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第一世界 1章 奈落編
13,天照
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第1経験値発見・・・って思ったけどやっぱりこのダンジョンの難易度おかしいわ。70層ボスのエルダーリッチと同系統の種族が普通に雑魚として大量に湧いてるんだから。
部分龍化、万纏、各種強化スキルを重ねがけ。すると相手もこちらに気づいて魔法を撃ってくる。しかしそこで新スキル霧化を発動。全魔法をすり抜け肉薄する。
「フッ━━!!」
短く息を吐きカラドボルグで一閃、これで1体と数体にダメージが入る程度、か。一応武芸百般と剣術・王で剣の扱いはかなり補正がかかってるはずなんだけどなぁ。面倒だし少し魔力の消費が重いけど一掃しようか。
さてと、重力力場展開・・・そして━━━
「『跪け』」
全員を重力場でその場に固定。そして龍魔法発動、
「我に仇なす全てを喰らえ『龍の顎』」
詠唱終了と同時に龍の形をしたエネルギー体が発生し重力場によって動きを止められていたリッチの群れに喰らいつく。そしてその全てを砕く。
魔力消費はそこそこ重いけどやっぱりこの魔法優秀だな。さてと次は・・・
探知に引っかかったのはオルトロスにヘルハウンドか、どちらも群れみたいだな。ちょうどいい。
「同時展開━━━━『霧魔法』『樹魔法』『溶魔法』『結晶魔法』『毒魔法』『音魔法』『深影魔法』」
霧が惑わし樹が絡みつく、溶が触れたもの全てにダメージを与え結晶が切り裂く。毒が大気を蝕み音が空間全てに伝播する。そして深き影が体を内から刺し貫く。
「「「ガゥルァァ!?!」」」
そして2種類の犬狼の群れは壊滅した。
リッチとこの魔獣共ならそこそこ楽にいけるな。
ッ!?突然背中に氷塊を突っ込まれたような感覚……これまで何度も感じた死の気配。
「━━━━━━━ッ!!『極光砲』『紫灰焔砲』」
そして本能的な悪寒に従い魔力を本来の量より超過して込めた魔法を放つ。そして土煙が晴れるとそこには緑色の体に濁った橙色で目のような模様が描かれたスライムのような何かがいた。
それはただそこにいるだけで僕の本能が全力で警鐘を鳴らしている。
濁った色の体に多数の目、そして蠢く不定形の体・・・なんとなくその正体を察してしまったけどスキルの狂気耐性と称号の狂気に抗う者が抵抗に成功したのか発狂は免れた。
鑑定・・・
name:&m5gaj6twzz7
種族:s&-5""s-&9ng
種族Lv:-vu&ks
体力 SSS
魔力 S
筋力 SS
知力 E
は?SSSってそんなのこれまでのボスでも見た事ないぞ。伸び代SSSとかどんな体力おばけだよ……しかもなんか名前と種族が文字化けしてるし。
・・・ていうか体力と筋力が高くてオマケにあの見た目。多分、いや十中八九ショゴスかそれに準じるやつだろうなぁ……
「魔力武器化━━━━━━『群青刀』『赫緋太刀』」
魔力をいつもより大めに込めた2本の刃を振るう。
万物凍てつかせる群青の刃と触れたもの全てを焼き尽くす赫緋の刃。
「テケリ・リ・・・」
鳴き声で推測は確信に変わった。そしてそこまでダメージは入ってないみたいだ。
「━━━━━━━━━━━ッ!!」
やっぱりショゴスならそれくらいやってくるよなぁ。体の一部を刃に変えて伸ばしてくるけど2本の刃で何とか迎撃、そして天霊化や闘王などの強化に繋がるエクストラスキルを全使用。
そして群青刀と赫緋太刀を消してフラムヌルとカラドボルグを取り出す。
その間も触手による攻撃は続くがなんとか捌くことが出来ている。だけどさっきからどんどん触手の数が増えてきて捌ききれなくなってきた。
そしてとうとうその1本が体をかする、そしてその時突然触手から棘が出て彼岸花のような形になる。
「ぐぅ……ッ!!」
痛みはほとんどない、このまま詠唱に入る。
「中天に座す灼陽の星、遍く全てを焼き尽くせ。
我が火は万物全てを灰燼と帰す。
眼下全てを焦土と化せ━━━『太灼天』」
体に刺さってる触手の根元を焼却、それによって刺さってた触手も崩壊する。しかし焼いてもそこを削り取って新たに修復するみたいだ。
「テケリ・リ」
ぐはっ、普通触手を束ねての張り手でこんな壁にめり込むものかね。それになんか体を作り変えてるみたいだし、隆起したり萎んだり突起が出たりしてる。
変化は収まったのか?
ッ!やばっ
「『虹天剣・臨界起動』」
カラドボルグを限界を超える出力で行使する、変化終了と同時に伸びてきた無数の触手と超過行使したことでエネルギーが剣の形に収まりきらず光のような状態になったカラドボルグが激突する。
何とか払うことには成功したがそこには人が黄衣の王と言われて想像するイメージに非常に似た存在がいた。
それは黄色のフード付きローブを着た巨大な人のような姿で顔は触手が見え隠れしている、体ははっきり見えないが人型であると思う。
「━━━━━━━━ッ!!」
何か叫んだんだろうが聞き取れる音じゃないのか全く聞こえないな。そしてそれと同時に背に光輪が現れた。そこから無数の光弾と光線が発射される。それに対してカラドボルグを振るう、何度かその巨大な腕を振るわれるが何とかカラドボルグで打ち合うことが出来ている。
━━━━━━━しかし、それもその時終わった。
それは微かな音だったが嫌によく通る音だった。何かが割れるような音がしたかと思うとカラドボルグにヒビが入りそのまま砕け散った。
はっ……もうここで終わりか・・・・・・叩き潰そうと振り下ろされた腕がやけにスローに見えるな。
・・・・・・ん?なんだ、いつまで経っても衝撃が来ない。ゆっくり目を開けると、そこには周囲全てが完全に停止していた。
「は?なんだこれ・・・何が起こったんだ?」
するとその時、足元に日色の魔法陣が発生しそのまま上に乗る吸血鬼ともにその場から消え失せた。
そこは地球にある場所で例えるならウユニ塩湖のような場所だった。薄くどこまで果てしなく広がる水面とその上に広がる真っ白な雲と抜けるような青空、そして燃え盛る太陽。しかしその太陽は熱いというより温かさを感じるような光を放っていた。
「ん・・・・・・いや、どこだよここ……」
黄衣の巨人に圧殺されそうになって色々諦めた時に突然時間が止まったと思ったらその後ここに来るまでの記憶が無い・・・僕はなんでこんな所にいるんだ?
(ここは神界、その中の私の領域・・・)
は?なんか突然頭の中に声が聞こえ始めたんだけど今更狂気ロール判定の結果が出た?そしてファンブルした?
(む、そんなことは無い。これは私がテレパシー送ってるだけ。私の名前は太陽神アマテラス、この世界太陽神とは似て非なる者。一応貴方達の元いた世界と同じ世界で神様やってるよ)
天照?太陽神?そして地球の神様?なんで地球の神がこっちの世界にいるんだ?ていうかなんでテレパシーで会話してるんだよ。出てきてくれればいi
思考途中に突然目の前の空間が歪んだと思ったらそこから人が出てきた。
「出てきたよ。初めまして?では無いね。真緒くんは覚えてないかもしれないけど実は私と貴方は小さい頃に会ってるんだよ。・・・そして改めてこんにちは、太陽神アマテラスです」
歪んだ空間から出てきたのは日本人が天照と聞いてすぐ連想するような紅白の和装、巫女服みたいなものに桜色の髪を水面に着くギリギリまで伸ばした美しい少女だった。
なんか気になること言ってたな、小さい頃に僕はこの人……いや神か、とにかくこの神と会ったことがある・・・?
・・・もしかして……桜、黒髪、女の子・・・地球にいた頃あまりに強い眠気に負けて居眠りしたりした時によく見るあの夢……あれに出てくる桜と黒髪の女の子がこの神様?でも髪の色が全然違う……
「あれ?もしかして覚えててくれた?・・・うんうん、今はそうじゃない。ここにとどめておける時間には限りがあるから今からは私が真緒くんをここに呼んだ理由なんかを話していくね」
・・・アマテラスさんの話をまとめるとこういうことらしい。僕はあのままだと確実に死ぬ。一応吸血鬼になったことで不死性は獲得しているけどアレはそんなのお構いなしに自分の中に取り込む存在でしかも創造神が創った生物では無いらしい。
そこで僕のことを昔から、それこそ地球にいた頃から見てたアマテラスさんは最高神の序列1位であるゼウスに直談判して僕をこの空間に呼ぶ許可を得た、
そして神々の持つ自身の加護または寵愛を持つものに自身の持つスキルを共有させることが出来るという特権を利用して僕にアレを打倒しうる力を与えてくれるってことみたいだ。
それとアマテラスさん曰く天照の名は日本固有の名前で実際はアポロンの同一存在の別側面だから同じ権能を持つアポロンがいても別に問題は無いらしい。
ちなみに話の合間で昔に会ったことがあるとはいえなんで僕にそこまでしてくれるのか聞いてみたけど答えは返ってこなかったよ。
「それじゃあ今から共有するスキルを言うよ。一応アポロンとも話し合って決めたからちゃんと使えるはず。それと槍嵐神と創造神も君の成長を見てそろそろ自分達もスキルを与えるって言ってたよ」
え、太陽神関係のスキルの他にあと2柱分のスキルが貰えるのか・・・
「それじゃあ発表します・・・
ジャラジャラジャラジャラ·····
私からは『神剣召喚:叢雲剣』と『降神装・陽炎』
アポロンちゃんからは『炎天下』と『太陽眼』
槍嵐神さんからは『原初魔法』と『疾風迅雷』
創造神さんからは『創造』と『スキル合成』だよ」
えぇ……1人1個かと思ったら2個かぁ……名前が全部仰々しいし。そして溜める時の効果音、自前とかあざといな。あとこっちの太陽神さんからもスキル貰えるんだね。
「あ、そろそろここに留めていられる時間が無くなるからあっちに戻すよ。真緒くん、もうダンジョンから出るまで干渉できないからね」
ふぅ、そろそろ覚悟を決めますか。さすがにこれだけチートスキル貰ってボコされましたじゃ神様たちに笑い者にされちゃうしね。
「慢心するつもりは無いけど負けるつもりもないよ。それにあれだけ貰ったんだから簡単には死ねないしね」
足元に白い魔方陣が展開される、そしてアマテラスが何故かこっちに歩いてきた。そして魔方陣の縁ギリギリに立ち背を伸ばす、そして両手で僕の頬をを左右から覆うように持ち・・・・・・ん?あれ……なんかラノベで見た事あるような…………
ちゅっ
............へっ?
そして気付けば、彼女の唇が僕の唇に重なっていた。
驚くほど柔らかな、彼女の唇の感触。
それは、ついばむような、冗談のように軽いキスだったが、それでも、彼女の気持ちがひしひしと伝わってきた。
───あれ?それ、僕のファー……………スト……………キス……………?
「はぁぁぁぁぁぁぁッッッ!?!????」
僕のファーストキスは異世界で神様に貰われたようです。
そんなことを考えると同時に僕の視界は再び暗転した。
そしてもう一度目を開けるとそこはあの巨人が腕を振り下ろした直後だった。
「さて、やりますか。まずは━━━━━━『降神装・陽炎』『疾風迅雷』」
普段から使っていた自強化スキルに新たに手に入れた2つのスキルを追加で発動すると同時に僕の身体を橙と深紅、金の焔が覆う。さらにそこへ風と雷が纏われる。
これは風雷纏よりも疾風迅雷の出力は上かな?
てか一応吸血鬼なんだけど太陽系のスキル使って大丈夫?
発動し終えると無数の触手が僕を襲う。
「『太陽眼』『魔剣召喚』『神剣召喚:叢雲剣』」
太陽眼の発動により触手がスローになる、そしてその全てを回避する。さらに魔剣と神剣を召喚する・・・魔剣を出したはずなんだけどこれ魔剣じゃなくない?ちらっと鑑定したらレーヴァテインとか見えたんだけど……
はぁ、確認は後回し。今は目の前のやつを倒さないと。・・・だけど神剣を出した瞬間あからさまに動きが鈍ったな。神系統の何かが弱点?
「フ━━━━━ッ!!」
叢雲剣で一閃・・・ビンゴ。神剣かそれとも神族に属するものならなんでもいいのかは分からないけど叢雲剣の攻撃はなかなか再生されないみたいだ。
そしてまた触手を出してきたが・・・面倒だ、焼き尽くすか。
「『炎天下』━━━━━━━『天焔』」
銀色の焔が発生、そしてやつに着弾しその触手の全てを燃やし尽くす。
「━━━━━━━━━━━━━ァァァ!?!?」
これだけじゃ燃やしきれないな、それなら追加だ
「『金焔』」
体を流れる陽の魔力が心臓の位置に集中、そこで火は金色になる。その種火を左手で掴み魔力を込める。するとその種火は魔力を薪にして一気に燃え上がる。
「これで終わりだ━━━━ッ!!『真名解放』『終焔神剣』『金焔』」
レーヴァテインに金焔が纏われる。そしてそれを大上段に構え逃げ出そうとしていた巨人の背に向けて一気に振り下ろした━━━━━
直撃すると空間そのものが破裂したのかと思うほどの閃光が発生、そして目を開けるとそこには融解したダンジョンの床壁とクレーターが出来ていた。
部分龍化、万纏、各種強化スキルを重ねがけ。すると相手もこちらに気づいて魔法を撃ってくる。しかしそこで新スキル霧化を発動。全魔法をすり抜け肉薄する。
「フッ━━!!」
短く息を吐きカラドボルグで一閃、これで1体と数体にダメージが入る程度、か。一応武芸百般と剣術・王で剣の扱いはかなり補正がかかってるはずなんだけどなぁ。面倒だし少し魔力の消費が重いけど一掃しようか。
さてと、重力力場展開・・・そして━━━
「『跪け』」
全員を重力場でその場に固定。そして龍魔法発動、
「我に仇なす全てを喰らえ『龍の顎』」
詠唱終了と同時に龍の形をしたエネルギー体が発生し重力場によって動きを止められていたリッチの群れに喰らいつく。そしてその全てを砕く。
魔力消費はそこそこ重いけどやっぱりこの魔法優秀だな。さてと次は・・・
探知に引っかかったのはオルトロスにヘルハウンドか、どちらも群れみたいだな。ちょうどいい。
「同時展開━━━━『霧魔法』『樹魔法』『溶魔法』『結晶魔法』『毒魔法』『音魔法』『深影魔法』」
霧が惑わし樹が絡みつく、溶が触れたもの全てにダメージを与え結晶が切り裂く。毒が大気を蝕み音が空間全てに伝播する。そして深き影が体を内から刺し貫く。
「「「ガゥルァァ!?!」」」
そして2種類の犬狼の群れは壊滅した。
リッチとこの魔獣共ならそこそこ楽にいけるな。
ッ!?突然背中に氷塊を突っ込まれたような感覚……これまで何度も感じた死の気配。
「━━━━━━━ッ!!『極光砲』『紫灰焔砲』」
そして本能的な悪寒に従い魔力を本来の量より超過して込めた魔法を放つ。そして土煙が晴れるとそこには緑色の体に濁った橙色で目のような模様が描かれたスライムのような何かがいた。
それはただそこにいるだけで僕の本能が全力で警鐘を鳴らしている。
濁った色の体に多数の目、そして蠢く不定形の体・・・なんとなくその正体を察してしまったけどスキルの狂気耐性と称号の狂気に抗う者が抵抗に成功したのか発狂は免れた。
鑑定・・・
name:&m5gaj6twzz7
種族:s&-5""s-&9ng
種族Lv:-vu&ks
体力 SSS
魔力 S
筋力 SS
知力 E
は?SSSってそんなのこれまでのボスでも見た事ないぞ。伸び代SSSとかどんな体力おばけだよ……しかもなんか名前と種族が文字化けしてるし。
・・・ていうか体力と筋力が高くてオマケにあの見た目。多分、いや十中八九ショゴスかそれに準じるやつだろうなぁ……
「魔力武器化━━━━━━『群青刀』『赫緋太刀』」
魔力をいつもより大めに込めた2本の刃を振るう。
万物凍てつかせる群青の刃と触れたもの全てを焼き尽くす赫緋の刃。
「テケリ・リ・・・」
鳴き声で推測は確信に変わった。そしてそこまでダメージは入ってないみたいだ。
「━━━━━━━━━━━ッ!!」
やっぱりショゴスならそれくらいやってくるよなぁ。体の一部を刃に変えて伸ばしてくるけど2本の刃で何とか迎撃、そして天霊化や闘王などの強化に繋がるエクストラスキルを全使用。
そして群青刀と赫緋太刀を消してフラムヌルとカラドボルグを取り出す。
その間も触手による攻撃は続くがなんとか捌くことが出来ている。だけどさっきからどんどん触手の数が増えてきて捌ききれなくなってきた。
そしてとうとうその1本が体をかする、そしてその時突然触手から棘が出て彼岸花のような形になる。
「ぐぅ……ッ!!」
痛みはほとんどない、このまま詠唱に入る。
「中天に座す灼陽の星、遍く全てを焼き尽くせ。
我が火は万物全てを灰燼と帰す。
眼下全てを焦土と化せ━━━『太灼天』」
体に刺さってる触手の根元を焼却、それによって刺さってた触手も崩壊する。しかし焼いてもそこを削り取って新たに修復するみたいだ。
「テケリ・リ」
ぐはっ、普通触手を束ねての張り手でこんな壁にめり込むものかね。それになんか体を作り変えてるみたいだし、隆起したり萎んだり突起が出たりしてる。
変化は収まったのか?
ッ!やばっ
「『虹天剣・臨界起動』」
カラドボルグを限界を超える出力で行使する、変化終了と同時に伸びてきた無数の触手と超過行使したことでエネルギーが剣の形に収まりきらず光のような状態になったカラドボルグが激突する。
何とか払うことには成功したがそこには人が黄衣の王と言われて想像するイメージに非常に似た存在がいた。
それは黄色のフード付きローブを着た巨大な人のような姿で顔は触手が見え隠れしている、体ははっきり見えないが人型であると思う。
「━━━━━━━━ッ!!」
何か叫んだんだろうが聞き取れる音じゃないのか全く聞こえないな。そしてそれと同時に背に光輪が現れた。そこから無数の光弾と光線が発射される。それに対してカラドボルグを振るう、何度かその巨大な腕を振るわれるが何とかカラドボルグで打ち合うことが出来ている。
━━━━━━━しかし、それもその時終わった。
それは微かな音だったが嫌によく通る音だった。何かが割れるような音がしたかと思うとカラドボルグにヒビが入りそのまま砕け散った。
はっ……もうここで終わりか・・・・・・叩き潰そうと振り下ろされた腕がやけにスローに見えるな。
・・・・・・ん?なんだ、いつまで経っても衝撃が来ない。ゆっくり目を開けると、そこには周囲全てが完全に停止していた。
「は?なんだこれ・・・何が起こったんだ?」
するとその時、足元に日色の魔法陣が発生しそのまま上に乗る吸血鬼ともにその場から消え失せた。
そこは地球にある場所で例えるならウユニ塩湖のような場所だった。薄くどこまで果てしなく広がる水面とその上に広がる真っ白な雲と抜けるような青空、そして燃え盛る太陽。しかしその太陽は熱いというより温かさを感じるような光を放っていた。
「ん・・・・・・いや、どこだよここ……」
黄衣の巨人に圧殺されそうになって色々諦めた時に突然時間が止まったと思ったらその後ここに来るまでの記憶が無い・・・僕はなんでこんな所にいるんだ?
(ここは神界、その中の私の領域・・・)
は?なんか突然頭の中に声が聞こえ始めたんだけど今更狂気ロール判定の結果が出た?そしてファンブルした?
(む、そんなことは無い。これは私がテレパシー送ってるだけ。私の名前は太陽神アマテラス、この世界太陽神とは似て非なる者。一応貴方達の元いた世界と同じ世界で神様やってるよ)
天照?太陽神?そして地球の神様?なんで地球の神がこっちの世界にいるんだ?ていうかなんでテレパシーで会話してるんだよ。出てきてくれればいi
思考途中に突然目の前の空間が歪んだと思ったらそこから人が出てきた。
「出てきたよ。初めまして?では無いね。真緒くんは覚えてないかもしれないけど実は私と貴方は小さい頃に会ってるんだよ。・・・そして改めてこんにちは、太陽神アマテラスです」
歪んだ空間から出てきたのは日本人が天照と聞いてすぐ連想するような紅白の和装、巫女服みたいなものに桜色の髪を水面に着くギリギリまで伸ばした美しい少女だった。
なんか気になること言ってたな、小さい頃に僕はこの人……いや神か、とにかくこの神と会ったことがある・・・?
・・・もしかして……桜、黒髪、女の子・・・地球にいた頃あまりに強い眠気に負けて居眠りしたりした時によく見るあの夢……あれに出てくる桜と黒髪の女の子がこの神様?でも髪の色が全然違う……
「あれ?もしかして覚えててくれた?・・・うんうん、今はそうじゃない。ここにとどめておける時間には限りがあるから今からは私が真緒くんをここに呼んだ理由なんかを話していくね」
・・・アマテラスさんの話をまとめるとこういうことらしい。僕はあのままだと確実に死ぬ。一応吸血鬼になったことで不死性は獲得しているけどアレはそんなのお構いなしに自分の中に取り込む存在でしかも創造神が創った生物では無いらしい。
そこで僕のことを昔から、それこそ地球にいた頃から見てたアマテラスさんは最高神の序列1位であるゼウスに直談判して僕をこの空間に呼ぶ許可を得た、
そして神々の持つ自身の加護または寵愛を持つものに自身の持つスキルを共有させることが出来るという特権を利用して僕にアレを打倒しうる力を与えてくれるってことみたいだ。
それとアマテラスさん曰く天照の名は日本固有の名前で実際はアポロンの同一存在の別側面だから同じ権能を持つアポロンがいても別に問題は無いらしい。
ちなみに話の合間で昔に会ったことがあるとはいえなんで僕にそこまでしてくれるのか聞いてみたけど答えは返ってこなかったよ。
「それじゃあ今から共有するスキルを言うよ。一応アポロンとも話し合って決めたからちゃんと使えるはず。それと槍嵐神と創造神も君の成長を見てそろそろ自分達もスキルを与えるって言ってたよ」
え、太陽神関係のスキルの他にあと2柱分のスキルが貰えるのか・・・
「それじゃあ発表します・・・
ジャラジャラジャラジャラ·····
私からは『神剣召喚:叢雲剣』と『降神装・陽炎』
アポロンちゃんからは『炎天下』と『太陽眼』
槍嵐神さんからは『原初魔法』と『疾風迅雷』
創造神さんからは『創造』と『スキル合成』だよ」
えぇ……1人1個かと思ったら2個かぁ……名前が全部仰々しいし。そして溜める時の効果音、自前とかあざといな。あとこっちの太陽神さんからもスキル貰えるんだね。
「あ、そろそろここに留めていられる時間が無くなるからあっちに戻すよ。真緒くん、もうダンジョンから出るまで干渉できないからね」
ふぅ、そろそろ覚悟を決めますか。さすがにこれだけチートスキル貰ってボコされましたじゃ神様たちに笑い者にされちゃうしね。
「慢心するつもりは無いけど負けるつもりもないよ。それにあれだけ貰ったんだから簡単には死ねないしね」
足元に白い魔方陣が展開される、そしてアマテラスが何故かこっちに歩いてきた。そして魔方陣の縁ギリギリに立ち背を伸ばす、そして両手で僕の頬をを左右から覆うように持ち・・・・・・ん?あれ……なんかラノベで見た事あるような…………
ちゅっ
............へっ?
そして気付けば、彼女の唇が僕の唇に重なっていた。
驚くほど柔らかな、彼女の唇の感触。
それは、ついばむような、冗談のように軽いキスだったが、それでも、彼女の気持ちがひしひしと伝わってきた。
───あれ?それ、僕のファー……………スト……………キス……………?
「はぁぁぁぁぁぁぁッッッ!?!????」
僕のファーストキスは異世界で神様に貰われたようです。
そんなことを考えると同時に僕の視界は再び暗転した。
そしてもう一度目を開けるとそこはあの巨人が腕を振り下ろした直後だった。
「さて、やりますか。まずは━━━━━━『降神装・陽炎』『疾風迅雷』」
普段から使っていた自強化スキルに新たに手に入れた2つのスキルを追加で発動すると同時に僕の身体を橙と深紅、金の焔が覆う。さらにそこへ風と雷が纏われる。
これは風雷纏よりも疾風迅雷の出力は上かな?
てか一応吸血鬼なんだけど太陽系のスキル使って大丈夫?
発動し終えると無数の触手が僕を襲う。
「『太陽眼』『魔剣召喚』『神剣召喚:叢雲剣』」
太陽眼の発動により触手がスローになる、そしてその全てを回避する。さらに魔剣と神剣を召喚する・・・魔剣を出したはずなんだけどこれ魔剣じゃなくない?ちらっと鑑定したらレーヴァテインとか見えたんだけど……
はぁ、確認は後回し。今は目の前のやつを倒さないと。・・・だけど神剣を出した瞬間あからさまに動きが鈍ったな。神系統の何かが弱点?
「フ━━━━━ッ!!」
叢雲剣で一閃・・・ビンゴ。神剣かそれとも神族に属するものならなんでもいいのかは分からないけど叢雲剣の攻撃はなかなか再生されないみたいだ。
そしてまた触手を出してきたが・・・面倒だ、焼き尽くすか。
「『炎天下』━━━━━━━『天焔』」
銀色の焔が発生、そしてやつに着弾しその触手の全てを燃やし尽くす。
「━━━━━━━━━━━━━ァァァ!?!?」
これだけじゃ燃やしきれないな、それなら追加だ
「『金焔』」
体を流れる陽の魔力が心臓の位置に集中、そこで火は金色になる。その種火を左手で掴み魔力を込める。するとその種火は魔力を薪にして一気に燃え上がる。
「これで終わりだ━━━━ッ!!『真名解放』『終焔神剣』『金焔』」
レーヴァテインに金焔が纏われる。そしてそれを大上段に構え逃げ出そうとしていた巨人の背に向けて一気に振り下ろした━━━━━
直撃すると空間そのものが破裂したのかと思うほどの閃光が発生、そして目を開けるとそこには融解したダンジョンの床壁とクレーターが出来ていた。
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黒ハット
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【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
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