前世を思い出した巫女は神のもとに行きたい

だるま

文字の大きさ
50 / 54
わたしの気持ち

4

しおりを挟む
「はははっやはりこの時間は手薄だ!簡単に入れたぞ!」

男達が、神殿の篭城ができたことに喜び下びた笑いが響いている。
もはやここに住んでいる神官達はいない。皆通いのもの達だ。
夜当番として泊まる者がいるが、要はその者たちを退けば占拠は完了である。



アトスが放った配下は神殿の監視をする形で随時報告を入れてくる。

神官たちだけなら兵を攻めさせ鎮圧させればいいが、ユエが人質となっている。
神官あいつらも追い込まれれば、何をするかわからない。ユエに危害を加えるかもしれない。それを懸念して、とにかく情報収集として、配下を監視させている。

俺は出来るうる限りの配置を指示し、準備に備える。

本当はすぐにでも中に入り、ユエを救出したいのをぐっと堪える。
ことが起きるから儀式の時。
それまでは、ユエが殺されるの事はないはず。その確信はある。
大丈夫だ必ず助けられる。

「ミコト様。」
俺は誰もいない所でミコト様を呼んだ。
するとすぐに姿を現してくれた。顔はなんとも不機嫌ではあるが、協力を頼むのにこれ程頼りになる者はいない。

「私はお前の小間使いではではないぞ!私は神だぞ!わかっているのか⁈」
どうやら、不満は隠すつもりはないらしい。

「すみません。お願いがあって…
ユエのそばにいてもらえませんか。儀式が始まるまで、俺は行く事は叶いません。
せめて、そばにいて安心させてやってくれませんか。」

「言われなくともそのつもりだ。大体私の部屋で篭っておるのだしな。
まぁいい……これが終わったらそれ相応の対価は覚悟しておくのだな。」

「たくさんの茶菓子を用意させてもらいますよ。」
容姿が子供のままであるがために、つい子供が喜びそうなものを言ってしまった。
でも、いつもユエとミコト様は一緒にティータイムを楽しんでいる。俺はそれが見るのが好きだった。
是非またティータイムをしてほしい。俺も混ぜてほしけど。

「……ふん。子供扱いしおって。ユエの分も忘れるなよ。」
そう言い、ミコト様は姿を消した。
まんざらでもなかったようだ。

俺は緊迫した状態で、肩に力が入っていたのか、今ので少し力が抜けたようだ。
俺はもう一度、配下を呼び準備にかかった。





**********

目が覚めたら神殿の際奥深く部ミコトを祀っている部屋だった。
わたしが起きたことにまた男たちは背を向けており、わたしに気付いていない。
そこでわたしは下手に騒ぐより、寝たふりをして隙を見つけることにした。
幸い薬の吸引を少なめにできたのか効果は薄かったようだ。眠っている間に殺されたのでは堪らない。

「ユエ。起きた?」
そばにミコトが姿現した。話すことができないので、静かに頷く。

「もう、夕刻だよ。儀式までまだ少しあるけど、このまま寝たふりを続ける?」
こくこくと返事をし、ミコトは「わかった」と、隣でいてくれた。

ミコトから、アトス様がわたしの救出のために動いていると言う。
もちろん今回の騒ぎを起こしてるこの男達を捕らえることも大事だが、何よりわたしの身を案じてくれているらしい。そのためにミコトにそばにいてやってほしいとお願いしてきたらしいが、それはミコトには不服だったらしく、「そんなこと言われなくてもするわ!」と言っていた。
2人のやりとりが目に浮かぶ。ミコトとアトス様は仲がいいのかわからないが、共通わたしのこととなると率先して手を組んでいる。
こんな時に心強い味方だ。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

お好きになさって下さい、私は一切気にしませんわ

Kouei
恋愛
婚約者のクレマンド様は、いつも私との約束を破ってばかり。 理由は決まって『従妹ライラ様との用事』 誕生日会にすら来なかった彼に、私はついに告げた。 「どうぞ、私以外のご令嬢をエスコートするなり、お出かけするなり、関係を持つなり、お好きになさって下さい。私は一切気にしませんわ」 二人の想いは、重なり合えるのだろうか …… ※他のサイトにも公開しています。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

身を引いたのに、皇帝からの溺愛が止まりません ~秘された珠の還る場所~

ささゆき細雪
恋愛
五年前、内乱の混乱のなかで姿を消した最愛の妃・白瑤華(はくようか)。 彼女を失った皇帝・景玄耀(けいげんよう)は、その後ただ一人を想い続けながら執務に追われていた。そんなある日、書類に彼女の名前を発見し、居ても立っても居られなくなる。 ――死んだはずの彼女が、生きている? 同姓同名かもしれないが確かめずにいられなくなった彼は地方巡察を決行。そこで、彼によく似た幼子とともに彼女と再会、地方官吏として働く瑤華と、珠児(しゅじ)を見て、皇帝は決意する――もう二度と、逃がさないと。 「今さら、逃げ道があると思うなよ」 瑤華を玄耀は責めずに、待ちの姿勢で包み込み、囲い込んでいく。 秘された皇子と、選び直した愛。 三人で食卓を囲む幸福が、国をも動かすことになるなんて――?    * * * 後宮から逃げ出して身を引いたのに、皇帝の溺愛は止まらない――これはそんな、中華風異世界ロマンス。

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

真実の愛は水晶の中に

立木
恋愛
学園の卒業を祝うパーティーの最中、レイシア・マレーニ侯爵令嬢は第三王子とピンク髪の女、その取り巻きたちによって断罪されようとしていた。 しかし断罪劇は思わぬ方向へ進んでいく。 ※「なろう」にも重複投稿しています。

夫と愛し合った翌朝、一方的に離縁されました【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
美しい公爵夫人マルグリートは、冷徹な夫ディートリヒと共に、王国の裏で密かに任務をこなす“悪女”。 だがある日、突然夫から離婚を言い渡される。しかもその裏には、平民の愛人の存在が──。 失意の中、王命で新たな婚約者・エルンストと結ばれることに。 どうやら今回の離婚再婚は、王家の陰謀があるよう。 「悪女に、遠慮はいらない」 そう決意した彼女は、華やかな舞踏会で王に真っ向から言い放つ。 「わたくし、人の家庭を壊しておきながら悪びれない方に、下げる頭は持っていませんの。  王族であられる前に、人におなりくださいませ。……失礼」 愛も、誇りも奪われたなら── 今度はこの手で、すべてを取り戻すだけ。 裏切りに燃える、痛快リベンジ・ロマンス! ⚠️本作は AI の生成した文章を一部に使っています。タイトル変えました。コメディーです。主人公は悪女です。

幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~

二階堂吉乃
恋愛
 同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。  1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。  一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。

処理中です...