立春

澤村 通雄

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恐山

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竹之内は、恐山に向かった。

電車を乗り継ぎ、八戸市からはレンタカーを借りた。

恐山の麓に着き、車を降りた。

丁度、3つの簡素なテントが並んでいる。


竹之内は、恐る恐るその中のひとつに入った。




おみゃあさん、誰を降ろしたいんにゃ。





はい、亡くなった母を降ろしていただけますか?




ちょっと、待ちゃあな。



ウーン、にゃあみょーほーれーげーきょー、フーン、にゃあみょーほーれーげーきょー!ハァー、フーン!!




タケシッ!タケシかっ?




お、おかあさん?



げんきにしちょるか?おめぇ?



はい、なんとか、やっています...




ウーン、クルシイ、クルシイ...




お、おかあさん、大丈夫ですか?




ノドが、ヤケル、ノドがヤケル...
ミズ、ミズ、




水ですか?





ミズをクレ...





アーイッ!!





ハッ!!

巫女さんが、元に戻った。
すごく疲労した様子であった。



おみゃあさん、故人に水をお供えせなぁあかんよ。




は、はい...


竹之内の目から、涙のようなものが、一雫おちた。





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