ボスは1人でいいと、魔王軍の裏ボスなのに暗黒大陸に追放されたので、適当に開拓してたら最強領地と嫁を手に入れた

延野 正行

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8章

第54話 どん! どん! どーなつ!(前編)

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サブタイから漂う飯テロ回。

~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~ ※ ~

 村の城壁が終盤を迎える頃、俺は密かに数人のドワーフとともにある建築物を作り上げた。

「おお!!」
「なにあれ~!」
「なんかかっけー」
「翼が4枚もあるよ~。飛ぶのかな?」

 集まってきた子どもたちも興味津々といった感じだ。

 村から少し離れた海沿い。
 年中、海から吹き上がってくる風を浴びながら、俺は顔を上げた。

「完成だ」

 見上げた先にあったのは、4枚羽の風車だった。

「よし。動かしてみようか」

 合図をする。
 箍を外すと風車はゆっくりと回り始めた。
 4枚の羽は、海からの風に突き動かされて、一定回数で回る。
 続いて聞こえてきたのが、ゴンゴンという音だ。
 中で挽き臼が周り始めたのだろう。

「まあ……」

 目を輝かせたのは、ミセスだった。
 人では回すことが難しい大きな石臼を風車は力強く回している。

「ありがとうございます。これでおいしいパンが作れますわ」

 ミセスは手を叩いて喜んだ。
 風の精霊ウィンドを復活させ、日差しが取り戻したことによって、俺がドワーフの城へと発つ前から、麦の栽培を始めていた。
 ドリーの【成長促進】のおかげで、その成長速度は早く、最近火の精霊フレイアが復活してからは、さらにその速度は加速した。
 このまま行くと、冬が本格化する前に収穫ができそうだ。

 今挽いているのは、試験用に収穫してきたものらしい。

 しかし、麦が1ヶ月そこらで収穫って、農家の人が見たら怒り出しそうな早さだ。
 まあ、ゲームだったら一瞬だったりするけどね。

「しかし、よく作ったな。俺も詳しい構造とか知らないのに、ハカセ」

 声をかけたのは、1人のドワーフだった。
 ドワーフの中では珍しく眼鏡をかけていて、身体ももやし体型だ。
 だが、俺がハカセと名付けたドワーフは、考える筋肉はよく発達しているらしい。


 名前   : ハカセ
 レベル  : 15/90
    力 : 68
   魔力 : 98
   体力 : 80
  素早さ : 59
  耐久力 : 76

 ジョブ  : 学者

 スキル  : 記憶LV1 建築知識LV4
        鑑定LV3 化学知識LV3
        軍略LV1


 俺が風車を作りたいと言い始め、大雑把な構造を説明すると、ハカセは一瞬にして図面を描き上げてしまったのだ。
 元々ハカセはドワーフの城や大砲の設計にも関わっていたらしい。
 脳筋が多いドワーフ族の突然変異という訳だ。

 学者は割とユニークなジョブで、本などから知識を取り込むことによって、スキルを得ることができる。
 その本はハカセが元から持っていたものだ。
 以前、メーリンに買ってもらったらしい。

「これぐらい朝飯前でアール」

 ハカセはキラリと眼鏡を光らせ、ドヤ顔を浮かべる。
 「アル」から「アール」って……。
 ちょっと気にくわないけど、うちの頭脳労働担当になりそうだな。

「風車を使って挽いた小麦粉を使って、早速パンを作ってみますね」
「待った、ミセス。もう一工夫を加えてみないか」
「はい?」

 ミセスは首を傾げる。

「お昼の後だし……。頭が使ったから、おやつ感覚で食べられるものがいいと思うんだ。だから――――」

 俺はあるお菓子を、ミセスに説明する。

「それは美味しそうですね」
「ふむ。それは我が輩も興味があるのでアール」
「食べたい!」
「わたしも!」
「ボクも!」

 ミセスだけじゃない。
 ハカセや、村の子どもたちも諸手を挙げて、俺にせがんだ。

 よし。なら早速、作ってみよう。
 みんな仲良くね。


※ 後編へ続く
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