SHORT CAKES 番外編2

とうこ

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SHORT CAKES 番外編2

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「翔、圭吾の異動がきまったよ」
 帰ってきてすぐ、ジョイスはリビングに座る翔に言った。
 相馬がオーストラリアへ行ってから半月。異動の希望を出していた圭吾は今日、辞令をもらったのだ。
「ほんと?…そっか…圭吾も行っちゃうんだな…。でもよかった」
 うんと頷いてジョイスも上着を脱ぐ。
「メシはくったんだろ?」
「うん、ジョイスは?」
「俺も食って来た。じゃあ俺風呂入るから」
 ジョイスは上着を持って奥の部屋へ入って、しばらくしてから着替えて出てきた。リビングを通る時、翔が少し俯いているのを見たジョイスは、
「圭吾の出発はまだ先だし、そんなに遠くじゃない。それともあいつがいなくなるのは寂しい?」 
 翔は首を振った。それは、勿論寂しくないと言った意味ではなく、そうじゃないの意味。俯いている理由は…
「ま、そんなしょぼくれないで、元気出してくれ」
 俺がいるじゃん、と翔の髪をくしゃっと混ぜて、ジョイスはバスルームへ向かう。
「ジョイス…」
 翔に呼ばれてドアの前で振り向いて、こちらへ向かってくる翔を見つめた。
「なに?」
微笑んで翔に問う。
「風呂…一緒に入ろうかと思って…待ってた…んだ」
 耳まで真っ赤にしてそういう翔にジョイスは少し驚いてしまった。
 本格的に暮らし始めてから、翔にはそう言うアクションはあまりしなかった。一度だけそうなりかけたことがあったが、あまりに翔が耐えて
いるようだったので、その時はやめにしておいたのである。
「え…翔、それは…」
「大丈夫…と思う。少し怖いけど嫌じゃない。ジョイスなら平気」
 翔が俯いてしまうと、長身のジョイスからは頭の上しか見えないが、その下できっと真っ赤になって勇気を出しているのであろう翔の顔が浮かんでジョイスは愛おしくなった。
「じゃあ、入ろっか。一緒にね」
 肩を抱かれた翔は、羞恥よりも安堵の表情でジョイスに従った。
 浴槽に浸かったジョイスは、さっきからずっと左腕だけをゴシゴシ擦っている翔をみてー緊張してるなぁーと感じていた。
 でもその緊張は、嫌悪感とかではなく、まあ…そう言った類の緊張。
「ちょいちょい翔。そんなに左腕擦ってたらすり減っちゃうぞ?」
「え?」
 言われて漸く気づいたのか、ーへへっーと笑ってお湯をかけた。
「おいで」
 浴槽の端に背中をつけるように寄って、空いたスペースに翔を誘う。
「うん」
 素直に立ち上がって、ジョイスの前に後ろ向きに座った。 
 ジョイスは後ろから手を伸ばし、翔の左腕を伸ばしてみて
「こんな真っ赤にしちゃって、どうした」
 とそこを撫でながら、頬を寄せた。
「やっぱり、ちょっと緊張する」
 腕を撫でる大きな手をとって、笑う。
「実は俺も緊張してるんだぜ?わかる?」
 胸を翔の背中に当てると、心臓の音がいつもより早い。
「ジョイスも?」
「翔と風呂に入るのに、俺が緊張しないわけがない」
 相変わらず合わせている頬が、ジョイスの笑みで動いている。
「俺ね、いっぱい考えたんだよ」
 ジョイスの指を一本一本弄びながら、翔は話だした。
「そういう事に怯えてても、ずっとっていうわけにもいかないんじゃないかなって。ジョイスは俺のタイミング見てくれてるけど、そのタイミングが来なかったら…って考えると怖くなった」
 話を聴きながら、ジョイスは反対側の手で自分の指で遊んでいる翔の手を握り込む。
「だから…『しよう!』って俺が言わなくちゃ…だったんだけど…その…そう言うのって…」
 大きな両手が翔の両手を包んだ。
 合わさった頬が少しずれてジョイスの唇が耳にあたり、吐息の様な声が聞こえた。
「しようか…」
 握られた手が少しだけキュッとなって、その後合わされた頬の方へ顔を向けると、ジョイスの緑がかった目と目があい、そして軽くキスされた。
「いいの?今日で」
 翔は目を見たまま頷く。
「ありがと」
 ジョイスはもう一回軽くキスをして、翔を抱きしめた。『そうだった…タイミングを測るあまり、こう言うことを言わせるところだったんだな』と気付かされ、今、翔が思っていることは俺がやらなきゃいけなかった。
「じゃあ、あがろっか」
 こくん、と頷いて2人は立ち上がった。
 簡単にシャワーで流し、ジョイスは面白そうな顔をしながら一枚の真っ白なバスタオルを持ち出してきた。
 そしてそれを広げると、翔をすっぽり包むほど大きなバスタオル。
「わーでっかい!おもしろいね」
 翔を頭から包んでも足首まである。自分用にでかいタオルと思って買ったら、思ったよりデカくて持て余してたとジョイスは笑う。
「これから翔が使っていいよ」
 と言いながら、自分を拭ったタオルを腰に巻いて
「よいしょ」
 と、翔をバスタオルのまま縦抱っこした。
「うわっ!」
 急に持ち上げられ驚いた翔は、タオルの中からジョイスの肩に手を置く。
 ジョイスはそんな翔にちゅっとキスをして
「かわいい」
 ちゅっとして
「好き」 
 を繰り返し始め、
「ジョイスそれなんか…んっ」
 ちゅ
「やっぱ可愛い」
 何度もされて頬が染まるほど照れ臭いから、翔はジョイスの肩にしがみついてしまった。
「あれ、ブロックされちゃった」
 ジョイスは楽しそうに笑って、大事に翔を抱きしめ寝室へと入っていった。

 自身を口に含まれている翔は、ため息のような声を出し続けている。時折混ざる声がジョイスの衝動を刺激して、攻撃的にならないように抑えるのが少々難しいほどだ。
『翔』を離して、お腹、胸とじっくりと舌を這わせ、その感覚に翔の腰が上がったところで、右手を腰の下に差し入れる。
 そして翔の背中にも手を回し上半身を起こさせると、あぐらをかいた自分に座らせた。
 「…ちゅっ…んぅ…じゅ…」
 舌を激しく絡ませて唇を吸い合い、翔もジョイスの首に腕を巻きつけ唇を求める。
 ジョイスの指が翔のバックに触れ、少し揉みほぐすように蠢かされた。
「っ…ぁ」
 恥ずかしいのかジョイスの足の上で翔の足が閉じようとするような動きをするが、当然だができない。その衝動を和らげるべく、ジョイスはもっと激しく唇を合わせ吸い上げた。
 そして激しく合わせられる唇の陰で、ジョイスの指が『ソコ』へ入り込んでゆく。
「んぅ…ん……ぁ…ん」
 翔の身体がびくんと震え、唇も離れてしまう。
「ジョ…ジョイス…んっ…あぁ」
 指の出し入れの感覚に、何か言おうとした言葉は消されてしまい、ただ翔の腰が少しずつ揺れ始めるだけ。
 こればかりはほぐしておかないと辛いのは翔だから…とジョイスは無理ない程度にゆっくりと指を出し入れしほぐすように蠢かす。
「はぁ…ぁ…」
 ジョイスの肩をもって、上に伸びるように指から逃げようとするが、それをジョイスは許さなかった。
 目の前にきた胸の色づきに舌を這わせて、腰を落とさせる。
「ぁ…あぁ」
 真ん中にある翔自身は、先から涙を流しており、それを見たジョイスはそっと翔の上半身をベッドへ下ろし、指も抜いて翔の足を開かせた。
「キツかったら…いって…」
 左手で翔自身を握り込み、先端の部分に指をあて溢れている液体をその周辺に塗り込むように回してみる。
「…はぁ…ぁあ…」
 息が漏れ、少し身体が弛緩したように見えたとき、ジョイスは翔の中に身を進めていった。
「はっ!あああっ」
 翔の上半身がしなり、胸を突き出すように背中が反ってゆく。
 『翔』を擦り上げ、翔の中も刺激して、沿ってゆく体や声を聞きながらジョイスは自身の抽送を繰り返した。
 感じる度に締まるそこが刺激になり、入ったばかりだがちょっと限界を感じてしまう。
「…んっ…ジョイス…」
 翔の左腕が彷徨うようにジョイスを探し、その指が頬に触れた。
「きつい…か?」 
 荒い息の中問われ、翔は微笑みながら首を振る。頬に触れた指はジョイスの唇を撫でてきた。
 空いていた方の手で翔の手を取り、手のひらにキスをしその手の人差し指を口に含み舌を絡ませる。
 その行為に翔は少し驚いたのか、手を引こうとしたが
「だめだぞ…翔がしてほしいって来たんだからな」
「ジョイス…エッチなひとだ…ね」
 全身のどこかしらを責められている翔は、声も掠れ気味にそう言って笑う。
「いえいえ、翔もなかなか…」 
 指を舐め、手のひらにキスをし、少し余裕ができたジョイスは、もう片方の手の中の翔を先に言っていいよとばかりに刺激を始めた。
「あっはっ…んっんっあっ…それ…あっ」
 自分でしかしたことない行為を、自分以外の人にされる羞恥で感覚がおかしくなりそうだった。
「も…ぅ、あっあっぁぁんっ…ああっ」
 枕に頬を押し付けて、ジョイスの手のひらで翔は弾けた。
 翔に跳ねないよう、ジョイスがカバーしていたために翔の体液はジョイスの手のひらで受け止められている。
 ジョイスは、少し上げた腕から肘の方に流れたソレを迷いなく舐め上げて、それから手のひらまで全部…綺麗にしてしまった。
 翔のものは全部自分が…そう言う妙な独占欲だったかもしれない。
 その行為を目の当たりした翔は、ジョイスに全てを挙げてしまったような気がしていた。
 この人でよかった…言葉でどう言ったらいいのかこの気持ちに答えはないのだろうが、1番近いと思う言葉は
「幸せってこう言う感じかな…」
 だった。
 ジョイスは笑って握っていた手を恋人繋ぎにすると翔の頭の脇に置き、
 「辛かったら…ごめん…俺も…もう…」
 そう言って、緩やかにしていた腰の動きを速めて、翔に打ちつけた。
 音がするほどだったが翔は受け止めていて、荒い息の中時々声を漏らしてはジョイスの熱情を享受する。
「っ…くっ」
 ジョイスは最後の激しい打ちつけの後腰の動きを止め、ぎゅうっ翔にと押し付ける。それといっしょにいつの間にかジョイスの腰に絡めていた翔の足もジョイスを締め付けた。

 激しく乱れる息をベッドに並んで整える。
 ジョイスは歯止めが効かなかった自分に少し自己嫌悪をしていたが、翔は思っていたより数倍、自分にとってすごかった。
 大事なものだと今までより深く認識できる。
「無理…させすぎた…平気?」
 目を瞑って息を整えている翔に問うと
「うん…平気…」
 と顔を向けてきた。
「でも、ちょっとすごかった」
 と笑う翔に
「ごめんなぁ~」
 とジョイスが横向きになって翔の髪を撫でる。
「自制が効かなかった…」
 笑って頬を撫でるとその手に手を添えて
「でも俺…しあわせ…って感じた…から」
 ーああ、もうたまらないな翔はーと ジョイスは身を乗り出して軽くキスをした。
 その後、ジョイスは起き出して
「なんか飲むか?」
 とキッチンへ行こうと立ち上がった。
「炭酸水飲みたい」
ー了解ーと言ってキッチンへ行き、炭酸水とビールを持ってくる。
 翔は目を開けたまま中空を見つめていた。 
「何みてる?」
 横から問われて、
「ちょっと色々…思ってた」
 その時は翔の言っている意味がわからなかったが、数分後に理解することになった。
「俺ね、なんかわかったんだよ」
「ん?」 
 瓶を口にして、ベッドに座っているジョイスはーなにを?ーと尋ねる。
「今まで怖かったのは…相手が俺じゃないものを見ていたからだって」
「んー?」
「ジョイスは『俺』を見てくれるだろ?。でも他の人が見てたのはさ、俺じゃなくてただ「やりたい」って言う気持ちだけだったり、あまり言いたくないけどハワードなんかはさ…DNAだったり…」
「翔…」
 ベッドに手をついて、翔の髪を撫で上げる。
「言いたくないことは言わなくていいんだぞ?」
「ううん、ジョイスに伝えたかったから…ジョイスだったから全然怖くなかったし、拒否反応なんてでる隙もなかったよ。それに…」
「それに?」
 翔は起き上がって、ジョイスの背中に抱きついた。
「体の中に人を受け入れたのは、ジョイスが初めて…」
 耳元でそう言われ、ーえ?ーと声が出る。
「え、だってMBLで…散々…」
「だから気づいたんだよ。ハワードあの人は俺だけいかせてた…」 
 ジョイスの心の中が複雑になってきた。
『俺…翔の初めて…なんだ…』と言う嬉しさと
『本当に採取のような行為してたんだな』と言う怒りの気持ち。
「なんて言っていいのかわからないんだけどな。嬉しい気持ちと怒り…が入り混じってて言葉になんない」
 でも、とジョイスは続ける。
「あんな奴に感謝なんてしたくはないんだけど…ほんのちょっぴり、1mmくらい感謝してるとすれば…」
 背中にいた翔を前へ回してギュッと抱きしめる。
「翔の初めての男を俺にしてくれたこと…だな」
 翔も嬉しそうにジョイスを抱きしめ
「そのくらいしか良い事してない」
 そのままジョイスをベッドへ押し倒した。
「おいおい?」
 とジョイスが見返すと翔はキスをしてきて、黙ってジョイスの手からビールを外す。
「ビールはまた後でだよ…」
 と再びキスをしてきて、ジョイスは笑ってその背中を抱きしめた。
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