聖女であることを隠しているのに、なぜ溺愛されてるの私?

延野 正行

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第四章

第47話 

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 す、すごい、魔力。
 相当魔力を練ったんだと思うけど、魔術ってここまで力が引き出せるんだ。
 私がいた時代の上級魔法に匹敵する威力だわ。

 それを涼しい顔をして使いこなすアランさんもアランさんよ。
 可愛い顔して、凄かったのね。
 さすが第二師団師団長様。

 莫大な魔術砲撃。
 その衝撃波は凄まじかった

『うわぁ!!』

 さしものムルンも風で煽られる。
 ムルン1匹なら問題ないのだろうけど、その背には私と勇者様が跨がっている。
 バランスを保つのに四苦八苦していた。

 ついにムルンが墜落しそうになるところをキャッチしたのは巨大な岩の手だった。

「これって……。スーキーのロックドン……」

『ミレニア、あれ!!』

 ムルンが翼で指し示すと、手を振っている女性団員が見えた。

「マレーラに、カーサ、ミルロまで……」

 それは先ほどまで私と肝試しをしていた新人団員たちだ。
 ムルンは目の前に降り立つと、マレーラたちが近寄ってきた。

「良かった! 無事だったんだね、ミレニア」

「どうしてみんな……」

 私が惚けていると、マレーラが自分の後ろにいたカーサの肩に手を置く。
 その側には契約したばかりのピクシーがいた。

「カーサがさ。ミレニアが危ないっていうもんだから、助けに来た」

「助けに、私を……?」

 信じられなかった。
 だって、マレーラたちとは今夜あったばかりなのだ。
 前世の時の仲間たちのように命を張るような冒険をして、絆を温める時間もなかった。
 なのに、私を助けるために生きるか死ぬかの戦場に駆けつけるなんて。

「あたいたちは友達だろう? もう忘れたのかい?」

 マレーラは親指を立てて、さらにウィンクする。
 側にはカーサとピクシーもいて、笑っていた。
 そこに、さらにみんなの笑顔が溢れる。

 前世で火あぶりになりながら、私は思った。
 もう結婚なんてうんざりだ。
 仲間なんていらない。
 友人もいらない。

 ただ普通の暮らしがしたい。
 普通の力で、普通の成績で、普通に愛想笑いを浮かべながら普通の人間関係を築けばいい。
 命をかけること、命をかけられることもたくさんだ。

 そう思ったことがあった。
 だけど、家族と出会い、同期と出会い、勇者、師団長たちと出会って、そして危機に駆けつけてくれた友人がいる。

 果たして、今この関係は私が培った前世の関係と比べてどうなんだろうか。
 いや、考えてもしょうが無いことだ。比べるべきでもないだろう。
 そもそも人間関係が数値化できるものであるなら、私はきっと火あぶりなんてならなかったはずだ。

「ありがとう!!」

 私はマレーラとカーサの首を同時に引き寄せ、抱きしめた。

「ありがとう、2人とも。とっても嬉しいよ」

「お! おい!! ミレニア、首が絞ま――――ッ!」

「こちらこそ感謝です、ミレニアさん」

 私はスーキーとミルロにも感謝の言葉をかける。
 嬉しい! まだ新人団員として活動もしてないのに、もう4人もできちゃった。

「美しい友情だね」

 アーベルさんは穏やかに笑う。

「あれ? この人ってもしや……」

「覚えてない? 勇者アーベルさんだよ」

『えええええええええ!!』

 マレーラたちは叫声を上げた。

「やっぱり……」
「噂は本当だった」
「勇者と付き合ってるって」
「本当だったんだ!」

 ちょちょちょちょ! ちょっと何よ、それ!
 どこの噂よ、それ。

「カーサまで。そ、そんなわけないでしょ! アーベルさんに失礼でしょ!」

「でも、試験の時――――」

 試験? ――あ! あの時か!!
 私は頭を抱えた。
 確か私、最終的に勇者様に担がれて、みんなの前に現れたんだっけ。
 それでおかしな噂が……。

 まさか1、2週間ほどの前の噂がこんなところに利いてくるとは……。

『良かったね、ミレニア。いい友達じゃないか』

 バサリと今度はムルンが翼を広げる。
 自分の紹介しろとばかりに、頭を私の頬に寄せてきた。

「で――――。ミレニア、もう1つ聞きたいのだけど、そちらの大きな鳥は??」

「ムルン。私の使い魔よ。神鳥シームルグのね」

『神鳥シームルグ!!!!!!!』

 4人はまた叫声を上げる。

 ああ。もう! 説明が面倒くさい。
 いちいち驚かなくていいのよ。

 ……まあ、仕方ないとは思うけど。
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