば倒せなくても最悪瀕死にまでは少なくとも持って行けるだろう、だけどシーサーペント戦では水に対して撃ったから魔石が無事だったわけで多分グリフォンに直接撃ち込んだら魔石ごと消し飛びそうな気がするんだよね。
だから太灼天は使えば勝てるけど使ったら実質負け。そのせいでここまでジリ貧になってるんだから
世話ないんだけど。
「『無限の○製』」
魔力武器化で複数の剣を同時生成。そしてそれを某赤い弓の人のように撃ち込む。
「━━━━━━━━━ァァァ!」
おっ、これは効くみたいだ。これメインで攻めていこうか。
「━━━━━━アアァァァ!!」
なんだ?
肉体を形成してた風がその形を失っていく?そしてその周りの鎧も弾けて形を失った風に取り込まれていく。そして新たな姿に変化したグリフォンだがその姿は獣と言うよりかは竜や龍の方が近いかな、風と雷の塊を肉体とした巨大な龍。
とりあえず攻撃しないと勝てないからな、今のところ詠唱抜きで撃てる最大火力を撃ってやる。
「紫灰槍!」
は?取り込まれた?そして龍の中を循環して……
うわっ、攻撃を威力倍にして返して来るのか。
火属性自体が効かなくなってる?
それなら━━腰から2本の短剣を引き抜き一気に近づく。そして、
「ソードサイクロン!」
蒐魔と奪命の短剣を振るいその能力を発動する。しかし外側の風を少しは切れたけどその傷も直ぐに残りの風に塞がれる……これどうすればいいんだよ・・・・・・
ってまた何か溜めてるな・・・これは少しやばいんじゃないかな?
「━━━━━━━━━━━━オォァァ!!」
ッ!!やっぱりブレスか!風雷の複合ブレスは速度があるし範囲広いしさらには貫通力もあるしでかなり厄介だなっ!
跳躍で全力で横に飛ぶことで何とか避けられる。雷が混ざってるおかげで軌道が比較的直線なのも避けやすい理由だな。
だけど避けれるとはいえこっちからは削れないからかなりきついな━━━━ん?なんか体の中に黒い球体みたいなのがある。もしかしてあれがあいつの核なのか?
試しに核狙って攻撃してみるか。
「岩槍!岩弾!」
「━━━━━━━━━━ッアァ!」
━━━やっぱりか、さっきまでよりあからさまに対応してくるな。さっきまではこっちが攻撃しても防御しようとはしなかったのにな。
「━━━━━━━━━オオォアァァ!!」
なっ今度は体が膨張し始めた?魔剣で斬撃を撃ち込むけど全て掻き消されるか。今の状況はかなりまずい。逃げ場がないダンジョンの中で周囲全てがあいつの体内みたいな今の状況はどこから攻撃されるのか分からないからな。
自己強化系スキルと各種纏に気、そして魔装を重ね掛けしてさらに堅牢、竜鱗、自己再生まで使ってるのにダメージが少しずつ蓄積してるからこれ以上はきついな。
これはそろそろ狂戦士化と精霊化の使用も視野に入れないとダメそうだ。こうしてる間にも休みなく風槍、風弾、風刃の暴風魔法版とも言うべき物が飛んでくるからそろそろ避けたり打ち払ったりるのも無理そうだし。
はぁ、さてと。初めて使うから使ったらどうなるか分からないけどもう覚悟を決めるしかないか。
そもそも今僕が生きてるのだって幸運が重なった結果偶然こうして生きてるだけだしな。本当なら死んでてもおかしくないわけだからな。
━━━━━━━よし、やろうか。
「『狂戦士化』さらに『精霊化』」
ぐっ、あぐっ……これは融合を初使用した時と同じ?体が作り替えられていってる?内側から混ぜられるような……くっ、頭痛もしてきたな、だけど僕は生憎精神系の耐性だけは無駄に潤沢なんでね。それにこの程度は初めて融合を使った時と比べりゃ屁でもない。
はぁ、痛みと頭痛は収まったか。
━━━━━━よぉし、まだ精霊化は制御出来てる、さらに狂戦士化も今のところ意識と理性で押さえつけられる。
この2つは馬鹿みたいな強化率を誇るけど代償として使えば意識と理性を失うか最悪死ぬ感じのスキルみたいだ。だから今まだこれを抑えられて自分の意思と理性でこの2つの力を振るえるうちに勝負を決める。
さて、風牢とでも言うべきこの場所の中心、最初グリフォンがいた地点にあの核らしきものを守るように立ってる暴風と雷撃が混ざって人を形をとったナニカ、アレはさっきまでと違って実体がある分やりやすそうだ。一気に近づいて斬りつけよう。
跳躍で・・・
あ゙ぐっ!最初の踏み込みだけで足が崩れた!?だけどそれは即座に修復されるから問題ないか。元々かけていた自己強化系スキルに効果の切れていた紫灰の焔、影の王、焔の王を追加で重ねる。
体を覆うコートと鎧、漆黒、真紅、そして左腕を覆う紫灰色の部分鎧とさらにそれを覆う焔。
さてと━━━それじゃあほんとに、ここからは死力と気力を尽くす。
大地を蹴り一息にやつの懐に入る、蹴った時に今度は足が破裂するけどどうせ即座に修復されるから気にしない。
「詠唱省略━━━『太灼天』」
もう太灼天を制限したりはしないでいいかな。あいつがさっきまで自分の体を構成する風を周囲を囲む鳥籠のようにしていたおかげで周りの植物が全て切り裂かれて更地になったからね。
詠唱無しで撃った分シーサーペント相手に撃った時より威力と範囲は低いが人間サイズならこれで十分、現に当たった箇所が爆発したように吹き飛んでるからな。そしてこの詠唱省略、精霊化状態じゃないと無理だろうな。
・・・まあその傷も体を構成する風で吹き飛んだ部分が修復されるんだけど。それでも見た感じさっきと体の密度が違うような気がするからこのまま行けばもしかしたら!
って考えたらこれだよ……さっきから希望を速攻で絶望に落とすのが上手いなこいつ。
何が起こったかと端的に言うと外側で荒れ狂ってる暴風の膜を体に取り込みやがった。
そして蛹から蝶に羽化するように風を取り込むと同時にやつの周囲をさっきまで覆っていた膜の小規模版のようなものが覆い蛹のようなものに変化、そしてそれが弾けるとその姿は某漫画の快楽の使徒の暴走体である黒騎士形態のような姿に変化していた。
ハハ、人型で既に無理ゲー臭かったのに今度は装甲に飛行能力まで付いたのかよ。
・・・だけど装甲ってことはさっきまでの風の肉体よりは実体がよりハッキリしてるってことだよな・・・
攻撃が通りやすくなっただろうしいけるか?
・・・ちっ、狂戦士化と精霊化が進行してくるせいで意識が朦朧としてきた……そろそろ本当にまずいな……
「精霊魔法・火:水━━『サラマンダー』『ディーナ』」
複合精霊魔法、これなら少しは通らないかな?
「『スチームカノン』!!」
はぁ、はぁ……これでもダメージは入らないか。一応かなり吹っ飛ぶから距離を話すのには使える……か?
ていうかほんとにそろそろ意識がやばい。例えるならインフルの辛さがピークのときの意識の混濁を何倍にもした感じ。これ以上意思だけで2つの進行を抑えるの無理だな。
ふぅ、ここからはほんとに死を覚悟しないといけないか。
今から僕がしようとしてるのは精霊化と狂戦士化の最大出力、この際合わせて狂霊化とでも言おうか。
「『狂霊化』」
━━━ドクンッ。
心臓がこれまでにないほど強く脈打ち身体の中から魔力が溢れ出す、そしてその桁違いな量の魔力が身体の中を流れていく。
身体が最初に狂戦士化と精霊化を使った時の比じゃない規模でどんどん内側から造り換えられていくのを感じる。
今身体を流れる魔力の量は本来身体の中に流すことが出来る魔力の許容量を遥かに超えている、しかもそれでいて現在進行形で追加の魔力が生み出されている。そしでそれ故に身体に収まりきらない魔力は行き場を求めて身体の外へ出ようとする。
そんな魔力によって僕の体は至る所が破裂しては修復され、修復されてはまた破裂や崩壊する。
そのまま周囲に赤黒い血をまき散らしながら膨張と収縮を繰り返していき━━━
━━━━━そして最後に僕の身体はその内から破裂した。
その内装は火山をモチーフにしていた火蜥蜴や海をモチーフにしていた蛇の部屋と同じくこの部屋にもモチーフがあるみたいだ。それはここに来る道中にあったあの森だ。
しかし森とは言ったけど実際は背の高い木や草がないからどちらかと言うと草原の方が近いかな?
そしてその中央には鷲の頭に獅子の体、そして鷲の翼を持つ地球でもトップクラスの知名度を誇る幻獣、グリフォンが鎮座していた。
うへえ、サラマンダードレイクにシーサーペントって時点でなかなかにエッグいダンジョンだと思ってたけど今度はグリフォンかよ。殺意高すぎだろ。
とりあえずいつも通りまずは解析してみようか。
name:無し
種族:鷲獅子
種族Lv:75
体力 B
魔力 B
筋力 B
知力 D
スキル────────────────────
・ノーマルスキル
『暴風魔法 Lv6』『精霊魔法・風 Lv6』
『堅牢 Lv7』『咆哮 Lv3』『精霊使役 Lv20』
『風耐性 Lv6』『雷耐性 Lv5』「雷撃魔法 Lv4』
『再生力上昇 Lv6』『風雷纏 Lv6』『物理耐性 Lv4』
『精霊魔法・雷 Lv4』
・エクストラスキル
『精霊化』『落雷』『天翔雷蹄』
───────────────────────
称号─────────────────────
『精霊獣・風』『風精霊王の眷属獣』『風雷使い』
『第40層フロアボス』『幻獣』
はぁ。ここに来てとうとう2属性持ちのボスが登場か。これまでの3体とは違うみたいだしこちらも相応の準備をしないとね。
「魔装黒鬼、影纏、炎纏、水纏」
魔装に3属性を重ねがけする、さらに
「身体強化、肉体強化、闘気、魔闘気、熱竜気」
自強化とその上から気を纏う。僕の強化は次で最後。
「発動━━━『紫灰の焔』」
紫灰の焔が今回は左腕を起点に纏われる。そして黒の鎧を塗りつぶし作り替えるように紫に灰の紋様が描かれた外骨格を形成する。
「グァァァ!!」
おっとあちらさんもちょうど臨戦態勢みたいだ。それじゃあ器官生成で翼を出してと、今回は前回やったみたいに太灼天で焦土化すると周りが植物なせいで被害が大きくなりすぎるし魔石の回収が面倒になるから今回は太灼天は封印するしかないかなぁ。
ってことでこれまで訓練くらいでしか召喚してなかった魔剣を今回は出そうか。使わなければ錆びていくだけだしね。
「『召喚、魔剣フラムヌル』」
この剣は黒い縁に深紅の刀身を持つ片手剣だ。群青刀と違い刀身自体には何の飾り気も無いシンプルな剣、しかしそこから放たれるはあの火蜥蜴にも引けを取らない膨大な熱量。しかもそれでいて周囲を無秩序に焼くことも無く熱は剣の周囲に集まっているため攻撃の時にだけダメージを与えることが出来る。
脚力強化×跳躍
「フッ!」
ちっ、浅いか。
「グギャアァァァ!!」
はっ!?精霊化!?!いきなりかよ。風が肉体を形づくり更にその上から雷が鎧を形成している。
「━━━━━━━ァ!」
足に雷、背に風翼。僕自身相手のこと言えたもんじゃないけど精霊化からさらに強化入るのかよ。
「━━━━━━━━アッ!!」
風槍に雷槍か、雷槍は見た感じ軌道が直線だから飛んで避けれるけど風槍は途中で軌道を曲げてきたりするから厄介だな。一応幾重にも纏ってる鎧と紫灰焔で直接ダメージは防ぐことが出来てはいるけどこちらからもなかなか近接戦に持ち込めないからな。
太灼天使えば倒せなくても最悪瀕死にまでは少なくとも持って行けるだろう、だけどシーサーペント戦では水に対して撃ったから魔石が無事だったわけで多分グリフォンに直接撃ち込んだら魔石ごと消し飛びそうな気がするんだよね。
だから太灼天は使えば勝てるけど使ったら実質負け。そのせいでここまでジリ貧になってるんだから
世話ないんだけど。
「『無限の○製』」
魔力武器化で複数の剣を同時生成。そしてそれを某赤い弓の人のように撃ち込む。
「━━━━━━━━━ァァァ!」
おっ、これは効くみたいだ。これメインで攻めていこうか。
「━━━━━━アアァァァ!!」
なんだ?
肉体を形成してた風がその形を失っていく?そしてその周りの鎧も弾けて形を失った風に取り込まれていく。そして新たな姿に変化したグリフォンだがその姿は獣と言うよりかは竜や龍の方が近いかな、風と雷の塊を肉体とした巨大な龍。
とりあえず攻撃しないと勝てないからな、今のところ詠唱抜きで撃てる最大火力を撃ってやる。
「紫灰槍!」
は?取り込まれた?そして龍の中を循環して……
うわっ、攻撃を威力倍にして返して来るのか。
火属性自体が効かなくなってる?
それなら━━腰から2本の短剣を引き抜き一気に近づく。そして、
「ソードサイクロン!」
蒐魔と奪命の短剣を振るいその能力を発動する。しかし外側の風を少しは切れたけどその傷も直ぐに残りの風に塞がれる……これどうすればいいんだよ・・・・・・
ってまた何か溜めてるな・・・これは少しやばいんじゃないかな?
「━━━━━━━━━━━━オォァァ!!」
ッ!!やっぱりブレスか!風雷の複合ブレスは速度があるし範囲広いしさらには貫通力もあるしでかなり厄介だなっ!
跳躍で全力で横に飛ぶことで何とか避けられる。雷が混ざってるおかげで軌道が比較的直線なのも避けやすい理由だな。
だけど避けれるとはいえこっちからは削れないからかなりきついな━━━━ん?なんか体の中に黒い球体みたいなのがある。もしかしてあれがあいつの核なのか?
試しに核狙って攻撃してみるか。
「岩槍!岩弾!」
「━━━━━━━━━━ッアァ!」
━━━やっぱりか、さっきまでよりあからさまに対応してくるな。さっきまではこっちが攻撃しても防御しようとはしなかったのにな。
「━━━━━━━━━オオォアァァ!!」
なっ今度は体が膨張し始めた?魔剣で斬撃を撃ち込むけど全て掻き消されるか。今の状況はかなりまずい。逃げ場がないダンジョンの中で周囲全てがあいつの体内みたいな今の状況はどこから攻撃されるのか分からないからな。
自己強化系スキルと各種纏に気、そして魔装を重ね掛けしてさらに堅牢、竜鱗、自己再生まで使ってるのにダメージが少しずつ蓄積してるからこれ以上はきついな。
これはそろそろ狂戦士化と精霊化の使用も視野に入れないとダメそうだ。こうしてる間にも休みなく風槍、風弾、風刃の暴風魔法版とも言うべき物が飛んでくるからそろそろ避けたり打ち払ったりるのも無理そうだし。
はぁ、さてと。初めて使うから使ったらどうなるか分からないけどもう覚悟を決めるしかないか。
そもそも今僕が生きてるのだって幸運が重なった結果偶然こうして生きてるだけだしな。本当なら死んでてもおかしくないわけだからな。
━━━━━━━よし、やろうか。
「『狂戦士化』さらに『精霊化』」
ぐっ、あぐっ……これは融合を初使用した時と同じ?体が作り替えられていってる?内側から混ぜられるような……くっ、頭痛もしてきたな、だけど僕は生憎精神系の耐性だけは無駄に潤沢なんでね。それにこの程度は初めて融合を使った時と比べりゃ屁でもない。
はぁ、痛みと頭痛は収まったか。
━━━━━━よぉし、まだ精霊化は制御出来てる、さらに狂戦士化も今のところ意識と理性で押さえつけられる。
この2つは馬鹿みたいな強化率を誇るけど代償として使えば意識と理性を失うか最悪死ぬ感じのスキルみたいだ。だから今まだこれを抑えられて自分の意思と理性でこの2つの力を振るえるうちに勝負を決める。
さて、風牢とでも言うべきこの場所の中心、最初グリフォンがいた地点にあの核らしきものを守るように立ってる暴風と雷撃が混ざって人を形をとったナニカ、アレはさっきまでと違って実体がある分やりやすそうだ。一気に近づいて斬りつけよう。
跳躍で・・・
あ゙ぐっ!最初の踏み込みだけで足が崩れた!?だけどそれは即座に修復されるから問題ないか。元々かけていた自己強化系スキルに効果の切れていた紫灰の焔、影の王、焔の王を追加で重ねる。
体を覆うコートと鎧、漆黒、真紅、そして左腕を覆う紫灰色の部分鎧とさらにそれを覆う焔。
さてと━━━それじゃあほんとに、ここからは死力と気力を尽くす。
大地を蹴り一息にやつの懐に入る、蹴った時に今度は足が破裂するけどどうせ即座に修復されるから気にしない。
「詠唱省略━━━『太灼天』」
もう太灼天を制限したりはしないでいいかな。あいつがさっきまで自分の体を構成する風を周囲を囲む鳥籠のようにしていたおかげで周りの植物が全て切り裂かれて更地になったからね。
詠唱無しで撃った分シーサーペント相手に撃った時より威力と範囲は低いが人間サイズならこれで十分、現に当たった箇所が爆発したように吹き飛んでるからな。そしてこの詠唱省略、精霊化状態じゃないと無理だろうな。
・・・まあその傷も体を構成する風で吹き飛んだ部分が修復されるんだけど。それでも見た感じさっきと体の密度が違うような気がするからこのまま行けばもしかしたら!
って考えたらこれだよ……さっきから希望を速攻で絶望に落とすのが上手いなこいつ。
何が起こったかと端的に言うと外側で荒れ狂ってる暴風の膜を体に取り込みやがった。
そして蛹から蝶に羽化するように風を取り込むと同時にやつの周囲をさっきまで覆っていた膜の小規模版のようなものが覆い蛹のようなものに変化、そしてそれが弾けるとその姿は某漫画の快楽の使徒の暴走体である黒騎士形態のような姿に変化していた。
ハハ、人型で既に無理ゲー臭かったのに今度は装甲に飛行能力まで付いたのかよ。
・・・だけど装甲ってことはさっきまでの風の肉体よりは実体がよりハッキリしてるってことだよな・・・
攻撃が通りやすくなっただろうしいけるか?
・・・ちっ、狂戦士化と精霊化が進行してくるせいで意識が朦朧としてきた……そろそろ本当にまずいな……
「精霊魔法・火:水━━『サラマンダー』『ディーナ』」
複合精霊魔法、これなら少しは通らないかな?
「『スチームカノン』!!」
はぁ、はぁ……これでもダメージは入らないか。一応かなり吹っ飛ぶから距離を話すのには使える……か?
ていうかほんとにそろそろ意識がやばい。例えるならインフルの辛さがピークのときの意識の混濁を何倍にもした感じ。これ以上意思だけで2つの進行を抑えるの無理だな。
ふぅ、ここからはほんとに死を覚悟しないといけないか。
今から僕がしようとしてるのは精霊化と狂戦士化の最大出力、この際合わせて狂霊化とでも言おうか。
「『狂霊化』」
━━━ドクンッ。
心臓がこれまでにないほど強く脈打ち身体の中から魔力が溢れ出す、そしてその桁違いな量の魔力が身体の中を流れていく。
身体が最初に狂戦士化と精霊化を使った時の比じゃない規模でどんどん内側から造り換えられていくのを感じる。
今身体を流れる魔力の量は本来身体の中に流すことが出来る魔力の許容量を遥かに超えている、しかもそれでいて現在進行形で追加の魔力が生み出されている。そしでそれ故に身体に収まりきらない魔力は行き場を求めて身体の外へ出ようとする。
そんな魔力によって僕の体は至る所が破裂しては修復され、修復されてはまた破裂や崩壊する。
そのまま周囲に赤黒い血をまき散らしながら膨張と収縮を繰り返していき━━━
━━━━━そして最後に僕の身体はその内から破裂した。
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