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1st season 第三章
046 奇跡など無い
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遊び回るのにも少し飽き始めた二人は、王都のギルド依頼がどんなものなのか、最後に偵察してから帰ることにした。
「うーん、やっぱりエルダーサより報酬高めよね」
「ワリの良い魔物が出るとこまでだけでも距離ありそうじゃないか?それに物価も高いしな」
「まっ、エルダーサでも十二分に稼げてるわよね」
「ああ、欲かいてもろくな事にならん」
「じゃ、帰りましょ」
「だな」
ガッシャン ガッシャン ガッシャン ガッシャン ガッシャン ガバッ! むっちゅぅ~~~♡
「アンタっ!いきなり何やってのよっ!」
スパーンっ!
いきなり現れた甲冑に痴漢行為をされたらシリアにひっぱたかれた。
何を言っているのかわからないと思うが(以下ry
「アベルさん???」
「カイン君、会いたかったよ~♡」
「えっ、この人、アンタが言ってた人?」
「ははは、こちらのキュートな女性はどなたかな?」
あ、コレ、知ってる。
友達って言ったら酷い目にあうやつだ。
「シリアって言います。俺のバディで、いちばん大切な女性です」
ボッ)
「ちょっ、アンタ、いきなり何言ってんのよっ!」
「申し訳なかったー!!!」
「え?」
「カイン君に恋人ができていたとはつゆ知らず。シリア殿の前でとんだ無礼を・・・」
「あー、とりあえず、向こうで話しましょうよ、ライザさん達、他人のフリしてますよ?どうみても同じ甲冑一座なのに」
ギルドの食堂で再会を喜び合う。
っていうか屋内に甲冑が六人も居るとめちゃめちゃ狭い。
「カイン君はなぜ王都へ?」
「あー、神殿に少し用がありまして、観光して、そろそろ帰ろうかと思っていたところです。アベルさんたちは?」
「いや、我らは元から王都の子爵家にお使えして・・・・いた」
「いた?」
「ああ、いた。例の主が話題の性奴隷、氷結姫殿を手に入れるために散財してな、お飾りで役立たずな我らはヒマを出された」
「性奴隷買うために騎士をクビにするとか、ホントとんでもないクズですね~」
「あの娘も可愛そうよね。氷結姫ユリアと言えば、ほんの三ヶ月前までは王都では知らない人が居ないほどの生え抜き冒険者だったのに、今では王都では知らない人が居ないほどの性奴隷よ?元が有名だっただけにね、辛いでしょうね」
ドクンっ
「そんなに有名な冒険者なのに奴隷になったんですかぁ?」
「えぇ。なんでも伯爵家のバカ息子を殺しちゃったらしいのよ」
「悪い噂の耐えない男だったから、大方あの美少女を無理やり襲おうとでもしたのよ」
「屋敷で少し見かけたが、まだ16~7の、美しい少女だった。かわいそうに・・・ああなってはもう戻れまい」
ドクンっ
「あの・・・もしかして、氷魔法を使うから氷結姫なんて二つ名になったわけじゃないですよね?」
「その通りだが?見たことは無いが、珍しい氷魔法の使い手だったそうだ」
ドクンっ ドクンっ
いや、ただの偶然だ。
ユリアなんて名前どこにでもあるし、氷魔法が珍しいと言っても、王都で探せばそれなりに居るはずだ・・・でも、その偶然が2つ・・・。
「あの・・・もしかしてその氷結姫さん、薄い茶色の髪に、青い目で、あまり背が高くなかったりしませんよね?」
「ちょ、アンタどうしたの?真っ青な顔して・・・えっ、まさか?」
「カイン君、どうしたのだ?本当に顔色が悪いぞ」
「教えてください。その少女の、ユリアという少女の髪の色は?」
「いや、カイン君の言う通り、茶色の髪に青い目で、決して背は高くなかった。知り合いなのかい?」
「・・・・・・たぶん。俺の・・・婚約者・・・です」
ユリアは何をやってるんだ!?
乱交だけじゃ飽き足らず性奴隷だと!?
それも王都中が知る性奴隷!?
なんなんだよっ!
馬鹿にするのもいいかげんにしてくれっ!
いや、待て、みんなはなんて言ってた?
伯爵家の誰かを殺して奴隷になった?
つまり、望んでいないのか?
助ける?
どうやって?
いや、そもそもまだユリアだと決まったわけじゃ・・・いや、もしも違ったら本当に奇跡だ。俺にそんな奇跡なんて起きるわけない。
いやいや助けるだと?
なぜ?
俺を裏切り、男達と逃げた女だぞ?
助けるとしたらアイツラの役目だろ?
うん、そうだ。
俺に助ける理由なんて無い。
せいぜいその貴族とやらと楽しんでればいい。
だいたい助けるたってどうやって?
しかも助けに飛び込んだらまたアンアンよろしくやってる可能性のほうが高い。
うん、ピエロすぎだろ。
帰ろう。
もう帰ろう。
「アベルさん、初対面でこんなお願いは厚かましいと思うのですが、あたし達をその氷結姫さんにあわせてもらえませんか?」
「えっ?」
「そんな顔してるアンタを連れて帰れるわけ無いじゃないの。会って白黒つけて、すっきりして帰るの」
「・・・悪い」
「ふむ・・・暇を出されたとはいえ元は家人、取り次いでもらう事くらいは出来ると思うが、正直オススメしないぞ?あの男の性格だ、元婚約者と伝えれば面白がって会わせる事にするかもしれんが、その、カイン君の目の前で氷結姫殿を嬲って悦に入るくらいの事はする男だ」
「・・・いえ、慣れてますんで。やっぱりこのまま帰ったら後戻りだ。お願いできますか?」
「・・・わかった。早速行くのか?」
「はい、ちょっと宙ぶらりんはキツイです」
俺たちは三人でリッチモンド子爵家を訪れた。
アベルさんが用向きを伝えると、応接室に通された。
「リッチモンド様はそちらのロックハウス卿とのみお会いになります。お二方はこちらでお待ち下さい」
「ふたりとも、待っててくれ」
執事がノックをし、執務室の扉が開く。
やはり、奇跡など無かった。
「カイン・・・生きて・・・いやぁぁぁぁぁぁぁ」
「ユリア、お客様に失礼だよ、命令、黙れ、立ちなさい」
うずくまり、泣き声をあげるユリアは、男の一言でピタリと黙り、すっくと立ち上がると、胸と股を手で隠した。
「これはこれは・・・どうやら本当に婚約者のようだね・・・面白い」
「カイン・ロックハウスと申します。無礼は承知でお願いします。少しユリアと話をさせて頂けませんか?」
「うーん、それはどうだろう?確かにユリアは君の婚約者であるかも知れないが、王国法に基づいた正式な犯罪奴隷、まずは所有者たる私に話を通すのが筋では無いかな?」
「・・・仰る通りですね」
乳房の大半が見えてしまうほどに胸元が深くカットされたメイド服。
スカート丈は馬鹿みたいに短くて、その裾からはTフロントの紐パンが、ユリアのワレメに食い込んでいるのがチラチラと見える。
ほんとうに何をやってるんだこの女。
「ユリアと会うのは一年半ぶりで、俺には状況が理解できていません。今日こちらに伺ったのは、もしも本人の意志でココに居るのでなければ、連れて帰ろうと思っての事でしたが、考えてみれば、性奴隷が自分の意志で居るわけないですよね?何やってるんだろ、俺」
ユリアは俺と目を合わせようともしない。
そうだよな、捨てた男に今更出てこられても、いい迷惑だ。
はっ、またピエロかよ。
「すみません、お邪魔だったようです。帰ります」
「いや、まぁ待ち給え。本当にお邪魔だったかどうか、ユリアに聞いてみようじゃないか?命令だユリア、カイン君のセックスと私のセックス、どちらが気持ち良かったか答えなさい」
「なっ」
「していません」
「あ"?」
「カインとはしていません」
「・・・・ぶははははははははははっ これは傑作だ。婚約者には触れさせず、私とのセックスでイキ狂っていたのかい?ユリアは本当に酷い女だね?」
「貴様っ!」
「わきまえろ若造っ!ここが誰の屋敷で、私が誰かよく考えろっ!・・・まぁいい、今の無礼は許そう。何しろユリアにサせて貰っていない憐れな男だ・・・そうだな、ユリア、命令だ、スカートをたくし上げてお前のだらしないオマンコをよく見ていただきなさい」
「帰ります」
「わきまえろと言っているんだ!ここで私の機嫌を損ねればおまえだけじゃない、応接室で待っている・・・なんと言ったかな、元うちの女騎士と亜人の娘もただでは済まんぞ?」
「くっ・・・」
「見たところ騎士だけあって君は強そうだ。どうだ?私を殺してユリアを連れて帰るか?まぁ連れて帰ったところで奴隷紋の呪いでユリアは狂い死に、連れの二人が代わりに犯罪奴隷となって、どこかに売られて行くだけだがね。ほら、見てやってくれ、君に見られるのは相当興奮するらしい、立ってるだけで絨毯がビショビショじゃないか」
そういいながら男はユリアの尻を鷲掴みにし、ニヤニヤと俺を見据える。
「そうだな、これだけでは少し面白くない。命令だユリア、この男のところに帰りたいか答えなさい」
「帰りたい・・・帰りたいです」
「あ"、お前は俺を捨てて男と逃げただろうが!何が帰りたいだ!馬鹿にするのもいい加減にしろっ!」
「ほほぅ、ますます興味深い。命令だ、なぜカイン君を捨てて逃げたか説明しなさい」
「逃げていません。カインは死んだと教えられました」
「え?」
「いやいや、まったくもってドラマだね。死に別れたと思っていた婚約者が性奴隷に身を落としたユリアを迎えに来たのかな?」
男は執務机に寄りかかったまま、ユリアの股間に手をのばすと、クリトスを扱き始めた。
動くことも声を発する事もできないユリアは、ピクピクと下半身を震わせながら、ただ涙を流している。
「教えてあげようカイン君、ユリアはね、孤高の戦姫と呼ばれるほどに男を寄せ付けぬ冒険者だったんだ。誰とも組まず、休むこともせず、それが伯爵のところのバカ息子に犯されそうになって、抵抗して逆に魔法で殺してしまったんだ。本来なら死刑間違い無しなんだが、あのエロデブ・・・失礼、伯爵が手を回してね、特別製の奴隷紋で縛って教育したんだよ。この奴隷紋が素晴らしくてね?絶望した人形になる事ができない上に、恥ずかしさに慣れることができず、恥ずかしければ恥ずかしいほど感じてしまう素敵な呪いがかかっているんだ。伯爵はそれを自慢したくてね?しょっちゅう私達を招いては手や口で奉仕させるんだ。いやぁ、素晴らしかったね。私もすっかりユリアの口の虜になってしまってね?伯爵が死んでユリアが競りにかかると聞いたときは飛び跳ねて喜んだよ。あのエロデブは本当に良い仕事をしてくれた」
「あなたは何がしたいんだっ!」
「どうだねカイン君、ユリアを連れて帰りたいかい?どうやらユリアは君を裏切ってはいなそうだよ?」
「・・・」
「いやいや、冗談だ。白金貨一枚はたいて買った極上の奴隷だ、手放すわけが無いだろう?これほどスケベな体をした婚約者を持ちながら、一度も抱けずに誤解のままに生き別れた、その憐れな男を想うユリアに、私は今からたっぷりとザーメンを注ぐとしよう。もう帰っていいよ。充分に楽しませてもらった」
「・・・・」
「ん?」
「いくら払えばユリアを返してくれる?」
「君は話を聞いていなかったのか?私は白金貨一枚で買ったと言」
「だからいくらかと聞いている」
「ほぅ」
男は初めてカインの身なりを確かめる。
「とても白金貨が稼げるようには見えないが、まぁ、10枚か?どうだ、払えるのか?」
「アテはある。10枚だな?」
「いやいや、私は払えるのか聞いただけだよ。ユリアを買ってまだ10日しか楽しんでいないのでね?充分に楽しんで、、飽きてから売り飛ばしても元は取れるだろう。何しろ壊れることができない女だ。売るときも新品同然さ・・・だが、そうだな。君が本当に白金貨10枚持ってきたら、条件付きで譲ってやらない事もない」
「その条件とは?」
男はニヤリと下卑た笑いを浮かべる。
「三ヶ月だ。三ヶ月の間、君にも屋敷に逗留してもらおう。もちろんその間、私はユリアで楽しませてもらうよ?来客があれば接待もさせなければならない。君にはその一部始終を見守って貰おうかな?その上で、愛する婚約者が男達のオモチャにされる姿を、三ヶ月見せつけられ続けた上で、まだ君がユリアを欲しいと言うなら、そのときは白金貨10枚で譲ろうじゃないか」
カインは意外にも逆上しなかった。
それどころか冷静だったと言えるだろう。
カインに隠れて男達と狂乱に耽り、そのくせカインには一度も体を許さず、だまって男達と置き去りにした挙げ句の果に性奴隷、カインの誇りをズタズタにした女が、目を覆わんばかりの破廉恥な服で他の男に弄られている。
むしろ自分がなぜこの女を助けようと思っているのか理解できないでいた。
だから、この男の出した非道な条件を地獄と気付けなかった。
ただ単に、かつて自分が大切にしていた女が性奴隷などという不名誉極まりない立場にいる事が、不愉快だからやめさせる。
それだけの事だと誤解した。
「わかった、もう、帰っていいか?10枚、用意してこよう」
「うーん、やっぱりエルダーサより報酬高めよね」
「ワリの良い魔物が出るとこまでだけでも距離ありそうじゃないか?それに物価も高いしな」
「まっ、エルダーサでも十二分に稼げてるわよね」
「ああ、欲かいてもろくな事にならん」
「じゃ、帰りましょ」
「だな」
ガッシャン ガッシャン ガッシャン ガッシャン ガッシャン ガバッ! むっちゅぅ~~~♡
「アンタっ!いきなり何やってのよっ!」
スパーンっ!
いきなり現れた甲冑に痴漢行為をされたらシリアにひっぱたかれた。
何を言っているのかわからないと思うが(以下ry
「アベルさん???」
「カイン君、会いたかったよ~♡」
「えっ、この人、アンタが言ってた人?」
「ははは、こちらのキュートな女性はどなたかな?」
あ、コレ、知ってる。
友達って言ったら酷い目にあうやつだ。
「シリアって言います。俺のバディで、いちばん大切な女性です」
ボッ)
「ちょっ、アンタ、いきなり何言ってんのよっ!」
「申し訳なかったー!!!」
「え?」
「カイン君に恋人ができていたとはつゆ知らず。シリア殿の前でとんだ無礼を・・・」
「あー、とりあえず、向こうで話しましょうよ、ライザさん達、他人のフリしてますよ?どうみても同じ甲冑一座なのに」
ギルドの食堂で再会を喜び合う。
っていうか屋内に甲冑が六人も居るとめちゃめちゃ狭い。
「カイン君はなぜ王都へ?」
「あー、神殿に少し用がありまして、観光して、そろそろ帰ろうかと思っていたところです。アベルさんたちは?」
「いや、我らは元から王都の子爵家にお使えして・・・・いた」
「いた?」
「ああ、いた。例の主が話題の性奴隷、氷結姫殿を手に入れるために散財してな、お飾りで役立たずな我らはヒマを出された」
「性奴隷買うために騎士をクビにするとか、ホントとんでもないクズですね~」
「あの娘も可愛そうよね。氷結姫ユリアと言えば、ほんの三ヶ月前までは王都では知らない人が居ないほどの生え抜き冒険者だったのに、今では王都では知らない人が居ないほどの性奴隷よ?元が有名だっただけにね、辛いでしょうね」
ドクンっ
「そんなに有名な冒険者なのに奴隷になったんですかぁ?」
「えぇ。なんでも伯爵家のバカ息子を殺しちゃったらしいのよ」
「悪い噂の耐えない男だったから、大方あの美少女を無理やり襲おうとでもしたのよ」
「屋敷で少し見かけたが、まだ16~7の、美しい少女だった。かわいそうに・・・ああなってはもう戻れまい」
ドクンっ
「あの・・・もしかして、氷魔法を使うから氷結姫なんて二つ名になったわけじゃないですよね?」
「その通りだが?見たことは無いが、珍しい氷魔法の使い手だったそうだ」
ドクンっ ドクンっ
いや、ただの偶然だ。
ユリアなんて名前どこにでもあるし、氷魔法が珍しいと言っても、王都で探せばそれなりに居るはずだ・・・でも、その偶然が2つ・・・。
「あの・・・もしかしてその氷結姫さん、薄い茶色の髪に、青い目で、あまり背が高くなかったりしませんよね?」
「ちょ、アンタどうしたの?真っ青な顔して・・・えっ、まさか?」
「カイン君、どうしたのだ?本当に顔色が悪いぞ」
「教えてください。その少女の、ユリアという少女の髪の色は?」
「いや、カイン君の言う通り、茶色の髪に青い目で、決して背は高くなかった。知り合いなのかい?」
「・・・・・・たぶん。俺の・・・婚約者・・・です」
ユリアは何をやってるんだ!?
乱交だけじゃ飽き足らず性奴隷だと!?
それも王都中が知る性奴隷!?
なんなんだよっ!
馬鹿にするのもいいかげんにしてくれっ!
いや、待て、みんなはなんて言ってた?
伯爵家の誰かを殺して奴隷になった?
つまり、望んでいないのか?
助ける?
どうやって?
いや、そもそもまだユリアだと決まったわけじゃ・・・いや、もしも違ったら本当に奇跡だ。俺にそんな奇跡なんて起きるわけない。
いやいや助けるだと?
なぜ?
俺を裏切り、男達と逃げた女だぞ?
助けるとしたらアイツラの役目だろ?
うん、そうだ。
俺に助ける理由なんて無い。
せいぜいその貴族とやらと楽しんでればいい。
だいたい助けるたってどうやって?
しかも助けに飛び込んだらまたアンアンよろしくやってる可能性のほうが高い。
うん、ピエロすぎだろ。
帰ろう。
もう帰ろう。
「アベルさん、初対面でこんなお願いは厚かましいと思うのですが、あたし達をその氷結姫さんにあわせてもらえませんか?」
「えっ?」
「そんな顔してるアンタを連れて帰れるわけ無いじゃないの。会って白黒つけて、すっきりして帰るの」
「・・・悪い」
「ふむ・・・暇を出されたとはいえ元は家人、取り次いでもらう事くらいは出来ると思うが、正直オススメしないぞ?あの男の性格だ、元婚約者と伝えれば面白がって会わせる事にするかもしれんが、その、カイン君の目の前で氷結姫殿を嬲って悦に入るくらいの事はする男だ」
「・・・いえ、慣れてますんで。やっぱりこのまま帰ったら後戻りだ。お願いできますか?」
「・・・わかった。早速行くのか?」
「はい、ちょっと宙ぶらりんはキツイです」
俺たちは三人でリッチモンド子爵家を訪れた。
アベルさんが用向きを伝えると、応接室に通された。
「リッチモンド様はそちらのロックハウス卿とのみお会いになります。お二方はこちらでお待ち下さい」
「ふたりとも、待っててくれ」
執事がノックをし、執務室の扉が開く。
やはり、奇跡など無かった。
「カイン・・・生きて・・・いやぁぁぁぁぁぁぁ」
「ユリア、お客様に失礼だよ、命令、黙れ、立ちなさい」
うずくまり、泣き声をあげるユリアは、男の一言でピタリと黙り、すっくと立ち上がると、胸と股を手で隠した。
「これはこれは・・・どうやら本当に婚約者のようだね・・・面白い」
「カイン・ロックハウスと申します。無礼は承知でお願いします。少しユリアと話をさせて頂けませんか?」
「うーん、それはどうだろう?確かにユリアは君の婚約者であるかも知れないが、王国法に基づいた正式な犯罪奴隷、まずは所有者たる私に話を通すのが筋では無いかな?」
「・・・仰る通りですね」
乳房の大半が見えてしまうほどに胸元が深くカットされたメイド服。
スカート丈は馬鹿みたいに短くて、その裾からはTフロントの紐パンが、ユリアのワレメに食い込んでいるのがチラチラと見える。
ほんとうに何をやってるんだこの女。
「ユリアと会うのは一年半ぶりで、俺には状況が理解できていません。今日こちらに伺ったのは、もしも本人の意志でココに居るのでなければ、連れて帰ろうと思っての事でしたが、考えてみれば、性奴隷が自分の意志で居るわけないですよね?何やってるんだろ、俺」
ユリアは俺と目を合わせようともしない。
そうだよな、捨てた男に今更出てこられても、いい迷惑だ。
はっ、またピエロかよ。
「すみません、お邪魔だったようです。帰ります」
「いや、まぁ待ち給え。本当にお邪魔だったかどうか、ユリアに聞いてみようじゃないか?命令だユリア、カイン君のセックスと私のセックス、どちらが気持ち良かったか答えなさい」
「なっ」
「していません」
「あ"?」
「カインとはしていません」
「・・・・ぶははははははははははっ これは傑作だ。婚約者には触れさせず、私とのセックスでイキ狂っていたのかい?ユリアは本当に酷い女だね?」
「貴様っ!」
「わきまえろ若造っ!ここが誰の屋敷で、私が誰かよく考えろっ!・・・まぁいい、今の無礼は許そう。何しろユリアにサせて貰っていない憐れな男だ・・・そうだな、ユリア、命令だ、スカートをたくし上げてお前のだらしないオマンコをよく見ていただきなさい」
「帰ります」
「わきまえろと言っているんだ!ここで私の機嫌を損ねればおまえだけじゃない、応接室で待っている・・・なんと言ったかな、元うちの女騎士と亜人の娘もただでは済まんぞ?」
「くっ・・・」
「見たところ騎士だけあって君は強そうだ。どうだ?私を殺してユリアを連れて帰るか?まぁ連れて帰ったところで奴隷紋の呪いでユリアは狂い死に、連れの二人が代わりに犯罪奴隷となって、どこかに売られて行くだけだがね。ほら、見てやってくれ、君に見られるのは相当興奮するらしい、立ってるだけで絨毯がビショビショじゃないか」
そういいながら男はユリアの尻を鷲掴みにし、ニヤニヤと俺を見据える。
「そうだな、これだけでは少し面白くない。命令だユリア、この男のところに帰りたいか答えなさい」
「帰りたい・・・帰りたいです」
「あ"、お前は俺を捨てて男と逃げただろうが!何が帰りたいだ!馬鹿にするのもいい加減にしろっ!」
「ほほぅ、ますます興味深い。命令だ、なぜカイン君を捨てて逃げたか説明しなさい」
「逃げていません。カインは死んだと教えられました」
「え?」
「いやいや、まったくもってドラマだね。死に別れたと思っていた婚約者が性奴隷に身を落としたユリアを迎えに来たのかな?」
男は執務机に寄りかかったまま、ユリアの股間に手をのばすと、クリトスを扱き始めた。
動くことも声を発する事もできないユリアは、ピクピクと下半身を震わせながら、ただ涙を流している。
「教えてあげようカイン君、ユリアはね、孤高の戦姫と呼ばれるほどに男を寄せ付けぬ冒険者だったんだ。誰とも組まず、休むこともせず、それが伯爵のところのバカ息子に犯されそうになって、抵抗して逆に魔法で殺してしまったんだ。本来なら死刑間違い無しなんだが、あのエロデブ・・・失礼、伯爵が手を回してね、特別製の奴隷紋で縛って教育したんだよ。この奴隷紋が素晴らしくてね?絶望した人形になる事ができない上に、恥ずかしさに慣れることができず、恥ずかしければ恥ずかしいほど感じてしまう素敵な呪いがかかっているんだ。伯爵はそれを自慢したくてね?しょっちゅう私達を招いては手や口で奉仕させるんだ。いやぁ、素晴らしかったね。私もすっかりユリアの口の虜になってしまってね?伯爵が死んでユリアが競りにかかると聞いたときは飛び跳ねて喜んだよ。あのエロデブは本当に良い仕事をしてくれた」
「あなたは何がしたいんだっ!」
「どうだねカイン君、ユリアを連れて帰りたいかい?どうやらユリアは君を裏切ってはいなそうだよ?」
「・・・」
「いやいや、冗談だ。白金貨一枚はたいて買った極上の奴隷だ、手放すわけが無いだろう?これほどスケベな体をした婚約者を持ちながら、一度も抱けずに誤解のままに生き別れた、その憐れな男を想うユリアに、私は今からたっぷりとザーメンを注ぐとしよう。もう帰っていいよ。充分に楽しませてもらった」
「・・・・」
「ん?」
「いくら払えばユリアを返してくれる?」
「君は話を聞いていなかったのか?私は白金貨一枚で買ったと言」
「だからいくらかと聞いている」
「ほぅ」
男は初めてカインの身なりを確かめる。
「とても白金貨が稼げるようには見えないが、まぁ、10枚か?どうだ、払えるのか?」
「アテはある。10枚だな?」
「いやいや、私は払えるのか聞いただけだよ。ユリアを買ってまだ10日しか楽しんでいないのでね?充分に楽しんで、、飽きてから売り飛ばしても元は取れるだろう。何しろ壊れることができない女だ。売るときも新品同然さ・・・だが、そうだな。君が本当に白金貨10枚持ってきたら、条件付きで譲ってやらない事もない」
「その条件とは?」
男はニヤリと下卑た笑いを浮かべる。
「三ヶ月だ。三ヶ月の間、君にも屋敷に逗留してもらおう。もちろんその間、私はユリアで楽しませてもらうよ?来客があれば接待もさせなければならない。君にはその一部始終を見守って貰おうかな?その上で、愛する婚約者が男達のオモチャにされる姿を、三ヶ月見せつけられ続けた上で、まだ君がユリアを欲しいと言うなら、そのときは白金貨10枚で譲ろうじゃないか」
カインは意外にも逆上しなかった。
それどころか冷静だったと言えるだろう。
カインに隠れて男達と狂乱に耽り、そのくせカインには一度も体を許さず、だまって男達と置き去りにした挙げ句の果に性奴隷、カインの誇りをズタズタにした女が、目を覆わんばかりの破廉恥な服で他の男に弄られている。
むしろ自分がなぜこの女を助けようと思っているのか理解できないでいた。
だから、この男の出した非道な条件を地獄と気付けなかった。
ただ単に、かつて自分が大切にしていた女が性奴隷などという不名誉極まりない立場にいる事が、不愉快だからやめさせる。
それだけの事だと誤解した。
「わかった、もう、帰っていいか?10枚、用意してこよう」
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