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第一世界 3章 学園編
33,ポンコツ×2
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入学式とかその他もろもろが終わって今日から卒業までほぼ毎日過ごす寮に向かって歩いている。今更けど僕達の寮ってどこになるんだろう。ただこれから寮暮らしっていうことと学園から徒歩圏内にあるってことしか聞いてないから場所がわからない。
「マオさん、あそこに看板が出てますよ」
そう言ってネロが指さした先を見ると看板にデカデカと矢印付きでこの先男子寮、女子寮って書いてあるのが見えた。なんで気づかなかったのかわからないくらいわかりやすい。
そして矢印の方向に歩いて行くと道を挟んで向かい合うように建つ4棟の建物があった。それぞれまたあった看板に男子寮、女子寮って書いてある。
それにしても、1棟あたり学園の4分の1くらいのサイズの寮って……どれだけ生徒数が多いのかがよくわかる。さすが世界最高峰の学園は生徒の人数も最高峰だったみたいだ。
「ここみたいだね。ところで真緒くんにネロちゃん、夕飯どうする?外で何か食べてから寮入る?それとも自分で何か作る?」
「僕は初日だし今日は外で食べたらいいと思う。明日からは作るか外で食べるか選べばいいし」
「私もそれでいいです。明日から忙しくなりそうですし。マオさんが女子寮に来れればいいんですけどね。そしたら今いないメリアを入れて4人で夕飯食べれるんですが……」
うーん、そうだけどさすがにそれは厳しそうだね。当たり前の事ながら女子寮には悠灯とネロとメリアさんの他に女子生徒がいる訳だし、かと言って男子寮でっていうのは普通に論外。
こういう時にお金が有り余ってたりすれば学園都市で借家を借りれたりするんだろうけどさすがに家が借りれるくらいのお金は無いしね。
「さすがに厳しいと思うよ。ギルドで依頼を受けて稼いだとしても早くて来年以降だろうし」
「むぅ。そうですか。それならお昼は食堂があるみたいですからそこで一緒に食べましょう」
「うん、それならいいかもね。それに昼ならまだメリアさんも時間があるだろうし」
そんな話をしながら店を探して大通りを歩いている。まだ夕方なのにも関わらず道には酔っ払いが少し増えてきた。学園都市で酔っ払い大量ってどうなんだろうね。
まぁここにもギルドはあるしそこに登録してる冒険者が仕事終わりに酔っ払ってるからなんだろうけど。ちょっと酔い潰れるの早くない?
「真緒くん、この店良さそうじゃない?魚料理メインで大衆向け。そして何よりお米がある!」
おぉお米ありは嬉しい。この世界、晴空より後の日本人転生者が布教する前に扶桑に元々米自体はあったらしいからここでも日本人の主食を食べれるのは嬉しい。
「うん、米が食べれるのはは嬉しいから僕もそこでいいと思うよ」
「ネロちゃんはどう?」
「えっと、私はおコメって言うのは食べたことありませんが大丈夫だと思います」
まぁ、魚料理メインで米ありってあるし米を食べない人向けに魚料理もある程度は充実してるだろうから大丈夫でしょ。
「おっけー。それじゃ2人とも、早く入って注文しよう!」
そう言うと悠灯は1人でさっさと店の中に入っていった。それを追ってネロと中に入ると少し和風な雰囲気のある大衆食堂のような店内だった。
「2人ともー、席はここだよー」
先に入った悠灯は既にメニューを見て待っていた。そして僕達席に着くと悠灯がテーブルにメニューを広げ、それをネロと一緒に覗き込むとたくさんの魚介料理が書いてあった。さて何を頼もうかな。
「私は宝ホタテの蒸し焼き、甘辛タレ味とこの雪鮭のムニエルにしようかな。真緒くん決まった?」
「ん?まだ決まってないよ。とりあえず全部見たけどさすがに刺身はないか」
「んー、さすがに輸送手段とか保存手段が発展してないから難しいんじゃない?」
いくら魔法があるとはいえ、地球の科学技術が発展したおかげでできるようになったことはこの世界じゃ出来ないことが多い。
「ん?この華鮭って悠灯の雪鮭とは何が違うのか分かる?」
「多分だけどそれぞれ料理にあった品種とかあるんじゃない?」
なるほどねぇ。・・・・・・てかよく見たら一角マグロと二角マグロもいるし。この世界の魚介類おもしろ。
「なるほど。あと何頼むか決まったよ。僕は芝鯛のひつまぶしにする」
「おっけー、ネロちゃんは?」
「私はエビチリとアクアパッツァにします」
ネロが注文を決めるとちょうど近くにいたウエイトレスさんを呼んで3人分の注文を済ませた。途中でネロが酒を勧めてきたりもしたけど、あくまで僕まだ未成年だしお酒を飲みたいって気持ちも無いから却下。
郷に入っては郷に従えとは言うけどさすがにこれは却下で。ネロはパーティみたいなのに参加して既に少しは飲んだことがあるみたいだけど、地球に帰るってなったら18になるまで飲酒禁止だからそこら辺ちゃんと言っとかないとね。え?悠灯?お神酒とか聞くし言わずもがなでしょ。ぶっちゃけ神とお酒はセットなイメージあるしね。
明日からの学園生活についてとか色々と話していると、ウエイトレスさんが悠灯が注文した雪鮭のムニエルと蒸しホタテを持ってきた。
そして厨房に戻るのかと思ったら、今度は厨房から出てきた他のウエイトレスさんからエビチリを渡され、それを持ってきたら今度は厨房からひつまぶしを渡され、最終的にアクアパッツァまで連続でテーブルに揃った。
頼んだものが全部連続で持ってこられるなんて初めての体験なんだけど。ここほんとに大衆向け?なんか店員さんのレベル高くない?
「んーっ美味しい。世界が違っても同じような食材ってあるんだねぇ」
それにしても、本当に悠灯は美味しそうに食べるね。幸せそうでこっちまで笑顔になりそう。あとネロはエビチリはまだしもアクアパッツァは皿だけでも凄い大きいのに食べ切れるのかな?
んー、ひつまぶしうまうま。日本人の舌でも十分美味しく感じるとかこの世界科学以外レベル高すぎか?外見レベル高いし社会制度もいいし料理もめちゃくちゃ美味しい。日本人の異世界転移者、転生者がこの世界に来たら喜びそう。
「マオさんマオさん、これも美味しいですよっ!!」
ネロに呼ばれて見てみると既にエビチリが4割弱にアクアパッツァは半分近く無くなっていた……って、ネロちょっと食べるの早すぎでは?ネロってそんな食べるタイプだったっけ?
少なくとも城にいた時は至って常識的な食事量だったはずなんだけど。まぁいいか。ネロが沢山食べるからって僕になにかある訳でもないし。最悪ダイエットするって言い出したらその時は付き合えばいい。
「僕のと少し交換する?」
「はいっ、そうします。
それじゃマオさんどーぞっ!」
そう言ってネロがスプーンに乗せて差し出してきたものを食べる。
「ん、ありがとう。ほんとだ、アクアパッツァも美味しいよ。
じゃあこっちも、はいっ、あーん」
さっきとは反対に僕からネロにレンゲを差し出すとそれをネロがパクッと一口で食べた。
ご飯食べるのを見てると悠灯もネロもどことなく小動物感ある。イメージする動物の種類は悠灯がハムスターでネロがリス。2人とも口を大きく開けて食べてるわけじゃないのにどんどん前にある料理が消えていく。
「ふぅー、美味しかった。ご馳走様でした」
「美味しかったねー。途中で白ご飯まで貰っちゃったよ」
「白米が1杯分の値段でおかわり自由なことに驚いた」
「はぅー、私も満腹です。少しゆっくりしてからお会計します?」
んー、僕はそれでもいいかな。急がないと行けない用事はないし。
「私はそれでいいよー。食べ終わってすぐは動きたくないしね」
「じゃあもう少ししてから出ようか。長居しすぎたら迷惑になるかもしれないし」
適当に雑談してから店を出て来たら空に月が出ていた。横ではネロが少し眠たそうにしてる。
「それじゃ帰ろっか」
「ふぁい。ん、早く寝たいです」
「うん、早く帰ろう。荷解きもしないといけないし」
歩いて寮の前に着いた。そしたらちょうど前の方から2人組が歩いてくるのが見えた。そして徐々に近づいてきて人影がジークとヒルデさんだってことがわかった。
「「あっ……」」
「「・・・・・・」」
そしてお互いに気づいてなにか言おうとしたらちょうど同じタイミングになってお互いに無言になった。うーん、気まずい。
「ねぇねぇ、2人とも今帰りなの?」
「ん?あぁ。そういうお前らもだろ?半分以上が寮の食堂で食べるか自炊してる中外に出て今帰ってきてんだし」
ふむ、寮にも食堂があるのか。学園の食堂が使えない朝と夜は自炊確定かと思ったけどそれなら意外と楽出来そう。
「ジーク、眠い」
悠灯とジークが話している中僕が楽出来そうだとか考えているとヒルデさんがジークの服を掴んで眠たそうにしている。
うーん、これは精神が幼女。見た目年齢も実年齢より少し下っぽいからジークと並ぶと若干兄妹感もある。
「あはは。ねぇ、真緒くんにネロちゃん、ヒルデちゃんが眠たそうだしそろそろ寮に入ろっか」
そう言うと悠灯はネロを連れて女子寮の方に入っていった。
「ん、私も寝るからジーク連れてって」
「・・・・・・あのなぁ、お前女子、俺男子。そして女子寮は男子禁制、オーケー?
あと寮まで送っていくにしても入った瞬間社会的に殺されるから却下な」
なんか振り回す側と振り回される側の2人で1人の男女の振り回されてる方の人みたいな感じがする。
例を挙げると僕が生まれるより昔、完全没入型VR機器が現実で作られるより前のVRMMO系創作物が流行り始めた時に有名になった作品のキャラ。
書籍化、漫画化するより前にアニメ化して欲しい小説ランキング上位に入ったり、アニメ化作品が主に投稿される二次創作投稿サイトで他作品と並んで新たにカテゴリが作られたりした某作品のロボゲーマニアとその幼なじみの笑い上戸の2人組。
「あー、そこの2人。俺は女子寮に行けないから代わりにヒルデ連れて行ってくんね?今のままだと1人で歩いてたら寝落ちしそうだし」
「うん、私はいいよ」
「はい、私も構いませんよ」
「それじゃ、ヒルデちゃん行こう」
「うん。じゃあねジーク、おやすみ」
「真緒くんおやすみー」
「マオさん、おやすみなさい」
悠灯とネロと一緒にヒルデさんが女子寮の方に歩いて行く。それにしても、やっぱり悠灯コミュ力高いなー。初対面のはずなのに躊躇なく話に行けるのは強い。
「悠灯、ネロおやすみ」
「ヒルデ、また明日な」
さてと、適当に荷物置いたら明日に備えてもう寝ようかな。
「なぁ、一つ質問なんだが」
「ん?何かな?」
寮に帰ろうと思ったらジークから声をかけられた。初対面だけどなにか質問されるようなことあったかな?
「704号室って、どこかわかる?」
・・・・・・もしかして、この人アホの子か天然?部屋割りと寮内の地図は教科書貰った時に一緒に貰ったはずだけど。
「教科書を受け取った時に一緒に貰った地図は?」
「間違えて教科書を包んでた紙と一緒に焼いた」
「・・・・・・ヒルデさんの地図は?」
「女子寮しか載ってない」
はあぁぁぁ……これ相手がイケメンだから1部女子ならギャップ萌えとか言うんだろうけど、本当なら普通に拳骨食らっても仕方ないと思うんだ。せめて焼き捨てる前に確認すればよかったのに……
「はぁ、分かった。はいこれ、男子寮の地図。僕はもういらないからあげる」
「は?要らないってお前、寮は7階建て+大浴場に食堂、倉庫と中庭の他に寮の中に入ってる雑貨屋まであるんだぞ?」
アーソウダネー。それでも僕はもう必要ないんだよなぁ。
「あー、うん。もう僕地図覚えたから必要ないし」
ほんと、『森羅万象』様々だよ。映像記憶能力があるのと同じだからね。
丸めた地図を投げ渡して先に部屋に行こうとすると後ろからジークも手元の地図と前を見比べながら着いてきた。
「そういえばマオの部屋って何号室なんだ?」
「んー、708号室だよ」
「・・・・・・ごめんもう1回頼む」
「だから、7・0・8号室だよ」
「お向かいさんじゃねぇか!!」
あー、確かにね。知り合いがお向かいさんなのはいいかもね。
「はぁ。それじゃあまた明日なー」
「うん、また明日。地図をまた焼却しないようにね」
「マオさん、あそこに看板が出てますよ」
そう言ってネロが指さした先を見ると看板にデカデカと矢印付きでこの先男子寮、女子寮って書いてあるのが見えた。なんで気づかなかったのかわからないくらいわかりやすい。
そして矢印の方向に歩いて行くと道を挟んで向かい合うように建つ4棟の建物があった。それぞれまたあった看板に男子寮、女子寮って書いてある。
それにしても、1棟あたり学園の4分の1くらいのサイズの寮って……どれだけ生徒数が多いのかがよくわかる。さすが世界最高峰の学園は生徒の人数も最高峰だったみたいだ。
「ここみたいだね。ところで真緒くんにネロちゃん、夕飯どうする?外で何か食べてから寮入る?それとも自分で何か作る?」
「僕は初日だし今日は外で食べたらいいと思う。明日からは作るか外で食べるか選べばいいし」
「私もそれでいいです。明日から忙しくなりそうですし。マオさんが女子寮に来れればいいんですけどね。そしたら今いないメリアを入れて4人で夕飯食べれるんですが……」
うーん、そうだけどさすがにそれは厳しそうだね。当たり前の事ながら女子寮には悠灯とネロとメリアさんの他に女子生徒がいる訳だし、かと言って男子寮でっていうのは普通に論外。
こういう時にお金が有り余ってたりすれば学園都市で借家を借りれたりするんだろうけどさすがに家が借りれるくらいのお金は無いしね。
「さすがに厳しいと思うよ。ギルドで依頼を受けて稼いだとしても早くて来年以降だろうし」
「むぅ。そうですか。それならお昼は食堂があるみたいですからそこで一緒に食べましょう」
「うん、それならいいかもね。それに昼ならまだメリアさんも時間があるだろうし」
そんな話をしながら店を探して大通りを歩いている。まだ夕方なのにも関わらず道には酔っ払いが少し増えてきた。学園都市で酔っ払い大量ってどうなんだろうね。
まぁここにもギルドはあるしそこに登録してる冒険者が仕事終わりに酔っ払ってるからなんだろうけど。ちょっと酔い潰れるの早くない?
「真緒くん、この店良さそうじゃない?魚料理メインで大衆向け。そして何よりお米がある!」
おぉお米ありは嬉しい。この世界、晴空より後の日本人転生者が布教する前に扶桑に元々米自体はあったらしいからここでも日本人の主食を食べれるのは嬉しい。
「うん、米が食べれるのはは嬉しいから僕もそこでいいと思うよ」
「ネロちゃんはどう?」
「えっと、私はおコメって言うのは食べたことありませんが大丈夫だと思います」
まぁ、魚料理メインで米ありってあるし米を食べない人向けに魚料理もある程度は充実してるだろうから大丈夫でしょ。
「おっけー。それじゃ2人とも、早く入って注文しよう!」
そう言うと悠灯は1人でさっさと店の中に入っていった。それを追ってネロと中に入ると少し和風な雰囲気のある大衆食堂のような店内だった。
「2人ともー、席はここだよー」
先に入った悠灯は既にメニューを見て待っていた。そして僕達席に着くと悠灯がテーブルにメニューを広げ、それをネロと一緒に覗き込むとたくさんの魚介料理が書いてあった。さて何を頼もうかな。
「私は宝ホタテの蒸し焼き、甘辛タレ味とこの雪鮭のムニエルにしようかな。真緒くん決まった?」
「ん?まだ決まってないよ。とりあえず全部見たけどさすがに刺身はないか」
「んー、さすがに輸送手段とか保存手段が発展してないから難しいんじゃない?」
いくら魔法があるとはいえ、地球の科学技術が発展したおかげでできるようになったことはこの世界じゃ出来ないことが多い。
「ん?この華鮭って悠灯の雪鮭とは何が違うのか分かる?」
「多分だけどそれぞれ料理にあった品種とかあるんじゃない?」
なるほどねぇ。・・・・・・てかよく見たら一角マグロと二角マグロもいるし。この世界の魚介類おもしろ。
「なるほど。あと何頼むか決まったよ。僕は芝鯛のひつまぶしにする」
「おっけー、ネロちゃんは?」
「私はエビチリとアクアパッツァにします」
ネロが注文を決めるとちょうど近くにいたウエイトレスさんを呼んで3人分の注文を済ませた。途中でネロが酒を勧めてきたりもしたけど、あくまで僕まだ未成年だしお酒を飲みたいって気持ちも無いから却下。
郷に入っては郷に従えとは言うけどさすがにこれは却下で。ネロはパーティみたいなのに参加して既に少しは飲んだことがあるみたいだけど、地球に帰るってなったら18になるまで飲酒禁止だからそこら辺ちゃんと言っとかないとね。え?悠灯?お神酒とか聞くし言わずもがなでしょ。ぶっちゃけ神とお酒はセットなイメージあるしね。
明日からの学園生活についてとか色々と話していると、ウエイトレスさんが悠灯が注文した雪鮭のムニエルと蒸しホタテを持ってきた。
そして厨房に戻るのかと思ったら、今度は厨房から出てきた他のウエイトレスさんからエビチリを渡され、それを持ってきたら今度は厨房からひつまぶしを渡され、最終的にアクアパッツァまで連続でテーブルに揃った。
頼んだものが全部連続で持ってこられるなんて初めての体験なんだけど。ここほんとに大衆向け?なんか店員さんのレベル高くない?
「んーっ美味しい。世界が違っても同じような食材ってあるんだねぇ」
それにしても、本当に悠灯は美味しそうに食べるね。幸せそうでこっちまで笑顔になりそう。あとネロはエビチリはまだしもアクアパッツァは皿だけでも凄い大きいのに食べ切れるのかな?
んー、ひつまぶしうまうま。日本人の舌でも十分美味しく感じるとかこの世界科学以外レベル高すぎか?外見レベル高いし社会制度もいいし料理もめちゃくちゃ美味しい。日本人の異世界転移者、転生者がこの世界に来たら喜びそう。
「マオさんマオさん、これも美味しいですよっ!!」
ネロに呼ばれて見てみると既にエビチリが4割弱にアクアパッツァは半分近く無くなっていた……って、ネロちょっと食べるの早すぎでは?ネロってそんな食べるタイプだったっけ?
少なくとも城にいた時は至って常識的な食事量だったはずなんだけど。まぁいいか。ネロが沢山食べるからって僕になにかある訳でもないし。最悪ダイエットするって言い出したらその時は付き合えばいい。
「僕のと少し交換する?」
「はいっ、そうします。
それじゃマオさんどーぞっ!」
そう言ってネロがスプーンに乗せて差し出してきたものを食べる。
「ん、ありがとう。ほんとだ、アクアパッツァも美味しいよ。
じゃあこっちも、はいっ、あーん」
さっきとは反対に僕からネロにレンゲを差し出すとそれをネロがパクッと一口で食べた。
ご飯食べるのを見てると悠灯もネロもどことなく小動物感ある。イメージする動物の種類は悠灯がハムスターでネロがリス。2人とも口を大きく開けて食べてるわけじゃないのにどんどん前にある料理が消えていく。
「ふぅー、美味しかった。ご馳走様でした」
「美味しかったねー。途中で白ご飯まで貰っちゃったよ」
「白米が1杯分の値段でおかわり自由なことに驚いた」
「はぅー、私も満腹です。少しゆっくりしてからお会計します?」
んー、僕はそれでもいいかな。急がないと行けない用事はないし。
「私はそれでいいよー。食べ終わってすぐは動きたくないしね」
「じゃあもう少ししてから出ようか。長居しすぎたら迷惑になるかもしれないし」
適当に雑談してから店を出て来たら空に月が出ていた。横ではネロが少し眠たそうにしてる。
「それじゃ帰ろっか」
「ふぁい。ん、早く寝たいです」
「うん、早く帰ろう。荷解きもしないといけないし」
歩いて寮の前に着いた。そしたらちょうど前の方から2人組が歩いてくるのが見えた。そして徐々に近づいてきて人影がジークとヒルデさんだってことがわかった。
「「あっ……」」
「「・・・・・・」」
そしてお互いに気づいてなにか言おうとしたらちょうど同じタイミングになってお互いに無言になった。うーん、気まずい。
「ねぇねぇ、2人とも今帰りなの?」
「ん?あぁ。そういうお前らもだろ?半分以上が寮の食堂で食べるか自炊してる中外に出て今帰ってきてんだし」
ふむ、寮にも食堂があるのか。学園の食堂が使えない朝と夜は自炊確定かと思ったけどそれなら意外と楽出来そう。
「ジーク、眠い」
悠灯とジークが話している中僕が楽出来そうだとか考えているとヒルデさんがジークの服を掴んで眠たそうにしている。
うーん、これは精神が幼女。見た目年齢も実年齢より少し下っぽいからジークと並ぶと若干兄妹感もある。
「あはは。ねぇ、真緒くんにネロちゃん、ヒルデちゃんが眠たそうだしそろそろ寮に入ろっか」
そう言うと悠灯はネロを連れて女子寮の方に入っていった。
「ん、私も寝るからジーク連れてって」
「・・・・・・あのなぁ、お前女子、俺男子。そして女子寮は男子禁制、オーケー?
あと寮まで送っていくにしても入った瞬間社会的に殺されるから却下な」
なんか振り回す側と振り回される側の2人で1人の男女の振り回されてる方の人みたいな感じがする。
例を挙げると僕が生まれるより昔、完全没入型VR機器が現実で作られるより前のVRMMO系創作物が流行り始めた時に有名になった作品のキャラ。
書籍化、漫画化するより前にアニメ化して欲しい小説ランキング上位に入ったり、アニメ化作品が主に投稿される二次創作投稿サイトで他作品と並んで新たにカテゴリが作られたりした某作品のロボゲーマニアとその幼なじみの笑い上戸の2人組。
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「うん、私はいいよ」
「はい、私も構いませんよ」
「それじゃ、ヒルデちゃん行こう」
「うん。じゃあねジーク、おやすみ」
「真緒くんおやすみー」
「マオさん、おやすみなさい」
悠灯とネロと一緒にヒルデさんが女子寮の方に歩いて行く。それにしても、やっぱり悠灯コミュ力高いなー。初対面のはずなのに躊躇なく話に行けるのは強い。
「悠灯、ネロおやすみ」
「ヒルデ、また明日な」
さてと、適当に荷物置いたら明日に備えてもう寝ようかな。
「なぁ、一つ質問なんだが」
「ん?何かな?」
寮に帰ろうと思ったらジークから声をかけられた。初対面だけどなにか質問されるようなことあったかな?
「704号室って、どこかわかる?」
・・・・・・もしかして、この人アホの子か天然?部屋割りと寮内の地図は教科書貰った時に一緒に貰ったはずだけど。
「教科書を受け取った時に一緒に貰った地図は?」
「間違えて教科書を包んでた紙と一緒に焼いた」
「・・・・・・ヒルデさんの地図は?」
「女子寮しか載ってない」
はあぁぁぁ……これ相手がイケメンだから1部女子ならギャップ萌えとか言うんだろうけど、本当なら普通に拳骨食らっても仕方ないと思うんだ。せめて焼き捨てる前に確認すればよかったのに……
「はぁ、分かった。はいこれ、男子寮の地図。僕はもういらないからあげる」
「は?要らないってお前、寮は7階建て+大浴場に食堂、倉庫と中庭の他に寮の中に入ってる雑貨屋まであるんだぞ?」
アーソウダネー。それでも僕はもう必要ないんだよなぁ。
「あー、うん。もう僕地図覚えたから必要ないし」
ほんと、『森羅万象』様々だよ。映像記憶能力があるのと同じだからね。
丸めた地図を投げ渡して先に部屋に行こうとすると後ろからジークも手元の地図と前を見比べながら着いてきた。
「そういえばマオの部屋って何号室なんだ?」
「んー、708号室だよ」
「・・・・・・ごめんもう1回頼む」
「だから、7・0・8号室だよ」
「お向かいさんじゃねぇか!!」
あー、確かにね。知り合いがお向かいさんなのはいいかもね。
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