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3章
第38話 友情の証
「大魔王ルヴルヴィム様……」
今、こやつはなんと言った?
ルヴルヴィム?
大魔王ルヴルヴィムと言ったか。
我を前にして……。
転生して1000年後の世界。
すでに我の名前は消し去られた世界で、その名前を覚えている者……。
思い当たる可能性は多くはない。
我は頭に浮かんだ言葉をそのまま口にした。
「貴様、魔族だな……」
昔の口調に語りかける。
すると、ユーリの顔がみるみる歓喜に包まれていく。
「おお! おお!! その口調! 漂ってくる覇気!! まさしく我が君! 僕が仕えたかった大魔王ルヴルヴィム様だ」
「魔族? 大魔王? ルーちゃんが……」
狂ったように歓喜するユーリの横で、ハートリーが戸惑っている。
事情を説明するべきなのであろうが、一先ず我は目の前のユーリを質した。
「ユーリ。貴様ら魔族が、人間の居城で何をしている?」
「これは異なことを……。あなた様の根城にするためですよ」
「根城?」
我の質問に、ユーリは最初から説明を始めた。
「僕たち魔族は、あなた様の復活を待ち望んでおりました。いつか人間に転生し、現れる日を。そしていつか聖女の学校にやってくるであろうあなたに、網を張らせてもらったのです」
「あの異様な魔導具を使ってか?」
「そうです。人間が触れば、普通にその資質がわかる凡庸な魔導具。だが、あなたが触れば、過剰に反応するようにしておいたのです」
あれはこやつらの仕業であったか。
おかげで、我はかなり痛い目を見たのだぞ。
「あなた様はこのセレブリヤ王国に降り立ちました。故に僕たち魔族はここをあなた様の国として作り替えることに決めたのです」
「そんな……。じゃあ、王族の人たちを殺していたのは」
ハートリーは息を呑む。
「そう。すべてはルヴル――――ルヴルヴィム様のため」
再びユーリは妖しく笑う。
まるでラミアのように妖艶にだ。
「先ほどから気になっているのだが、お前達は滅んだのではないのか? それにその姿……。姿こそ人間だが、魂には邪な波動を感じる。それではまるで――――」
「転生したあなたのよう、と――――」
ククク……、ユーリは低く笑った。
「その通り。我ら転生したのです。聖霊ルヴィアナの転生法を研究してね」
我が転生した後、ロロの懇願も虚しく、人間たちは一気に魔王城に攻め込んできた。
大魔王亡き後の魔族軍は脆く、あっという間に数百匹にまで数を減らす。
もはや滅びを免れないとなった時、魔族たちは予てより研究していた転生法を完成させる。
それは我のように1000年を渡って人間になるのではなく、魔族の魂を人間の身体に入れるというものであった。
そうして魔族は人間となった。
人間として暮らし、個体を増やしていった。
「それでも我らは人間に対する憎しみと、あなたへの忠節を忘れなかった。いつかあなたを中心とした魔王軍を再編し、決起する時を待っていたのです」
「よくわからんな。何故、我に今それを話す?」
「街中で話したところで、あなたは本気にしないでしょう。しかし、この城を見た後なら考えが変わるはず。あなたは王の間に行かれたのでしょう? どうですか? 1000年後の玉座を見た感想は? 君主として血肉沸き踊らないですか? あなたが望めば、今すぐにでも王都にいる人間たちを根絶やしにし、この国を乗っ取ることができる。そして魔族の国の再興を……」
興味ない……。
「はっ? 今、なんと?」
「興味ないといった。国も、玉座も、人間を根絶やしにすることもな……」
「そんな! 1000年も覇道に身を置いたあなた様が、玉座を欲しないと」
「愚か者め。1000年も玉座に座しておれば飽きるに決まっておるわ。まあ、だからといってお前らにおいそれとやるつもりはなかったがな。……それにな。常々言っていたであろう。我から『魔王』の名を奪いたくば、魔王に戦いを挑むがいい。挑戦は、いついかなる時も受けると申したではないか。国の体制を変えたければ、まず我を倒してみせてからにせよ」
「あなたは魔族の王でありながら、王ゆえの職務を放棄するというのか! 魔族の大願を否定すると!!」
ユーリは血相を変えて、我を弾劾する。
だが、我はあくまで冷ややかだった。
思わず笑みがこぼれる。
「ククク……。どうやら人間に同化して、考え方まで人間になったとみえる」
「なんだと?」
「我は確かに魔族の王ではあるが、お前達を従属させるためにおったわけではない。我は魔族の頂点であって、君主ではないのだ」
「な、何を言って……」
「わからんか? 単純な話だ。我が魔族の中で1番強かった」
故に魔王なのだ……。
愚かだな、ユーリ。
そんなこともわからず、この魔王に接触したのか。
端から我は種の存続など望んでおらぬ。
我が望みは1つ……。
回復魔術を極め、すべての術理を修めること。
王だ、国だ、支配だの我は興味ない。
人を癒やすその深奥を覗くことのみが、この大魔王ルヴルヴィムの望みなのだ。
「くっ……」
「お前らが今世にも生き、暗躍していたことは薄々感づいていた。よもや我と同じ方法で人間になっているとは思わなかったがな。まあ、我にちょっかいを出さぬ限り、放っておこうと思っていたが、まさかこんな愚かなことを企むとはな。……しかもお前、ハーちゃんに偽の記憶まで噛ませたであろう」
「やっぱりルーちゃん気付いてたんだ」
ハートリーは顔を輝かせる。
一方、ユーリは苦悶の表情を浮かべた。
「気付いていた? まさか娘! 僕が刷り込んだ偽の記憶が……!」
「はい。その通りです。あなたがわたしに植え付けた偽の記憶は、すでに消滅しています」
「な、に…………!?」
「お前がハーちゃんやその父君に偽の記憶を魔術によって付与したことはすぐにわかった。おそらく【邪視】を使ったのであろう? とはいえ、我もハーちゃんが置いて行ったメッセージがなければ、気付かぬほど用意周到に魔術が隠されていたがな」
「大変だったよ。この人の目を盗んで、ルーちゃんにメッセージを送るのは……」
ハートリーはホッと胸を撫で下ろす。
「め、メッセージだと? 馬鹿な! この娘の家に同行した時、僕は娘の行動を逐一観察していた。そんな素振りは……」
「いや、あるべきメッセージがなかったというのが、本則か。この場合……」
ハートリーは宝石などの知識に長けていた。
これはハートリーが母親に受けていた教育の賜物だと思っていた。
だが――――。
「ハーちゃんの部屋には、そういう類いの本はなかった。あったのは、演劇の本とプロマイドだけ」
横でハートリーは息を呑む。
我は説明を続けた。
「それにハーちゃんは、私との友情を忘れなかった」
我は首に提げていたネックレスを見せる。
それを見て、ハートリーは穏やかに笑った。
彼女自身もネックレスを掲げてみせる。
「部屋にネックレスがなかった時、我は確信した。もし、本当に我との関係を清算するのであれば、このネックレスを部屋に置いていったはず。これは我らの友情の証。真の友を示すものだ。だが、ハーちゃんは王宮にまでこれを持ち込んだ。つまり、我に来てほしいと言ってるサインだと我は考えた」
「馬鹿な……。いつ、そんな示しを合わせて」
「示しなど合わせておらん」
「そうです。わたしは信じていただけです。ルーちゃんが来てくれること。ルーちゃんなら、この状況をどうにかしてくれるって」
「我も信じていた。ハーちゃんが我を裏切っていないことを。それは何故か……」
我らが友達だからだ!
~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~
さあさあ、盛り上がって参りました!
今、こやつはなんと言った?
ルヴルヴィム?
大魔王ルヴルヴィムと言ったか。
我を前にして……。
転生して1000年後の世界。
すでに我の名前は消し去られた世界で、その名前を覚えている者……。
思い当たる可能性は多くはない。
我は頭に浮かんだ言葉をそのまま口にした。
「貴様、魔族だな……」
昔の口調に語りかける。
すると、ユーリの顔がみるみる歓喜に包まれていく。
「おお! おお!! その口調! 漂ってくる覇気!! まさしく我が君! 僕が仕えたかった大魔王ルヴルヴィム様だ」
「魔族? 大魔王? ルーちゃんが……」
狂ったように歓喜するユーリの横で、ハートリーが戸惑っている。
事情を説明するべきなのであろうが、一先ず我は目の前のユーリを質した。
「ユーリ。貴様ら魔族が、人間の居城で何をしている?」
「これは異なことを……。あなた様の根城にするためですよ」
「根城?」
我の質問に、ユーリは最初から説明を始めた。
「僕たち魔族は、あなた様の復活を待ち望んでおりました。いつか人間に転生し、現れる日を。そしていつか聖女の学校にやってくるであろうあなたに、網を張らせてもらったのです」
「あの異様な魔導具を使ってか?」
「そうです。人間が触れば、普通にその資質がわかる凡庸な魔導具。だが、あなたが触れば、過剰に反応するようにしておいたのです」
あれはこやつらの仕業であったか。
おかげで、我はかなり痛い目を見たのだぞ。
「あなた様はこのセレブリヤ王国に降り立ちました。故に僕たち魔族はここをあなた様の国として作り替えることに決めたのです」
「そんな……。じゃあ、王族の人たちを殺していたのは」
ハートリーは息を呑む。
「そう。すべてはルヴル――――ルヴルヴィム様のため」
再びユーリは妖しく笑う。
まるでラミアのように妖艶にだ。
「先ほどから気になっているのだが、お前達は滅んだのではないのか? それにその姿……。姿こそ人間だが、魂には邪な波動を感じる。それではまるで――――」
「転生したあなたのよう、と――――」
ククク……、ユーリは低く笑った。
「その通り。我ら転生したのです。聖霊ルヴィアナの転生法を研究してね」
我が転生した後、ロロの懇願も虚しく、人間たちは一気に魔王城に攻め込んできた。
大魔王亡き後の魔族軍は脆く、あっという間に数百匹にまで数を減らす。
もはや滅びを免れないとなった時、魔族たちは予てより研究していた転生法を完成させる。
それは我のように1000年を渡って人間になるのではなく、魔族の魂を人間の身体に入れるというものであった。
そうして魔族は人間となった。
人間として暮らし、個体を増やしていった。
「それでも我らは人間に対する憎しみと、あなたへの忠節を忘れなかった。いつかあなたを中心とした魔王軍を再編し、決起する時を待っていたのです」
「よくわからんな。何故、我に今それを話す?」
「街中で話したところで、あなたは本気にしないでしょう。しかし、この城を見た後なら考えが変わるはず。あなたは王の間に行かれたのでしょう? どうですか? 1000年後の玉座を見た感想は? 君主として血肉沸き踊らないですか? あなたが望めば、今すぐにでも王都にいる人間たちを根絶やしにし、この国を乗っ取ることができる。そして魔族の国の再興を……」
興味ない……。
「はっ? 今、なんと?」
「興味ないといった。国も、玉座も、人間を根絶やしにすることもな……」
「そんな! 1000年も覇道に身を置いたあなた様が、玉座を欲しないと」
「愚か者め。1000年も玉座に座しておれば飽きるに決まっておるわ。まあ、だからといってお前らにおいそれとやるつもりはなかったがな。……それにな。常々言っていたであろう。我から『魔王』の名を奪いたくば、魔王に戦いを挑むがいい。挑戦は、いついかなる時も受けると申したではないか。国の体制を変えたければ、まず我を倒してみせてからにせよ」
「あなたは魔族の王でありながら、王ゆえの職務を放棄するというのか! 魔族の大願を否定すると!!」
ユーリは血相を変えて、我を弾劾する。
だが、我はあくまで冷ややかだった。
思わず笑みがこぼれる。
「ククク……。どうやら人間に同化して、考え方まで人間になったとみえる」
「なんだと?」
「我は確かに魔族の王ではあるが、お前達を従属させるためにおったわけではない。我は魔族の頂点であって、君主ではないのだ」
「な、何を言って……」
「わからんか? 単純な話だ。我が魔族の中で1番強かった」
故に魔王なのだ……。
愚かだな、ユーリ。
そんなこともわからず、この魔王に接触したのか。
端から我は種の存続など望んでおらぬ。
我が望みは1つ……。
回復魔術を極め、すべての術理を修めること。
王だ、国だ、支配だの我は興味ない。
人を癒やすその深奥を覗くことのみが、この大魔王ルヴルヴィムの望みなのだ。
「くっ……」
「お前らが今世にも生き、暗躍していたことは薄々感づいていた。よもや我と同じ方法で人間になっているとは思わなかったがな。まあ、我にちょっかいを出さぬ限り、放っておこうと思っていたが、まさかこんな愚かなことを企むとはな。……しかもお前、ハーちゃんに偽の記憶まで噛ませたであろう」
「やっぱりルーちゃん気付いてたんだ」
ハートリーは顔を輝かせる。
一方、ユーリは苦悶の表情を浮かべた。
「気付いていた? まさか娘! 僕が刷り込んだ偽の記憶が……!」
「はい。その通りです。あなたがわたしに植え付けた偽の記憶は、すでに消滅しています」
「な、に…………!?」
「お前がハーちゃんやその父君に偽の記憶を魔術によって付与したことはすぐにわかった。おそらく【邪視】を使ったのであろう? とはいえ、我もハーちゃんが置いて行ったメッセージがなければ、気付かぬほど用意周到に魔術が隠されていたがな」
「大変だったよ。この人の目を盗んで、ルーちゃんにメッセージを送るのは……」
ハートリーはホッと胸を撫で下ろす。
「め、メッセージだと? 馬鹿な! この娘の家に同行した時、僕は娘の行動を逐一観察していた。そんな素振りは……」
「いや、あるべきメッセージがなかったというのが、本則か。この場合……」
ハートリーは宝石などの知識に長けていた。
これはハートリーが母親に受けていた教育の賜物だと思っていた。
だが――――。
「ハーちゃんの部屋には、そういう類いの本はなかった。あったのは、演劇の本とプロマイドだけ」
横でハートリーは息を呑む。
我は説明を続けた。
「それにハーちゃんは、私との友情を忘れなかった」
我は首に提げていたネックレスを見せる。
それを見て、ハートリーは穏やかに笑った。
彼女自身もネックレスを掲げてみせる。
「部屋にネックレスがなかった時、我は確信した。もし、本当に我との関係を清算するのであれば、このネックレスを部屋に置いていったはず。これは我らの友情の証。真の友を示すものだ。だが、ハーちゃんは王宮にまでこれを持ち込んだ。つまり、我に来てほしいと言ってるサインだと我は考えた」
「馬鹿な……。いつ、そんな示しを合わせて」
「示しなど合わせておらん」
「そうです。わたしは信じていただけです。ルーちゃんが来てくれること。ルーちゃんなら、この状況をどうにかしてくれるって」
「我も信じていた。ハーちゃんが我を裏切っていないことを。それは何故か……」
我らが友達だからだ!
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さあさあ、盛り上がって参りました!
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