I.B.(そこそこリアルな冒険者の性春事情!)

リカトラン

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2nd season 第四章

159 未知との遭遇

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どうやら新大陸は俺達よりも進んでいるらしい。
当然ありえる事なのに、微塵も想像してなかった。

とっ散らかしたお布団を回収しながら考える。
どうしたものか?

下手に藪をつついて、軍艦とか戦闘機とか出てきちゃったら洒落にならない・・・帰っちゃおうかなぁ・・・とかチラッと思う。
うん、いくつか転移門を隠したら一旦戻って頭を冷やそう。

少し走れば山裾の森がある。
あの中が良さそうだ。

まずはアレだな、お布団エアバッグは改良しよう。
ちゃんとしたのにすれば気球で着陸するよりずっといい。
っていうか来客用の羽毛布団が泥だらけだ。
こんなの洗濯に出した日には、またメイドさん達に『猊下は野外プレイがお好き』とか噂される・・・。

二つ目は・・・うん、あの崖の上がいいな。

あー、たぶんさっき見た街はあっちの山越えたあたりだな。
あそこにデカイ河がある。
水源はアレか。

「ぉぃ、こっちだ」



「ぉぃ、こっちだって!」

ぬぁっ!?

振り返るとそこに未知との遭遇っ!
薄汚いおっさんが、藪の中から手招きしている。

「あー、もしかして、俺?」
「おめぇしか居ねぇだろうが!・・・つぅか一人か?」
「あー・・・一人だな?」
「追っ手は?」
「んー、居ないと思う・・ぞ?」

「よしっ、服を脱げ」
「へっ?」
「だからさっさと脱げつってんだよ!?モタモタしてたら追っ手が来るかもしれねぇだろ!?」
「いや、その、俺、女の子が好きだから・・・」
「ボケたこと言ってねぇで!連れてって欲しいならとっとと脱げ!?奴隷紋の確認もしねぇで連れてけねぇだろっ!」

どうしよう・・・究極の選択・・・

▷ A. 素直に脱ぐ
▷ B. おっさんを崖から投げる

でもないか?
奴隷紋があったらOKなのか、無かったらOKなのかわからんが、とりあえず脱いでみて、うまく情報が手に入るならそれでよし。
ハズレだったら後ろの崖にぶん投げればいいだけだしな?

「あー、わかった。今脱ぐ」

のそのそ のそのそ

「下着もだ!」

もぞもぞ もぞもぞ

「背中も見せろ!」

のたのた のたのた

「どうだ?これでいいか?」
「ああ、疑って悪かったな。服を着ろ。先を急ぐぞ」

ふむ。奴隷紋無しが正解だったようだ。



~~~~~



「アイツ、遅いわね?」
「でも、生きてるのは間違い無いです。何かあったんでしょうか?」
「んー、気絶してるとか?」
「まぁ、捕まったりしたなら転移で逃げてくるでしょ」
「あっ!『心配すんな神殿』がリストに出てます!」
「ほんとだ!」
「よかったぁ・・・」
「じゃ、大人しく待ってましょう?」



~~~~~



薄汚いおっさんに導かれ、山奥に分け入っていく。
これまでに得られた情報。

1. おっさん薄汚い
2. 奴隷紋はダメ
3. どこかに行くらしい?

うん、まったくもって状況がわからん!

「しっかし、今まで一人で生きてきたのか?」
「・・・」
「あー、すまん。誰も失ってない奴なんていねぇーよな・・・悪気はねーんだ、勘弁してくれ」

ふむ、これはどうやら良いおっさんっぽいぞ?

「あー、いや。気にしないでくれ」

よし。無口キャラだ。無口なダンディで行こう!

「安心てくれ。には奴隷化してない人族なら誰でも受け入れる掟がある。みんな気の良い連中だ」
「・・・たすかる」

ふむ。だんだん見えてきたぞ。
このあたりは悪者に支配されてて、平民をガンガン奴隷にしてるって事だな?
んでおっさんは俺を逃亡者と勘違いして、救助しようとしてるわけだ。

里に着くまでにストーリを練らなくては!
ペルシラ大陸の事は伏せて置きたい、だがこの大陸の事は何もわからん。
下手な嘘をつけばかえって怪しまれるぞ・・・あっ!嘘つかなきゃいいんじゃん!

「・・・俺の名はカイン。ホルジス神の命にて、この地に神のことわりを伝えに来た」
「はっ?」
「信じられぬのは当然だ。だが、里についたら証拠を見せよう」
「・・・おっ、おう」

ふむ。
『ホルジス神』という単語にツッコミが無かった。
つまり、この大陸でもホルジス様は知られている。

「ついたぞ、ここが里の入り口だ」

目の前には小さな滝。
ベタだ・・・ベタすぎる・・・この滝の裏に洞窟でもあるんだろう。

「じゃ、このロープを胴に縛んな、はぐれると厄介だ」

20メートルほどのロープ、その片端を渡される。
もう一方はおっさんが自分の胴に結わいつけた。

「おし、縛ったな?じゃ、息を吸え」

こんな滝くらいで大袈裟な。

ドンッ

ぬぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?

ドッポーン

不意を突いて突き落とされた滝壺。
その奥底にグイグイとロープで引きずり込まれる!

グボボボボボボボッ

やばいっ!結構ヤバイっ!
焦ったらダメだ、まず呼吸を整えて

グボボボボボボボッ

無理無理無理無理~っ!
石板を出して緊急転・・・

ザバーンッ

ん?
洞窟・・・空気がある?

「ほれ、とっとと上がんな」
「・・・出来れば先に説明して欲しかった・・・」
「あー、そうだな。まっ、かんべんな」

直径2m強の洞窟。
滝壺しか入り口が無いとすれば、なるほど、隠れ里としては良い入り口かも。
暫く歩くと少し開けたドーム状の空間に出た。
刹那。

ガッシャーンッ!

通ってきたが鉄柵で閉じられる。

「あー、悪ぃな。誰でも受け入れるってな嘘だ。お前さんにはここで長老たちの審査を受けてもらう」
「・・・その審査とやらに通らなければ?」
「そんときゃまぁ・・・ダメだな?」

ふむ・・・予想よりもしっかりとした組織のようだ。
まぁ、いざとなったら転移で逃げるし、問題ない。

周囲を囲む屈強・・・じゃない男たち・・・その手には錆びた剣、もしくは手作り感満載の槍が握られている。
よかった。
銃は持ってないようだ。
その囲いを押しのけ、四人のジジイが歩み出る。
木製の椅子が用意され、四人が腰掛ける。

っていうかどういう流れだ?
自分たちで呼び込んでおいてこの警戒心かつ仰々しさ。
そもそもなんで俺なんだ?

「客人よ、少々の無礼には目を瞑ってもらいたい。なにぶん、我らも危うい立場ゆえな」

ただで情報が貰えるんだ、こちらとしては願ってもない展開。
差し出された椅子に腰掛ける。
キャラメイクは決めてある。

「ふむ。気にする事は無い」
「では問うとしよう。お前は何者だ?何故我らの里へ?」

わたくしの名はカイン・ロックハウス・アベル。ホルジス神の忠実なる下僕にして、この地へはは正しき神の理を伝えに来た。この里へ来たのは、そこの者がついて来いと言ったからだ。この地へはまだ降り立ったばかり、お前たちが何者で、何故こんなところに隠れ住んでいるのかすらわからぬ」

「ほぅ、神の下僕とな・・・そういうのはしばらく聞かぬの・・・して、どこから来た?」

「それは明かせぬ決まりだ」

「素性のわからぬ者を我らが里に通すわけには行かぬ」

「ふむ、そちらにも都合があるように、こちらにも決まりがある。だがそうだな・・・まずはコレに目を通してもらおうか」

言うやいなや、目の前にを積み上げる。
明らかに、人が運べる量では無い。

「なっ!何処から出した!?」

ふむ。
この大陸でもアイテムボックスI.B.はユニークだと思って良さそうだ。

「ホルジス神より授かりし権能だ。まずはソレを読んで貰おう。話はそれからだ」
「その前にお前の処遇をどうするか、質問を続ける。事と次第によっては・・・生かしては帰せぬ」

武器を握る手に力が入る男たち。

「いや、読むのが先だ・・・そうだな、明日の今時分に再びここを訪れよう、それまでに読んでおくがいい」
「周りを見て物を言え」
「ふむ。神の使いをが足留めなどできるわけ無かろう?では明日な?しっかりと読んでおくのだぞ?」

ブウゥゥンッ

欲を言えばもう少し情報を引き出したかった。
でもシリア達をずっと放置しておくのも心苦しい。
とりあえず明日だ。

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