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Chapter9:甘える

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「はなぁ……」
「なぁに? あおくん……」

 えっちな気分が高まってはくるものの……

「赤ちゃんみたいにさ……しばらくチューチューって、乳首吸っていい?」

 両胸に顔を埋めながら切ない声で要求するあおくんの様子に

「うん……いいよ」

 胸の奥が、ズキンと痛んだ。

(あおくん……もしかして、本当は大声で泣きじゃくりたいんじゃないかな?)

 コンドームを大量に発注してしまったミスを私が犯した時、私は自然と大声で泣いた。
 いや……「泣いた」というか、「泣けた」んだ。

 けれどあおくんはどうだろう?

 みどりちゃんの話では銀行の前でしゃがみ込み、小声で「クソッ」って言っていたみたいだけど人通りもそれなりにあるからそれ以上声を出したくても出せなかっただろうし……

(トイレに籠った時も、あおくんは静かに泣いていて、抱えているものを声にして発散したくても出来ないような感じだったもんなぁ)

 あおくんは、泣きたい時に泣けない……そのような性質を持っている人なんだとハッキリ理解出来た私は

「あおくん……よしよし」

 無言でチュッチュと乳首を吸うあおくんのふわふわの髪を手櫛で梳いてあげたり、優しく撫でてあげたりした。

「あおくん、いい子。すごくいい子だよ、あおくん」

 家族に「いい子」と呼ばれ慣れていくのが嫌で一人暮らしを決めた私があおくんに向かって「いい子だよ」だなんて、安易に使って良いとは思わない。だけど……どうしてもこの時だけは言ってあげた方が適切なんじゃないかって思ったんだ。

「ん……チュウッ……んん……ッチュッチュウッ」

 あおくんは鼻音と口吸いを繰り返す。

「あおくん……」

 鼻息も、吸われる感触も、快感になってきているんだけど

「あおくん……あおくん……」

 彼を守ってあげたい気持ちも同じくらい膨らんできて

「んっ……はなぁ……チュウウウゥゥ」
「んふぅ♡ いいよ……いっぱい吸って。あおくんの気が済むまで、いっぱいいっぱい吸っちゃっていいんだからね」

 こういう形で甘えてくれる事そのものが幸せでポカポカとしたものになっていってて……

(あおくんに吸われるのって気持ちいいけど、温かいなぁ……)

 なった事もないお母さんになってあおくんをあやしているような気分にもなる。


「あおくん……大好きだよ…………」



 その日はそのまま……

 眠りにつくまであおくんは両胸の乳首を代わるがわる吸っていて……

 私も私で、あおくんの頭をずっとずーっとなでなでしてあげていたのだった。





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