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レーザー演出で会場は湧き、ハメを外す若者が溢れている中、バーカウンターに座り、酒を交わしながら2階の様子を伺っている者がいた。
ベンはガードマンが離れたのを機に、酒を一気に飲み干しては、観客の中をかき分けて進んだ。
道中、屈強な男が階段の前に立っているのが目に入るが、ベンは構うことなく正面突破を試みる。
「おい、こっから先は、うッ!? ぐぐぐッ!!」
男がベンを制止させるため、片腕を伸ばした瞬間、彼は隠し持っていたスタンガンを腕に当てて感電させた。
男が痙攣しながらゆっくり階段に倒れると、ベンはさらに首筋にスタンガンを当て、完全に伸びた彼をまたいでVIPルームを目指す。
階段を登っていく毎に、標的の姿は見えてきた。
フレドリックは、ソファーに座って俯いており、テーブルには2つのグラスと酒瓶が置いてあった。
グラスの一つは酒が入ったまま、誰もいない席にポツンとある。
部屋は一面が防音ガラス張りで下の階が一望でき、壁際の床下から淡い青の間接照明が発光している。
それ以外の人影がなく、不自然すぎる空気感を肌で感じるが、慎重に足を踏み込んでいくうちに、階段を上り切ってしまっいた。
忍び足で近づくが、相手は酔いつぶれてしまったのか、一向に面を上げる様子はない。
絶好の機会だと判断し、胸のホルダーから銃を抜いた
次の瞬間――。
ゴンッ。
後頭部に鈍く重い一撃を食らい、脳が揺れ、そのまま床に倒れてしまった。
意識が飛びかけている中、幻覚が見えているのか、何人もの足が見える。
「今夜は、来客が多い日だ」
フレドリックがボソッと呟き、鋭い目つきでベンを見下ろす。
ベンは目を回し、平衡感覚が狂いながらも腕を立てて起き上がろうとすると、近くにいた部下が彼の横腹を蹴り上げた。
「ぐぶッ!!」
ベンは、いつの間にか5人の部下に囲まれていたのだ。
「おいガキ、どこの回し者だ? 答えろ」
ベンはフレドリックの問いに返事をする余裕がなく、咳き込んでばかりいる。
「――おう、ゴラッ!! 聞いてんだから答えろやッ!!」
部下の1人が便の髪を掴み、強引に顔を頭を上げる。
「おい、こいつ腕が無ェぞ」
部下の一人が指摘すると、フレドリックはあざ笑った。
「お前、さては鉄砲玉か。
よほど使い物にならなかったんだな」
フレドリックの発言で周りが笑いに包まれた。
「マジかよッ!」
「 捨て駒にすらならなかったかッ!!」
「くッ…」
ベンは、腹部と頭皮の痛覚で苦悶の表情を浮かべている。
「おい、ガキ良いこと教えてやる。
勇気と無謀は別物なんだぜ」
フレドリックがヘラヘラしながら馬鹿にしていると、ベンもふと不敵な笑みを浮かべた。
「確かに、その通りだ」
「あ?」
すると、突如、店内の電気が一斉に消え、暗闇みにのまれた。
「なッ、なんだッ!?」
部下たちだけではなく、会場も動揺しだし、やがて警報と共にスプリンクラーが作動した。
「うわッ!」
「痛ェ!?」
冷水シャワーを浴びてパニックが起きている中、誰かが短い悲鳴をあげた。
「おいッ!! 早く明かりをつけろッ!!」
フレドリックが指示すると、部下の1人が小型ライトをつけた。
皆の安否を確認し、全身ビショ濡れだったが、そのうちの1人が手のひらから出血しており、傷口を抑えていた。
「畜生ッ!! あのガキ、やりやがったッ!!」
どうやらナイフで切られてしまったらしい。
そして、肝心なベンの姿がどこにもなかった。
「探しだせッ!! 見つけ次第捕らえろよッ!!」
フレドリックに怒鳴られ、一同、慌てて下へと降りていった。
「――くそッ」
ベンは混乱している観客の中を押し進み、スタッフ通路を足早で通っていく。
裏口から外に出ると今まで押さえていた生存本能が爆発し、全速力で路地へと向かう。
「――はあッ、はあッ、くそッ」
自身のしくじりを恨みながらゴミ捨て場に到着し、事前に隠していたボロボロのブランケットをかぶる。
そして、指先だけ切り取った黒い手袋をはめ、蓋の開いた空の缶詰めを持った。
変装完了すると、なるべく猫背を維持し、そのまま通りに出た。
歩幅も普段より短くしていると、すれ違う人々が自然と避けていく。
信号で止まり、変わるまでの間、ベンに寄ってくるものはおらず、通行人は皆一定の距離を取っている。
どうやら、ホームレスの変装は成功したようだ。
ホッと胸を撫で下ろしているうちに、信号が青になった。
ベンは、歩道を渡るため道路に出た次の瞬間、止まっていたバンからハイビームを浴びせられた。
突然のことに怯み、手で光源を遮っているとバンから覆面の男たちが出てきては、しっかりベンを捕らえた。
「んだよッ!! 離せッ!!」
ベンは必死に抵抗するが、男たちはビクともしない。
バンの中に強引に引きずり込まれ、グリップと手首に手錠をかけられる。
厄介な暴れる両足に、結束バンドできつく絞められてしまった。
「何しやがるッ!! 離――ッ!!」
そして袋をかぶせられた途端、鈍器で頭を殴られた。
「バカ野郎ッ!! 殺すんじゃねェッ!!」
意識が飛びかける中、怒声が車内に響く。
「頭以外をやんだよッ!!」
そう言って、1人がベンの足を鈍器で思いっきり殴り始めた。
「い"ッ!! やめッ、うッ!!」
続いて他の奴らも背中や腹部を狙い出し、文字通り袋叩きをし出した。
「がッ!! ぐはッ!!」
足や肋骨が折れ、あまりの激痛に耐えられなくなり、失禁してしまう。
「うわッ!! こいつ漏らしやがったッ!!」
「テメッ、後で掃除面倒くせェだろうがッ!!」
車内が尿の匂いで充満し、ベンに怒りの鉄槌を下す。
素手で殴られた拍子に幸か不幸か意識を失った。
一時の間だけが、痛みや恐怖を忘れることができたのだった。
ベンはガードマンが離れたのを機に、酒を一気に飲み干しては、観客の中をかき分けて進んだ。
道中、屈強な男が階段の前に立っているのが目に入るが、ベンは構うことなく正面突破を試みる。
「おい、こっから先は、うッ!? ぐぐぐッ!!」
男がベンを制止させるため、片腕を伸ばした瞬間、彼は隠し持っていたスタンガンを腕に当てて感電させた。
男が痙攣しながらゆっくり階段に倒れると、ベンはさらに首筋にスタンガンを当て、完全に伸びた彼をまたいでVIPルームを目指す。
階段を登っていく毎に、標的の姿は見えてきた。
フレドリックは、ソファーに座って俯いており、テーブルには2つのグラスと酒瓶が置いてあった。
グラスの一つは酒が入ったまま、誰もいない席にポツンとある。
部屋は一面が防音ガラス張りで下の階が一望でき、壁際の床下から淡い青の間接照明が発光している。
それ以外の人影がなく、不自然すぎる空気感を肌で感じるが、慎重に足を踏み込んでいくうちに、階段を上り切ってしまっいた。
忍び足で近づくが、相手は酔いつぶれてしまったのか、一向に面を上げる様子はない。
絶好の機会だと判断し、胸のホルダーから銃を抜いた
次の瞬間――。
ゴンッ。
後頭部に鈍く重い一撃を食らい、脳が揺れ、そのまま床に倒れてしまった。
意識が飛びかけている中、幻覚が見えているのか、何人もの足が見える。
「今夜は、来客が多い日だ」
フレドリックがボソッと呟き、鋭い目つきでベンを見下ろす。
ベンは目を回し、平衡感覚が狂いながらも腕を立てて起き上がろうとすると、近くにいた部下が彼の横腹を蹴り上げた。
「ぐぶッ!!」
ベンは、いつの間にか5人の部下に囲まれていたのだ。
「おいガキ、どこの回し者だ? 答えろ」
ベンはフレドリックの問いに返事をする余裕がなく、咳き込んでばかりいる。
「――おう、ゴラッ!! 聞いてんだから答えろやッ!!」
部下の1人が便の髪を掴み、強引に顔を頭を上げる。
「おい、こいつ腕が無ェぞ」
部下の一人が指摘すると、フレドリックはあざ笑った。
「お前、さては鉄砲玉か。
よほど使い物にならなかったんだな」
フレドリックの発言で周りが笑いに包まれた。
「マジかよッ!」
「 捨て駒にすらならなかったかッ!!」
「くッ…」
ベンは、腹部と頭皮の痛覚で苦悶の表情を浮かべている。
「おい、ガキ良いこと教えてやる。
勇気と無謀は別物なんだぜ」
フレドリックがヘラヘラしながら馬鹿にしていると、ベンもふと不敵な笑みを浮かべた。
「確かに、その通りだ」
「あ?」
すると、突如、店内の電気が一斉に消え、暗闇みにのまれた。
「なッ、なんだッ!?」
部下たちだけではなく、会場も動揺しだし、やがて警報と共にスプリンクラーが作動した。
「うわッ!」
「痛ェ!?」
冷水シャワーを浴びてパニックが起きている中、誰かが短い悲鳴をあげた。
「おいッ!! 早く明かりをつけろッ!!」
フレドリックが指示すると、部下の1人が小型ライトをつけた。
皆の安否を確認し、全身ビショ濡れだったが、そのうちの1人が手のひらから出血しており、傷口を抑えていた。
「畜生ッ!! あのガキ、やりやがったッ!!」
どうやらナイフで切られてしまったらしい。
そして、肝心なベンの姿がどこにもなかった。
「探しだせッ!! 見つけ次第捕らえろよッ!!」
フレドリックに怒鳴られ、一同、慌てて下へと降りていった。
「――くそッ」
ベンは混乱している観客の中を押し進み、スタッフ通路を足早で通っていく。
裏口から外に出ると今まで押さえていた生存本能が爆発し、全速力で路地へと向かう。
「――はあッ、はあッ、くそッ」
自身のしくじりを恨みながらゴミ捨て場に到着し、事前に隠していたボロボロのブランケットをかぶる。
そして、指先だけ切り取った黒い手袋をはめ、蓋の開いた空の缶詰めを持った。
変装完了すると、なるべく猫背を維持し、そのまま通りに出た。
歩幅も普段より短くしていると、すれ違う人々が自然と避けていく。
信号で止まり、変わるまでの間、ベンに寄ってくるものはおらず、通行人は皆一定の距離を取っている。
どうやら、ホームレスの変装は成功したようだ。
ホッと胸を撫で下ろしているうちに、信号が青になった。
ベンは、歩道を渡るため道路に出た次の瞬間、止まっていたバンからハイビームを浴びせられた。
突然のことに怯み、手で光源を遮っているとバンから覆面の男たちが出てきては、しっかりベンを捕らえた。
「んだよッ!! 離せッ!!」
ベンは必死に抵抗するが、男たちはビクともしない。
バンの中に強引に引きずり込まれ、グリップと手首に手錠をかけられる。
厄介な暴れる両足に、結束バンドできつく絞められてしまった。
「何しやがるッ!! 離――ッ!!」
そして袋をかぶせられた途端、鈍器で頭を殴られた。
「バカ野郎ッ!! 殺すんじゃねェッ!!」
意識が飛びかける中、怒声が車内に響く。
「頭以外をやんだよッ!!」
そう言って、1人がベンの足を鈍器で思いっきり殴り始めた。
「い"ッ!! やめッ、うッ!!」
続いて他の奴らも背中や腹部を狙い出し、文字通り袋叩きをし出した。
「がッ!! ぐはッ!!」
足や肋骨が折れ、あまりの激痛に耐えられなくなり、失禁してしまう。
「うわッ!! こいつ漏らしやがったッ!!」
「テメッ、後で掃除面倒くせェだろうがッ!!」
車内が尿の匂いで充満し、ベンに怒りの鉄槌を下す。
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